『インテル300シリーズチップセット』として昨年より登場していたZ370に加え、この度登場したH370、B360、H310、Q370などがあり、新たな機能をサポートした最新のチップセットなります。従来の100番台や200番台と同じ「LGA1151」ソケットを搭載していますが、対応するCPUが異なり互換性はありません。 それでは『インテル300シリーズチップセット』は何が違うのか。まとめてみましたので、ご紹介させていただきます。 尚、今回ご紹介するのはチップセットとしての機能説明となります。 最終的にマザーボードメーカーによって対応の有無が異なりますので、ご検討されるマザーボードの仕様についてご購入前によくお確かめください。
最新マザーボードに搭載された『インテル300シリーズチップセットH370・B360・H310』
『インテル300シリーズチップセット』とは、インテル第8世代Coreプロセッサーに対応したLGA 1151ソケットを備えたマザーボードに搭載される最新のチップセットで、大半の機能は前世代のインテル200シリーズチップセットと変わりませんが、
第6世代の「Skylake」や第7世代の「Kaby Lake」との互換性はなく、第8世代の「Coffee Lake」と呼ばれる8000番台のCPUのみに対応しています。
加えて、「Coffee Lake」はWindows 10のみに対応し、Windows 8.1やWindows 7には対応していませんので、『インテル300シリーズチップセット』を搭載したPCは、実質的に最新のWindowsが搭載された最新のマシンということができます。
インテル300シリーズチップセットを機能一覧で比較
チップセット | Z370 | H370 | Q370 | B360 | H310 |
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サポートCPU | Coffee Lake | ||||
ソケット形状 | LGA1151 | ||||
バススピード | 8 GT/s DMI3 | 5 GT/s DMI2 | |||
TDP | 6 W | ||||
オーバークロックをサポート | ◯ | ☓ | |||
サポートされているメモリ | DDR4-2666/2400(CPUに依存) | ||||
チャネルあたりの DIMM 数 | 2 | 2 | 2 | 2 | 1 |
サポートされているディスプレイ数 | 3 | 3 | 3 | 3 | 2 |
PCI Express リビジョン | 3.0 | 2.0 | |||
PCI Express レーンの最大数 | 24 | 20 | 24 | 12 | 6 |
USB ポート数 | 14 | 12 | 10 | ||
USB 3.1(3.1 Gen.2) | 0 | 4 | 6 | 4 | 0 |
USB 3.0(3.1 Gen.1) | 10 | 8 | 10 | 6 | 4 |
SATA 6.0 Gb/s ポートの最大数 | 6 | 4 | |||
RAID 構成 | PCIe 0,1,5 / SATA 0,1,5,10 | – | |||
内蔵 LAN | Integrated MAC | ||||
サポートされるプロセッサー PCI Express ポートの構成 | 1×16 or 2×8 or 1×8+2×4 | 1×16 | 1×16 or 2×8 or 1×8+2×4 | 1×16 | 1×16 |
内蔵ワイヤレス | – | Intel Wireless-AC MAC | |||
インテル Optane メモリー対応 | ◯ | ☓ | |||
ダイレクト I/O 向けインテル バーチャライゼーション・テクノロジー (VT-d) | ◯ | ||||
インテル vPro テクノロジー | ☓ | ◯ | ☓ | ||
インテル ME ファームウェア・バージョン | 11 | 12 | |||
インテル HD オーディオ・テクノロジー | ◯ | ||||
インテル ラピッド・ストレージ・テクノロジー | ◯ | ||||
PCI ストレージ向けインテル ラピッド・ストレージ・テクノロジー | ◯ | – | |||
インテル スマート・サウンド・テクノロジー | ◯ | ☓ | |||
インテル プラットフォーム・トラスト・テクノロジー (インテル PTT) | ◯ | ||||
インテル ブートガード | ◯ |
それではここで、インテル300シリーズチップセットのスペック表やブロック図を基に、今回から追加された機能を見ていきます。
内蔵されたインテルWi-Fi
IEEE802.11 ac/a/b/g/nに対応した無線LANとBluetooth 4.2の物理層の一部がチップセット側に内蔵されました。RFモジュール部分を追加するのみで対応できるため安価に無線LANの機能を追加することができます。
※Z370を除きます。
『USB 3.1 Gen2』を正式サポート
最大10Gbpsのデータ転送が可能なUSB 3.1 Gen2をサポートしました。従来ではAsmediaなどの追加のチップを搭載する形で対応していました。
※Z370を除きます。
『Modern Standby』の強化
Windows 10より搭載された『Modern Standby』機能が強化され、スマートフォンやスマートスピーカーのように、『Cortana』に音声で話しかけることによって、パソコンの電源が切れていても必要に応じて起動し、インタラクティブにWindowsの機能を動作してくれます。
※Z370を除きます。
チップセットごとの機能を比較
Z370、H370およびQ370はオンボードでRAID0,1,5,10に対応します。また、H310以外のチップセットでインテルの高速メモリー技術「3D Xpoint」を採用した『Optaneメモリー』をサポートし、HDDなどのストレージを高速化させることができます。
用途別チップセット選び
・ビジネス向けを除くほぼすべての機能に対応、パフォーマンスを優先し、BIOSの設定からオーバークロックして運用される方には『Z370』がおすすめです。
・価格を抑えつつも、RAID構築も対応できる『H370』はあらゆる方におすすめできるチップセットです。
・コストパフォーマンスに優れた構成を検討される方は『B360』がおすすめです。インテルOptaneメモリーに対応する最も安価なチップセットになります。
・最も低コストでインテル第8世代CPUを搭載したPCを手にしたい方は『H310』がおすすめです。
最新のWindows環境を構築できる『インテル300シリーズチップセット』
『インテル300シリーズチップセット』はUSB 3.1 Gen2を正式にサポートし、インテル Wi-Fi(の物理層の一部)も内蔵されたことで外部に新たにチップを追加する必要がなくなり、マザーボード自体のコストを落とすことができるようになりました。
『インテル200シリーズチップセット』でサポートが始まった「インテル Optane メモリー」に引き続き対応し、HDDの大容量とSSDの高速性の両立を図ることができます。
そして『インテル300シリーズチップセット』でModern Standbyの機能が強化され、スリープ時も少ない電力で通信が行うことができ、さらにスマートフォンやスマートスピーカーのように、『Cortana』に音声で話しかけることによって、パソコンの電源が切れていても必要に応じて起動し、インタラクティブにWindowsの機能を動作させることができるようになりました。
とはいえ、これは新たに追加されたH370、B360、H310チップセットの機能となり、先に登場しているZ370チップセットは例外となります。ということは、もしかすると、これらの新たな機能に対応するZシリーズのチップセットの登場があるのかもしれませんね。
最新のWindows環境を構築できる『インテル300シリーズチップセット』は洗練された機能に加え、ストレスフリーな応答性を実現した最新のチップセットと言えます。
パソコン工房でIntel Z370チップセット採用マザーボードを見る
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職人番号ラッキー7!職人7号です。主に写真撮影、動画編集を担当。パソコン工房ECサイトのBTOPCや自作パーツ等ひろく手掛ける。店舗部門出身。