

どうしたら憧れのクリエイターになれるのか? その秘密を現役で活躍するクリエイターに直接聞いちゃう『クリエイター仕事道』。今回のゲストはARアーティストのアサギ東京さんです。ARを使ったアプリ開発などを手掛けているアサギ東京さん、実は野球少年でした。どんなきっかけでデジタルの世界に進んだのでしょうか?
※ARとは「Augmented Reality」の略で、日本語では「拡張現実」と訳されます。実際の風景にバーチャルの視覚情報を重ねて、目の前の世界を仮想的に拡張することを指します。
アサギ東京さんが携わった作品
インスタグラム用のAR(拡張現実)フィルター『Gunya』。
https://www.instagram.com/ar/761598847576160/
カメラに写った自分のシルエットの中が名前の通りグニャグニャ動く不思議なフィルターです。
野球少年が授業でHTMLに出会った
アサギ東京さんは幼い頃、どんな夢を持っていましたか?
子供の頃に職業というものを考えたことがなかったですね。よく意外と言われるのですが、中学生まで野球をやっていたので「野球選手になりたい」という漠然とした夢は小学生の頃にあったかもしれないです。(自分でも意外だと思います笑)。
そうだったんですね! 野球選手を目指してどんな学校に行ったのですか?
そんな感じだったので、「夢に向かって進学した!」ということもないですね。所謂モラトリアムの最中だったので決め手がなかったんです(笑)。母親が倹約家だったこともあり、基本は公立を選び、あとは「1年間集中してどの程度の学校を目指せるか」で判断していました。
学生時代はどんな生徒でしたか?
高校1年から大学2年くらいまで軽音楽をやっていました。中学時代にロキノンにハマり、そこからオルタナロック、ポストマスロックを聴くようになりましたね。今はなくなってしまったのですが、渋谷にあった『残響レコード』によく通っていました。
パソコンに興味を持ったのは大学の授業で、「HTML, CSSを使ってHPを作ってみよう〜」講義みたいな感じでした。そこからプログラミングに興味を持ち、メディア、デジタルアートに出会い、色んな会社でバイトをしたりしていましたね。
実際にARアーティストになろうと思ったきっかけは何でしたか?
特に目指したわけではなく、自分がやりたいことを愚直にやった結果、たまたま今の仕事に繋がったという気がしています。いつも面白い話、
今の仕事を始められたきっかけを教えてください。
会社を辞めたので、仕方なくフリーランス業を始めたといったところが本音でしょうか…(笑)。広告系の制作会社でバイト期間含め4年ほど働いていたのですが、とある誘いがあり会社をやめる決心がつきました。ただ、その数ヶ月後にはコロナによって状況が変わり、今はなんだかんだ1人でやっています…(笑)
楽しく仕事をする秘訣は相手を理解すること
アサギ東京さんの代表作を教えてください
ARフィルターの中から1つあげるとすれば “Gunya” です。2019年夏頃、まだInstagram ARフィルターの開発が一般には公開されていない時に制作しました。
”Gunya” ARフィルター by アサギ東京
https://www.instagram.com/ar/761598847576160/
身体の輪郭を取得し、その中身だけをぐにゃっとさせるようなフィルターです。
シェーダー自体はかなりシンプルなものですが、当時海外でも同じようなことをやっている人は少なく、それなりに反響がありました。
12月にFacebook主催のハッカソンに参加したのですが、その時にもGunyaを通じてアジア圏のクリエイターと交流できました。
Facebook主催のSpark AR Hackathon at Indiaでの制作物。(準優勝)
ARアーティストとして活躍するターニングポイントとなった仕事は何ですか?
学生時代にバイト先で制作した“diver in the dark”という作品です。プログラミングに興味を持ち、『openFrameworks』の勉強を始めて半年経ったくらいの時の仕事でした。
バイト先がデザイン会社でアート系のエンジニアが他におらず、ググりながらも分からない点は社外のメンターさんやフォーラムに
その仕事から得られたことを教えてください。
チームで制作すること、モノごとに真剣に向き合う大切さです。
チーム制作は大変でもあり、楽しいですよね。逆に忘れられない失敗を経験したことはありますか?
心配性でリスクヘッジを上下関係問わずガンガンやっていくタイプなので特にないです!
素晴らしい!では、仕事で一番興奮する瞬間はどんな時ですか?
『diver in the dark』で強く思ったのですが、やはり「目の前で純粋に制作物を楽しんでもらえる時」というのが一番嬉しいかもしれないです。出来るか分からないものを検証を重ねて作っていく。締め切り間近で徹夜もする。だけど実際に体験してもらって、お客さんが楽しんでいたり驚いている姿を見るだけで全てが晴れます。
もちろん大変なこともありますが、そういったモノの繰り返しをここ数年ずっとやっている気がします。
アサギ東京さんが仕事で大切にしている事、意識している事を教えてください。
どんな立場の人であろうと、互いに気持ちよく仕事をするために相手を理解しようとすること。そして、(そもそもないのですが)愚痴や不満を言わないようにしています。そういった全ての感情を論理的な提案という形で消化することを心がけています。
“毎日触りたくなる”がポイント
現在、どんなPCや周辺機器を愛用していますか?
15インチの下記スペックのノートパソコンを使用しています。
CPU | 2.3 GHz Intel Core i9 |
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メモリ | 16GB 2400 MHz DDR4 |
グラフィックカード | AMD Radeon Pro 560X 4GB |
ストレージ | 512GB SSD |
PCや周辺機器を選ぶ際の基準を教えてください。
用途によって使い分けるのが良いとは思うのですが、個人的に重視する点は使いやすさです。
両指だけでどれだけの作業効率化が図れそうか、毎日触りたくなるようなモノなのかなどチェックして選んでいます。
オススメの裏技などはありますか?
Chromeの拡張機能になりますが、『Web Search Navigator』です。検索した後に「j」、「 k」を押すと、検索結果のindexにハイライトしてくれます。そのまま「Ctrl + enter」を押せば別タブ&バックグラウンドで開いてくれるので本当に便利です。ググる速度が2.5倍くらいになります。
愚直に、謙虚に、貪欲に!
アサギ東京さんにとって“クリエイター仕事道”とはなんですか?
「ちゃんと手を動かすこと」でしょうか。最近はカタカナ言葉が増えて世の中がすごくややこしくなってきている気がしますが、肩書きに囚われず、作りたいものをちゃんと手を動かして作る。(自戒)
そのモチベーションを維持するための精神面も大切だと思っていて、「見返りを求めない。期待しない」ことに慣れると今後の人生においても僕は結構楽な気がしています。
クリエイターを目指す若者たちにメッセージをお願いします!
愚直に、謙虚に、貪欲にやっていきましょう!!(自戒)
アサギ東京さん、ありがとうございました!
自分と仕事に真面目に向き合う大切さ
枕詞に「たまたま」を入れるアサギ東京さんですが、今のように活躍しているのには「愚直に、謙虚に、貪欲に」という軸がしっかりとしているから。自分が選んだ道だからこそ、自分自身に責任を持ち、実直に仕事に向き合っているのです。クリエイターは、自分自身と向き合うことからスタートするのかもしれません。
クリエイタープロフィール
アサギ東京さん
ARアーティスト
東京を拠点に活動する表現技術者。現実に軸を置いた表現を探求し、技術を用いて実現する。YOSHIROTTENをはじめとしたアーティストとコラボし、BIGYUKI、Ryohu、Young Juvenile Youth等の映像演出を行う。
https://asagi.tokyo/

[ネクスマグ] 編集部
パソコンでできるこんなことやあんなこと、便利な使い方など、様々なパソコン活用方法が「わかる!」「みつかる!」記事を書いています。