Windows 10搭載パソコンへのHDD増設手順をご紹介します。Windows 7から乗り換えた方から「Windows 10でディスクの管理が分かりにくくなった」という声も聞かれますが、今回は初心者の方にも分かりやすいよう詳しく説明します。

ITトレンド最終更新日: 20191003

HDD 増設の手順(Windows 10)

ゲームをたくさんインストールしたり、高解像度の画像、動画や音楽ファイル等を保存したりと長くパソコンを使用しているとストレージの空き容量が知らない間に圧迫されていることがありませんか?こういった問題はHDDやSSDといったストレージを増設することで解決する事が可能です。今回はWindows 10搭載パソコンにストレージの増設を行う手順をご紹介したいと思います。

HDDの増設手順

1. ストレージを取り付ける

ストレージの空き容量が少なくなった場合、不要なファイルやアプリケーションの削除が有効ではありますが、根本的な容量不足の問題を解決する手段としてはハードディスクやSSDといったストレージの増設が挙げられます。

内蔵タイプの場合、HDDであれば2.5インチもしくは3.5インチ、SSDであれば2.5インチ、M.2 SATA、M.2 NVMeと様々な選択肢が存在します。お手持ちのパソコンのマザーボードがどの規格に対応するか、また取り付け用ベイ及びスロットの空きが有るかを事前に確認しておきましょう。

今回はパソコン工房で販売中のLEVEL∞(レベル インフィニティ)シリーズのミドルタワータイプのケースを例に3.5インチHDDを増設する手順をご紹介します。

※作業は必ずパソコンの電源を切った状態で行って下さい。またストレージは静電気にとても弱いため注意してください。万が一のデータの消失に備え、重要なデータのバックアップを取っておきましょう。弊社ではお客様ご自身の作業によって発生したデータ消失、機器の故障については補償致しかねますので予めご了承ください。

LEVEL∞ゲームPCケースのサイドパネルを外した状態

シャドウベイからハードディスク取り付け用のマウンタを引き抜きます。

LEVEL∞ゲームPCケースのストレージ用マウンタ

こちらのケースは付属のマウンタにてネジを使わずに3.5インチハードディスクを取り付け可能です。(2.5インチのストレージもネジ止めにて取り付け可能です。)
ストレージの取り付け方法はPCケースによって異なりますので増設をご検討する場合は事前にお手持ちのパソコン内部を確認するようにしましょう。

ストレージ用マウンタに増設するハードディスクを取り付けた状態

マウンタに装着したハードディスクをシャドウベイに取り付けます。奥まで押し込むとカチっと手ごたえがあります。

マウンタに装着したハードディスクをシャドウベイに取り付け

マウンタにストレージを取り付けたらマザーボードのS-ATAポートとストレージをS-ATAケーブルで接続します。また電源供給用のコネクタの取り付けを忘れないようにしましょう。

装着したハードディスクにS-ATAケーブル・電源ケーブルを接続した状態

2. スタートメニューの「管理ツール」から「ディスクの管理」を確認する

ストレージは取り付けただけではデータの保存を行う事はできません。保存領域として使用できるようにするためにはWindows 10の「ディスクの管理」という機能を用いる必要があります。

スタートメニューから「Windows管理ツール」→「コンピュータの管理」の順に進んでいきます。

スタートメニューからコンピュータの管理を選択

コンピューターの管理の画面が開きます。「記憶域」の中の「ディスクの管理」をクリックします。

「記憶域」の中の「ディスクの管理」をクリック

ディスクの管理を開くとパソコンに接続されているストレージ類がまとめて表示されます。(未使用のストレージを取り付けた場合は「ディスクの初期化」のメニューが自動的に表示される場合があります。)
通常はWindows 10がインストールされているストレージがボリュームCになっています。増設を行った直後のストレージは「不明」として認識されます。まずは取り付けたストレージがこのように認識されているかを確認しましょう。
※内蔵されているドライブ、追加したドライブがどのディスク番号(「ディスク0」「ディスク1」・・・)になっているかは お使いのパソコンにより異なります。間違って目的のディスク以外を操作してしまわないよう、表示されている容量などを 参考に十分ご確認下さい。

ディスクの管理の画面

3. 「ディスクの管理」からパーティションスタイルを適用する

取り付けたストレージをデータ保存領域として使用するためには「ディスクの初期化」を行う必要があります。「不明」と認識されているディスクをクリックするとディスクの初期化メニューが表示されます。

ディスクの管理の画面で「不明」と表示されているディスクをクリックして出るディスクの初期化メニュー

「選択したディスクにパーティションスタイルを使用する」の項目にあるMBRとGPTの選択が表示されます。 両者の主な違いですが、

MBR (マスターブートレコード)
従来からの方式。WindowsXP以前のOSにも対応しますが、認識できる容量が2TBまで。 

GPT (GUIDパーティションテーブル)
WindowsVista以降の新しい方式。2TBを超える容量に対応。WindowsXP以前のOSでは未対応。

2TBを超える場合はGPTが必須です。増設したいストレージに容量的な制約がない場合はどちらを選んでも特に問題はありません。USB外付けハードディスクとして使用する場合など、旧来のOSとの互換性を重視する場合はMBRにしておいた方が無難です。今回はWindows 10パソコンに内蔵させますので、すべての容量を使えるGPTを選択して作業を進めます。

パーティションスタイル適用後はディスク1の名称が「不明」から「ベーシック」に変更になります。
続けてパーティションの作成を行います。

パーティションスタイル適用後はディスク1の名称が「不明」から「ベーシック」に

「未割り当て」と認識されている部分にカーソルを合わせ、右クリックで表示されるメニューから「新しいシンプルボリューム」を選択します。

新しいシンプルボリューム作成

新しいシンプルボリュームウィザードの開始が表示されますので「次へ」をクリックします。

新しいシンプルボリュームウィザード

4. パーティションサイズを指定する

新しく作成するパーティションの容量を指定することが出来ます。パーティションの分割をしたい場合はここで任意の数字を入力します。特に指定がなければ最大ディスク領域の数字を入力すれば増設したストレージがまるごとひとつのパーティションになります。

新しいシンプルボリュームウィザードのパーティションサイズ指定画面

5. ドライブ文字を指定しフォーマットする

ドライブ文字の割り当てを行います。こちらも特に指定がなければそのまま「次へ」をクリックします。

新しいシンプルボリュームウィザードのドライブ文字指定画面

パーティションのフォーマット画面が表示されます。こちらも特に指定がなければそのまま「次へ」をクリックします。クイックフォーマットのチェックを外した場合は不良セクタを確認しながらのフォーマットになります。容量にもよりますが非常に時間がかかります。クイックフォーマットを選べば不良セクタのチェックを省略することで作業時間の短縮が可能です。お時間に余裕が有れば通常のフォーマットが好ましいですが、状況に合わせて選択して頂ければと思います。今回はクイックフォーマットにて作業を進めます。

新しいシンプルボリュームウィザードのフォーマット画面

パーティションの作成が完了するとこのように表示されます。

新しいシンプルボリュームウィザードのシンプルボリューム作成完了画面

ディスク1がボリュームFとして認識されました。

ボリューム(F)作成後のディスクの管理画面

エクスプローラー上にボリューム(F)として表示されデータの保存ができるようになりました。パーティションを分割した場合は各パーティションごとに以上の手順を繰り返してください。

作成したボリューム(F)をエクスプローラーで表示

スパンボリュームで空きストレージを有効活用

ひとつのストレージ(パーティション)に単独の記憶領域を作成するのがシンプルボリュームですが、Windows 10搭載の機能により別の形式でボリューム作成が可能です。
今回は複数のストレージをひとつにまとめてボリュームを作成可能なスパンボリュームをご紹介します。容量の異なる複数のストレージをひとつのボリュームにまとめて利用する事が可能です。

シンプルボリュームとスパンボリュームの比較図

1. 新しくボリュームを作成する

スパンボリュームの設定するためには各ストレージがボリュームとして認識されている必要があります。前項の手順に従ってスパンボリューム化したい各ストレージにて初期化を行います。
※Cドライブ(Windows起動用ブートドライブ)はスパンボリューム化は出来ませんのでご注意ください。

ここではディスク0とディスク1をスパンボリューム化していきます。ディスク0は1TB、ディスク1は2TBのHDDです。(Windows上で認識する実容量は931GB、1863GBです。)

未割り当てのボリュームを2つ用意した場合のディスクの管理画面

2. スパンボリューム化したいストレージを選択する

各ストレージの初期化が済んだらスパンボリュームの作成にはいります。まず「未割り当て」と表示されている部分にカーソルを合わせ右クリックします。ボリューム作成のメニューが表示されますので「新しいスパンボリューム」を選択します。

スパンボリューム作成メニュー

利用可能なディスクに初期化されたストレージが表示されていますので「追加」を押し、スパンボリューム化したいストレージすべてに適用します。

ディスクの選択画面

ディスクの追加完了後

3. パーティションサイズ、ドライブ文字を指定しフォーマットする

スパンボリューム化したいストレージを追加しおえたら画面の手順に従い進んでいき、ディスクの領域、ドライブ文字、フォーマット等を設定していきます。特に指定の無い限りは標準設定のままで問題ありません。

スパンボリュームのフォーマット画面

フォーマット完了後

4. ダイナミックディスクに変換する

最後にダイナミックディスクへの変換に関するポップアップが表示さますので「はい」を押します。

ダイナミックディスクへの変換前の確認

設定したストレージがダイナミックボリュームに変換され、スパンボリュームが作成されます。フォーマットには容量・構成によりある程度時間がかかりますのでご注意ください。

フォーマット中の状態

二つのストレージの容量が合算されたボリュームFが作成されました。

フォーマット完了

スパンボリューム化で複数のストレージをひとつの大きなボリュームとして使用することで大容量データの扱い等、使い勝手が向上します。注意点としては見た目はひとつのボリュームであっても実際は複数のストレージに連続したデータがまたがって保存されているため、スパンボリュームを構成しているストレージの内1つでも故障した場合はデータを読み出せなくなってしまいます。長期の保存用としてというよりは、大容量ファイルの一時置き場として使うなど用途に合わせて使い分けるようにしましょう。

スパンボリュームはSSDでも構築可能です。また、SSDとHDDというように容量・速度の違うものを組み合わせる事も可能です。その場合、容量は少ない方に、速度は遅い方に合わせられることになります。SSDとHDDの場合は速度の差が大きくなりパフォーマンスが犠牲になってしまいますのでご注意ください。

5. 既存のシンプルボリュームをストライプボリューム化する手順

既存のシンプルボリュームにデータが保存してある状態に新しくストレージを増設してスパンボリューム化することも可能です。今回は120GBのSSDを取り付け済の環境に960GBのSSDを増設した場合を想定して手順をご説明します。
(Windows上で認識される実容量はそれぞれ111GBと894GBになります。)
ボリュームFが予め取り付け済みの120GBのSSDになります。

エクスプローラー上のボリュームF

ボリュームFにはテスト用データを保存してあります。

ボリュームFの中身をエクスプローラーで表示

ディスク1がボリュームFです。パーティションスタイルはGPTになってます。ディスク2が増設した960GBのSSDになります。

ディスクの管理でボリュームFを見る

ボリュームFにカーソルを合わせ、右クリック。表示されるメニューから「ボリュームの拡張」を選択します。

ボリューム拡張メニュー

ボリュームの拡張ウィザードが表示されますので「次へ」を選択します。

ボリューム拡張ウィザード

利用可能なディスクに「ディスク2」が表示されていますので「追加」を選択します。

ボリューム拡張ウィザードのディスク選択画面

最大ディスク領域を設定できます。特に指定がなければ最大ディスク領域の値をそのまま入力します。(この値は「作成されるスパンボリュームの容量」ではなく、「ディスク2の内、スパンボリュームに割り当てる容量」となります。)

ディスク選択後

ボリュームの拡張ウィザードが完了します。

ボリューム拡張ウィザード完了画面

ベーシックディスクからダイナミックディスクへの変換に関する通知が表示されますので「はい」を選択します。

ダイナミックディスク変換に関する通知

ディスク1とディスク2がスパンボリューム化され「ボリュームF」となりました。

スパンボリューム化完了後

ボリュームFの容量が拡張されているのがわかります。

エクスプローラー上のスパンボリュームF

ディスク1単体に保存されていたデータを維持しながらボリュームの容量が拡張されています。

スパンボリュームFのデータ

6. スパンボリューム化した場合の注意点

複数のストレージをひとつにまとめる事のできるスパンボリュームですが、構成するストレージの内、ひとつでも故障が発生した場合は全てのデータが読み出せなくなります。また、スパンボリュームを構成するストレージの一部を初期化した場合も全てのデータが削除される点には特に注意が必要です。

例として一度、作成したスパンボリュームの一部を初期化した場合の挙動をご紹介します。 
※データが消えてしまいますので絶対に真似はせず、あくまで参考としてください。

スパンボリューム化したディスク1とディスク2の内、ディスク2にカーソルを合わせ右クリック、「ボリュームの削除」を選択してみます。

ボリュームFで右クリック

スパンボリュームの削除に関する通知が表示されます。あえて「はい」を選択してみます。

スパンボリューム削除に関する通知

もともと単体で運用していたディスク1共々、ストレージが初期化されてしまいました。複数のストレージをまとめることで大容量のボリュームを作成できるメリットのあるストライプボリュームですが、データの取扱いに関してはご注意頂けたらと思います。

ボリューム削除後

 

ストライプボリュームで読み書き速度を向上

同じ仕様のストレージが複数ある場合はストライプボリュームを作成することも可能です。こちらは複数のストレージにデータを分散し読み書きを行うためアクセス速度を向上させることが可能です。なお、容量、速度違いのストレージでストライプボリュームを作成することも可能ですが、作成されるボリュームは容量の小さい方、遅い方に合わせられますのでなるべく同じ仕様のストレージを用意したほうが無駄なくパフォーマンスを発揮できますのでオススメです。

ストライプボリュームの概念

手順はスパンボリュームと同じです。未割り当ての部分にカーソルを合わせ、右クリックからメニューを呼び出し、「新しいストライプボリューム」を選択します。

新しいストライプボリューム作成

ストライプボリューム作成後の画面になります。

ストライプボリューム作成後

二つの容量を合わせたボリュームとしてエクスプローラー上で認識されます。いずれかのストレージの故障発生時、あるいはいずれかのストレージを初期化してしまった場合に全てのデータが読み出せなくなる点はスパンボリュームと同様になりますのでご注意ください。

エクスプローラー上のストライプボリューム

バックアップは必須!

以上、簡単にではありますがWindows 10のストレージ増設手順についてご紹介させて頂きました。デジタルカメラやスマートフォンといったデジタル機器の高性能化、大作PCゲームのクオリティの進化に伴うデータ量の増加など、様々なジャンルで大容量のストレージへのニーズは高まっています。
それに応えるかのようにSSDやHDDには大容量の製品が以前に比べより安価に各社から発売されていますので、ストレージ増設を行ってより快適なPCライフをおくって頂ければと思います。

繰り返しにはなりますが、ストレージの増設作業にはデータ紛失の危険が伴いますのでご自身の責任の元で作業を行って頂く様お願い申し上げます。

ライタープロフィール 職人8号

長年に渡る店舗スタッフ、店頭サポート、BTOパソコン組立、PCリサイクル業務等の様々な現場経験を経てECサイトに配属されたオールドルーキー。趣味はプロレス。以上ッ!

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