数々のテレビ番組のタイトルロゴを手がけてきたプロデザイナーが、番組の魅力を引き出すタイトルロゴのデザイン方法を伝授します!

クリエイター最終更新日: 20200520

YouTuber必見!ココで差がつく動画タイトルロゴのデザイン方法!

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今や、子どものなりたい職業でも上位にランクインするYouTuber!通信回線の高速化に合わせ、YouTubeをはじめ、動画で自己発信するメディアが増えています。そして、動画を公開していく際に差別化ポイントになるのが番組やコーナーのタイトルロゴ。 今回は数々のテレビ番組のタイトルロゴを手がけてきたプロデザイナーが、番組の魅力を引き出すタイトルロゴのデザイン方法を伝授します!

タイトルロゴは番組やコーナーの顔!

ロゴには企業のロゴ、製品やサービスのロゴ、動画タイトルや番組名のロゴ、スポーツチームのロゴなど様々な種類がありますが、いずれもお客様やファンとの接点であり、コミュニケーションの“顔”となるのがロゴの役割です。そのため、企業や製品などでは、安心、信頼などの印象、エンターテインメントの分野では視聴者や読者の趣味や嗜好にマッチするかが一目で伝わることが重要になります。

また、YouTubeなどの配信動画ではタイトルロゴを普通のテロップ文字にしているケースが多く見られますが、しっかりデザインされたタイトルロゴを用いることで、認知向上と差別化を図ることができます!

今回のお題は「クリエイティブ仕事道」

このパソコン工房NEXMAGで、世の中のプロフェッショナルなクリエイターが仕事の重要性やこだわり、どうやってクリエイターになったのか。などを語る連載企画「クリエイター仕事道(しごとどう)」が立ち上がることになり、そのタイトルロゴを制作することになりました! そこで、プロのデザイナーがどのように今回のタイトルロゴを考えて作り上げたのかをご紹介します。

視聴者・読者に伝えたいキーワードを考えよう!

企画の大事な趣旨として、これからクリエイターを目指す人に作り手の思いや、モノ作りの楽しさ、やりがいなどを伝えることで、クリエイティブ業界に関心を持ってもらうこと。が挙げられます。

また、パソコンを使ったクリエイティブという意味では、先進性や時代に合わせたスピード感も重要になりそうです。そしてなにより、クリエイティブ=楽しいこと。というエンターテインメント的要素も欠かせません。
そこで、まずは伝えるべきキーワードをあまり細かいことは気にせず、とにかく羅列する!ことからはじめます。

<視聴者に伝えたいキーワード>
楽しい。センス。新しさ。先端。エッジ。時代。IT。デジタル。パソコン。プロフェッショナル。本気。努力。パッション。明るい。スピード感。人生。道。仕事。失敗。成功。挫折。泥臭さ。デザイン。テクニック・・・
これらのキーワードを改めて見直してみると、どうやら大きく二つの方向性にわけられそうです。

<キーワード分類1:仕事色を強く押し出せそうなワード>
プロフェッショナル。本気。努力。パッション。人生。道。仕事。失敗。成功。挫折。泥臭さ。

<キーワード分類2:クリエイター色を強く押し出せそうなワード>
楽しい。センス。新しさ。先端。エッジ。時代。IT。デジタル。パソコン。明るい。スピード感。デザイン。テクニック。

まずはデザインポイントを整理

それぞれの方向性について、デザインポイントを整理していきます。

まずは分類1の方向性です。こちらはプロとしての重さや強さ、情熱などを押し出すために、「道」感を重視しようと思います。

そのために書体として筆文字を選択しました。
ただ筆文字をフォント打ちするだけでは面白い表現にならなさそうなので、今回は実際にいくつか手書きして検討します。

次に分類2の方向性です。こちらはクリエイターへの憧れ、楽しさなどを押し出す方向として、ゴシック系と明朝系の2方向のサンプルをフォント打ちで検討します。

ここまでの検討で、それぞれの評価点と課題点が浮かび上がってきました。

<筆文字>
【評価点】プロ感、本気感、実直さ、勢いなどは伝わる(特にF-4)
【課題点】よくある表現、真新しさや先進性に欠ける

<明朝体>
【評価点】真面目なテーマにはよさそう
【課題点】静的で情緒的なため、楽しさに欠ける

これらを意識しながら、オリジナルのタイトルロゴの制作を進めていきます!

ちなみに企業ロゴなどを制作する場合は、より多くのキーワードを抽出、細分化して横軸に「現代的・先進性」/「伝統的・品位」、縦軸に「繊細さ・スタイリッシュ」/「力強さ・安定感」などを設定したマトリックスに並べて配置し、デザインポイントを詳細に検討していく作業を行うこともあります。

ポイントが決まったら、デザインスタート!

前述の【評価点】を中心に最終形のロゴデザインに向けて内容を再整理します。

まず、筆文字の方向からは、勢いを持ってタイトルの趣旨にも合った「道」を表現できることをデザインの中心として採用します。

ゴシック体の方向からは、固まり感と認知度の高さを採用。これらに現在欠けている、先進性やエンターテインメント感を付加することを最終形へ向けたデザインのポイントとして制作をスタートします!

<STEP1>
既存のフォントを使用してタイトルの組み合わせを作り、そこから形状の調整をデザインすることも良く行う方法のひとつですが、今回は、より企画タイトルのオリジナリティとエンターテインメント感を表現したいため、ひとつひとつ文字を作り上げていく方法で制作します。
まずは「クリエイター仕事道」の「クリエイター」のカタカナからデザインを始めます。

<STEP2>
次にそのルールに合わせ「仕事道」のデザインを行います。

<STEP3>
それらを組み合わせていきます。

<STEP4>
このままだと平凡で昔のゲームタイトルのようなイメージなので、仕事の「仕」の部首である、にんべんと、カタカナの「イ」斜めの角度に注目。合わせてその他の文字にもあしらいを追加し、ロゴとしての動きと遊びの演出をプラスします。

<STEP5>
次に行った作業は、「道」のパーツと「仕」のパーツを延長させることで、ロゴとして全体のバランスを組み立てること。また、タイトルよりひとまわり大きく同形の背景を敷くことで、視認性を向上させ、よりタイトルの固まり感・まとまり感を強めます。

このときに、併せて色の選択も行います。今回は「道」の色彩設計に、情熱や生、力をイメージさせる赤を選択。「クリエイター」には、生命力や希望をイメージさせる緑系のカラーを選択しました。
今回、詳細の解説は割愛しますが、色彩心理に基づいたカラー設計は相手に与える印象を大きく左右する、とても重要な要素です。

<STEP6>
最後に、あえてバランスを一度崩してポイントなる箇所をデザインすることで、より高いオリジナリティを創出し、タイトルの先進性やスピード感の演出を付加します。
またタイトルである仕事道の読み仮名をデザインに付加することにより「クリエイターシゴトドウ」としての認知の統一を図ります。

ついにタイトルロゴが完成!と制作中の想い

そして最終的に完成!になったタイトルロゴがこちらです!

最後にNEXMAG以外の媒体で使われる可能性も考えて、NEXMAGを併記したバージョンとしてロゴを完成させました。

そして今回のロゴをデザインしている間、どのような想いが脳内をグルグルしていたか。というと、実はデザインポイントが決まった時点で、完成図予想図は頭の中に70%くらい出来上がっていました。あとは、着々と脳内イメージを定着していく作業なので、そこまで脳を使いません。では残り30%はというと、「楽しさが伝わるといいな〜」とか「流行るといいな〜」とか「いつかロゴステッカーをパソコンに貼ってくれる人がいるといいな〜」とか「ロゴTシャツを読者プレゼントにしたいな〜」とか「番組になったとしたらMCの芸能人は誰がいいかな〜」とか、その先のワクワクを考えながら制作していました。笑

実はクリエイターにとって、このようにワクワクの想いをこめてチクチクとクオリティを高めていく時間がとても大切なんじゃないかな。と思いながら、日々「クリエイティブ仕事道」を歩いたり、走ったり、たまに休んだりしています。

さぁ、タイトルロゴよ世の中にはばたけ

ロゴが完成したら、あとはどんどん露出していくのみ!です!
タイトル通りYouTubeの動画配信に使用したり、SNSアカウントのアイコンやホームページに活用したり、名刺やカード、オリジナルノベルティの制作にも活用できます。まさに顔といえるロゴを生かすのは未来のあなたです!
今回の記事がみなさんの自己表現のワクワクに一役買えるとしたら・・・クリエイターとして幸いです。

ライタープロフィール grasp at the air Co.,Ltd.

Total Design Office。2000年設立。
「真剣十代しゃべり場」「ASAYAN」「中学生日記」など一時代を築いた番組タイトルロゴを多数手がける。
現在は企業やサービス向けに、コンセプチュアルかつメディアミックスなブランドデザインを行っている。
https://www.grasp.co.jp/

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