Intel Broadwell-E編。パソコン技術資料室では Intel® Core™ プロセッサー・ファミリー(Broadwell-E)を詳しく解説いたします。

技術解説資料最終更新日: 20160606

Intel® Core™ プロセッサー・ファミリー(Broadwell-E)とは

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Intel Broadwell-E編。パソコン技術資料室では Intel® Core™ プロセッサー・ファミリー(Broadwell-E)を詳しく解説いたします。

Broadwell-Eとは

「Broadwell-E」とは、2016年5月に発表された、インテルCore iプロセッサーファミリーの、ハイエンドデスクトップソリューションです。アーキテクチャは「Skylake」ではなく、一世代前の「Broadwell」世代となります。末尾に追加されている「-E」はインテルコードネームの慣例的にハイエンドデスクトップシリーズを示しています。

アーキテクチャとしては一世代前となりますが、「Broadwell-E」はコア数が多く、マルチコア処理性能の高さから既に発売されているCore i7-6700の上位のCPUの扱いとなります。

※Broadwell(ブロードウェル)は、Skylake(スカイレイク)や、Haswell(ハズウェル)と同様、インテルの開発コードネームです。
※「Broadwell-E」の末尾の「-E」はハイエンドデスクトップシリーズを示します。Core i7-6700などの一般デスクトップCPUは「Skylake-S」と呼ばれています。

Broadwell-Eの主な特徴

■ 製造プロセスが「Skylake」と同じ14nmに微細化しました。
■ コンシューマデスクトップ向けとしては「初の」10コアCPUです。従来はXeonシリーズなどでしかラインナップされていませんでした。
■ 従来の「DDR4-2133」に加え、より高速なメモリ「DDR4-2400」をサポートしました。
■ 対応チップセットはCore i7-5960Xなどの従来のCPU「Haswell-E」と同じ「インテル X99チップセット」を採用し、CPUソケットも「LGA2011-v3」を使用することができます。
■ TDPが140WとなりCPUクーラーも「LGA2011-v3」対応のものをそのまま使用することができます。

Broadwll-Eモデルナンバー命名ルール Broadwll-Eモデルナンバー命名ルール

詳細スペックについて

Core i7-6950X Core i7-6900K Core i7-6850K Core i7-6800K
コードネーム Broadwell-E
製造プロセス 14nm
コア/スレッド 10/20 8/16 6/12 6/12
動作クロック 3.0GHz 3.2GHz 3.6GHz 3.4GHz
TurboBoost 3.5GHz 3.7GHz 3.8GHz 3.6GHz
キャッシュ 25MB 20MB 15MB 15MB
PCI-Express Gen 3.0
レーン数 40 28
メモリ 対応メモリ DDR4-2400
TDP 140W
64bitコード intel64
SIMD命令 SSE SSE4.1/4.2
AVX AVX2.0
仮想化 VT-x
VT-d
セキュリティ機能 XD ビット
TXT ×
AES
vPRO ×
対応ソケット LGA2011-v3
対応チップセット Intel X99 チップセット

Kaby LakeとSkylakeの対応チップセット比較表

Broadwell-Eの特徴:CPU

インテルCore iシリーズ「Broadwell-E」CPUのハイライト

■ 14nmプロセスルール
■ デスクトップ初の10コアCPU
■ DDR4-2400サポート

LGA2011-v3ソケット対応ですが、PCB基板が薄くなったBroadwell-E

HaswellからSkylakeへの変更点の一つにPCB基板の変更が有りました(リンク:https://www.pc-koubou.jp/blog/skylake_spec.php)が、Broadwell-EでもHaswell-Eと比べてPCB基板が薄くなっています。
ただし、ヒットスプレッダも含めたCPU全体の厚みは同じため、基本的には従来のLGA2011用CPUクーラーを使用する事ができます。

基板が薄くなったBroadwell-E基板が薄くなったBroadwell-E

※矢印で示した部分が基板です。写真中央の「Broadwell-E」では、右側の「Haswell-E」と比較して基板が半分程度に薄くなっていることがわかります。左側は「Skylake-S」です。
※実測で、Broadwell-Eは1.03㎜、Haswell-Eは1.98㎜、Skylake-Sは0.77㎜でした。

「Broadwell-E」では、ヒートスプレッダの形状が変更され、矢印で示すツメが大きくなったことによりCPUソケットへの取り付け、取り外しの際に持ちやすくなりました。また、LGA1511の「Skylake-S」に比べ非常におおきなCPUであることがわかります。

ヒートスプレッダの形状やピン数やピン配置を確認ヒートスプレッダの形状やピン数やピン配置を確認

裏面については、キャパシタの違いがあるのみで、ピン数やピン配置、切欠きの位置に変更はありません。そのままLGA2011-v3ソケットに取り付けをすることができます。

Haswell-Eとの比較

「Haswell-E」では製造プロセスルールが22nmでしたが、「Broadwell-E」では14nmに縮小されました。このため、TDP140Wは同まま最大コア数が増加し10コアとなり、さらに動作クロックが高速化しました。「Haswell-E」で使用していたX99マザーボードを引き続き使用することができますが、BIOSを最新のものにアップデートが必要になります。また、DDR4-2400メモリのサポートなど、基本性能が向上しています。

  Broadwell-E
(Core i7-6950X)
Haswell-E
(Core i7-5960X)
Skylake-S
(Core i7-6700K)
14nm製造プロセス ×(22nm)
大容量キャッシュ ○(25MB) ○(20MB) ×(8MB)
4コア × ×
8コア × ×
10コア × ×
DDR4-2400対応 ×(DDR4-2133) ×(DDR4-2133)
クアッドチャンネルメモリ対応 ×
ECCメモリ対応 × × ×
オーバークロック対応
PCI-Express3.0 ○(40レーン) ○(40レーン) ○(16レーン)
64bit対応
インテルハイパースレッティングテクノロジー
拡張版Intel SpeedStepテクノロジー
インテルターボブーストテクノロジー 2.0
インテルターボブーストマックステクノロジー 3.0 × ×
インテルスマートレスポンステクノロジー ×
VT-x (仮想化)対応
VT-d (仮想化(ダイレクトI/O向け))対応
インテルTSX-NI ×
インテルスモールビジネスアドバンテージ × ×
グラフィックス機能 × ×
DirectX 12対応 × ×
4Kサポート × ×
QSV (クイックシンクビデオ) × ×
ワイヤレスディスプレイ × ×
クリアビデオ × ×
クリアビデオHD × ×
AES-NI
セキュアキー
OSガード
SGX (ソフトウェアガードエクステンション) × × ○※1
MPX (メモリプロテクトエクステンション) × ×

Haswell-E シリーズ比較表

  Core i7-6950X Core i7-5960X Core i7-4960X Core i7-3970X Core i7-3960X
コードネーム Broadwell-E Haswell-E IvyBridge-E SandyBridge-E
製造プロセス 14nm 22nm 32nm
コア/スレッド 10/20 8/16 6/12 6/12 6/12
動作クロック 3.0GHz 3.0GHz 3.6GHz 3.5GHz 3.3GHz
TurboBoost 3.5GHz 3.5GHz 4.0GHz 4.0GHz 3.9GHz
キャッシュ 25MB 20MB 15MB 15MB 15MB
PCI-Express Gen 3.0 2.0
レーン数 40
メモリ 対応メモリ DDR4-2400 DDR4-2133 DDR3-1866 DDR3-1600
TDP 140W 130W 150W 130W
64bitコード intel64
SIMD命令 SSE SSE4.1/4.2
AVX AVX2.0
仮想化 VT-x
VT-d
セキュリティ機能 XD ビット
TXT ×
AES
vPRO ×
対応ソケット LGA2011-v3 LGA2011
対応チップセット Intel X99 チップセット Intel X79 チップセット

インテル 歴代CPUスペック比較表

  Core i7-6900K Core i7-5930K Core i7-4930K Core i7-3930K
コードネーム Broadwell-E Haswell-E IvyBridge-E SandyBridge-E
製造プロセス 14nm 22nm 32nm
コア/スレッド 8/16 6/12 6/12 6/12
動作クロック 3.2GHz 3.5GHz 3.4GHz 3.2GHz
TurboBoost 3.7GHz 3.7GHz 3.9GHz 3.8GHz
キャッシュ 20MB 15MB 12MB 12MB
PCI-Express Gen 3.0 2.0
レーン数 40
メモリ 対応メモリ DDR4-2400 DDR4-2133 DDR3-1866 DDR3-1600
TDP 140W 130W
64bitコード intel64
SIMD命令 SSE SSE4.1/4.2
AVX AVX2.0
仮想化 VT-x
VT-d
セキュリティ機能 XD ビット
TXT ×
AES
vPRO ×
対応ソケット LGA2011-v3 LGA2011
対応チップセット Intel X99 チップセット Intel X79 チップセット

Core i7-x900Kモデル 比較表

  Core i7-6850K Core i7-6800K Core i7-5820K Core i7-4820K Core i7-3820
コードネーム Broadwell-E Haswell-E IvyBridge-E SandyBridge-E
製造プロセス 14nm 22nm 32nm
コア/スレッド 6/12 6/12 6/12 4/8 4/8
動作クロック 3.6GHz 3.4GHz 3.3GHz 3.7GHz 3.6GHz
TurboBoost 3.8GHz 3.6GHz 3.6GHz 3.9GHz 3.8GHz
キャッシュ 15MB 15MB 15MB 10MB  
PCI-Express Gen 3.0 2.0
レーン数 40 28 40
メモリ 対応メモリ DDR4-2400 DDR4-2133 DDR3-1866 DDR3-1600
TDP 140W 130W
64bitコード

intel64
SIMD命令 SSE SSE4.1/4.2
AVX AVX2.0
仮想化 VT-x
VT-d
セキュリティ機能 XD ビット
TXT ×
AES
vPRO ×
対応ソケット LGA2011-v3 LGA2011
対応チップセット Intel X99 チップセット Intel X79 チップセット

Core i7-x800Kモデル比較表

Skylake-Sとの比較

「Skylake-S」に比べ「Broadwell-E」では、CPUコア数が多く、Skylake-Sでは4コア8スレッドまでであるのに対し、Broadwell-Eでは最大10コア20スレッドまで対応しています。CPU側に用意されている「PCI-Express 3.0」のレーン数が「Skylake-S」では16レーンに対し「Broadwell-E」では最大40レーンとなっています。

そのため、「Skylake-S」では、ほぼグラフィックカード専用だったPCI-Expressも「Broadwell-E」では最大レーン数に余裕があるため、NVMe対応SSDといった超高速ストレージや、グラフィックカードの複数搭載など、必要に応じた柔軟なシステム構築が可能となります。

  Core i7-6950X Core i7-6900K Core i7-6850K Core i7-6800K Core i7-6700K Core i7-6700
コードネーム Broadwell-E Skylake
製造プロセス 14nm
コア/スレッド 10/20 8/16 6/12 6/12 4/8 4/8
動作クロック 3.0GHz 3.2GHz 3.6GHz 3.4GHz 4.0GHz 3.4GHz
TurboBoost 3.5GHz 3.7GHz 3.8GHz 3.6GHz 4.2GHz 4.0GHz
キャッシュ 25MB 20MB 15MB 15MB 8MB 8MB
PCI-Express Gen 3.0
レーン数 40 28 16
メモリ 対応メモリ DDR4-2400 DDR4-2133 / DDR3L-1600
TDP 140W 91W 77W
GPU × Intel HD Graphics530
64bitコード intel64
SIMD命令 SSE SSE4.1/4.2
AVX AVX2.0
仮想化 VT-x
VT-d
セキュリティ機能 XD ビット
TXT ×
AES
vPRO ×
対応ソケット LGA2011-v3 LGA1151
対応チップセット Intel X99 チップセット Intel 100 Series

「Skylake-S」「Broadwell-E」比較表

ここが知りたい!Broadwell-E(インテルCore iシリーズプロセッサ)の疑問を解決!

Q1.使用中のX99マザーボードでBroadwell-E を使う事は出来ますか?

A、Broadwell-E対応BIOSに更新した後、CPUを交換する事でBroadwell-Eを使用する事ができます。Broadwell-Eへの対応状況は、各マザーボードメーカーのホームページなどでご確認ください。

Q2.使用中のX99マザーボードにBroadwell-E を載せ替える際に注意すべき点は何ですか?

A、BIOSがBroadwell-Eに対応していない場合、Broadwell-Eを搭載しても起動しない可能性が有ります。必ずBroadwell-E対応BIOSに更新してから、CPUを交換して下さい。

Q3.Broadwell-Eで使用できるCPUクーラーは何ですか?

A、DP140W以上の冷却能力を備えたLGA2011用CPUクーラーを使用する事ができます。

Q4.Broadwell-EはDDR4-2133メモリでも使う事は出来ますか?

A、Broadwell-EはDDR4-2133メモリにも対応していますので、使用する事は可能です。

Q5.CPUクーラーがついていないんだけど?

A、Broadwell-EにはCPUクーラーが付属していません。TDP140W以上の冷却能力を備えたLGA2011用CPUクーラーをご用意ください。

ライタープロフィール 職人5号

Windows2000登場前からほぼ一貫してPC製造部門に従事。PC組立はもちろん、OSイメージの作成や製造時のトラブルシュートを行う。 その経験を生かしてOSの基本情報や資料室を担当する事が多い。

記事を
シェア