活躍中のクリエイターにお話を聞く『クリエイター仕事道』。今回のゲストは作編曲家、ピアニスト、ボーカリストとして活躍するいしいの音楽制作所さん。個人のお客様らの依頼を音楽で表現する「オリジナルキャラクターソング作曲」が話題です。

クリエイター最終更新日: 20210325

作編曲家:自分のアイデアをシェアして、新しい試みにチャレンジする!

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どうしたら憧れのクリエイターになれるのか? その秘密を現役で活躍するクリエイターに直接聞いちゃう『クリエイター仕事道』。今回のゲストは作編曲家、ピアニスト、ボーカリストとして活躍中のいしいの音楽制作所さんです。ゲームやCMのBGMだけでなく、個人顧客向けの楽曲を制作するなど、マルチな活動をされています。

いしいさんが携わった作品

ゲーム「オラクルエンジン」のBGM『神の眠る地』。

「オリキャライメソン」の『末路』。キャラクターデザインからイラスト、作曲、編曲、演奏まで全ていしいさんのオリジナルです。

楽曲制作中のいしいさん。全ての音をこの部屋から生み出します。

自分の強みを活かした「オリジナルキャラクターソング作曲」

いしいさんが子供の頃憧れていた職業はなんですか?

子供の頃になりたかった職業のことは覚えていなかったのですが、私が子供の頃に書いた手紙を母が出してくれました。そこには「作曲家になりたいと思います」と書いてありとても驚きました! 今も昔も“私らしさ”は変わっていないんだなと思って、妙に納得してしまいましたね。

子供の頃の夢を実現したんですね!作曲家を目指すため、どんな学校へ進学しましたか?

私の作りたい音楽とは、劇伴(劇中で流れる)音楽やCM音楽といった何かのための音楽。そういった音楽を学ぶため、様々な学科が存在する大阪芸術大学音楽学科に進学しました。

大学生の頃はどんな学生でしたか?

音楽学科で様々なジャンルの曲をひたすら作曲し、学び、映像学科や放送学科などいろんな他学科の人と協力して一つの作品を作り上げていました。基本的にどんなことにも挑戦していましたね。

充実した学生生活だったんですね。今のお仕事を目指すようなったきっかけは?

憧れのクリエーターさんが、人々や企業が必要としている様々な曲を誠心誠意作曲されていることを知ったからです。

そこからどんなきっかけで作曲家として活動するようになったのですか?

「オリジナルキャラクターソング作曲」という企画を思いついた時に、SNSでアンケートを取ってみました。すると、そういった音楽を求める声がとても多く、全ジャンルの作曲ができると自負する私にとって、この仕事は願ったり叶ったりでした。そして、誰かのための作曲が出来ることがとても嬉しかったです。

作品作り、そしてコミュニケーションを大切に

いしいさんの代表作を教えてください

オラクルエンジンというTRPG(ゲーム)のためのBGM制作です。プレイヤーがより一層ゲームに溶け込めるよう工夫して作る音楽は、完成後の達成感がひと味もふた味も違い、また完成曲を聴いて喜んで頂けるのが非常に嬉しかったです。

現在のように活躍するターニングポイントはありましたか?

甲子園のワイプCMのBGM制作とFM802のライブアタックムービーのBGM制作など、沢山あるのですが、やはり最もターニングポイントとなったのは、オリジナルキャラクターや世界観のイメージソング制作です。

その仕事から学んだことはありますか?

喜びと自信です。ご依頼者様に納品した楽曲を喜んで頂けることは、自分の作曲が良かったからだと思います。また、音楽制作の依頼に踏み込もうと思ったことがない方や、依頼したいが金額的に難しく依頼できない方々にオリジナル音楽を手にする嬉しさを知ってもらえたことにより、自分の存在価値も見出され、いろんな人たちの“楽しい時間”に関与できているという喜びを得られました。

逆に、忘れられない失敗を経験したことはありますか?

本当に最近起きたことなのですが、導入したプラグインが原因で作曲ソフトが起動しなくなりました……。個人営業で自分1人しかいないため、修復時間中は仕事が滞ってしまうということにやっと気付きました。更にこの時はかなりご依頼が殺到しており、非常に焦りました(汗)。

復旧してよかったですね。いしいさんが仕事をしている時、一番高揚する瞬間はいつですか?

実は完成時でも納品時でもなく、ご依頼者様に最初のご試聴を送った段階です。私は作曲、編曲、歌入れを同時に行っていくため、ご依頼者様にはある程度完成されたワンコーラスを聴いていただくことになります。その際に、一発で気に入って頂けた時が1番興奮する瞬間です。

いしいさんが、仕事をするうえで最も大切にしていることは何ですか?

音楽制作はもちろんですが、普段から最も大切にしているのはコミュニケーションです。興味を示されていない方に突然「音楽作ります!」なんて突撃すると、良い例もありますがやっぱりちょっと引いてしまいます。最初は世間話から、少しずつ仲良くなって信頼を構築することが大切だと思います。

音楽制作は解像度より、プラグイン重視で

下記のような機器を使っています。

ノートパソコン CPU:Intel Core i7
メモリ:16GB
ストレージ:256GBSSD
ディスプレイサイズ:13.3インチ(2560×1600)
オーディオインターフェース Steinberg UR22
マイク Audio-Technica AT2020
モニターヘッドホン SONY MDR-7506
スピーカー Behringer MS16
シンセサイザー
(MIDIキーボードとして)
Roland FA-08
DAWソフトウェア Steinberg Cubase Pro
プラグイン ORCHESTRAL
ESSENTIALS
KOMPLETE11 ULTIMATE
WavesMercury

パソコンや周辺機器を選ぶ際のこだわりはありますか?

学生の頃はあまりよく分かっていませんでしたが、今ではSSDを選ぶこと、最低でもメモリは16GBにする事です。音楽制作は画面の解像度重視ではないので、どちらかと言うとPC云々よりもプラグインやオーディオ機器が重要になってくると思います。

いしいさんならではの裏技などはありますか?

人間はMIDIの綺麗なきっちりとした波形を何度も聴いていると、脳が飽きてしまいます。ですので、同じ音でもタイミングをミリ単位でずらしたり、各一音ずつのボリュームを少しずつ変えることが裏技かもしれません。

あと注意点ですが、PCやDAW(ソフトウェア)のバージョンはいきなり上げずに、他のプラグインとの互換性をしっかり確認した上で上げるようにしましょう。失敗談に書いたようなことにつながる場合があります……。

目標を掲げたら、技術に磨きをかけよう

いしいさんにとって“クリエイター仕事道”とはなんですか?

個人的にクリエイティブに音楽の仕事をすることは、正直いばらの道であろうとも言われています。サイトの理念でもあります「作曲で世界中の人たちと繋がりたい」を目標に作曲に磨きをかけていきたいと思っています。そうする事で将来の作曲家・石井晴佳が更に進化しているはずです。それが私の仕事道です。

クリエイターを目指す若者たちにメッセージをお願いします!

私もまだ起業して1年程しか経っていませんが、人とも繋がれますし、ご依頼者様にも喜んで頂けます。今この自分を発信しやすい時代は毎日がチャンスですので、細々とでも続けていきましょう。お客様、そして仲のいい人を大切に、支えて下さる方を大切に!

いしいさん、ありがとうございました!

思いついたらすぐ行動!

子供の頃からの夢を実現したいしいさん。クライアントからの依頼曲を作曲する一方で、個人のお客様からの依頼も受けています。そしていしいさんのアイデアから始まった「オリジナルキャラクターソング作曲」。思い立ったアイデアもリアルタイムでSNS発信できる時代です。やってみたいことはどんどんオープンにしていくことが、新しいステージで活躍できる秘訣かもしれません。

クリエイタープロフィール

いしいの音楽制作所(石井 晴佳)さん
作編曲家、ピアニスト、ボーカリスト
1996年奈良生まれ。2019年 いしいの音楽制作所を設立。一般顧客向けオリジナル楽曲の制作や劇版音楽、ゲームやCMの音楽など、誰かの何かのための音楽制作を受け付けている。
HP:https://www.ishiimusicweb.com/
Twitter:https://twitter.com/ishii_comp

ライタープロフィール パソコン工房NEXMAG
[ネクスマグ] 編集部

パソコンでできるこんなことやあんなこと、便利な使い方など、様々なパソコン活用方法が「わかる!」「みつかる!」記事を書いています。

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