昨今世界中で大流行の新型コロナウィルスですが、治療に役立つ情報を得るため分散コンピューティングでウィルスを解析するプロジェクトが始まりました。参加を検討中の方の参考に、実際のインストール方法やPCリソースがどのようになるかなどご紹介いたします。
新型コロナウィルス解析プロジェクトとは
分散コンピューティングソフトウェア「Folding@home」にて開始されたウィルス解析プロジェクトです。CPU及びGPUの余剰リソースを使用して自動で割り当てられたデータを解析し、解析したデータを研究室に送る仕組みになっており、ソフトウェアをパソコンにインストールするだけでどなたでも簡単に参加でき、ウィルスの解析に貢献することが出来ます。
現在NVIDIA GeForceやIntel Gamingも公式ツイッターにて参加を呼びかけており、様々な企業が自社のサーバーのリソース提供を表明しています。
Folding@homeとは
Folding@home(フォールディングアットホーム)とは2000年よりスタンフォード大学を中心に開始された分散コンピューティングプロジェクトと、それに用いられるソフトウェアの名称です。タンパク質の折りたたみ構造の解析を行っており、新型コロナウィルスの他に、ガンやアルツハイマーなどの病気の解析も行っています。
かつてはPlayStation3でも参加可能だった(現在は終了している)ソフトウェアを配布しており、2007年には世界一強力な分散コンピューティングネットワークとしてギネスブックにも登録された、実績あるソフトウェアです。
Windows、macOS、Linux各種で動作します。
Folding@homeに参加するには
手順はFolding@homeをインストールするだけです。幾つか手順を踏んで名前付きで参加することも出来ますが、匿名で参加する場合は特に何も設定しなくても問題ありません。名前付きで参加すると参加実績を後から確認することができます。
Folding@Homeの導入方法
まずはFolding@home公式サイトからソフトウェアをダウンロードします。各OSごとにダウンロードリンクがありますので、使用するOSに合ったリンクをクリックして下さい。
Folding@home公式サイト
ダウンロードページ https://foldingathome.org/alternative-downloads/
今回はWindows 10のパソコンを使用しているので、【fah-installer_7.5.1_x86.exe】をクリックしてダウンロードします。
ダウンロードが完了したら、ダウンロードしたファイルを実行してインストールを行います。
Nextをクリックして次へ。
利用規約ですので、同意する場合はI Agreeをクリックして次へ。
インストール方法を選択する画面です。
Custom installを選択するとインストール先やデータの保存先、自動起動の設定等が出来ますが、設定しなくても問題ありませんので、今回はExpress installを選択してNextをクリックします。
これでインストールが終わりましたので、Finishをクリックしてウィンドウを閉じます。
Start Folding@homeにチェックが入っていれば自動でソフトウェアが起動してブラウザが開きます。
お使いのセキュリティソフトによって変わりますが、このような警告が出る場合があります。問題なければアクセスを許可して下さい。
ブラウザが開くと、このようなページに移動します。この状態で既にバックグラウンドでソフトウェアが動作している状態です。
このページでは匿名で参加するか、ユーザーを設定するかを選択します。後からでも変更可能ですので、ひとまず「Fold as Anonymous」を選択して「Start Folding」をクリックして下さい。
プルダウンメニューから解析に参加する病気を選ぶことが出来ます。
コロナウィルスの解析に参加する場合は「Any disease」を選択して下さい。
※2020/3/18時点で実行した際には「Any disease」を選択することで優先的にコロナウイルスの解析になるようです。
後は待っているだけで自動で解析が必要なファイルをダウンロードし、解析して送り返します。
画像のように緑の丸の中の矢印が回り始めたら解析を実行している状態です。
右下の部分に解析中のプロジェクト番号と詳細が書かれています。新型コロナウィルスを解析しているのが分かるかと思います。
これで新型コロナウィルス解析プロジェクトへの参加が完了しました。プログラムはタスクバーに常駐しますのでブラウザは閉じてしまって構いません。後はいつもどおりパソコンを使用しているだけで医療に貢献することが出来ます。
パソコンが重くなって困る場合はWhenのチェックを「Only when idle」にしておくと、パソコンが待機状態の時に解析作業を行うようになります。
また、Powerのスライダーを変えることでも処理を軽くすることが出来ます。
実際解析している間、どれくらいのリソースを提供することになるのか試してみました。
消費するリソース量を実測
実測するにあたりパソコンにWindowsを新規インストールしましたので、常駐ソフト等は一切動いていない状態です。
タスクマネージャーで確認してもほぼ何もリソースを消費していません。
PowerのスライダーをLightにしている時のタスクマネージャーです。ほぼ半数のコアを最大まで利用しているようです。Lightに設定した場合、確認した限りですがGPUでの解析プロジェクトは取得しませんでした。
PowerのスライダーをMediumにしている時のタスクマネージャーです。確認した限りCPUとGPUを同時に解析に使用することは無いようでした。CPUはLight時と異なり、80%以上のリソースを割いているようです。
GPUはMediumから解析に利用されはじめました。タスクマネージャーで見る使用率は概ね40~50%程度の表示ですがCopyの値を示しているようで、実際のGPUの負荷となるCUDAは100%の使用になっています。プロジェクトを取得する頻度はそれほど高くなかったのですが、解析に時間がかかるのでGPU自体はそれなりに熱くなっていました。
PowerのスライダーをFullにしている時のタスクマネージャーです。CPU、GPU共に使用率はMedium時と変わっていませんが、プロジェクトを取得する頻度が短くなるようなのでCPUとGPUの解析が同時に走っている時間が増えます。
参加にはパソコンの発熱対策を忘れずに
このようにCPUやGPUを稼働させるため、ゲームをプレイしているときのように消費電力も発熱量も上がります。長時間にわたり負荷をかけますので、十分な排気ができるよう、たとえば、ノートパソコンであればノートパソコン冷却台に載せておくことや、デスクトップパソコンの場合なら内蔵ファンの回転数を上げておくなど、発熱対策は忘れずに行っておきましょう。
また、消費電力が増えればその分の電気代も掛かります。
そこも貢献の一環という気持ちで、参加してください。
以上、Folding@homeの導入方法とリソースの確認でした。
CPU | Core i9-10980XE (3.0-4.8GHz/18コア・36スレッド/キャッシュ24.75MB/TDP165W) |
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マザーボード | ASUS PRIME X299-AII-SI (X299チップセット) |
メインメモリ | DDR4-2666 16GB (8GB x2) |
ビデオカード | ZOTAC製 GeForce RTX 2060 Super (8GB GDDR6) |
ストレージ | Kingstone RBU-SC152DS37/240GH (Kingston SSDNow UV400 SATA 240GB) |
電源 | Seasonic SSR-1000PD (80PLUS PLATINUM、1000W) |
OS | Windows 10 Pro 64bit (バージョン:1909) |
ロボットアニメ大好きな店頭サポート出身のビジネス、Linux系担当ECスタッフ。空きスロットは意味なく埋めたいタイプ。お客様に寄り添ったパソコン作りをモットーに今日も頑張ります!