どうしたら憧れのクリエイターになれるのか? その秘密を現役で活躍するクリエイターに直接聞いちゃう『クリエイター仕事道』。今回のゲストはCGアーティストの森剛志さんです。実は一度は別の道に進もうとしたところ、あるきっかけでCGアーティストの道へ。そこには、人生を決める上でのシンプルなルールがありました。

クリエイター最終更新日: 20210217

CGアーティスト:自分の気持ちに素直になり、進むべき道を切り開く

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どうしたら憧れのクリエイターになれるのか? その秘密を現役で活躍するクリエイターに直接聞いちゃう『クリエイター仕事道』。今回のゲストはCGアーティストの森剛志さんです。実は一度は別の道に進もうとしたところ、あるきっかけでCGアーティストの道へ。そこには、人生を決める上でのシンプルなルールがありました。

森さんが携わった作品

ARを使用した体験型イベント『かいじゅうのすみか』。プロジェクションマッピング、多彩な映像テクノロジーの組み合わせで、かいじゅうたちの圧倒的迫力が表現されています。

TVアニメ『かいじゅうステップ ワンダバダ』。遠い宇宙にあるK10星雲チョーチイ星に暮らす、ピグちゃん、カネちゃん、ダダちゃんの物語です。キュートなかいじゅう達が元気に動きまわります。

一度は医療の世界に進もうとするも、

森さんは幼い頃、どんな職業に憧れていましたか?

料理人、大工、建築士、美容師、靴職人など、とにかくあっちこっちと思いを巡らせて全然定まっていなかったです。とにかくものづくりに携わりたかったですね。

その頃から職人に憧れていたんですね。そこからどんな学校に進学しましたか?

生まれは北海道最南端の人口1万人に満たない田舎町で、特に競争相手もいなかったので何も考えることなく町内唯一の高校にそのまま進学しました。

部活動をしていましたが怪我が多くマネジメントにまわることがあり先生の勧めで札幌の医療系の専門学校に進みました。しかし正直その道に全く興味がなかったのか卒業こそしたものの結果的に医療系の就職は見送ることにしました。

その後、音楽が好きだったので某レコードショップでバイトをしているときに出会ったMusic Videoに心動かされCGの事を知り、東京でCGの勉強をするべく上京しました。

上京してからはどうでしたか?

一度、進学で失敗しているので「ここでどうにか自分を見つけよう!」という思いでした。

デジタルハリウッドに入学し、半年が経ったくらいからはほぼ毎日のように学校に泊まり同じく覚悟決めて入学した仲間たちとCGの課題やスキルアップに取り組んでいました。

学校近くのイタリアンでバイトをしつつ、賄いを頂き(超うまい!)、また学校に戻って朝まで作業、という毎日の繰り返し。とにかくハードでしたね(苦笑)。

でも、この日々は今に繋がっているのは間違いなく、人生で初めて“本気”を出した時かもしれません。

実際にCGアーティストになろうと思ったきっかけは何でしたか?

1stAveMachineというスタジオが制作していたAliasの「Sixes Last」やClarkの「TED」といったMusic Videoに影響を受け、今の道に進む決心をしました。

Alias「Sixes Last」

Clark「TED」

クライアントに対して同じ“チーム”として向き合う

森さんの代表作を教えてください

TVアニメ「かいじゅうステップ ワンダバダ」と、東京ドームシティで開催されたイベント「かいじゅうのすみか体感エンターテイメント」です。かいじゅうつづきになっちゃいましたね(笑)

“かいじゅうステップ公式サイト”.(C) TPC (C) KSW.
https://www.kaijustep.com/

“かいじゅうのすみか”.(C)円谷プロ
https://m-78.jp/sumika/

“ウルトラ怪獣たちの知られざる姿に出会える。「空想科学『かいじゅうのすみか』体感エンターテイメント」内覧会レポート”.Born Digital, INC.2019.
https://cgworld.jp/feature/201911-sumika.html

CGアーティストとして活躍するターニングポイントとなった仕事は何ですか?

上記2作がきっかけで「子供向けに特化した映像制作をしたい!」と考えるようになりました。自宅で作業してるのですが、息子が何度も作業画面を見に遊びにくるのが面白くて、「いつかは子供を喜ばせる映像を作りたいな!」と思うようになったんです。

その仕事から得られたことを教えてください。

フリーになってからとにかくやる事が多く、正直どこに向かって走っているのかわからない状態でしたが、目指す方向が決まりました! そして少しずつですがその野望が叶いそうな感じになってきています。

目標に近づくとは素晴らしいですね。逆に忘れられない失敗を経験したことはありますか?

取引の幅を増やそうと、流行っていたインターネット上で業務の受発注をする仕組みのクラウドソーシングサービスを利用した時に納品後モンスター的に変異したクライアントの支払いが滞ったこと。二度とこういうサイトを使わないと決めました(汗)。

それは肝を冷やしましたね。ところで森さんが仕事で一番興奮する瞬間はどんな時ですか?

この業界にいる方なら皆さんそうだと思いますが、やはり自分が関わった作品がリリースされ、それをテレビやネットで目にすることです。特に親から「アレ見たよー、コレ見たよー」と言われるのは何とも表現しがたい感じです。

森さんが仕事で大切にしている事、意識している事を教えてください。

クライアントとはできる限り“チーム”としてプロジェクトに向き合えるようにしてます。なるべく上下の関係は作らず、思っていることはきちんと伝えます。超超ラフなモデルやアニメーションでもなるべく早めに共有して、より早く方向性を決められるようにすること。そして同じ社内にいて気軽にフィードバックを貰えるような状態を目指しています。

作業効率をあげるためメモリは最優先!

現在、どんなPCや周辺機器を愛用していますか?

下記のスペックのPCをメインPCとして使用しています。

CPU AMD Ryzen Threadripper 3960X
メモリ 128GB
グラフィックカード GeForce RTX 2080 SUPER ×2
SSD 1TB
HDD 4TB
モニタ1 27インチ(2,560×1,440)
モニタ2 24インチ(1,920×1,080)

PCや周辺機器を選ぶ際の基準を教えてください。

予算との相談にはなりますが、GPUレンダラーをメインにしているのでグラフィックカードと、Adobe AfterEffectsも多用するのでメモリはなるべく優先して強化するようにしています。ちなみに私の場合、作業場は2畳ほどの小部屋なのですが、この空間で私のスペックだとPCの排熱が部屋の温度に及ぼす影響が大きく、夏はつらかったです……が冬は暖房いらずです!

森さんの作業風景森さんの作業風景

そのほか、オススメのツールなどはありますか?

自分が知ってるものは当然皆も知ってるだろうとは思うのですが、プロジェクト管理やリファレンスのまとめやメモ、ツールの勉強などは全て「Milanote」で行っています。

あとはWindows用のランチャー「Keypirinha」は新しいマシンを買ったら最初に入れるツールのひとつです。

「大切なことは本気かどうか」

森さんにとって“クリエイター仕事道”とはなんですか?

“クリエイター”というのは、もしかしたらとても煌びやかでなんだかカッコイイ職業と思われがちですが、実際そんなことないです。数多ある仕事のひとつでしかないのですが、この職業に関して言えば日々の研鑚は必要で大変でもあります。しかしそれを楽しむスキルが大切なんじゃないでしょうか。

クリエイターを目指す若者たちにメッセージをお願いします!

好きな事、得意なことを優先して伸ばしていくのがいいのかなと思います。その上で足りないスキルを補っていけばいいのではないでしょうか。現在は僕らが学生だった頃と比べ、ソフトウェアが進化しツール操作で精一杯になるかもしれないですけど、それを乗り越えた先に得られるものは大きいと思います。実際今の若い世代のスキルは凄まじいですし!でも、実は僕らの時代でも先輩方からはそう思われていたかもしれません。そこで何とか自分はかろうじて生き残ってこれました。大事なのは本気かどうか。脱落していった仲間を多く見てきましたが、本気でやること。それが一番ではないでしょうか。

森さん、ありがとうございました!

自分の素直な気持ちを大切に

一度は医療の道に進もうと思っていた森さん。しかし自分自身の気持ちに忠実になり、軌道修正したからこそ苦しいことも乗り越え現在に至ります。「大切なことは本気かどうか」という言葉通り、本当に進みたい道を見つけたれたら本気になれます。ぜひ、自分の気持ちを大切に、未来を切り開いていきましょう!

クリエイタープロフィール

森剛志さん
CGアーティスト
デジタルハリウッド東京本校卒業後、CM・PV・映画制作などのCGプロダクションを経て、ウルトラテクノロジスト集団「チームラボ」に入社。
2017年よりフリーランスとなり、北海道札幌にてdaddyworksの屋号で活動中。

Twitter
https://twitter.com/daddyworks_vfx

ライタープロフィール パソコン工房NEXMAG
[ネクスマグ] 編集部

パソコンでできるこんなことやあんなこと、便利な使い方など、様々なパソコン活用方法が「わかる!」「みつかる!」記事を書いています。

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