

EIZOの『FlexScan EV3285』は、2014年に発売した31.5型の4K解像度モニター「FlexScan EV3237」の後継機種で、新たに4辺フレームレス・フルフラットのデザインを採用し、従来機種よりもコンパクトになったほか、モニタースタンドも省スペース化され、31.5型の大画面ながら一般的なデスクにも設置しやすくなりました。 また、入力端子にUSB Type-Cを搭載し、映像、音声、USB信号の伝送に加え、対応した機器であればモニターから接続機器への給電も同時におこなえるようになり、バッテリー残量を気にすること無く、ケーブル1本で『EV3285』を活用することができます。今回はEIZOのモニター『FlexScan EV3285』のレビューを行います。
多くのユーザーからEIZOのモニターが選ばれる理由
EIZOは医療、航空管制で扱うモニターなども販売しており、階調表現力、色再現性、視野角に優れた製品を開発しています。また、長時間のVDT作業(Visual Display Terminals)によるストレス、疲労を軽減できる「Auto EcoView機能※」や「EyeCare調光機能※」といったEIZOの独自技術が備わっている点も多くのユーザーに選ばれる理由のひとつです。
※Auto EcoView機能…環境光を感知し、周囲の明るさに応じて画面の明るさを自動で調整する機能
※EyeCare調光機能…人の目では感知できない画面のちらつきもカットする機能
使う人にも環境にも優しい「FlexScan」シリーズ
プロフェッショナルワークからホームワークユースまで、幅広く活躍するEIZOの「FlexScan」シリーズは、オフィス環境でもスマートに扱えるモニターとなっており、今回ご紹介いたします『FlexScan EV3285』も、4Kの広い作業領域を活かし、ウィンドウの切替えや画面のスクロールを頻繁に行う必要がなく、快適な作業がおこなえる製品となっています。
それでは『FlexScan EV3285』の外観からご紹介いたします。
オフィスのデスクにも設置しやすい EIZO(EV3285)
従来機種比で容積が17%、設置面積は12%も削減された『EV3285』は、31.5型の大画面でありながら場所を取らず、オフィスのデスクスペースにも設置しやすくなっています。モニタースタンドも昇降時に伸縮する構造となっており、背面スペースにもゆとりがもてます。加えて、『EV3285』の特徴でもある4辺フレームレス・フルフラットのデザインにより、画面以外が視界に入らないので、コンテンツへの没入感が高く、また、画面に集中できるため、デスクワークが更にはかどりそうです。
また、搭載されているスピーカーに関しては内部にダクトが付けられ、開口部を前面フレームに配置することで画面前面への音圧が従来機種比で約10dbアップされ、背面からの音漏れも抑えられるようになりました。
モニター前面。省スペースな4辺フレームレス・フルフラットのデザインで、Windowsのデスクトップが宙に浮いているように見えます。
EV3285のモニター前面
背面右上にはEIZOのロゴがプリントされており、背面のくぼみは持ち運びや、画面の昇降時の際のハンドル部分となっています。
EV3285の背面右上
スタンド自体が伸縮式し、好みの高さに調節が可能です。背面のケーブルホルダーに接続ケーブルを束ねておくことができるほか、VESAにマウントできるPCを取り付けることのできるアダプタ「PCSK-03(別売)」にも対応しています。
EV3285のスタンド部分
背面のボタンを押し込むことでモニターからスタンドをワンタッチで取り外せるクイックリリース機構が採用されています。
EV3285の背面のボタン
スタンドを取り外したモニターはVESA(100mm×100mm)に対応していますので、モニターアームに取り付けて使用することができます。
VESA(100mm×100mm)にも対応
高さ調整は148.9mmとなっており、上記でご紹介している前面の写真が一番高く上げた状態で、こちらの写真が一番低く下ろした状態となっています。
EV3285の高さ調整の様子
チルト角は-5°~35°で、斜め上方向に大きく傾けることが可能です。スウィーベルは344°もあり、ほぼ1周回るくらいの可動範囲です。
EV3285の可動範囲
従来機種からの入力端子の変更点
上記で述べた外観(デザイン)に加え、入力端子も従来機種と異なり、DVI端子は廃止され、4K60pおよびHDCP2.2に対応するHDMIを2系統、DisplayPortを1系統に加え、新たにUSB Type-Cを搭載しました。USB Type-C対応ノートPCやHDMI機器との互換性情報がEIZO Webサイトで公開されています。また、出力端子として側面にヘッドホン端子とUSBハブを2ポート備えています。
USB Type-C対応ノートPCとの接続・給電互換性情報(EIZO Webサイト)
HDMI機器との互換性情報(EIZO Webサイト)
入力端子は HDMI×2、DisplayPort、USB Type-Cの4系統です。
EV3285の入力端子
モニターの側面には出力用のUSBハブが2ポートとヘッドホン端子を備えています。
EV3285のモニターの側面
作業効率がはかどる、高い基本性能
31.5型4Kの広い作業領域にさまざまなアプリを同時に起動し、フルHD液晶モニターに比べて、一画面に4倍も多く情報を表示することができ効率も向上します。『EV3285』の液晶パネルは広視野角で色再現性の高いIPSパネルが採用され、見る角度による色味の変化を最小限に抑えるほか、映り込みの少ないアンチグレア(非光沢)処理により、画面の見えにくさによるストレスに加え、目の筋肉の緊張による疲れ目の抑制も見込めます。
また、広視野角の特性を活かして、1台のモニターを複数人で共有して作業を進める使い方にも向いています。
EIZO(EV3285)スペック表
型番 | EV3285-BK |
---|---|
パネル | IPS(アンチグレア) |
サイズ | 80.0 cm(31.5)型 |
推奨解像度 | 3840×2160(アスペクト比16:9) |
表示領域(横×縦) | 697.3×392.2 mm |
画素ピッチ | 0.182×0.182 mm |
画素密度 | 140 ppi |
表示階調 | 256階調 |
表示色 | 約1677万色:8-bit対応 |
視野角(水平/垂直、標準値) | 178°/178° |
輝度(標準値) | 350 cd/m2 |
コントラスト比(標準値) | 1300:1 |
応答速度(標準値) | 5 ms(中間階調域) |
色域(標準値) | sRGB相当 |
入力端子 | USB Type-C×1(HDCP対応) DisplayPort×1(HDCP対応) HDMI×2 (HDCP対応、AV入力対応) |
出力端子 | ヘッドホン端子×1 USBハブ×2(1系統はバッテリーチャージに対応) |
スピーカー | 1.0 W+1.0 W |
標準消費電力 | 32 W (最大消費電力:163 W) |
待機時消費電力 | 0.5 W以下 |
外観寸法(横表示・幅×高さ×奥行) | 717.4×427.3~576.2×230 mm (モニター部:717.4×416.3×51.5 mm) |
質量 | 約11.0 kg (モニター部:約7.6 kg) |
EIZO(EV3285)スペック表
付属品の一部として、ケーブルカバーに加え、電源コードと各ディスプレイケーブルが1つずつ付属されています。
ケーブルカバー、2芯アダプタ付電源コード(2 m)、USB Type-C(2 m)、DisplayPort(2 m)、HDMI(2 m)
EV3285の付属品
充実した疲れ目対策機能を搭載
『EV3285』のOSDメニューには、カラー調整や言語選択などの基本設定のほか、明るさ自動調整機能やブルーライトをカットする「Paperモード」など、充実した疲れ目対策機能が搭載されています。
EV3285のモニター前面の右下にはOSDメニューを操作するタッチセンサーが搭載されています。
環境光を感知し、周囲の明るさに応じて画面の明るさを自動で調整するAuto EcoView機能を搭載。環境照度への画面の明るさの追従性を上げることで、より自然な調光に進化したようです。
EV3285のEcoView設定
約1cd/m2~350 cd/m2の調整が可能で、目への刺激を抑えることができます。また低輝度に画面を暗く調整でき、低輝度時でも表示は安定します。
EV3285の低輝度に画面
表示モードの設定では色空間に関する国際的な標準規格であるsRGBモードや、あたかも紙のような見え方に設定できるPaperモードなど、使用用途によって画面の表示を変更することができます。User1、2は、基本設定項目のカラー調整でブライトネス、コントラスト、色温度など好みの調整ができます。
色温度など好みの調整可能
ディスプレイやプリンタをはじめとする多くの一般的な電子機器に採用さるsRGB表示が可能です。
EV3285のsRGB表示
Paperモードでは、輝度、コントラスト比を抑え、画面を暖色系の色味にし、自動調光機能Auto EcoViewとの併用で、ブルーライトを約80%カットできます。
EV3285のPaperモード
Movieモードはコントラストが高く、色味にメリハリがついた印象があります。
EV3285のMovieモード
作業効率、管理効率が向上する、無償ソフトウェア「Screen InStyle」「Screen InStyle Server」
今回は時間の関係で試せませんでしたが『EV3285』は、モニターコントロールユーティリティ『Screen InStyle』に対応し、FlexScanモニターをより快適に使うための無償ソフトウェアをEIZOのホームページからダウンロードできます。
「Screen InStyle」の主な機能としては、使用するアプリケーションに表示モードを関連づけ、使用するアプリケーションがアクティブになれば表示モードが自動で切替わる「オートカラーモード」や、モニター前面に手を伸ばさなくても、手元のキーボードで入力信号を一発で切替えできる「ホットキー割り当て」などがあります。
また、サーカディアンリズム(人間の1日の規則的な生体サイクル)に合わせ、画面の色温度を自動で変更し、モニターから発生するブルーライトの量を制御してくれる「サーカディアン調光」や、マルチモニター環境において、1回の動作で複数台のモニターの表示設定を一瞬で同期し、電源を一斉にオン・オフすることも可能な連動機能などユーザー補助機能も充実しています。
EIZO(EV3285)を使用したみた感想は
「EV3285」の最大の特徴である4辺フレームレス・フルフラットの省スペースなデザインは、これからのモニターのトレンドにもなりうるシンプル、スタイリッシュデザインの先駆けとなるでしょう。複数のモニターを組み合わせて使うマルチモニターも、上下左右どう配置しても今まで邪魔になっていたフレームが無いため、モニター間の親和性も高く機能性としてもすぐれています。これらに加え、EIZOならではのモニター自体での優れた視認性や、自動調光や多彩な表示モードを搭載し、ユーザーの目の負担を極力抑える機能で、目に、体に、やさしい、疲れにくい機能により、モニターを長く使う人にもとてもお勧めできます。
やはり多くの方に信頼されるEIZOのモニターだと感じました。
私としても4Kの解像度で100%の等倍表示した際の文字の視認性は31.5インチの画面サイズがちょうどよく感じますので、机の大きさが許す限り31.5インチの大画面を是非検討していただければとおもいます。また、「Screen InStyle」については、興味深い機能をもっているため、機会があればまた試してみたいと思います。
360度どこからみても凡人、職人番号ラッキー7!職人7号です。主に写真撮影、動画編集を担当。パソコン工房ECサイトのBTOPCや自作パーツ等ひろく手掛ける。店舗部門出身。