CPUグリス シルバーグリス「Arctic Silver 5」の実力を試してみました。デスクトップパソコンとノートパソコンそれぞれどれくらい効果があるのか、標準グリスとシルバーグリスで温度変化を調べてみます。

気になる製品最終更新日: 20180410

CPUグリス おすすめ Arctic Silver 5の効果

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パソコン工房のiiyama PC のBTOオプションで選択できるCPUグリス「シルバーグリス」(Arctic Silver 5)は是非ともおすすめしたいカスタマイズオプションです。「シルバーグリス」にすることによってデスクトップパソコンとノートパソコンそれぞれどれくらい効果があるのか、標準グリスとシルバーグリスで比較しおすすめの理由とその性能を紹介します。

CPUグリスとは

こんにちは、職人5号です。
パソコン工房のiiyama PCのBTOメニューには、CPUの冷却オプションとして「CPU冷却グリス」と「CPUクーラー」が有りますが、今回はこのCPU冷却グリス、特に『シルバーグリス』について紹介していきます。

オプション選択画像 iiyama PCのCPU冷却グリスオプションオプション選択画像 iiyama PCのCPU冷却グリスオプション

CPUグリスにはいくつか種類があり、「シリコングリス」や「メタルフリーグリス」、「ダイヤモンドグリス」、「シルバーグリス」、「カッパーグリス」、「セラミックグリス」などがあります。
※このほかにグリスとは異なりますが、同様の効果が見込めるものとして「熱伝導シート」や「液化金属」といったものがあります。

〇〇グリスといった形で言われる〇〇の部分には、グリスに含有される熱伝導に対し効果の高い成分が入りこのように言われているようです。おすすめする「シルバーグリス」には「シルバー」つまり「銀」の成分が含まれているということになります。

CPUグリスの性能は、一般的には熱伝導率で示されています。厳密には「厚み」の要素を考慮した熱抵抗という値が重要になります。熱抵抗は、「熱抵抗(K/W)=厚み(m)÷(熱伝導率(W/m・K)×面積(m^2))」で計算され、この値が低いほどCPUグリスとして性能が高くなります。

参考として、標準的なシリコングリスとシルバーグリス、熱伝導パッド、空気を比較した表が下記となります。

メーカー 製品名 熱伝導率 熱抵抗  
  空気 0.0241W/m・K 4.610K/W ※厚み0.1mm、30mm*30mmの面積として計算
AINEX シリコングリス GS-01 0.55W/m・K 0.202K/W ※厚み0.1mm、30mm*30mmの面積として計算
AINEX シルバーグリス Arctic Silver 5 (AS-05) 9.0W/m・K 0.012K/W ※厚み0.1mm、30mm*30mmの面積として計算
AINEX 熱伝導パッド(HT-11) 13W/m・K 0.024K/W ※製品スペック(厚み0.5mm、40mm*40mm)として計算

標準的なシリコングリスとシルバーグリス、熱伝導パッド、空気を比較した表がこちら

標準的なグリスとシルバーグリスの比較すると、シルバーグリスは16倍も高い性能を持つということになります。また、熱伝導パッドは厚みがあるため、たとえ熱伝導率が高くても熱抵抗が高くなりシルバーグリスよりも性能が低くなるということになります。

何も塗らない場合は空気が入りますが、空気は熱伝導率が非常に低くまた、熱抵抗が非常に高いことがわかります。スペックを見ても、非常にシルバーグリスの性能が高いことがわかります。

CPUグリスの役割

CPU表面とCPUクーラー面は、人の目には真っ平らに見えてもミクロの目で見ると結構でこぼこしていて、そのままCPUクーラー取り付けてしまうと、CPUとCPUクーラーの間は隙間だらけになってしまいます。先の通り空気の熱伝導率はとても低いため、CPUグリスを塗布することで、このCPU表面とCPUクーラーとの隙間を埋めて、CPUの熱をスムーズにクーラー側へ伝えるようにします。

CPUグリスの熱伝導性能が高いほど、CPUからCPUクーラーへの熱移動が素早く行われ、CPUの温度を低く抑える事が可能となります。

CPUの放熱板(ヒートスプレッダ)の表面、CPUクーラーのCPU接触面には微細な凹凸があり、熱伝導率が不十分です。CPUグリスを塗ることでこの隙間を埋め、熱の伝わりを良くします。CPUの放熱板(ヒートスプレッダ)の表面、CPUクーラーのCPU接触面には微細な凹凸があり、熱伝導率が不十分です。CPUグリスを塗ることでこの隙間を埋め、熱の伝わりを良くします。

せっかく冷却性能が高いCPUクーラーを取り付けても、CPUとCPUクーラーが隙間だらけになっていたら、CPUの熱が上手くCPUクーラーに伝わらず、CPUクーラーはガンガンに冷やされているのにCPUは温度が高いまま、なんて事も。こんな事態を避ける為にもグリスを正しく使用する事が重要となります。

パソコンを組み立ててしまうと外からは見えないし、OS上からデバイスとして認識されるわけでもないので、一見地味に思われるグリスですが、実はCPUの性能を引き出す上で、CPUクーラーだけでなくグリスにもこだわる位に重要なアイテムなんです。グリスはCPUクーラーの冷却性能を存分に発揮させ(CPUの温度を低く抑え)る影の主役とも言える存在です。

CPUグリスの塗り方

CPUグリスは、CPU上に一様に薄く塗る方法と、一部に盛ってCPUクーラー固定時の圧力でのばす方法の2パターンが有りますがiiyama PCの製造時は、圧力で伸ばす方法を採用しています。

表面に薄く塗る方法表面に薄く塗る方法

一部に盛りCPUクーラー固定時の圧力でのばす方法一部に盛りCPUクーラー固定時の圧力でのばす方法

理由は、冷却性能としてはどちらの方法であっても基本的に大差はなく、また、製造時の効率の良さも重視してこの方法を採用しています。一様に薄く塗る方法のほうがCPUグリスの効果を最大化させやすくなりますが、CPUクーラーとCPU面のゆがみを考慮する必要があるなど均一に塗り、効果を得るにはテクニックが必要となります。
いずれの場合でも、スマホのスクリーン保護シートと同じで、「空気が入らないようにすること」が最も重要なポイントになります。

注意点として、CPU上に一様に薄く塗る方法の場合、指を使用して塗ることは避け、ヘラやカードなどを使用したほうがよいでしょう。指に付着する皮脂や汚れなどの異物がCPUグリスに混ざってしまう可能性があるため、「汚れのないきれいな」ヘラやカードを別途用意し(CPUグリスに付属している場合もあります)、指が触れないよう注意して塗り広げてください。

また、CPUグリスを盛ってのばす場合は、盛るグリスの量に注意しましょう。少なすぎても多すぎてもグリス本来の性能が発揮できなくなる可能性が有ります。

・少なすぎると、熱伝導性能が落ち、冷却力が低下します。
・多すぎると、余分なグリスがCPUクーラーからはみ出し、思わぬところに垂れたりします。あるいは、グリス面の厚みが増し、結果的に熱伝導性能の低下を招く事にも成ります。

グリスが少なすぎた場合の一例グリスが少なすぎた場合の一例

グリスが多すぎた場合の一例グリスが多すぎた場合の一例

シルバーグリスの性能や効果を紹介

「シルバーグリス」はどれほどの実力を持つのか、「標準グリス」と比較した実測データをまとめました。測定方法は、下記の2点で計測しました。また、CPU温度はOS(Windows10)上でCPU温度モニタを使用して行いました。

①アイドル時:OS起動後15分放置時のCPU温度
②最大温度:CPU負荷テストを15分間実施した時のCPUの最大温度

※検証のために②ではCPUに非常に高い負荷をかけ続けるテストを実行しているため、通常使用における高負荷よりも高い温度で計測されています。

デスクトップモデル(使用CPU:Core i7-8700K)、ノートモデル(使用CPU:Core i7-7700HQ)それぞれでみていきましょう。

上のキャップが黒い方が「シルバーグリス」で下が「標準グリス」だ上のキャップが黒い方が「シルバーグリス」で下が「標準グリス」だ

デスクトップパソコンでは高負荷時にシルバーグリスが効く

現在販売中の『STYLE-R037-i7K-LNVI』に標準状態で搭載される「標準クーラー」に対し、それぞれ「標準グリス」と「シルバーグリス」の場合のCPU温度を計測した結果です。搭載されているCPUはCore i7-8700Kとなります。

~グラフ~ Core i7-8700Kの最大温度とアイドル時の温度~グラフ~ Core i7-8700Kの最大温度とアイドル時の温度

アイドル時でも最大温度でも、標準クーラーでシルバーグリスの効果が大きく表れています。シルバーグリスにすることで効率的にCPUの熱をCPUクーラーに伝えることができるため、標準グリスに比べ4℃の温度低下が見られ、シルバーグリスの効果が確認できます。

ノートパソコンではシルバーグリスの効果はバツグンだ!

15型ノートモデル『STYLE-15FX093-i7-RNF』をベースに、「標準グリス」と「シルバーグリス」の場合のCPU温度を計測した結果です。搭載されているCPUはCore i7-7700HQとなります

~グラフその3~ Core i7-7700HQ 最大温度とアイドル時の温度~グラフ~ Core i7-7700HQの最大温度とアイドル時の温度

アイドル時はグリスによる違いがほとんど有りませんが、最大温度ではシルバーグリルの効果が大きく表れ、9℃も温度低下しています。これは、ノート用CPUの場合では特に、デスクトップ用CPUとは異なりCPUダイがむき出しになっており、CPUダイから直接ヒートシンクに熱移動をさせるためとなります。「シルバーグリス」はノートパソコンではとても相性のよい冷却オプションと言えます。

ちなみに、アイドル時はCPU自体の電力がカットされることやCPUファンの自動回転数調整によるノート向けCPU特有の設定により差があまり出なかったと推測されます。

パソコン工房ではカスタマイズオプションでシルバーグリスを選択することがお奨め

デスクトップ、ノートいずれの環境においても、CPUの温度を低下させる効果が「シルバーグリス」に変更することによってみることができました。デスクトップモデルでは、アイドル時・最大温度共にシルバーグリスで4℃程度の温度低下が見られており、グリスによる効果は十分に得られていると言えると思います。ノートモデルでは10℃近い温度低下となっており、「シルバーグリス」へ変更することの効果は大きく、文句なしにお奨め出来る選択オプションです。

今回の検証に使用したシルバーグリスはこちらの「Arctic Silver 5」今回の検証に使用したシルバーグリスはこちらの「Arctic Silver 5」

パソコン工房 iiyama PCのBTOカスタマイズのCPUグリスのオプションでは、数あるCPUグリスの中から、シルバーグリス Arctic Silver 5のみが選択可能です。理由は、長期にわたる使用でも高い効果が持続するという長年の実績の高さと、コストパフォーマンスの高さからの選択としての結果となります。


数度の温度差でも、パソコンを長く使うにあたって安定性や寿命に対する影響は0ではありませんので、BTOパソコンを購入する際には是非、CPUグリスを「シルバーグリス」にすることを検討してみてください。

ライタープロフィール 職人5号

Windows2000登場前からほぼ一貫してPC製造部門に従事。PC組立はもちろん、OSイメージの作成や製造時のトラブルシュートを行う。 その経験を生かしてOSの基本情報や資料室を担当する事が多い。

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