2022年12月16日19時に販売が開始されるRadeon RX 7900 XTについて、ベンチマークテストを試してみます。

気になる製品最終更新日: 20221216

Radeon RX 7000シリーズ 発売情報・ベンチマークレビュー

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【12/16 更新】Radeon RX 7900 XTのベンチマーク記事を追加いたしました。
Radeon RX 7900シリーズは、Radeon RX 6900 XTの登場からおおよそ2年ぶりに登場したRadeon RX 7000シリーズのハイエンドモデルとして、2022年12月16日に販売が開始されました。
今回は2年ぶりに登場したRadeon RX 7000シリーズのRadeon RX 7900 XTについて、ベンチマークテストを通してその性能を確認して行きます。

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Radeon RX 7000 シリーズ発売開始!

Radeon RX 7000 シリーズについて、パソコン工房での発売を開始いたしました。詳細は特集ページをご覧ください。

パソコン工房で AMD Radeon RX 7900 XTX・RX 7900 XT を見る

Radeon RX 7000 シリーズ について

Radeon RX 7000 シリーズは、AMD RDNA 3アーキテクチャーを搭載したAMD社の最新グラフィックスカードです。画期的な AMD RDNA 3 アーキテクチャーとチップレット・テクノロジーをベースに構築され、次世代レベルのパフォーマンスとビジュアル、優れた電力効率を提供します。最高の性能を発揮しつつもゲーマーにもクリエイターにもフィットする$1000以下となるように設計され、また、アップグレードをしやすいようなカードの設計とすることをゴールとして開発されました。
Radeon RX 7000 シリーズの最も大きな特徴は、チップレット構造をGPUとしては初めて採用し、グラフィックスコンピュートダイ(GCD)と、メモリーキャッシュダイ(MCD)の二種類のチップを搭載しています。これは歩留まりの向上と消費電力の削減、そしてコストを下げることに大きく貢献しています。
RDNA 3アーキテクチャーでは、RDNA 2アーキテクチャーに比べて最大54%ものワットパフォーマンスの向上を果たすことになりました。

Radeon RX 7000 シリーズの主な特徴は以下の通りです。
・Ryzen 7000シリーズと同様の、複数ダイを1つのパッケージ上に統合する「チップレット」方式を採用。
・Radeon RX 7900 XTXでは、1つのGCDと、6つのMCDの組合せとなります。GDCは5nm、MCDは6nmプロセスとなり、それぞれに最適な組み合わせの製造プロセスを採用しています。
・Radeon RX 6000シリーズでも搭載された「Infinity cache」が進化し、第2世代AMD Infinity cache(エーエムディー・インフィニティキャッシュ)となりました。チップレットのMCDがこれに当たります。
・MCDにはメモリーコントローラーも内包され、RDNA 2アーキテクチャーから比べて最大帯域が2.7倍の5.3TB/sに達します。
・Stream Processorsが改良され、最大2倍の処理能力となりました。
・AI処理向けのAIアクセラレーターが追加されCUあたり2基搭載しました。
・レイトレーシング(RT)エンジンは第2世代となり、RDNA 2から50%の性能向上を実現しました。CUあたり1基の構造はRDNA 2アーキテクチャーから変わりありません。
・ディスプレイ出力はDisplay Port 2.1に対応、解像度やリフレッシュレートは4Kで最大480Hz、8Kで最大165Hzまで対応可能となります。また12bpcにも対応しました。
・AVC/HEVCエンコード、デコードのサポート、8K60pのAV1エンコード、デコードもサポートし最新のテクノロジーもおさえています。
・シェーダークロックと、フロントエンドクロックを分離することで、最大25%の低消費電力化を実現しました。
・RDNA 2アーキテクチャーと同様、AMD Smart Access Memory(Resizable BAR)にも対応します。

また、上記ハードウェア以外のドライバー周りでも改良が予定されており、NVIDIAでいうDLSSに相当する、AMD Fidelity FX Super Resolutionも2へと進化する予定との事です。AMD HYPER-RXといった低レイテンシー化させる機能も予告されており、Radeon RX 7900シリーズで実装されたAIアクセラレーターもどのように活用されてくるのか期待が持てるところとなっています。

Radeon RX 7900 XTベンチマーク情報

それでは、Radeon RX 7900 XTのベンチマークを実行していきましょう。比較対象としては、Radeon RX 6000シリーズからRadeon RX 6950 XT、GeForce RTX 40シリーズからGeForce RTX 4080、GeForce RTX 30シリーズからGeForce RTX 3090 Ti、GeForce RTX 3080 Ti を用意しました。テスト解像度はWQHD(2560 x 1440)、4K(3840 x 2160) の解像度にて行っています。また、3DMarkでは、CPU性能の依存度が少ないGraphics Scoreでの比較となります。

Radeon RX
7900 XTX
Radeon RX
7900 XT
Radeon RX
6950 XT
GeForce RTX
4080
GeForce RTX
3090 Ti
GeForce RTX
3080 Ti
アーキテクチャ RDNA 3 RDNA 2 Ada Lovelace Ampere
GPUコア Navi 31 Navi 21 AD103 GA102
製造プロセス GCD:5nm
MCD:6nm
7nm 4nm 8nm
ストリーミングプロセッサー
(CUDAコア)
6144基 5376基 5120基 9728基 10752基 10240基
Ray Accelerators
(RTコア)
96基 84基 80基 第3世代
76基
第2世代
84基
第2世代
80基
AI Accelerators
(Tensorコア)
192基 168基 第4世代
304基
第3世代
336基
第3世代
320基
定格クロック 未公開 2.21GHz 1.67GHz 1.37GHz
ゲームクロック 2300MHz 2000MHz 2100MHz
ブーストクロック 2500MHz 2400MHz 2310MHz 2.51GHz 1.86GHz 1.67GHz
メモリータイプ GDDR6 GDDR6X
メモリー容量 24GB 20GB 16GB 16GB 24GB 12GB
メモリー転送レート 20Gbps 18Gbps 22.4Gbps 21Gbps 19Gbps
メモリーバス幅 384bit 320bit 256bit 256bit 384bit
Infinity Cache 96MB 80MB 128MB
TBP(TDP) 355W 315W 335W 320W 450W 350W
補助電源 8Pin×2 12VHPWR ×1 or 8Pin×3 8Pin×2
推奨電源 800W 750W 850W 750W 850W 750W

~スペック比較一覧~

※メーカーによる事前情報です。実際の製品では変更になる場合があります。

Radeon RX 7900シリーズは、Radeon RX 6000シリーズよりも消費電力を抑えつつ、性能向上を目指したハイエンドモデルとなります。前世代のRadeon RX 6950 XTよりも推奨電源容量が小さくなり補助コネクタも一般的な8Pinコネクタとなっているため、電源を交換することなく換装する事も可能など、比較的取り扱い易いグラフィックスカードとなっています。
 
なお、ベンチマークテストで使用したRadeon RX 7900 XTのドライバーはレビュー用に提供された特別バージョンのため、実際に入手できるドライバーとは異なる結果となる可能性が有ります。
また、ベンチマークテストは過去のデータと比較のためResizable BARを無効にして行っております。
※ベンチマークテストで用いた構成は末尾に記載しています

3DMark 「Fire Strike」

まずは、DirectX 11 の代表的ベンチマークとして、3DMark 「Fire Strike」 のGraphics Score を見てみましょう。テスト解像度は、WQHD のFire Strike Extremeと4KのFire Strike Ultraとなります。

3DMark Fire Strike~3DMark Fire Strike~

Radeon RX 7900 XTはRadeon RX 6950 XTとほぼ同等で、解像度によって上下が入れ替わっています。Radeon RX 7900 XTのメモリーバス帯域幅の拡張が高解像度の場面で活きたのかもしれません。
また、GeForce RTX 4080には一歩及ばなかったものの、GeForce RTX 3090 Tiには10%以上のスコア差を付けており、新しいハイエンドモデルとしては相応しいスコアをなっています。

3DMark 「Time Spy」

次いで、DirectX 12の代表的ベンチマークとして、3DMark 「Time Spy」 のGraphics Scoreを見てみましょう。テスト解像度は、WQHDのTime Spyと4KのTime Spy Extremeとなります。

3DMark Time Spy~3DMark Time Spy~

Time Spyでは、Radeon RX 7900 XTは解像度によらずRadeon RX 6950 XTを上回りました。WQHD解像度よりも4K解像度の方が差が広がっており、メモリーバス帯域幅の拡張が高解像度の場面で活きたと見てよさそうです。
また、Time SpyでもGeForce RTX 3090 Tiを上回っており、Radeon RX 7900 XTの基礎体力の高さがうかがえます。

3DMark 「Speed Way」

続いて、DirectX 12 Ultimateに対応したベンチマークテストである「Speed Way」を見てみましょう。Speed Wayでは、DirectX レイトレーシングやメッシュシェーダーを使用して、リアルタイムにグローバルイルミネーションやレイトレーシングによる反射の描画を行い、その性能をテストする内容となっています。
Speed Wayにおいても、Port Royalと同じくベンチマークスコアであるGraphics Scoreと一緒にフレームレートも計測することが出来、標準設定の解像度はWQHDとなります。また、DLSSについては無効となっており、 Ray Accelerators (RTコア)の性能の比較として見ていきます。

3DMark Speed Way~3DMark Speed Way~

Speed Wayにおいては、Radeon RX 7900 XTがRadeon RX 6950 XTを10%以上引き離しており、RDNA 3アーキテクチャーにおけるDirectX 12 Ultraへの適応力向上を確認出来ます。
また、Fire StrikeやTime Spyとは異なり、GeForce RTX シリーズには一歩及ばないスコアとなっています。

3DMark 「DirectX Raytracing feature test」

続いて「DirectX Raytracing feature test」を見てみましょう。本テストはすべての画面をレイトレーシングでレンダリングすることで、より負荷の高いグラフィックスカードのレイトレーシング性能を計測できます。結果はフレームレートで表示されます。なお、Sample count 数は、標準設定の12のほか、6と20を加えてテストを行いました。

3DMark DirectX Raytracing feature test~3DMark DirectX Raytracing feature test~

DirectX Raytracing feature testでは、Radeon RX 7900 XTがRadeon RX 6950 XTを30%以上引き離しており、RDNA 3アーキテクチャーにおける着実なレイトレーシング性能の向上が確認出来ます。
反対にGeForce RTX シリーズに対してはGeForce RTX 3080 Ti のおおよそ70%のスコアに留まっており、レイトレーシング性能については、まだまだGeForce RTX シリーズに分が有りそうです。

3DMark 「Port Royal」

DirectX Raytracingの後は、リアルタイムレイトレーシング性能を見るベンチマークテストの3DMark「Port Royal」を用いて、レイトレーシング性能を見ていきましょう。Port Royalでは、いくつかあるレイトレーシングアルゴリズムのうち、レイトレーシングリフレクションを使用したものとなります。
ベンチマークスコアであるGraphics Scoreと一緒にフレームレートも計測することが出来ます。なお、解像度は標準設定のWQHDとなります。また、DLSSについては無効となっており、Ray Accelerators (RTコア)の性能の比較として見ていきます。

3DMark Port Royal~3DMark Port Royal~

3DMark Port Royal fps~3DMark Port Royal fps~

Port RoyalではDirectX Raytracing feature test とは異なり、 Radeon RX 7900 XT がGeForce RTX 3080 Tiに匹敵するスコアとフレームレートを記録しており、RDNA 3アーキテクチャーにおけるレイトレーシング処理の得手・不得手を見ることが出来ます。Port Royalの結果からは、少なくともレイトレーシングリフレクションについては、RDNA 3アーキテクチャーはGeForce RTX 30シリーズに迫る性能を持っていると言えそうです。

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

続いて、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークです。テスト環境設定は高品質・フルスクリーンで、テスト解像度はWQHDと4Kになります。なお過去のデータと比較のためSDRかつ、DLSSは無効としています。

~FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークスコア~~FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークスコア~

FINAL FANTASY XVでは、Radeon RX 7900 XTはRadeon RX 6950 XTに一歩及ばない結果となりました。3DMarkの結果からすれば、Radeon RX 6950 XTと互角以上のスコアとなっても良さそうなだけに、今回試したドライバーの最適化などが進んでいないのかも知れません。
それでも、WQHD解像度ではGeForce RTX 3090 Tiに近いスコアを記録しており、Radeon RX 7000シリーズ向けにドライバーの最適化などが進めばRadeon RX 7900 XT がGeForce RTX 3090 Ti を上回る事も期待できそうです。
Radeon RX 7900 XTは現状でもWQHD解像度で「非常に快適」な指標(12000~)を悠々と上回っています。4K解像度では「とても快適」な指標(9000~11999)には及ばないものの、3DMarkの結果からすればドライバーなどの最適化次第では「とても快適」な指標に達する事は十分に考えられます。

ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク

最後に、ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークです。テスト環境設定は最高品質・DirectX 11・フルスクリーン、テスト解像度はWQHDと4Kとなります。ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレについては、ベンチマークテストの詳細で平均fps(フレームレート)も確認できるので、合わせて掲示します。

~ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク スコア~~ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク スコア~

~ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク フレームレート~~ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク フレームレート~

ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレにおいても、 Radeon RX 7900 XTはRadeon RX 6950 XTに僅かに及ばない結果となりました。ファイナルファンタジーXIVはNVIDIA GAME WORKSに対応しているためGeForce RTXシリーズに有利といえども、やはり今回試したドライバーの最適化が不足している感は否めません。
とは言えファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレでも、WQHD解像度ではGeForce RTX 3090 Tiに近いスコアを記録しており、Radeon RX 7000シリーズ向けにドライバーの最適化などが進めばRadeon RX 7900 XT がGeForce RTX 3090 Ti を上回る事は期待できます。
動作の指標においては4K解像度でも「非常に快適」な動作の指標(15000~)を上回っており、フレームレートもWQHD解像度でおおよそ200fps、4K解像度でおおよそ110fpsと、高リフレッシュレートのゲーミングモニターが役立ちそうです。

Radeon RX 7900 XTはコストパフォーマンスに優れたハイエンドモデル

Radeon RX 7900 XTは、Fire StrikeやTime SpyでGeForce RTX 3090 Tiを上回り、FINAL FANTASY XV やファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレでもGeForce RTX 3090 Tiに接近するなど、GeForce RTX 4080には及ばずながらもハイエンドモデルらしい性能を見せてくれています。今後ドライバーの最適化が進めば更なる性能向上も期待できます。
Radeon RX 7900 XTの販売価格は16万円前後と、GeForce RTX 3080やGeForce RTX 3080 Tiに近い価格となっています。GeForce RTX 3080 Ti の価格でGeForce RTX 3090 Tiに近い性能のグラフィックスカードが入手可能ということで、Radeon RX 7900 XTのコストパフォーマンスはかなり良いと言えるでしょう。
もちろんレイトレーシング性能重視であれば素直にGeForce RTX 3080 Tiを選ぶべきですが、レイトレーシング性能はそれほど重要ではない、あるいはレイトレーシング性能は不要、というユーザーであれば、Radeon RX 7900 XTのコストパフォーマンスの高さは非常に魅力的な物となるのではないでしょうか。

グラフィックスカード Radeon RX 7900 XT
リファレンスカード
(※ゲーム:2025MHz
/ブースト:2499MHz)
MSI製
Radeon
RX 6950 XT
(※ゲーム:2244MHz
/ブースト:2454MHz)
MSI製
GeForce
RTX 4080
(※ブースト:2535MHz)
MSI製
GeForce
RTX 3090 Ti
(※ブースト:1920MHz)
MSI製
GeForce
RTX 3080 Ti
(※ブースト:1695MHz)
CPU Core i9-13900K (P-core:8コア、E-core:16コア / 32スレッド)
CPUクーラー Inwin製360mm水冷クーラー (IW-LC-BR36)
マザーボード ASUS Prime Z690-P
メインメモリ DDR5-4800 32GB (16GB x2)
ストレージ Samsung 980 PRO 1TB (MZ-V8P1T0B) PCIe4.0x4 M.2 NVMe SSD
電源 Seasonic SSR-1000PD (80PLUS Platinum、1000W)
OS Windows 11Home 64bit (バージョン:22H2)
グラフィックス
ドライバ
AMD Software:
Adrenalin Edition
22.40.00.57
AMD Software: Adrenalin Edition 22.5.1 GeForce Game Ready Driver Ver 526.98

~検証に使用した構成~

ライタープロフィール 職人5号

Windows2000登場前からほぼ一貫してPC製造部門に従事。PC組立はもちろん、OSイメージの作成や製造時のトラブルシュートを行う。 その経験を生かしてOSの基本情報や資料室を担当する事が多い。

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