Adobe Photoshopデスクトップ版のバージョン22.0で搭載された、レタッチ・編集作業向け「髪の毛を調整」「ライブシェイプ」機能などをご紹介します。

クリエイター最終更新日: 20211020

Adobe Photoshop 2021 レタッチ・編集向けの便利な機能を紹介

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Adobe Photoshopデスクトップ版のバージョン22.0で搭載された「ニューラルフィルター」「空を置き換え」機能はAIを活用した機能として注目を集めましたが、今回は日頃のレタッチ・編集作業を便利にしてくれる「髪の毛を調整」「ライブシェイプ」などの実践的な機能についてご紹介しましょう。

複雑な切り抜きをクリックだけで実現「髪の毛を調整」機能

最近のPhotoshopのアップデートでは「ニューラルフィルター」や「空を置き換え」などAIを活用して利便性を高めていく流れが明確になっていますが、「選択とマスク」ワークスペースにもその波が及んでいます。

「選択とマスク」ワークスペースは、選択範囲の細かな調整を行う専用のウィンドウで、「境界線調整ツール」など複雑な処理を行うツールやプロパティが用意されています。

ここに新たに追加されたのが「髪の毛を調整」機能です。写真を開いてほんの数クリックで、髪やファーなどの細かな部分を自然に選択することができます。

ツールバーで「選択範囲ツール」を選択し、上部の「オプションバー」にある「選択とマスク」をクリック。ワークスペースが開いたら「被写体を選択」をクリック。さらに「髪の毛を調整」をクリックすれば完了です。

境界線調整を被写体に合わせて使い分ける「調整モード」

「選択とマスク」ワークスペースの機能をもう1つ。こちらはプロパティに追加された「調整モード」で、「エッジの検出」「髪の毛を調整」「境界線調整ブラシ」ツールを使用する際の境界線の調整方法を設定します。

「背景色に応じた」モードは、シンプルな背景またはコントラストの強い背景からオブジェクトを選択する場合に使います。

「オブジェクトに応じた」モードは、複雑な背景から髪やファーなどの細かなオブジェクトを選択する場合に使います。

回転・角丸が柔軟になった「ライブシェイプ」

Webデザインなどでよく使われる「ライブシェイプ」機能も強化されています。シェイプを描画したらすぐに変形ハンドルが表示され、移動や変形がスムーズに。また角丸処理もハンドルで調整可能になりました。

プロパティパネルには回転角度のプルダウンや反転ボタン、回転を元に戻すボタンが追加され、変形の自由度が高まりました。また、ツールの種類には新たに「三角形」ツールが加わっています。

なお、直線ツールでシェイプはあるのにピクセルが描画されない場合は、「線オプション」の「整列」を確認しましょう。

「コンテンツに応じた塗りつぶし」が右クリックに

「コンテンツに応じた塗りつぶし」はレタッチの手間を削減してくれる神機能のひとつ。写真に映り込んだモノを消したり、余白を伸ばしたい場合に、自動的に周辺のピクセルをサンプリングして選択範囲を塗りつぶすことができます。

もともとPhotoshop CS5で「塗りつぶし」機能のオプションとして登場し、CC2019でコマンドとして独立。「編集」メニューに組み込まれていました。現在は選択範囲の右クリックメニューにも入り、ワークスペースを手早く開けるようになりました。使ったことのない方も、この機会にぜひ試してみてください。

試す価値あり「コンテンツに応じたトレース」ツール

こちらはオブジェクトをパスでトレースする作業の多い方に心強い機能です。オブジェクトの境界線をクリックするだけで効率よくパスを描画できます。

この機能を使うには、「環境設定」→「テクノロジープレビュー」→「コンテンツに応じたトレース」を有効にして、Photoshopを再起動します。

テクノロジープレビュー段階の機能で、まだ完全に実用レベルとは言えませんが、用途に応じて試してみてはいかがでしょうか。

プラグインを「マーケットプレイス」で一元管理

上部のメニューに「プラグイン」という項目が追加されました。ここを開いて「プラグインを参照」を選択すると、Creative Cloud デスクトップアプリの「マーケットプレイス」が開きます。さまざまなプラグインをここでインストール・管理できるようになりました。ダウンロードしたりフォルダへコピーするなどの手間なく、インストールしてすぐ使用することができます。

なお、マーケットプレイスには従来の「エクステンション」も表示されますが、こちらは従来通りのインストール作業が必要です。

Photoshop経験の長い人ほど、アップデートに気付かないまま従来の使い方を続けてしまいがちです。日々の操作を効率化してくれる機能をぜひ活用してみてください。

ライタープロフィール 笠井美史乃

Webサイトや雑誌で記事の執筆・編集をしています。主な分野は、スマートデバイス、Webマーケティング、企業取材など。緩めのアニメオタクで毎期4〜5本完走しています。生きがいはパフェ。

記事を
シェア