中小企業のIoT導入に向けた取り組みのポイントについて、IoTセミナーで講師を務める石郷さんに、IoTを導入するメリットやどこから始めるのかをインタビューにてお伺いしました。

ソリューション最終更新日: 20190923

中小企業のIoT導入のポイント

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IoT(Internet of Things、モノのインターネット)という言葉が様々なところで聞かれるようになってきていますが、スマートスピーカーや家電だけではなく、IoTは幅広い業種、分野における業務の効率化という点でも非常に注目を集めています。
今回は中小企業向けのIoTセミナーで講師を務め、NEXMAGでもマイコンボードやRaspberry Piなどの記事でご協力いただいている4D Pocketの石郷さんに、IoT導入に向けた取り組みのポイントについてお話を伺いました。

IoTで身の回りのあらゆるものを一層便利に使うことができる

IoT(Internet of Things)という名前の通り、様々なものがインターネットにつながり便利に使用できる、というイメージのIoTですが、あらためてIoTとはどんなものなのでしょうか?

これまで人が使ってきた道具はその場で使われるものがほとんどで、例えばドアであればその場で開閉をし、イスであればその場で腰掛けて座ります。これは電子機器であっても基本的には同じで、炊飯器でも電気スタンドでも、その場でスイッチを操作して使用します。

その後、人が操作をする場所と実際に道具が動作する箇所が離れた状態、つまり遠隔で操作をする方法が生まれます。これが「遠隔操作=リモートコントロール」で、道具から離れた状態で操作をするものがリモコン、ということになります。
初期のリモコンは純粋に機器を操作することだけが可能でしたが、例えばエアコンのリモコンでは、現在の運転モードや本体のセンサーが計測した外気温を表示するなど、機器の状態や機器を介して収集した情報を表示することもできるようになってきました。

IoTはこうした道具の操作、道具の状態などの情報表示がネットワークを介して可能になる、というものです。対象となる道具は電子機器だけではなく、電気を用いない道具にも電子部品を組み合わせることでネットワークを介した使用や情報収集などが可能になります。

IoTにより今までネットワークに接続していなかったものも含め、身の回りのあらゆるものを一層便利に使うことができるので、これからさらにいろいろな場面で活用されていくと思っています。

業務におけるIoT活用

IoTというと、今お話いただいたような家電のように普段の生活で使うものでの事例がよく取り上げられていると思いますが、業務の中ではどのように活用されているのでしょうか?

その場に行かなくてもその場の様子が把握できる、という特徴を利用して、工場で機械の状態(ケーブルの温度などに異常がないか)を把握・記録したり、建設現場で稼働する機械の情報の確認、農園における作物の状態や気象状況の把握など、それまでは人がその場に出向いて一つずつ確認をする必要があったような場面において、IoTを活用した事例が増えつつあります。
また、少し変わったところでは医療・介護の現場で身体に取り付けたセンサーから排泄時間を予測したり、温泉旅館の大浴場のお湯の温度を管理したりと、活用される業種も広がってきているようです。

挙げていただいた事例だけでもIoTが業務に役立つ場面が多いと思いましたが、一方で課題になる部分としてはどういったことがありますか?

IoTを導入・活用しようとする場合に課題となる要因としてよくあるのが、IoTで解決すべき課題の抽出が不十分である、ということです。
「何を解決したいか?」という目的がはっきりしないまま手法だけを学んでも、それを活かす場がないままになってしまうケースを見かけます。

また、検討や試作時の機器選定が適切でなかったりして、導入にコストをかけすぎてしまい、取り組みが物理的に継続できなくなる、という状況も考えられます。
少なくとも最初の段階では小規模で技術的なハードルの低いもので、かつ具体的な課題解決がイメージできるものから取り組みを始められると良いと思います。

中小企業だからこそIoTを導入するメリットがある

コストのお話も出てきましたが、中小企業でもIoTを導入して、コストに見合うメリットはあるのでしょうか?

IoTによって解決したい課題の内容や、どんな体制で臨むかによってIoTが有効な場合、効果が現れにくい場合もありますが、個人的には中小企業こそ、IoTを導入することによるメリットを感じられる場面は多いのではないかと考えています。
先ほどの事例にもあったように、都度それぞれの場所に行って対応が必要になるような業務をIoTによって効率化できれば、リソースを有効に使いたいと考えている中小企業にとってはより少ないリソースで製品やサービスの質を向上させるだけでなく、組織としての業務も効率化でき、いわゆる働き方改革にもつながります。

上記の例だけでなく、課題と解決手法がうまくマッチすれば、むしろ中小企業の方がIoTによる改善のインパクトも大きいのではないかと考えています。

中小企業がIoT導入を検討する場合、何から始めれば良いでしょうか?

先ほども話したように、まずは現状の自社の業務の中で無駄になっている部分、細かなことでも不便に感じている部分を吸い上げることから始められると良いと思います。
その上で、抽出した課題がIoTで解決できるものなのかどうか、IoTの知見がある人に話を聞いてみたり、地域でIT関係のサポートをしている団体などに問い合わせるとよいと思います。
近くに相談できるところがない、どこに相談してよいかわからない場合は、インターネット等でIoT関係のセミナーを探して参加し、講師の方に相談するのも良いきっかけになると思います。

ライタープロフィール パソコン工房NEXMAG
[ネクスマグ] 編集部

パソコンでできるこんなことやあんなこと、便利な使い方など、様々なパソコン活用方法が「わかる!」「みつかる!」記事を書いています。

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