液晶ペンタブレット、板型ペンタブレット、タブレットPCなど、数多くの製品の中からこれからイラストやデザイン制作を始める初心者の方が自分に合った製品を選ぶ際の主なポイントについてご紹介いたします。

クリエイター最終更新日: 20200406

初心者におすすめのペンタブレットの選び方

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パソコンでイラスト・デザイン制作をされる方におすすめのデバイスとしてペンタブレットがあります。 ペンタブレットは主に、液晶ディスプレイ搭載のペンタブレット(通称、液タブ)と板型のペンタブレット(通称、板タブ)に加え、別途パソコンを必要としないタブレットPCを加えた3種類があります。 本記事ではこれからイラストやデザイン制作を始められる初心者の方へ数多くの製品の中から自分に合った製品を選ぶ際の主なポイントについてご紹介いたします。

初心者の方がペンタブレットを選ぶポイント

まず、主なタブレットについてご紹介します。

液晶ペンタブレット
タブレット自体に液晶画面が搭載されており、外部ディスプレイを必要とせず、専用のペン(スタイラスペン)で直接画面に絵やデザインを描くことができます。

液晶ペンタブレット(イメージ)液晶ペンタブレット(イメージ)

板型ペンタブレット
パソコンの液晶ディスプレイを見ながら手元のタブレットで操作するため、ある程度の慣れが必要となりますが、タブレット自体に液晶画面が搭載されていないため、液晶ペンタブレットと比べて低コストとなっています。

板型ペンタブレット(イメージ)板型ペンタブレット(イメージ)

タブレットPC
端末自体にOSが搭載されており、PCレスでペイントソフトの他、様々なソフトウェアをインストールして使用することが可能です。

液晶ペンタブレット、板型ペンタブレット、タブレットPC、どれも数多くの製品がリリースされており、これからペンタブレットの購入を検討されている方にとって、どのポイントを抑えておけば自分にあった製品を選ぶことができるのか悩まれている方も居られるかとおもいます。
ペンタブレットを選ぶ際の主なポイントについて、重視したいのは下記7つとなります。

①「画面サイズ」
②「筆圧レベル」
③「遅延(応答速度)」
④「解像度」
⑤「色域(Adobe RGB、sRGB等)カバー率」
⑥「ショートカット機能」
⑦「接続方式」

それではそれぞれのポイント別にご紹介いたします。

画面(入力エリア)サイズ

ペンタブレットは基本的には大きいものの方が描きやすいといわれています。画面に対して直接書き込む液晶ペンタブレットでは、作業スペースを広くとることができますし、板型ペンタブレットでは、画面の大きさに対して近い比率で腕を動かすことができるので直感的な操作が可能になります。ただし大きくなることで当然コストもあがり高価になりますし、設置するスペースもそれなりに必要です。

板型ペンタブレットは、メーカーによって異なりますが、使用している液晶モニタの大きさに合わせて選択することが大事です。
例えばWACOMの製品の場合、使用している液晶モニタの大きさに応じたサイズ分けがされており、手持ちの液晶モニタが15インチ以下の場合はSmall、15~24インチの場合はMedium、24インチ以上の場合はLargeがおすすめされています。目安として読み取り範囲を用紙サイズで表すと、SmallでおおよそA6サイズ、MidiumでA5サイズ、LargeでA4サイズ程度が設定されています。
板型ペンタブレットはパソコンの液晶ディスプレイの大きさに対して相対的にペン先の位置が認識されるため、ディスプレイの大きさに対して大きく異なるサイズを選んでしまうと、入力エリアに引いた線の長さが、長くなったり、短くなったりし、イメージ通りの操作がしづらくなりますので、ご注意ください。

液晶ペンタブレットは、液晶画面の大きさに合わせて主に13インチ、16インチ、22インチ、24インチ、32インチといったサイズで分けられています。A4サイズの原寸は16インチサイズ、B4サイズになると24インチがそれに相当します。
大きな画面であれば、作業スペースを大きくとることができ、全体のバランスを計りながら緻密で精細な部分まで描き込みをおこなえます。

タブレットPCは、6インチのスマートフォンよりも若干大きいサイズの7インチから、ノートパソコンのディスプレイサイズ程の15インチ程度のものがあります。画面(入力エリア)サイズとしては、上記2種類のペンタブレットと比べて小さくなってしまいますが、持ち運びに便利な利点を活かし、外出先でイラスト・デザイン制作が行えるのがポイントです。

筆圧レベル

液晶画面や入力エリアにペンで線を引く際に、線の太さや色の濃さを感知するのが筆圧レベルです。
筆圧レベルは数字が高いほど感度の精度が高くなり、筆圧の強弱を細かく表現でき、実際のペンで描いているような自然な線を引くことができます。1024段階もあれば十分ですが、高機能なものになると2048段階、4096段階、8192段階もの筆圧を検知します。
筆圧のほか、ペンの傾き検知や、本体の回転検知に対応する製品もありますので、ペンタブレット本体の機能はもちろん、ペンの機能性も製品選びのポイントです。

遅延(応答速度)

上記、筆圧レベルとともに重要となるのが、液晶ペンタブレットやタブレットPCに搭載されている液晶画面の遅延(応答速度)です。(液晶画面のGTG等の応答速度とは異なります。)
これは液晶画面上にペンで線を引いてから実際の描画まで、わずかに時間差があり、この遅延が大きいと思うような線が描けないこともあるので注意が必要です。
また、ペンの検出位置がペン先に近ければ近いほど、思い通りの線を引くことができるので、遅延(応答速度)と合わせ、座標の正確性もポイントとなります。
板型ペンタブレットの場合はパソコンの液晶ディスプレイに表示されるポインタの位置を確認しながら操作するため、遅延は感じにくいですが、液晶ペンタブレット同様この遅延が少ないほうが描きやすいものとなります。

画面解像度

解像度は、液晶ペンタブレット、タブレットPCの液晶画面に表示される総画素数のことで、画素数が多くなればなるほど、繊細な表示が可能です。
一般的には1920×1080ドットのフルHDに対応した製品が多く見受けられますが、さらに広範囲である3840×2160ドットの4Kに対応した製品もあります。
液晶駆動方式もIPS、VA、TNといった様々なパネルの仕様により、それぞれの特徴があり、板型ペンタブレットを使用される際のパソコンに接続する液晶ディスプレイにも同じことがいえます。

・IPS…高視野角な液晶パネルとなっており、角度による色味の変化も少ないのが特徴です。
・VA…コントラスト比が高く、深みのある色合いを表現できます。視野角も広いです。
・TN…視野角こそIPSと比べて狭くなるものの、応答速度も速く、コスト面が抑えられています。

色域(Adobe RGB、sRGB等)カバー率

液晶ペンタブレット、タブレットPCの液晶画面に表示される色域(Adobe RGB、sRGB等)のカバー率が高いほど、色の再現率が高く、細かな色の違いも表現できます。
板型ペンタブレットの場合はパソコンの液晶ディスプレイによって色域が異なるため、好みの発色の液晶ディスプレイを選べたり、買い替えなどで対応することができます。
Webに掲載するような制作物の場合は、sRGBに対応したもので十分ですが、印刷物として出力するような場合は、Adobe RGBやDCI-P3といったsRGBよりも広い色域のモニタを使用する方がより、イメージに近い形で制作物を得ることができます。
色の正確性や、印刷物への色味の一致が必要な場合は、カラーキャリブレーションに対応した液晶モニタを別途用意し、タブレットと併用することがおすすめです。

ショートカット機能

液晶ペンタブレットや板型ペンタブレットの場合、本体に搭載されているダイヤルキーやファンクションキーを使用することで機能をカスタマイズできます。ショートカット機能を利用することでキャンパスに描く線の太さの変更や、画面回転、レイヤーの切替など、作業効率を高めることができます。
タブレットPCの場合は画面を直接指などで操作することができますので、あまり重視されないでしょう。必要に応じて外部キーボードやマウスを接続してショートカット機能を利用することができます。

接続方式

液晶ペンタブレットは、一般的にはパソコン側の接続端子にHDMIやDisplayPort(またはMini DisplayPort)で接続する製品が多いですが、USB Type-C(またはThunderbolt3)で接続する製品もありますので、お使いのパソコンの接続端子を事前に調べておくとよいでしょう。空きがあるのか、空きの端子の形状が何かの確認が必要です。変換ケーブルを使用する方法や、グラフィックスカードを増設するなどで目的の端子を別途用意することが可能です。
板型ペンタブレットの場合は、USB接続もしくは、Bluetoothなどでの無線接続に対応したものもあります。USB端子に空きがあるか事前に確認しておきましょう。

ペンタブレットのおすすめポイント

上記のペンタブレットを選ぶポイントを踏まえ、液晶ペンタブレット、板型ペンタブレット、タブレットPCのおすすめポイントをまとめてみます。

液晶ペンタブレットのおすすめポイント

液晶ペンタブレットの最大の特徴は、なんといっても画面に直接描くため、直感的な作業ができることでしょう。
イラスト・デザイン制作の際に、紙媒体にペンで書き込んで作業されていた方はアナログ作業からデジタル作業への移行に違和感なく移行でき、作業効率も上がることから液晶ペンタブレットがおすすめです。
ただし液晶画面を内蔵する関係上、板型ペンタブレットよりも倍以上高価になります。とはいえ、最近ではかなり価格が下がっており、10万円を切るコストパフォーマンスに優れた製品が登場しています。

板型ペンタブレットのおすすめポイント

リーズナブルにイラスト・デザイン制作環境を整えたい方は板型ペンタブレットがおすすめです。数千円程度からで入手することができ、3万円台のものでプロでも使えるグレードのものが入手できます。また接続先がパソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットに対応したものもあります。
板型ペンタブレットは、ペンタブレットの導入のハードルも低く、趣味で絵を描きたい方から、ペンタブレットをサインや書類記入などのお仕事に利用される方まで幅広くご利用いただけます。

タブレットPCのおすすめポイント

タブレットPCは、液晶ペンタブレットと同様、画面に直接描くことができ、外部にパソコンが別途必要無いため作業場所を選ばないのが最大の特徴です。液晶ペンタブレットとの違いは、PCの機能性を重視していることや価格を抑えるため、ペンが別売りであったり、筆圧感知やペンの回転などの感知の性能が必要最低限であることが多いです。液晶ペンタブレットにそん色ない性能の高いものももちろんありますが、
非常に高価であることが多いので事前に実機で動作を確認するとよいでしょう。とはいえ、場所を選ばずいつでも慣れた環境で作業ができるというのは他の製品にはない大きなアドバンテージですので、ここにメリットを強く感じるのであれば有力な選択肢となるでしょう。

ライタープロフィール 職人7号

360度どこからみても凡人、職人番号ラッキー7!職人7号です。主に写真撮影、動画編集を担当。パソコン工房ECサイトのBTOPCや自作パーツ等ひろく手掛ける。店舗部門出身。

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