第3世代Ryzenプロセッサーは、AMDから2019年7月に発売された「Zen2」マイクロアーキテクチャをはじめて採用するCPUシリーズです。強力な処理能力を持ち、最上位に追加されたRyzen 9 シリーズはThreadRipperに匹敵するコア数/スレッド数となっています。

技術解説資料最終更新日: 20190707

第3世代 Ryzenプロセッサーとは

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第3世代AMD Ryzenプロセッサーは、AMDから2019年7月に発売された「Zen2」マイクロアーキテクチャをはじめて採用するCPUシリーズです。
強力な処理能力を持ち、最上位に追加されたRyzen 9 シリーズはRyzen ThreadRipperに匹敵するコア数/スレッド数となっています。
ここではスペックや特徴から第3世代AMD Ryzenプロセッサーを詳しくご紹介します。

第3世代AMD Ryzenプロセッサーとは

第3世代AMD Ryzenプロセッサーは、AMDから2019年7月に発売された「Zen2」マイクロアーキテクチャをはじめて採用するCPUシリーズです。
第2世代Ryzenまでの「Zen」マイクロアーキテクチャに比べて、「Zen2」マイクロアーキテクチャではCPUのクロックあたりの処理能力(IPC)が最大15%も向上し、ライバル社製品に匹敵する程の強力な処理能力を持ちます。
また、第3世代AMD Ryzenプロセッサーは最新の7nmプロセスルールで製造されており、最上位に追加されたRyzen 9 シリーズはRyzen ThreadRipperに匹敵するコア数/スレッド数となっています。

第3世代AMD Ryzenプロセッサーの主な特徴

CPU

・世界初の7nm製造プロセスのCPUとなり、また世界初のPCI-Express Gen4に対応するCPUとなります。
・最上位モデルとして、Ryzen 9 シリーズが追加され、Ryzen Threadripper シリーズに匹敵するコア数/スレッド数を搭載しました。
・Ryzen 9 3950 は16コア/32スレッドという、従来のRyzen 7 シリーズから倍増したコア数/スレッド数を搭載しています。
・キャッシュメモリの搭載量が第2世代Ryzenから倍増し、Ryzen 9 シリーズのキャッシュサイズは合計70MB(L2+L3)以上となりました。
・「第3世代AMD Ryzenプロセッサー」に採用される「Zen2」マイクロアーキテクチャは、以前の「Zen」マイクロアーキテクチャに比べ、クロックあたりの処理性能(IPC)が最大15%向上しました。
・倍増したキャッシュメモリによりゲームの読み込み時間が短縮され、ゲーミング性能が最大で21%向上しました。
・SIMD演算パイプラインが従来の128bit幅から256bit幅に拡張されており、浮動小数点演算性能が2倍になりました。
・現時点で最強の分岐予測「TAGE」により分岐予測精度を向上させ、分岐予測ミスが最大で30%低減しました。
・すべてのモデルで倍率ロックフリーとなり、X570チップセットやB450チップセットのマザーボードと組み合わせることでオーバークロックに対応します。
・「Precision Boost2」により必要に応じて標準で設定された最大値を超えて自動的にCPUの動作クロックが引き上げられます。
・AMD Ryzen Master Utilityをサポートし、オーバークロックや電圧などの制御がOS上から可能です。
・ネイティブでDDR4-3200メモリをサポートしました。
※Ryzen 9 3950Xは追って販売開始予定となります。

GPU

第3世代AMD Ryzenプロセッサーはグラフィックス機能は内蔵しないCPUですので、別途グラフィックカードが必要になります。
・GeForce RTXやRadeon RXなどのグラフィックスカードに対応し、SLIやCrossFireXを組むこともできます。※マザーボードの仕様によります。
※グラフィックス機能を統合するRyzen APUシリーズ(Ryzen 5 2400Gなど)と共通のSocket AM4マザーボードとなるため、グラフィック出力端子が付くマザーボードもありますが、「第3世代AMD Ryzenプロセッサー」搭載時は映像出力はされませんのでご注意ください。

チップセット・その他

・継続してSocket AM4を採用しており、CPUとチップセットの組み合わせを柔軟に行う事が出来ます。
・「第3世代AMD Ryzenプロセッサー」に対応したチップセットとして、最新のX570チップセットだけでなく、従来のAMD 400チップセット(X470・B450)やAMD 300チップセット(X370・B350)でも搭載可能となっています。
※AMD 400シリーズチップセットとAMD 300シリーズチップセットではBIOS更新が必須となりますので、各マザーボードメーカーのCPUの対応状況を確認下さい。

AMD Ryzenのセグメント

AMD Ryzenプロセッサーは、第7世代APU Aシリーズに対しハイエンド~メインストリーム向けのセグメントとなり、強力なCPU処理を必要とするクリエイターやゲーム向けのCPUとなります。

セグメント プロセッサ コア/スレッド キャッシュ PCIe NVMe DDR4 USB
ハイエンド 第3世代 Ryzen 9・7・5 最大16コア/32スレッド 最大72MB x16 Gen4 x4 Gen4 2ch 最大3200 USB3.2 Gen2 x4
メインストリーム
第2世代Ryzen 5 6コア/12スレッド 19MB x16 Gen3 x4 Gen3 2ch 最大2933 USB3.1 Gen1 x4
エントリー Ryzen APU 最大4コア/8スレッド
APU
6MB x8 Gen3 x4 Gen3 2ch 最大2933 USB3.1 Gen1 x4

AMD Ryzenのセグメント

Ryzenのモデルナンバーについて

Ryzenの製品型番(モデルナンバー)は次のようなルールで命名されています。

Ryzenのモデルナンバー命名ルールRyzenのモデルナンバー命名ルール

第3世代AMD Ryzenプロセッサーについて

8コア/16スレッドのRyzen 7の上位モデルとして、10コア以上を搭載したRyzen 9 が追加されました。
スペック的には、Ryzen 9 3950XはRyzen 7を2個、Ryzen 9 3900XはRyzen 5を2個搭載した格好となっています。

  Ryzen 9 3950X Ryzen 9 3900X Ryzen 7 3800X Ryzen 7 3700X Ryzen 5 3600X Ryzen 5 3600
製造プロセス 7nm
コア/スレッド 16/32 12/24 8/16 8/16 6/12 6/12
動作クロック 3.5GHz 3.8GHz 3.9GHz 3.6GHz 3.8GHz 3.6GHz
TurboCore 4.7GHz 4.6GHz 4.5GHz 4.4GHz 4.4GHz 4.2GHz
キャッシュ(L3) 64MB 64MB 32MB 32MB 32MB 32MB
PCI-Express Gen 4.0
レーン数 16
メモリ 対応メモリ DDR4-3200 / 2933 / 2667 / 2400 / 2133
最大容量 128GB※1
TDP 105W 65W 95W 65W
GPU 搭載なし
64bitコード AMD 64
SIMD命令 SSE SSE4.1/4.2
AVX AVX2
仮想化 AMD-V
セキュリティ機能 NX ビット
AES
対応ソケット AM4
対応チップセット AMD X570・X470・B450・X370・B350

第3世代AMD Ryzenプロセッサーのスペック比較

※1. X570チップセット搭載時の最大容量です。

第3世代AMD Ryzenプロセッサーの特徴:CPU

第3世代AMD Ryzenプロセッサーの”CPU”の主な特徴

・世界初の7nm製造プロセスのCPUとなり、また世界初のPCI-Express Gen4に対応するCPUとなります。
・最上位モデルとして、Ryzen 9 シリーズが追加され、Ryzen Threadripper シリーズに匹敵するコア数/スレッド数を搭載しました。
・Ryzen 9 3950 は16コア/32スレッドという、従来のRyzen 7 シリーズから倍増したコア数/スレッド数を搭載しています。
・キャッシュメモリの搭載量が第2世代Ryzenから倍増し、Ryzen 9 シリーズのキャッシュサイズは合計70MB(L2+L3)以上となりました。
・「第3世代AMD Ryzenプロセッサー」に採用される「Zen2」マイクロアーキテクチャは、以前の「Zen」マイクロアーキテクチャに比べ、クロックあたりの処理性能(IPC)が最大15%向上しました。
・倍増したキャッシュメモリによりゲームの読み込み時間が短縮され、ゲーミング性能が最大で21%向上しました。
・SIMD演算パイプラインが従来の128bit幅から256bit幅に拡張されており、浮動小数点演算性能が2倍になりました。
・現時点で最強の分岐予測「TAGE」により分岐予測精度を向上させ、分岐予測ミスが最大で30%低減しました。
・すべてのモデルで倍率ロックフリーとなり、X570チップセットやB450チップセットのマザーボードと組み合わせることでオーバークロックに対応します。
・「Precision Boost2」により必要に応じて標準で設定された最大値を超えて自動的にCPUの動作クロックが引き上げられます。
・AMD Ryzen Master Utilityをサポートし、オーバークロックや電圧などの制御がOS上から可能です。
・ネイティブでDDR4-3200メモリをサポートしました。

歴代Ryzen CPUのスペック比較

歴代のRyzen CPUの代表として上位シリーズを比較したものです。
Zen2コアを搭載する第3世代AMD Ryzenプロセッサーで大きく進化していることが分ります。

 モデルナンバー Ryzen 9
3950X
Ryzen 9
3900X
Ryzen 7
3800X
Ryzen 7
3700X
Ryzen 7
2700X
Ryzen 7
1800X
Ryzen 7
1700X
CPUアーキテクチャ Zen2 Zen+ Zen
製造プロセス 7nm 12nm 14nm
コア/スレッド 16コア/32スレッド 12コア/24スレッド 8コア/16スレッド
動作クロック 3.5GHz 3.8GHz 3.9GHz 3.6GHz 3.7GHz 3.6GHz 3.4GHz
MaxTurbo
(Precision Boost2)
4.7GHz 4.6GHz 4.5GHz 4.4GHz 4.3GHz 4.0GHz 3.8GHz
L3キャッシュ 64MB 64MB 32MB 32MB 16MB 16MB 16MB
PCI-Express Gen 4.0 3.0
レーン数 16
メモリ 対応メモリ DDR4
-3200
DDR4
-2933
DDR4
-2667
最大容量 128GB※1
TDP 105W 105W 105W 65W 105W 95W 95W
64bitコード AMD 64
SIMD命令 SSE SSE4.1/4.2
AVX AVX2(256bit) AVX2(128bit)
仮想化 AMD-V
セキュリティ機能 NX ビット
AES
対応ソケット Socket AM4
対応チップセット X570・X470・B450・X370・B350 X570・X470・B450・X370・B350・A320 X470・B450・X370・B350・A320

第3世代AMD Ryzenプロセッサーのスペック詳細比較

※1. X570チップセット搭載時の最大容量です。

第3世代AMD Ryzen と他のハイエンドCPUとの比較

いずれも2019年7月時点の各社CPUを比較しました。

 モデルナンバー Ryzen 9 3950X Ryzen 7 3800X Thread
ripper
2990WX
Thread
ripper
2950X
Core i9-9980XE
Extreme Edition
Core i9-9900K Core i7-9700K
CPUアーキテクチャ Zen2 Zen+ BasinFalls Coffee Lake
製造プロセス 7nm 12nm 14nm
コア / スレッド 16コア / 32スレッド 8コア / 16スレッド 32コア / 64スレッド 16コア / 32スレッド 18コア / 36スレッド 8コア / 16スレッド 8コア / 8スレッド
動作クロック 3.5GHz 3.9GHz 3.0GHz 3.5GHz 3.0GHz 3.6GHz 3.6GHz
最大クロック 4.7GHz 4.5GHz 4.2GHz 4.4GHz 4.5GHz 5.0GHz 4.9GHz
L3キャッシュ 64MB 32MB 64MB 32MB 24.75MB 16MB 12MB
PCI-Express Gen 4.0 3.0
レーン数 16 64 44 16
メモリ 対応メモリ DDR4-3200 DDR4-2933 DDR4-2666
最大容量 128GB
TDP 105W 105W 250W 180W 165W 95W
64bitコード AMD 64 intel 64
SIMD命令 SSE SSE4.1/4.2
AVX AVX2(256bit) AVX2(128bit) AVX-512 AVX2(256bit)
仮想化 AMD-V      
VT-x        
セキュリティ機能 NX ビット      
XDビット        
AES
対応ソケット Socket AM4 Socket TR4 LGA 2066 LGA1151
対応チップセット X570・X470・B450・X370・B350 X399 Intel X299 Intel 300シリーズ

第3世代AMD Ryzen と他のハイエンドCPUとのスペック比較表

第3世代AMD Ryzenプロセッサーの特徴:X570チップセット

AMD X570チップセット の主な特徴

・従来のRyzenシリーズと同様にSocket AM4を採用しており、第2世代RyzenシリーズやRyzen APUシリーズと下位互換性が有ります。(第1世代Ryzenへの対応は、マザーボードメーカーによります)
・第3世代AMD Ryzenプロセッサーと組み合わせた場合のみPCI Express Gen4が使用可能となります。第2世代RyzenシリーズやRyzen APUシリーズで使用した場合は、PCI Express Gen3となります。
・第3世代AMD Ryzenプロセッサーに最適化されており、チップセットとCPU間の接続もPCI Express Gen.4が使用され、チップセットの機能をフルに使うことができます。

第3世代AMD Ryzenプロセッサー対応チップセットについて

・継続してSocket AM4を採用しており、最新のX570チップセットだけでなく、従来のAMD 400チップセット(X470・B450)やAMD 300チップセット(X370・B350)でも搭載可能となっています。
※AMD400チップセットとAMD300チップセットではBIOSでの対応が必須となりますので、CPUの対応状況を確認下さい。

チップセット AMD 500
シリーズ
AMD 400 シリーズ AMD 300 シリーズ
X570 X470 B450 X370 B350
ソケット AM4
PCI Express レーンの最大数 16 8 6 8 6
PCI-Express 4.0 2.0
USB3.1ポートの最大数 8 2 2 2 2
USB3.0ポートの最大数 0 6 2 6 2
USB2.0の最大数 4 6 6 6 6
SATA Expressポートの最大数 0 2 2 2 2
SATA 6.0 Gb/s ポートの最大数 12 6 4 6 4
RAID構成 0/1/10
SLI対応 × ×
CrossFireX対応
オーバークロック対応

第3世代AMD Ryzenプロセッサー対応チップセットのスペック比較

第3世代AMD Ryzenプロセッサーと X570チップセットのブロック図

従来のAMD 400チップセットやAMD 300チップセットと比べると、チップセットから出ているPCI ExpressがGen2からGen4に高速化されています。
代わりにSATA Expressのサポートが無くなりました。

第3世代AMD Ryzenプロセッサーと X570チップセットのブロック図第3世代AMD Ryzenプロセッサーと X570チップセットのブロック図

各世代 Ryzenと 各チップセットの対応表

  X570 X470 B450 X370 B350 A320
第3世代Ryzen CPU
(Ryzen 9 3900Xなど)
〇※2 〇※2  
第2世代Ryzen CPU
(Ryzen 7 2700Xなど)
第1世代Ryzen CPU
(Ryzen 7 1800Xなど)
 
第2世代Ryzen APU
(Ryzen 5 3400Gなど)
第1世代Ryzen APU
(Ryzen 5 2400Gなど)
〇※2

各世代 Ryzenと 各チップセットの対応表

※2:各マザーボードごとの対応BIOSが必要です

第3世代AMD RyzenプロセッサーFAQ

Q.「第3世代AMD Ryzenプロセッサー」で自作したんだけど、画面が出ません。

A.「第3世代Ryzen」はグラフィックス機能を内蔵していませんので、別途グラフィックスカードが必要となります。
X570チップセットなどSocket AM4マザーボードは、グラフィックス機能を内蔵したRyzen APUシリーズ(Ryzen 5 2400Gなど)と共通のマザーボードとなります。
マザーボードの仕様によってはHDMIやDisplayPortなどのグラフィック出力端子が付きますが、「Ryzen」搭載の際には映像出力はされませんのでご注意ください。

Q.今まで使っていたRyzen を第3世代AMD Ryzenプロセッサーに載せ換えたい!

A.第3世代RyzenはX570チップセットだけでなく、従来のAMD 400チップセット(X470・B450)やAMD 300チップセット(X370・B350)でも搭載可能となっています。
ただし、AMD 400シリーズチップセットとAMD 300シリーズチップセットではBIOS更新が必須となりますので、各マザーボードメーカーのCPUの対応状況を確認下さい。

Q.「第3世代AMD Ryzenプロセッサー」で組み立てたけど起動しない!

A.「第3世代AMD Ryzenプロセッサー」はグラフィックス機能は内蔵していませんので、別途グラフィックカスードが必要となります。
また、モニターとの接続がグラフィックスカードとなっているか確認して下さい。
メモリの搭載位置に注意して下さい。メモリの搭載位置についてはマザーボードの取扱説明書をご確認下さい。

Q.PCI-Express Gen3のグラフィックスカードをPCI-Express Gen4のスロットに取り付けはできますか?

A.PCI Express Gen.4のスロットの形状に変更はなく、下位互換性がございますので、問題なく取り付けることができます。
ただし、PCI Express Gen.4の端子に取り付けても動作はPCI-Express Gen3となります。

ライタープロフィール 職人5号

Windows2000登場前からほぼ一貫してPC製造部門に従事。PC組立はもちろん、OSイメージの作成や製造時のトラブルシュートを行う。 その経験を生かしてOSの基本情報や資料室を担当する事が多い。

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