SAMSUNG 第3世代 NVMe SSD 970 EVO の 性能比較レビュー

気になる製品最終更新日: 20180912

970 EVO レビュー Samsung 第3世代 NVMe SSD

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970 EVO が入手できたので、早速使ってみました。 3次元構造のNANDフラッシュメモリを先駆けて開発してきたSAMSUNGが今年発表した、970 EVOは、同社の960 EVOの後継にあたります。 970 EVOは、M.2接続のSSDであり、SATA接続SSDと比べ、省スペースかつ、より高速で省電力な点が上げられ、 長時間の稼働が想定されるゲームやクリエイティブな作業に最適なストレージです。 最近ではNVMe対応 M.2 SSDをシステムドライブとして利用される方も増え、3次元構造のNANDフラッシュメモリの大容量化により、データドライブとして利用されるケースも見られるようになってきています。 では、そのあたりのことも踏まえ、970 EVOのレビューを行っていきます。

970 EVO で採用の SAMSUNG 3次元構造 NAND『V-NAND』とは

『V-NAND』とは、従来、プレーナ(平面)型に蓄積されていたメモリのセルを「チャネルホール」と呼ばれる柱にドーナツ形に積み重ねていくことで大容量化と安定性を実現した3次元NANDです。2013年に第1世代の24層V-NANDが量産され、2014年9月に第2世代の32層V-NANDがリリースされました。

今回ご紹介する第3世代V-NANDでは、従来モデルの倍の64層V-NANDとなり、アクセス性能、耐久性がより向上されています。

970 EVO のアクセス性能と耐久性

970 EVOは、NVMe対応のM.2接続SSDで、放熱性の高いニッケルコーティングされた5コアの「Phoenixコントローラ」を採用し、64層 3D NAND「V-NAND」に加え、NANDフラッシュメモリの一部をSLCキャッシュとして利用するIntelligent TurboWrite機能を搭載。NVMe SSD特有の読み込み性能の速さに加え、書き込み性能の速さと耐久性にも優れた高速ストレージです。

基盤正面、ラベルの下には「Phoenixコントローラ」と64層の3D NAND「V-NAND」が搭載されています

SAMSUNG 970 EVO 表面SAMSUNG 970 EVO 表面

基盤裏面には銅箔を積層したラベルが貼られており、放熱性が図られています。

SAMSUNG 970 EVO 裏面SAMSUNG 970 EVO 裏面

970 EVOのスペックを従来モデルと比較

今回、970 EVOとの比較対象として従来モデルの960 EVO(同容量)に加え、970 EVOの1TBモデルも用意しました。

左奥からSAMSUNG 970 EVO 1TB、500GB、960 EVO 500GB左奥からSAMSUNG 970 EVO 1TB、500GB、960 EVO 500GB

同容量の従来モデルと容量の異なる970 EVOのスペック比較は以下となります。

製品名 970 EVO 960 EVO
型番 MZ-V7E1T0BW MZ-V7E500B/IT MZ-V6E500B/IT
容量 1TB 500GB
インターフェース PCIe Gen 3.0 x4, NVMe 1.3 PCIe Gen 3.0 x4, NVMe 1.2
フォームファクタ M.2 (Type 2280)
外形寸法 (L×W×H) 80.15×22.15×2.38(mm)
搭載デバイス NANDフラッシュ Samsung V-NAND 3bit MLC
コントローラ Samsung Phoenix コントローラ Samsung Polaris コントローラ
キャッシュメモリ 1GB LPDDR4 512MB LPDDR4 512MB LPDDR3
シーケンシャル 読み出し 3,400MB/s 3,200MB/s
書き込み 2,500MB/s 2,300MB/s 1,800MB/s
4KBランダム(QD1) 読み出し 15,000 IOPS 14,000 IOPS
書き込み 50,000 IOPS
4KBランダム(QD32) 読み出し 500,000 IOPS 370,000 IOPS 330,000 IOPS
書き込み 450,000 IOPS 330,000 IOPS
TBW 600TB 300TB 200TB
メーカー保証 5年 3年

SAMSUNG 970 EVO / 960 EVO スペック比較

従来モデルと比べ、最新のコントローラ、キャッシュメモリを搭載し、スペック表からも970 EVOの性能の高さが伺えます。
製品寿命を指すとも言われる「TBW(総書き込み容量)」も従来モデルと比べ500GBモデルでは100TB分増え、耐久性が1.5倍も向上されています。

970 EVOの性能を検証

それでは実際に970 EVOの性能を確認するため、960 EVO ( 500GB )、970 EVO ( 500GB )、970 EVO ( 1TB )で検証をおこないました。
検証環境は以下となります。

OS Windows 10 Home 64bit
CPU Core i9-7960X
メモリ DDR4-2666 32GB (8GB×4)
チップセット X299チップセット
ストレージ 480GB SSD (OS起動用)
グラフィックス GeForce GTX 1060 6GB
電源 850W 80PLUS GOLD

SAMSUNG 970 EVO / 960 EVO 比較検証環境

今回検証するSSDは、セカンドドライブとして接続し、速度の測定を行いました。

アクセス性能を比較

各モデルの速度を確認するためCrystalDiskMarkを使用しました。

960 EVO (500GB)

CrystalDiskMark測定値:SAMSUNG 960 EVO (500GB)CrystalDiskMark測定値:SAMSUNG 960 EVO (500GB)

970 EVO (500GB)

CrystalDiskMark測定値:SAMSUNG 970 EVO (500GB)CrystalDiskMark測定値:SAMSUNG 970 EVO (500GB)

970 EVO (1TB)

CrystalDiskMark測定値:SAMSUNG 970 EVO (1TB)CrystalDiskMark測定値:SAMSUNG 970 EVO (1TB)

CrystalDiskMarkの計測結果から、従来モデルよりも970 EVOのほうが全体的なスペックの向上が見られました。
970 EVOに採用された「Phoenixコントローラ」は、64層V-NANDに合わせた最適化が施されており、アクセス速度が向上しています。
加えて、Intelligent TurboWrite機能により、書き込み速度が飛躍的に向上しています。

また、970 EVOの1TBモデルはランダムアクセス性能も高く、1秒当たりに処理できるI/Oアクセスの数(読み書きできる回数)「IOPS」の速さを比較したデータでも970 EVOの1TBモデルが圧倒的な結果を見せています。

SAMSUNG 960 EVO(500GB)、970 EVO(500GB / 1TB) IOPS 速度比較グラフSAMSUNG 960 EVO(500GB)、970 EVO(500GB / 1TB) IOPS 速度比較グラフ

970 EVOの1TBモデルは、500GBモデルと比べて44%もIOPSの速度差がありました。

動画エンコード時間の比較

「TMPGEnc Video Mastering Works 6」を使用して、H.264形式の2160p / 60fpsの4K動画(10分34秒)をH.265形式にエンコードした際の時間を計測しました。

SAMSUNG 960 EVO(500GB)、970 EVO(500GB / 1TB)  動画エンコード時間比較グラフSAMSUNG 960 EVO(500GB)、970 EVO(500GB / 1TB) 動画エンコード時間比較グラフ

カット編集やトランジション、エフェクト効果など加えず、そのままの状態でH.265にエンコードした結果となりますが、まったく同じ設定でも出力時間に差が現れました。
書き出されたデータサイズは同じものの、970 EVOの1TBモデルが1番速く、少しでもエンコードの時間を短縮したい場合は、970 EVOでも特に容量の大きい1TBを選択するとよい結果が出そうです。

ベンチマークソフトによるローディングタイム比較

次に、ゲームにおいての優位性を検証するため、「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」を使用してローディングタイムを計測しました。

SAMSUNG 960 EVO(500GB)、970 EVO(500GB / 1TB)  ゲームロード時間比較グラフSAMSUNG 960 EVO(500GB)、970 EVO(500GB / 1TB) ゲームロード時間比較グラフ

従来モデルと比べ、わずか1秒の差ながら970 EVOが早い結果となりました。
ハイクオリティなゲームタイトルなど、近年のオンラインゲームでは1タイトルに60GB程(追加コンテンツなどを除く)の容量を必要とするため、大容量のストレージが重宝するなか、上記のローディングタイムの計測結果からも970 EVOの1TBモデルがもっとも速い結果となりました。
この1秒が長時間のプレイともなると何十秒、何分と差に現れることから、ゲームの練習量に影響し、プレイヤーの腕前にも繋がっていくのではないでしょうか。

総合的な評価で比較

最後に「PCMark 8」のストレージテストで計測してみました。このテストでは、ゲームやOfficeソフト、クリエイティブ系のソフトにおけるデータの読み書きにかかる時間と速度を測定し「実際の体感」に最も近い数値となります。

PC MARK 8測定値:SAMSUNG 960 EVO(500GB)PC MARK 8測定値:SAMSUNG 960 EVO(500GB)

PC MARK 8測定値:SAMSUNG 970 EVO(500GB)PC MARK 8測定値:SAMSUNG 970 EVO(500GB)

PC MARK 8測定値:SAMSUNG 970 EVO(1TB)PC MARK 8測定値:SAMSUNG 970 EVO(1TB)

従来モデルでは帯域幅が469.60MB/sと、500MB/sを切る結果となりましたが、970 EVOでは500GBモデルが545.19MB/s、1TBモデルでは565.77MB/sという結果となり、同じ500GBモデルでも16%の差が生じました。
Officeソフトやクリエイティブ系のソフトはもちろん、ゲームにおいても970 EVOはその性能を遺憾なく発揮してくれるストレージであることがわかりました。

970 EVOを搭載することでPCの体感パフォーマンスが飛躍的に向上!

以上の結果から、970 EVOでは性能がしっかりと向上しており、960 EVOをすでに持っているという人でも、買替えることでパフォーマンスの向上を得ることができます。

970 EVOのアクセス性能の高さからゲーム用途ではゲームデータのローディングタイムを短くし、効率よくプレイに集中できることに加え、トータルプレイ時間の短縮がはかれます。クリエイティブな用途ではコンテンツの高速な読み込みに加え、容量の大きいコンテンツの書き出しがスムーズにおこなえ、作業がはかどります。

また、耐久性が向上したことにより、システムストレージとしてはもちろん、クリエイティブ作業においてのデータ保管ドライブとしても長期的に安心してお使いいただけます。

ライタープロフィール 職人7号

360度どこからみても凡人、職人番号ラッキー7!職人7号です。主に写真撮影、動画編集を担当。パソコン工房ECサイトのBTOPCや自作パーツ等ひろく手掛ける。店舗部門出身。

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