GeForce GTX 16 シリーズの末弟にあたるGeForce GTX 1650は、2万円台から購入出来るゲーム向けエントリークラスの安価なTuringアーキテクチャのグラフィックスカードです。 補助電源コネクタが不要な省電力性や小型でコンパクトなカードサイズが魅力的なGeForce GTX 1650で、ベンチマークテストを試してみました。 なお、今回入手できたカードは、ZOTAC製「GeForce GTX 1650 4GB GDDR5」となります。
GeForce GTX 1650の特徴
GeForce GTX 1650の最大の特徴は、Turingアーキテクチャのグラフィックスカードとしては初めて補助電源コネクタが無いという点でしょう。補助電源が不要という事で、発熱量や消費電力量も自ずと低く抑えられており、省電力型 のTuringアーキテクチャのグラフィックスカードが購入できるようになりました。また、GeForce GTX 1650にはリファレンスデザインと呼べる物が提供されていない為、各ベンダーが出力端子やカードデザインを独自に設計しており、コンパクトサイズな物から大型クーラーを備えた物に加えて、ロープロファイルモデルに至るまで多種多様なグラフィックスカードが登場して来る事が想定され、大型クーラーを備えたグラフィックスカードなどでは補助電源コネクタを必要とする場合も有りそうです。
なお、今回使用したZOTAC製「GeForce GTX 1650 4GB GDDR5」では補助電源コネクタは無く、出力端子はDisplayPort x1・HDMI x1・DVI x1(※グラフィックスカードにより異なります)、全長15cmというコンパクトサイズです。
GeForce GTX 1650のスペックは下表のとおりとなります。
GeForce GTX 1660 |
GeForce GTX 1650 |
GeForce GTX 1060 3GB |
GeForce GTX 1050 Ti |
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アーキテクチャ | Turing | Pascal | ||
GPUコア | TU116 | TU117 | GP106 | GP107 |
製造プロセス | 12nm | 14nm | ||
CUDAコア | 1408基 | 896基 | 1152基 | 768基 |
定格クロック | 1530MHz | 1485MHz | 1506MHz | 1290MHz |
ブーストクロック | 1785MHz | 1665MHz | 1708MHz | 1392MHz |
メモリタイプ | GDDR5 | |||
メモリ容量 | 6GB | 4GB | 3GB | 4GB |
メモリ転送レート | 8.0Gbps | 7.0Gbps | ||
メモリバス幅 | 192bit | 128bit | 192bit | 128bit |
メモリバス帯域幅 | 192GB/s | 128GB/s | 192GB/s | 112GB/s |
G-SYNC | ○ | |||
VR Ready | ○ | × | ○ | × |
TDP | 120W | 75W | 120W | 75W |
補助電源 | 8Pin | 無し | 6pin | 無し |
推奨電源 | 450W | 300W | 400W | 300W |
それでは実際の性能はどれほどになるのか、ベンチマークを見ていきたいと思います。
GeForce GTX 1650をベンチマークテスト
比較対象として、GeForce GTX 16 シリーズからは上位モデルのGeForce GTX 1660を、GeForce GTX 10 シリーズからはGeForce GTX 1060 3GB と GeForce GTX 1050 Ti を用意しました。ミドルレンジ向けモデルのため、テスト解像度はフルHD(1920x1080)かWQHD(2560x1440)の解像度にて行っています。
3D Mark「Fire Strike」
まずは、DirectX 11 の代表的ベンチマークとして、3D Mark 「Fire Strike」 のGraphics Score を見てみましょう。
GeForce GTX 1650は、GeForce GTX 1660の対しておよそ60%のスコアと、CUDAコア数通りの性能となっています。一方でGeForce GTX 1050 Tiに対しては10~20%程度のスコア向上となっています。
3D Mark「Time Spy」
次いで、DirectX 12の代表的ベンチマークとして、3D Mark 「Time Spy」 のGraphics Score を見てみましょう。テスト解像度は、WQHDのTime Spyのみとなります。
TuringコアがPascalコアよりもDirectX 12への最適化が進んでいるため、GeForce GTX 1650 がGeForce GTX 1060 3GBに対しておよそ90%と肉薄しています。また、GeForce GTX 1050 Tiに対しては、およそ40%のスコア向上となっています。
FINAL FANTASY XV
続いて、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークです。テスト環境設定は高品質・フルスクリーンとなります。
3D Mark Time Spy と同様に、GeForce GTX 1650 がGeForce GTX 1060 3GBに対しておよそ90%のスコアとなっています。また、GeForce GTX 1050 Tiに対しては、およそ30%のスコア向上となっています。
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
最後に、ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマークです。テスト環境設定は最高品質・DirectX 11・フルスクリーンとなります。ベンチマークスコアと合せて、フレームレートの結果も示しています。
3D Mark Fire Strikeに似た傾向となっていて、ベンチマークスコアでGeForce GTX 1060 3GB には引き離されています。GeForce GTX 1050 Tiに対しては、およそ20%のスコア向上となっています。フレームレートで見てみると、フルHDにおいて60fps出ており、フルHD解像度でのゲームプレイでは十分な性能を期待できそうです。
補助電源不要ながらもフルHDでは十分な性能を誇るGeForce GTX 1650
GeForce GTX 1650は、どのベンチマークテストにおいても、GeForce GTX 1060 3GBとGeForce GTX 1050 Tiの間に収まっています。また、GeForce GTX 1660のおよそ60%程度のスコアとなっており、見事にCUDAコア数通りの性能となっています。ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマークのフレームレートで60fpsを示すなど、ベンチマークの結果からは、フルHDの解像度であれば十分に対応できる性能を持っていると言えそうです。
なによりも、これだけの性能を持ちながら、補助電源コネクタが無く推奨電源容量も300Wとなっているので、非常にワットパフォーマンスに優れるグラフィックスカードになっています。さらに、コンパクトサイズや、スリムタワーなどの電源容量が低めのパソコンなどにも搭載できるグラフィックスカードとなるのではないでしょうか。
GeForce GTX 1650は、価格的にも2万円前後となっており、フルHD解像度でゲームをプレイするための安価なグラフィックスカードを求めているユーザーや、省電力ながらも高性能なグラフィックスカードを求めているユーザーには良い選択肢となりそうです。上位の機種と同様、HDMI 2.0bやDisplay Port 1.2aに対応するため、4K HDRや8K HDRなどの表示も可能なため、これらの最新の映像出力を持つ安価なグラフィックスカードとしても有用なグラフィックスカードとなるのではないのでしょうか。
CPU | Core i9-9900K (3.6-5.0GHz/8コア・16スレッド/キャッシュ16MB/TDP95W) |
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マザーボード | ASUS Prime Z390-A (Z390チップセット) |
メインメモリ | DDR4-2666 16GB (8GB x2) |
ビデオカード | ZOTAC GeForce GTX 1650 4GB GDDR5 (ビデオメモリ 4GB) |
ZOTAC GeForce GTX 1660 6GB GDDR5 (ビデオメモリ 6GB) | |
GeForce GTX 1060 3GB リファレンスカード (ビデオメモリ 3GB) | |
GeForce GTX 1050 Ti リファレンスカード (ビデオメモリ 4GB) | |
ストレージ | WesternDigital WDS500G2X0C (WD Black NVMe 500GB) |
電源 | Seasonic SSR-850FX (80PLUS Gold、850W) |
OS | Windows 10 Home 64bit (バージョン:1809) |
ビデオドライバ | GeForce Game Ready Driver 430.39 |
Windows2000登場前からほぼ一貫してPC製造部門に従事。PC組立はもちろん、OSイメージの作成や製造時のトラブルシュートを行う。 その経験を生かしてOSの基本情報や資料室を担当する事が多い。