どうしたら憧れのクリエイターになれるのか? その秘密を現役で活躍するアニメーションディレクター兼プロデューサーの村上寛光さんに直接聞いちゃいます。

クリエイター最終更新日: 20200106

アニメーションディレクター/プロデューサー:映像制作の夢をパソコンで実現

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どうしたら憧れのクリエイターになれるのか? その秘密を現役で活躍するクリエイターに直接聞いちゃう『クリエイター仕事道』。今回のゲストはデジタルの手法を用いた動画制作を行うアニメーションディレクター兼プロデューサーの村上寛光さん。アニメーション作家として活躍する一方で、映像コンテンツの企画・制作を行う株式会社フリッカを2018年に設立しました。

村上さんが携わったアニメーション作品

横浜市営地下鉄ブルーライン快速運転PR広告『くじらサブウェイ YOKOHAMA』

映画制作の大きな壁を崩してくれたアニメーション

子どもの頃に憧れていた職業を教えてください。

はっきりとは覚えていませんが、多くの子どもと同じようにスーパーヒーローに憧れたり、歌手になりたかったのではないかと思います。勉強は好きではなかったのですが、絵を描くのは好きでしたね。

村上さんはどんな学生時代を過ごしましたか?

実を言うと、私の学生時代はすごく長いんです。映画に興味があったので映像制作を勉強しに、芸術学部が設置されたばかりの東京工芸大学芸術学部映像学科に1期生として入学しました。その後、コンピューターを使った表現に興味が移り、岐阜県にあるメディアアートの専門学校である岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー(現情報科学芸術大学院大学、IAMAS)へ進学し、映像制作に加えてインタラクティブな表現も学びました。それからアニメーションを専門的に学びたいと考えて、イギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・アートのアニメーションの修士課程へと留学しました。20代後半まで長い学生生活を送りました!

具体的に今の仕事を目指すようになったきっかけはありますか?

学生時代に映画を作りたいと思ったのですが、機材や出演者、スタッフ集めなど多くのハードルがあり、作りたい気持ちはあるのに作れないフラストレーションを感じていました。そんな中、学校でAMIGAのDeluxe PaintやLightWaveなどのソフトウェアを使ったアニメーション制作の授業や、AppleのHyperCardでインタラクティブなコンテンツを作る授業があり、アニメーションの可能性を目の当たりにしました。また、自主的にMacromedia Directorというソフトウェアでプログラミング言語を学んで作品を作ったりして、「パソコンがあれば一人でも作品を作れるんだ!」と知ったのが最初のきっかけでした。

今のお仕事を始めるようになったのですか?

東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻が2008年に立ち上がってから9年間、教員をしていました。そこで短編アニメーションの専門的なプロダクションの仕組みやポストプロダクションを学びました。さらに、大学の行事としてイベントや上映会、子ども向けのワークショップなどの企画・運営に携わる機会も多々ありました。このような教員時代の経験が今の仕事につながっていると思います。

観客とのコミュニケーションが大事

村上さんの代表作を教えてください。

多くの人の目に触れた作品としては、愛知万博の『地球コラージュ』(http://www.kawashima-lab.co.jp/works/2005/2005-01-earth_collage/)というハイビジョン映像作品があります。ハイビジョンがまだ出始めの時代に、3DCGと実写を組み合わせた映像を制作しました。短納期だったため、かなりシンプルなビジュアルになりましたが。長久手会場愛・地球広場にある巨大スクリーンの「エキスポビジョン」で自分の映像を見たときには、とても感動しました!

愛知万博での『地球コラージュ』上映の様子愛知万博での『地球コラージュ』上映の様子

村上さんのクリエーター人生でターニングポイントとなった作品はありますか?

たまプラーザテラスの2017年の春装飾『Blooming Garden』と、横浜市営地下鉄ブルーライン快速運転PR広告『くじらサブウェイ YOKOHAMA』の2つです。

“Blooming Garden”.2017.たまプラーザテラス.
http://www.tamaplaza-terrace.com/special/bg2017/

それらの作品によって得られたこととは何ですか?

『Blooming Garden』では、アートディレクターとしてキービジュアルからバナー、フラッグ、自動ドアなど、商業施設のトータルデザインを担当しました。さらに、それに関連して、ワークショップや展示などにも携わりました。この仕事は会社を起業するきっかけにもなり、自分にとって大きなターニングポイントとなりました。『くじらサブウェイ YOKOHAMA』は株式会社ロボットのプロデュースのもと、企画から制作、ポストプロダクションまで一通り自分のアイデアで制作することができて、とても貴重な経験をさせていただきました!

一方、仕事で失敗をしたことはありますか

失敗は多々ありますが、あまり精神衛生上よろしくないので、なるべく思い出さないようにしています……。でも、失敗から学んだことは忘れないようにしていますよ!

作品を作っていて、一番興奮する瞬間はどんなときですか?

月並みですが……映像作品の場合は、自分の手を離れて観客に見てもらって、いろいろなフィードバックをいただくときでしょうか。一方、イベントやワークショップは観客や参加者が目の前にいるので、企画したものを目の前で実際に体験してもらう、その瞬間を共有できるのは映像制作では得られない体験だと思います。

普段作品を作るうえで、もっとも大切にしていることは何ですか?

制作者として新しいもの、面白いものは何かを考えつつ、受け手側のことも忘れず、制作したものがどう受け取られるか、そのことを意識して制作をしています。自分は芸術家肌ではないので、自分の表現の押し付けにならないよう、観客とのコミュニケーションをなるべく大事にしたいと思っています。

パソコンは映像制作に不可欠!

作品を制作する際に使用しているアイテムを教えてください。

学生時代からデスクトップ型のBTOパソコンを使っていましたが、現在ではノートパソコンも使用しています。
アニメーション制作用のパソコンには処理速度や描画能力を求めるので、パソコン導入の際には、CPUはCore i7以上、グラフィックカードはGeForce GTX 1060あたりを目安に検討しています。

人と人との縁を大切に

村上さんにとって「クリエイティブ仕事道」とはなんですか?

創造的・独創的な仕事は、人を楽しませたり、魅了するものだと思います。他の制作者のクリエイティブな仕事を見ると素直に感動しますし、同業者として自分も頑張らなければという気持ちになり、刺激を受けます。起業してからまだ1年ちょっと、この業界では新人なので、一つでも多くのクリエイティブな仕事をしていきたい!というのが素直な気持ちです。

クリエイターを目指す若者たちにメッセージをお願いします!

自分の作りたいもの、やりたいことに真摯に向き合うのがよいと思います。作品はいろいろな人に見せてフィードバックをもらいましょう。さまざまな意見があると思いますが、それらの意見は誰からのものでも、受け入れても受け入れなくてもよいです。多くの方の意見や感想を聞いて、自分なりに消化することが重要だと思います。あとは、人と人との縁は大切にしましょう!

村上さん、ありがとうございました!

たくさんの人からいろんな意見をもらおう!

アニメーション作品から、子ども向けワークショップまで幅広い作品を手掛ける村上さん。現在の仕事は、「絵を描くことが好き」という幼少時代の思いと、「映画を制作したい」という夢が見事に融合しています。よい作品を作るためには、いろんな人の声が大切なんですね。賛否両論たくさんの意見を取り入れて、自分らしい作品を作っていきましょう!

クリエイタープロフィール

村上寛光さん
アニメーションディレクター/プロデューサー、株式会社フリッカ代表取締役
1975年横浜生まれ、アニメーションディレクター、プロデューサー。上映会やワークショップなどのイベント企画運営なども行う。
https://www.flicker.co.jp/

ライタープロフィール パソコン工房NEXMAG
[ネクスマグ] 編集部

パソコンでできるこんなことやあんなこと、便利な使い方など、様々なパソコン活用方法が「わかる!」「みつかる!」記事を書いています。

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