GeForce GTX 16シリーズのエントリークラスモデルGeForce GTX 1630について、ベンチマークテストを通してその性能を確認して行きます。

気になる製品最終更新日: 20220810

GeForce GTX 1630 発売情報・ベンチマークレビュー

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GeForce GTX 1630は、2022年6月28日より販売開始がアナウンスされたGeForce GTX 16シリーズのエントリークラスモデルです。GeForce GTX 1630は、GeForce GT 1030やGeForce GT 730などと同じく型番末尾30番台のGeForceシリーズとしては、2017年のGeForce GT 1030以来おおよそ5年ぶりの新モデル登場となります。
今回はこの GeForce GTX 1630 について、ベンチマークテストを通してその性能を確認して行きます。

GeForce GTX 1630について

GeForce GTX 1630は、エントリークラスながら従前モデルのGeForce GT 1030やGeForce GT 730が「GeForce GT」だったのに対して、GeForce GTX 1630はゲーミング向けとなる「GeForce GTX」を冠しており、NVIDIAのネーミングルールからすると、エントリークラスながらもゲーミング向けの位置づけとなっています。
GeForce GTX 1630は、GeForce GTX 1650と比べてCUDAコア数でおおよそ6割弱、メモリバス幅は半分の64bitとなっています。最新の世代のコアと比べると、Tensorコアやレイトレーシングコアも搭載せず見劣りする感はあるものの、3D性能はそこそこ持っており、シンプルにグラフィックを表示することを目的とした場合には必要十分な機能、性能であると言えます。

GeForce
GTX
1650[G5]
GeForce
GTX
1630
GeForce
GT
1030
Radeon
RX
6400
GPUコア TU117 GP108 Navi24
製造プロセス 12nm 16nm 6nm
CUDAコア 896基 512基 384基 768基
定格クロック 1485MHz 1740MHz 1227MHz 非公開
ブーストクロック 1665MHz 1785MHz 1468MHz 2321MHz
ゲームクロック 2039MHz
メモリタイプ GDDR5 GDDR6 GDDR5 GDDR6
メモリ容量 4GB 2GB 4GB
メモリ転送レート 8Gbps 12Gbps 6Gbps 16Gbps
メモリバス幅 128bit 64bit
メモリバス帯域幅 128GB/s 96GB/s 48GB/s 128GB/s
TDP 75W 30W 53W
推奨電源 300W 350W

~スペック比較一覧~

GeForce GTX 1630 ベンチマーク情報

それではGeForce GTX 1630のベンチマークテストを開始しましょう。比較対象として、同じGPUコアを使用した上位モデルのGeForce GTX 1650(GDDR5版)と、Radeon RX 6000シリーズのエントリーモデルRadeon RX 6400を用意しました。テスト解像度はエントリークラスのモデルのため、フルHD(1920 x 1080)とWQHD(2560 x 1440)の解像度にて行っています。また、3D Markでは、CPU性能の依存度が少ないGraphics Scoreでの比較となります。なお、過去のデータと比較のためResizable BARについては無効としてベンチマークテストを行っております。
※ベンチマークテストで用いた構成は末尾に記載しています。

また、比較参照用として、過去に取得していたGeForce GT 1030(GDDR5版)と、Core i5-12400およびRyzen 5 5600Gの内蔵グラフィックスのスコアも併記しておきます。GeForce GT 1030については3D Mark 「Fire Strike」のみ、Core i5-12400およびRyzen 5 5600Gの内蔵グラフィックスについては3D Mark 「Fire Strike」と「Time Spy」のスコアを記載します。これらのスコアについては、今回の検証構成とは異なる内容での計測となりますので、あくまで参考としてご覧ください。

3D Mark 「Fire Strike」

まずは、DirectX 11 の代表的ベンチマークとして、3D Mark 「Fire Strike」 のGraphics Score を見てみましょう。テスト解像度は、フルHDのFire Strike とWQHD のFire Strike Extremeとなります。

~3D Mark Fire Strike~

~3D Mark Fire Strike~~3D Mark Fire Strike~

GeForce GTX 1630のスコアはGeForce GTX 1650のおおよそ60%となっており、CUDAコア数通りの性能となっています。Radeon RX 6400に対しては、GPUコアの世代の違いもあって大きく引き離されてしまっています。また、参考値との比較とはなりますが、GeForce GTX 1630はGeForce GT 1030に対しておおよそ1.4倍のスコアとなっており、GeForce GTとは一線を画すスコアとなっています。

3D Mark 「Time Spy」

次いで、DirectX 12の代表的ベンチマークとして、3D Mark 「Time Spy」 のGraphics Scoreを見てみましょう。テスト解像度は、WQHDのTime Spyとなります。

~3D Mark Time Spy~~3D Mark Time Spy~

 Time SpyではGeForce GTX 1630のスコアはGeForce GTX 1650のおおよそ64%となっており、Fire Strikeと大きくは変わっていません。Radeon RX 6400に対しては、GeForce GTX 1630・GeForce GTX 1650共にスコア差が縮まっており、Turingコアの底力を感じます。また、GeForce GTX 1630と内蔵グラフィックスとの比較では、グラフィックス性能には定評のあるRyzen 5 5600Gの1.6倍、Core i5-12400には3倍のスコアとなっており、内蔵グラフィックスを強化するという用途は十分に満たせそうです。

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

3D Markで基礎体力を見た後は、実際のゲームタイトルでどの程度の性能を発揮するのかを見ていきましょう。まずはFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークです。テスト環境設定はフルスクリーン設定で、テスト解像度はフルHDとWQHDとし、グラフィックス品質はエントリーモデルであることを踏まえ標準品質としています。なお過去のデータと比較のためSDRかつ、DLSSは無効としています。

~FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークスコア(標準品質)~~FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークスコア(標準品質)~

GeForce GTX 1630のスコアは、GeForce GTX 1650との比較ではおおよそ65%となっていますが、フルHD解像度で「普通」(3000~4499)の指標に達しています。WQHD解像度ではさすがに「重い」(2000~2499)となっていますが、エントリーモデルとしてはフルHD解像度で普通の判定が出ていれば十分な性能と言えるでしょう。
では、グラフィックス品質をもう一段下げた軽量品質とした場合はどうなるのか、確認してみましょう。

~FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークスコア(軽量品質)~~FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークスコア(軽量品質)~

GeForce GTX 1630のスコアは、フルHD解像度で「やや快適」(4500~5999)となり、WQHD解像度でも「普通」(3000~4499)となっています。ゲームの動作が重いと感じた時はグラフィックス品質を下げてみるのは十分に効果的と言えそうです。

ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク

最後に、ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークです。テスト環境設定はフルスクリーン設定で、テスト解像度はフルHDとWQHD、グラフィックス品質は標準品質(デスクトップPC)となります。ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレについては、ベンチマークテストの詳細で平均fps(フレームレート)も確認できるので、合わせて掲示します。

~ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク スコア(標準品質(デスクトップPC))~~ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク スコア(標準品質(デスクトップPC))~

~ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク フレームレート(標準品質(デスクトップPC))~~ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク フレームレート(標準品質(デスクトップPC))~

 GeForce GTX 1630のスコアは、エントリーモデルとしては大健闘と言っていい結果となりました。フルHD解像度では「非常に快適」(15000~)に一歩及ばなかったものの90fps以上のフレームレートとなっており、WQHD解像度でも60fpsにはやや及ばなかったものの快適」(8000~10999)の指標となっています。GeForce GTX 1650との比較ではフルHD解像度でおおよそ75%と、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク以上に接近しています。
これだけの性能が有るのであればと、今度はもう一段グラフィックス品質を上げて高品質(デスクトップPC)で測定してみました。

~ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク スコア(高品質(デスクトップPC))~~ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク スコア(高品質(デスクトップPC))~

~ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク フレームレート(高品質(デスクトップPC))~~ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク フレームレート(高品質(デスクトップPC))~

フルHD解像度で「やや快適」(6000~7999)となり、フルHDで十分プレイアブルな性能を見込むことができます。
一方で、さすがにGeForce GTX 1630でWQHD解像度は重くなるようでフレームレートが30fpsを割る結果となりました。

エントリークラスの性能を引き上げたGeForce GTX 1630

ゲーミング向けのGeForce「GTX」シリーズを冠したGeForce GTX 1630は、エントリーモデルながらなかなかのゲーミング性能を有していることが確認出来ました。絶対的な性能という点では、フルHD解像度向けゲーミングモデルに位置するGeForce GTX 1650やRadeon RX 6400には及ばないものの、標準設定でそれなりに快適なゲームプレイが出来ればいいというライトゲーマー層には十分な性能ではないかと思われます。
また、CPU内蔵のオンボードグラフィックスからも明確に性能の向上を見込むことができ、性能が追い付かれてしまっていたGeForce GT 1030をも十分にリプレースできる性能を示しています。
惜しむらくは現時点では発売直後という時期もあって2万円を超える価格となってしまっており、数千円を追加すればGeForce GTX 1650やRadeon RX 6400が購入出来てしまうところでしょう。値段がこなれて1万円台半ばで購入できるようになればグッと魅力的な存在になるのではないでしょうか。

 

グラフィックスカード ZOTAC製
GeForce GTX 1650 (GDDR5版)
MSI製
GeForce GTX 1630
MSI製
Radeon RX
6400
CPU Core i5-12400 (6コア・12スレッド/2.5-4.4GHz/TDP65W)
マザーボード ASUS Prime Z690-P
メインメモリ DDR5-4800 32GB (16GB x2)
ストレージ Samsung 980 500GB (MZ-V8V500B) PCIe Gen 3.0 M.2 NVMe SSD
電源 Seasonic SSR-1000GD (80PLUS Gold、1000W)
OS Windows 11Home 64bit (バージョン:21H2)
ビデオドライバ GeForce Game Ready Driver Ver 516.59 AMD Software: Adrenalin Edition 22.5.1

~検証に使用した構成~

ライタープロフィール 職人5号

Windows2000登場前からほぼ一貫してPC製造部門に従事。PC組立はもちろん、OSイメージの作成や製造時のトラブルシュートを行う。 その経験を生かしてOSの基本情報や資料室を担当する事が多い。

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