どうしたら憧れのクリエイターになれるのか? その秘密を現役で活躍するクリエイターに直接聞いちゃう『クリエイター仕事道』。今回のゲストはデザインエンジニアの小田部剛さんです。学生時代に様々なジャンルの制作に携わっていたという小田部さん。幅広いチャレンジをしたことで、自分が進むべき道を見つけることができたそうです。

クリエイター最終更新日: 20210423

デザインエンジニア:色々なチャレンジを経験し“音”の世界へ。

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どうしたら憧れのクリエイターになれるのか? その秘密を現役で活躍するクリエイターに直接聞いちゃう『クリエイター仕事道』。今回のゲストはデザインエンジニアの小田部剛さんです。学生時代に様々なジャンルの制作に携わっていたという小田部さん。幅広いチャレンジをしたことで、自分が進むべき道を見つけることができたそうです。

小田部さんが携わった作品

POLA × Mercedes-Benz コラボレーション企画「VOICE MAKEUP SPHERES」。「この体験をキッカケに少しでも自分の声、自分自身に自信を持ってもらえたら」という願いが込められているそうです。

学生時代の多彩なチャレンジが仕事につながる

小田部さんが幼い頃憧れていた職業はなんですか?

昔はサッカー選手に憧れていました!休み時間など、空き時間があれば必ず練習していました。でも持久力だけはついたんですが、運動神経の低かったんですよね…(笑)。あと所属していたのが割と強豪チームで、周りのチームメイトがとてつもなく上手かった! それに絶望して小学4年生ぐらいで諦めてましたね(笑)。今のような職業に興味を持ったのは中学生くらいで、よく父親にレースサーキットに連れて行ってもらっていたこともあり、そのころは「カーデザイナーになりたいな」とぼんやり思っていました。

中学時代にデザイナーに憧れるようになって、そこからどんな学校に進みましたか?

漠然と、「デザインがやりたい!」と思っていたので、デザインが学べる札幌市立大学に進学しました。看護学部とデザイン学部の2学部で構成された大学で、医療やコミュニケーションとデザインの結びつきを意識したカリキュラムが特徴でした。

大学時代は、どんな学生でしたか?

ジャンルを絞らずに色々なことにチャレンジしました。最終的にプロダクトデザイン専攻に進んだのですが、グラフィックデザインやってみたり、映像制作してクラブでVJしてみたり、電子工作したり、木工したり、まちづくり的な活動に参加してみたり…。器用貧乏と言われかねないですが、とても幅広い視点が身についた4年間でした。

現在の仕事を目指したきっかけは何でしたか?

大学の卒業制作で、音に価値を感じてもらえるようなプロダクトの開発をしたことです。初めて音起点でコンテンツを考えました。もともと音楽が好きで、音楽よりさらに単純な“音そのもの”に価値を感じるようになっていったのですが、卒業制作を進めていくうちに、世の中ではまだまだ音への関心が薄いということに気が付きました。また、「生活の中で音ができることはまだあるんじゃないかな」という可能性も感じました。そこから、音を生かしたモノづくり・プロダクトに関わる音作りがしたいという方向性がぼんやり見えてきました。

では、今の仕事を始めたきっかけはなんですか?

知り合いや学生時代のインターン先との繋がりやご縁で、現在の会社を知って新卒で入社し、現在に至ります。作っていた作品を見ていただいて、「ここの会社ぴったりだよ!」といった感じで紹介していただきました。

“音の力”は想像以上にポテンシャルがある

小田部さんの代表作を教えてください

POLA × Mercedes-Benz コラボレーション企画の、自分の声をメークアップする体験型展示です。「日本人の8割は自分の声が嫌い」という調査結果があり、ここまで自分の声が好きになれない人が多い国は世界的に見ても珍しいそうです。

この体験では自分自身が発した声がトリガーとなり、楽器が音色を奏で、オリジナルの音楽が生成されます。「この体験をキッカケに少しでも自分の声、ひいては自分に自信を持ってもらえたら」そんな願いが込められています。自分は主に楽器部分(Rhodes Piano)のデザイン設計/LEDライティング部分のハードウェア、ソフトウェアの開発、アニメーションなどを担当しました。

デザインエンジニアとして活躍するターニングポイントとなった仕事は何ですか?

future life factory 主宰 のコンセプト展示「EXPANDED SMALL -豊かさを拡げる2030年のくらし展-」です。この仕事で、ハードウェア開発とサウンドデザインを担当させていただきました。このようなR&Dの仕事をきっかけに、UI/UXのサウンドデザインのお話をいただくようになり、音の機能や価値を活かした暮らしの中のモノづくりに携わり始めた感覚が出てきました。

その仕事から得られたことを教えてください。

世の中には「音をより良くしたいと思っている人がたくさんいる!」と実感できたことです。サウンドデザインに課題意識があると知り、社会実装レベルではあまり踏み込まれていない分野なので、そのようなフィールドでよりチャレンジングなことができるかもしれないと期待が膨らみました。

ヴィジョンが見えることは仕事を楽しむ上で大切ですね。逆に忘れられない失敗を経験したことはありますか?

社会人になりたての時、現場作業中に展示で使用する電子基板に誤って電圧の違うACアダプタを挿して殺したことです。「あっ」と思ったらもう遅かったですね(笑)。

小田部さんが仕事でテンションが上がる瞬間はいつですか?

電子基板や楽器など、ハードウェアを扱うことが多いので、自分たちで作ったメカや機構が実際に動いた瞬間はかなり感動ものです。さらに人が体験している様子を見るのは涙が出ます…。

小田部さんが仕事で大切にしている事、意識している事を教えてください。

情報収集的な話になりますが、自分たちの制作で扱っていないような分野に目を向けることです。

好きなデザインでテンションアップ!

現在、どんなPCや周辺機器を愛用していますか?

16インチのノートパソコンと、11インチのタブレットの2つを主に使用しています。
現場作業が多いので基本的にはノートパソコンを使用しています。

PCや周辺機器を選ぶ際の基準を教えてください。

メモリとGPUです。オーディオ系とグラフィック系のソフトを同時に起動していたりするので。あとはデザインですが、これはモチベーションに関わるのでとても大事です!

オススメのツールなどはありますか?

Ableton liveというソフトウェア限定の拡張機能ですが、suzuki kentaroさんが開発・販売しているクリップ名をまとめてリネームできる拡張機能がとっても便利です。

モノ作りをとことん楽しもう!

小田部さんにとって“クリエイター仕事道”とはなんですか?

判断力を磨くことが大切。仕事には必ず締め切りがあり、制作時間が限られています。そんな中で早い判断をして、制作時間をできるだけ確保できるよう動けるかが重要なんじゃないかと思います。なので、たくさん現場を経験したいですね。

クリエイターを目指す若者たちにメッセージをお願いします!

とにかく作ることを楽しんでください!楽しくないと続きません(笑)。そして一緒に楽しめる仲間を見つけることも大切だと思います。一人で作るのももちろん楽しいですが、チームで作ることもまた楽しいです。仲間がいることで、自分自身をさらに伸ばすこともできます。

小田部さん、ありがとうございました!

学生だからこそ様々なチャレンジを!

学生時代は様々なジャンルのモノ作りを経験し、そこから“音”にフォーカスしていった小田部さん。新しい分野のモノ作りだからこそ、ほかのクリエイターが経験できないチャレンジができます。漠然と夢を描いている方は、色んなジャンルの仕事を経験するのも、ゴールに近くポイントかもしれません。

クリエイタープロフィール

小田部剛さん
デザインエンジニア / invisi Ltd. 所属
大学在学中にプロダクトデザインを専攻し、企業のR&Dからハードウェア開発、インタラクティブ、広告案件など様々な分野での意匠設計・開発に携わる。
所属するinvisiでは、音にまつわるインタラクティブコンテンツ開発や、UIのサウンドデザイン、サウンドアート作品の制作に携わる。

ライタープロフィール パソコン工房NEXMAG
[ネクスマグ] 編集部

パソコンでできるこんなことやあんなこと、便利な使い方など、様々なパソコン活用方法が「わかる!」「みつかる!」記事を書いています。

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