YouTubeで動画を作る際に、ひと手間をかけるだけで、ぐっと視聴ユーザーの印象度を高めることができます。ここでは、高性能ながら軽量な操作が特長の動画編集ツール「Adobe Premiere Pro Rush」を用いて解説します。

クリエイター最終更新日: 20220310

Premiere Rush カット編集でYouTube用動画を用意する

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YouTubeで動画を見ていると、撮影素材をそのままアップロードしたような動画が散見されます。面倒な編集で手間取るよりいち早く公開したいばかりに、視聴が続かないような動画のままでは本末転倒です。
最低限のひと手間をかけるだけで、ぐっと視聴ユーザーの印象度を高める動画となる方法について、高性能ながら軽量な操作が特長の動画編集ツール「Adobe Premiere Pro Rush(以下Rush)」を用いて解説します。

※当記事ではAdobe Premiere Rush バージョン1.5.58を使用しています。

最低限の編集で見やすくなる

そもそもRushは、Adobe Premiere Pro(以下Premiere)と同じエンジンを搭載しつつ、ツールとしての機能を絞り、より軽快な操作を可能にしています。例えば、現場で撮影した映像を短時間で公開したい場合に最適な映像編集ツールがRushです。

Rushの設計思想と相性がよい「カット編集」(長い映像素材の不要な箇所を削除する編集)を行えば、よりユーザーに視聴しやすい映像を公開できます。みなさんは「編集」となると、小難しい作業を想像していないでしょうか? 冗長で無駄な箇所を削除する最低限の整理を行うだけでも、動画全体の品質が向上します。しかも、難しい作業は一切発生しません。

Rushで「カット編集」を行う方法

Rushは簡単に操作ができる強みがある分、Premiere Proのような高機能なソフトウェアとやや操作の勝手が違い、少々慣れが必要かもしれません。求める編集の用途次第ですが、カット編集の場合、慣れればRushだと制作時間が圧縮できるでしょう。

Rushには月額1,078円(税込)の「Premiere Rush単体プラン」のほかに、「Creative Cloudコンプリートプラン」ユーザーならいつでも追加費用なしで使うことができます。未体験だというみなさんは、一度試す価値はあるでしょう。

※Rushの入手方法や全般的な操作方法を知りたい人は、以下のコンテンツが参考になります。

“Adobe Premiere RushでYouTube動画を制作 | パソコン工房 NEXMAG”.パソコン工房 NEXMAG.2021.
https://www.pc-koubou.jp/magazine/41448

Rushを起動し、メニューバーより「ファイル」→「新規」→「プロジェクト」を選択するか、「新規プロジェクトを作成」ボタンをクリックしましょう。

「ブロジェクト名」を指定して、必要な映像素材があるファイルの場所を選択し、映像素材を読み込みます。下は、3つの映像素材を指定したところです。

サムネイル上の番号は選択した順に1、2、3とナンバリングされます。Rushには選択順にタイムラインへと並び、プレビューウィンドウが1つだけ用意された編集作業用のUIへと遷移します。

Premiereの作業画面と比べてみましょう。Premiereだとソースウィンドウとプログラムウィンドウの2つが表示されていますが、Rushだとプレビューウィンドウの1つだけが表示されています。凝った編集作業はPremiereに軍配が上がりますが、カット編集のような無駄な場面を削除(カット)する(だけの)編集ならRushで十分。信頼ある純正のアドビツールという点も安心です。

Rushでは、タイムライン上で「アウト点」に相当するところに再生ヘッド(インジケーター)を動かして、タイムライン左の編集ツールからハサミアイコンの「クリップを分割」をクリックします。再生ヘッドの場所で分割されるので、次の作業は「イン点」に相当する場所に再生ヘッドを動かし、同じく「分割」をクリックします。

これで不要な場面の最初と最後で「分割」されたので、該当箇所をクリックし、編集ツールからゴミ箱アイコンの「削除」をクリックすれば削除されます。カット編集後、用途にあわせて動画を書き出せば完了です。

後から本格的な編集にも対応

Rush編集後の素材ファイルは、Premiereへの引き継ぎが可能です。YouTube用でなくても、本格的な編集前にざっと必要な場面を抜き出すのに、Rushで編集しておく使い方もできます。出先用のサブのパソコンマシンにRushをインストールしておくと心強いでしょう。

YouTubeをスマートフォンで視聴する人は多いです。YouTubeは、10分以上の動画が検索アルゴリズムや収益面では有利とされる一方で、ちょっとした空き時間にパッと見たいユーザーのニーズを考えると、不要に長い動画公開は避けたいところです。Rushを通じて、手軽なカット編集のフローを身につけておき、負荷の少ない編集ながらユーザー目線に沿った良質な動画公開を心がけましょう。

ライタープロフィール 相子達也

某Webデザイン誌、某Mac誌でのライターを経て映像制作を中心に各種デザイン、3D設計などで活動中。楽しみはゲームとドローン写真からの3次元点群データ作成。

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