10万円未満、20万円、30万円(各税込)でパソコンを購入した際の仕訳について、経費処理できるのか、資産計上して減価償却の対象となるのかを悩む場合も多いこの時期に、パソコンを購入した際の仕訳処理についてご紹介いたします。

ソリューション最終更新日: 20210115

パソコンを経費で処理したい方必見!

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3月で決算となる企業様は多いのではないでしょうか。また、個人事業主の方で確定申告をされている方もいらっしゃると思います。そこで、パソコンを購入した際の仕訳について、費用処理できるのか、資産計上して減価償却の対象となるのかを悩む場合も多いこの時期に、パソコンを購入した際の仕訳処理についてご紹介いたします。どのような処理を選択できるかはパソコンの取得価額によって異なりますので、それぞれの金額で選択できる処理の内容についてもご説明します。
3月決算の企業様は決算に向けてご検討ください。個人事業主様は確定申告で間に合うもの間に合わないものがあると思いますが、目玉である中小企業者等の少額減価償却資産の特例措置の期限が、令和6年(2024年)3月までと延長されました!ご一読いただき是非ともご活用ください。この手の知識はバッチリ!な読者様は、文末におすすめPCを記載しておりますのでそちらをご覧ください。
※税込経理の場合、取得価額の判定は税込金額になりますのでご注意ください。

処理の基準となる、取得価額とは

国税庁では「取得価額は、通常1単位として取引されるその単位ごとに判定します」と紹介されています。

この取得価額とは何かですが、製品購入 の場合は購入品の価格(購入代価)とその購入品の使用開始に直接要した費用や購入の為に要した費用 (付随費用)を合わせたものです。

取得価額 = 購入代価 + 付随費用

購入代価についてパソコンに置き換えて具体的に紹介すると、クライアント端末として1台90,000円のパソコンを4台(4人分)購入して360,000円を支払った場合、1単位の取得価額は総額の360,000円ではなく、1台分の90,000円が1単位としての取得価額となります。

本体と一体となって使用するものがある場合にはそれらも含めたものを1単位として考えます。
例えばデスクトップパソコンでモニターとパソコン本体を明らかに一式で使用する場合はパソコン本体とモニタ ーのセットで1単位となります。

次に付随費用ですがパソコンの購入では例えば運送料や運送保険を掛けた場合の保険料などが購入の為に要した費用 として該当します。

具体例として以下のような購入について明らかに1台のパソコンとして組み合わせて使用する場合、これが1単位であり92,000円が取得価額となります。

・デスクトップパソコン本体:60,000円
・メモリー増設:5,000円
・モニター:15,000円
・ソフトウェア:10,000円
・送料:2,000円

ちなみに1組としての使用がポイントとなりますので、この4台を用いてクラスタやマイニング環境を構築し単一マシンのように使用する場合は4台で1組=1単位となり、取得価額は368,000円となります。

取得価額は税込み?それとも税抜き?

消費税を含めるかどうかは納税者の経理方式によります。税込経理であれば消費税を含んだ金額、税抜経理であれば消費税を含まない金額で判定します。

取得価額別処理方法

10万円未満の場合
使用可能期間が1年未満のものか、取得価額が10万円未満のものは経費処理することができます。そのため、取得価額が10万円未満の場合は経費処理ができます。

10万円以上20万円未満の場合
10万円を超える場合、資産計上が必要になります。そして、20万円未満の場合は後述する、一括償却資産処理、少額減価償却資産の特例処理、減価償却処理のいずれかを行うことになります。

20万円以上30万円未満
こちらも10万円を超えるため、資産計上が必要になります。計上後に少額減価償却資産の特例処理、減価償却処理のいずれかを行います。

30万円以上の場合
資産計上を行い、通常の減価償却処理を行います。

1セットあたりの
取得価格
経費処理 一括償却
資産
少額減価
償却
固定資産
10万円未満 ○※
10万円以上20万円未満   ○※
20万円以上30万円未満     ○※
30万円以上      

取得金額ごとでの選択できる処理方法

※少額減価償却資産の特例処理は中小企業者等で青色申告を行っていることが条件

減価償却の処理方法

一括償却資産処理とは
取得価額が10万円以上20万円未満の資産については、各事業年度ごとに、その全部または一部の合計額を一括し、これを3年間で償却する一括償却資産の損金算入の規定を選択することができます。つまり、3年で均等償却できるということになります。また、期中で取得した資産は月割ではなく1年分を費用計上できるため、3月決算の企業様は3月中に購入のパソコンも対象となります。

少額減価償却資産の特例処理とは
令和6年(2024年)3月までは、30万円未満のものは法人税法上、費用処理(全額損金算入)することを認める制度です。全額が費用処理できるというのは大きなメリットのある特例ですが、こちらには条件があります。
青色申告法人である中小企業者等で、常時使用する従業員の数が500人以下(令和2年3月31日までの取得などについては、1,000人以下)の法人に限られます。資本金等が1億円以下であっても、大規模法人に発⾏済株式総数(出資総額)の1/2以上を所有されている法人や、2つ以上の⼤規模法人に発⾏済株式総数(出資総額)の2/3以上を所有されている法人、税制の適用を受けようとする事業年度における平均所得金額(前 3 事業年度の所得金額の平均)が年 15億円を超える法人は利用できません。

加えて、少額減価償却資産の特例年額は上限があり、適用を受ける事業年度における少額減価償却資産の取得価額の合計額が300万円までとなります。
この特例を受けるためには、事業の用に供した事業年度において、少額減価償却資産の取得価額に相当する金額につき損金経理するとともに、確定申告書等に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書(別表16(7))を添付して申告することが必要です。
また、所有権移転外リース取引に係る賃借人が取得したとされる資産や、中古資産であっても対象となります。

通常の減価償却処理
パソコン(サーバー用を除く)は4年償却、その他(サーバー用など) は5年償却となります。使用を開始した月から月単位で償却を行っていきます。定率法と定額法がありますが、個人事業主様の場合は定額法が原則となっております。

オススメ度
少額減価償却資産の特例処理(ただし条件有) > 一括償却資産処理 > 通常の減価償却処理

参照URL
減価償却のあらまし|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm

少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5403.htm

少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5403_qa.htm

中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5408.htm

耐用年数(器具・備品)(その1)
https://www.keisan.nta.go.jp/r2yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/taiyonensukigu1.html

まとめ

いかがでしょうか。少額減価償却資産の特例は令和6年(2024年)3月までとなっておりますが、大変魅力的な制度です。他に少額減価償却資産の対象がなければ、300万円の枠が利用できますので、25万円の高スペックPCを12名分購入し、御社の業務効率を大きくアップさせる!ということも可能です。また、一括償却資産は青色申告でない場合も利用できますので、こちらも活用したいところです。枠がある分は少額減価償却資産の特例処理を行い、超過する分は一括償却資産でといった処理もご検討ください。

尚、この記事は2019年2月時点の情報を元に作成、2024年1月時点の情報で一部更新しておりますが、以降に掲載内容が国税庁のホームページや会計の専門家と見解が異なる場合はそちらを優先してください。
また今回ご紹介させて頂きました少額減価償却資産の特例のようにお得な制度が新たに施行される事もありますので、各省庁のホームページはこまめにチェックしておくと良いと思います。

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ライタープロフィール マーケ担当4号

NEXMAGの記事でキャンペーンなどを企画するマーケティング担当スタッフ。日々ネットの最新トレンドを追いながら今日も記事づくりに奮闘中。

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