

「Turing」アーキテクチャのミドルレンジモデルGeForce RTX 2060が入手できましたのでベンチマークテストを試してみました。先に登場していたGeForce RTX 2070が1ランク上のGeForce GTX 1080をも凌駕する性能を示していただけに、GeForce RTX 2060でもGeForce GTX 1070に引けを取らない性能を示すことが期待されます。なお、今回入手できたカードは、ZOTAC製「GeForce RTX 2060 6GB GDDR6」となります。
GeForce RTX 2060 の特徴
GeForce RTX 2060は、上位モデルGeForce RTX 2070と同じGPUコアを採用しており、スペック的にはGeForce RTX 2070の6分の5となっています。機能面ではGeForce RTX 2070と同等となっており、ミドルレンジ向けながらも「リアルタイムレイトレーシング(Ray Tracing)」の処理を専門に行う「RTコア」と、「AI処理」による画質向上の効果をゲームに低負荷で適用することを可能にする「Tensorコア」を搭載しています。なお、GeForce RTX 2070とは異なり、VirtualLink対応のUSB Type-C出力端子は無くなっています。
VirtualLink対応のUSB Type-C出力端子が無くなっています
その他のGeForce RTX 2060の特徴は、
■12nmプロセスの採用
■ビデオメモリにGDDR6を採用
■Display Port 1.4aのサポートにより8K出力がケーブル1本で可能
などが有ります。
電源コネクタは、8Pin のみとなっています
NV Link用のパターンは基板上に有るが、NV Linkコネクタは有りません
GeForce RTX 2060 スペック比較
GeForce RTX 2060スペックは下表のとおりとなります。
GeForce RTX 2080 Ti |
GeForce RTX 2080 |
GeForce RTX 2070 |
GeForce RTX 2060 |
GeForce GTX 1070 |
GeForce GTX 1060 6G |
GeForce GTX 1060 3G |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|
アーキテクチャ | Turing | Pascal | |||||
GPUコア | TU102 | TU104 | TU106 | TU106 | GP104 | GP106 | GP106 |
製造プロセス | 12nm | 16nm | |||||
CUDAコア | 4352基 | 2944基 | 2304基 | 1920基 | 1920基 | 1280基 | 1152基 |
RTコア | 68基 | 46基 | 36基 | 30基 | – | – | – |
Tensorコア | 544基 | 368基 | 288基 | 240基 | – | – | – |
定格クロック | 1350MHz | 1515MHz | 1410MHz | 1365MHz | 1506MHz | 1506MHz | 1506MHz |
ブーストクロック | 1545MHz | 1710MHz | 1620MHz | 1680MHz | 1683MHz | 1708MHz | 1708MHz |
レイトレーシング | 10G Ray/s | 8G Ray/s | 6G Ray/s | 5G Ray/s | – | – | – |
メモリタイプ | GDDR6 | GDDR5 | |||||
メモリ容量 | 11GB | 8GB | 8GB | 6GB | 8GB | 6GB | 3GB |
メモリ転送レート | 14Gbps | 8.0Gbps | |||||
メモリバス幅 | 352bit | 256bit | 256bit | 192bit | 256bit | 192bit | 192bit |
メモリバス帯域幅 | 616GB/s | 448GB/s | 448GB/s | 336GB/s | 256GB/s | 192GB/s | 192GB/s |
NVLink | ○(2リンク) | ○(1リンク) | × | ||||
G-SYNC | ○ | ||||||
TDP | 250W | 215W | 185W | 160W | 150W | 120W | 120W |
補助電源 | 8pin + 8pin | 8pin + 6pin | 8Pin | 8Pin | 8pin | 6pin | 6pin |
推奨電源 | 650W | 550W | 500W | 400W |
GeForce RTX 20 シリーズ、GeForce GTX 10 シリーズスペック比較
それでは実際の性能はどれほどになるのか、ベンチマークを見ていきたいと思います。
GeForce RTX 2060 ベンチマークテスト
比較対象として、直接の後継となるGeForce GTX 1060 6GB と GeForce GTX 1070 を、またAMDのハイエンドモデルであるRadeon RX 590を用意しました。テスト解像度はフルHD(1920x1080)、WQHD(2560x1440)、4K(3840x2160) の解像度のいずれかにて行っています。
3D Mark「Fire Strike」
まずは、Direct X11 の代表的ベンチマークとして、3D Mark 「Fire Strike」 のGraphics Score を見てみましょう。テスト解像度は、WQHD のFire Strike Extremeと4KのFire Strike Ultraとなります。
3D Mark 「Fire Strike」
GeForce RTX 2060とGeForce GTX 1070が僅差で競り合い、一段落ちでRadeon RX 590続いています。GeForce RTX 2070 と比べると80%強のスコアと、CUDAコア数通りの性能となっています。
3D Mark「Time Spy」
次いで、Direct X12の代表的ベンチマークとして、3D Mark 「Time Spy」 のGraphics Score を見てみましょう。テスト解像度は、WQHDのTime Spyと4KのTime Spy Extremeとなります。
3D Mark「Time Spy」
Direct X12に対しては、Turingアーキテクチャの強みが表れている結果となっています。 Fire Strikeでは僅差だったGeForce RTX 2060とGeForce GTX 1070に25%以上のスコア差が表れ、GeForce RTX 2070 ・GeForce RTX 2060・GeForce GTX 1070が綺麗に階段状に並びました。対GeForce RTX 2070 では80%強のスコアと、Fire Strikeと同じ傾向となっています。
FINAL FANTASY XV
続いて、FINAL FANTASY XVです。テスト環境設定は高品質・フルスクリーンで、テスト解像度はフルHDと4Kになります。なお、比較の為、Turing特有の機能になるDLSSの設定は無効にしております。
FINAL FANTASY XV
綺麗に階段状に並んでいます。3D Markと同様、GeForce RTX 2060 のスコアはGeForce RTX 2070の80%強となっています。GeForce GTX 1070 との比較では15%程度の差が付いており、3D Mark Time Spy と同じ傾向が見られます。
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
最後に、ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーターです。テスト環境設定は最高品質・DirectX11・フルスクリーン、テスト解像度はWQHDと4Kとなります。
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
FINAL FANTASY XVよりはややバラツキが有りますが、全体的には階段状に並んでいます。GeForce GTX 1070 との比較ではスコアの差がおよそ10%に縮まっていますが、GeForce RTX 2060が優位を保っています。
4KにおいてGeForce RTX 2060がGeForce GTX 1070よりスコアがわずかに高く出ていますが、今回測定したベンチマークの中では、比較的描画負荷の低いものとなり、VRAMの帯域差やクロックが高めで稼働するためと予想されます。
RTX2060は最新ゲームとリアルタムレイトレーシングを楽しめるグラフィックスカード
ミドルレンジ向けGeForce RTX 20シリーズ「GeForce RTX 2060」は、上位モデルであるGeForce RTX 2070の80%強の性能となっており、見事にCUDAコア数通りの結果となっています。一方、GeForce GTX 10 シリーズとの比較では、GeForce GTX 1070を上回る性能を示していますが、3D Mark Fire Strikeの様に僅差の事も有れば、3D Mark Time Spyの様に25%以上引き離す事も有るなど、それぞれに得手不得手が有るようです。
3D Mark Time SpyやFINAL FANTASY XVの様に、Direct X12に対応する比較的新しいタイトルではGeForce RTX 20シリーズに、3D Mark Fire StrikeやFINAL FANTASY XIVのようにやや古めのタイトルではGeForce GTX 10 シリーズ に分がある様に見受けられます。とはいえ、今後のドライバのアップデートにより差が広がる可能性もあります。
現時点では、GeForce RTX 2060の価格は5万円前後からとなっていて、ミドルレンジとしてはやや高価な印象を受けますが、性能的にはGeForce GTX 1070を上回っており価格相応とも言えます。
GeForce RTX 2060 はGeForce RTX 2070と同じGPUコアを採用しており、GeForce GTX 1060などの様にミドルレンジ向けに用意されたモデルと言うよりは、ハイエンドの中の末端モデルであり、リアルタムレイトレーシングを楽しめるエントリーモデルであるという見方の方が正しいのかも知れません。
今後、リアルタイムレイトレーシングやDLSSなどの新機能に対応したゲームタイトルがリリースされてくると、GeForce RTX 2060は美麗で快適なゲーミングに必須のアイテムとなっていくのだと思われます。
検証構成
CPU | Core i9-9900K (3.6-5.0GHz/8コア・16スレッド/キャッシュ16MB/TDP95W) |
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マザーボード | MSI Z390-S01 (Z390チップセット) |
メインメモリ | DDR4-2666 16GB (8GB x2) |
ビデオカード | GeForce RTX 2080 VENTUS 8G (ビデオメモリ 8GB) |
GeForce RTX 2070 AERO 8G (ビデオメモリ 8GB) | |
GeForce RTX 2060 6GB DDR6 (ビデオメモリ 6GB) | |
GeForce GTX 1070 Founders Edition (ビデオメモリ 8GB) | |
GeForce GTX 1060 6G Founders Edition (ビデオメモリ 6GB) | |
Radeon RX 590 リファレンスカード (ビデオメモリ 8GB) | |
ストレージ | WesternDigital WDS500G2X0C (WD Black NVMe 500GB) |
電源 | Seasonic SSR-850FX (80PLUS Gold、850W) |
OS | Windows 10 Home 64bit (バージョン:1803) |
ビデオドライバ | GeForce Game Ready Driver 417.71 |
Radeon Software Adrenalin Edition Graphics Driver 18.11.1 |
検証構成

360度どこからみても凡人、職人番号ラッキー7!職人7号です。主に写真撮影、動画編集を担当。パソコン工房ECサイトのBTOPCや自作パーツ等ひろく手掛ける。店舗部門出身。