IT導入補助金の概要とIT導入補助金対象者、対象ツール、申請の流れについて説明します。また2018年から改正されたルールについてもご紹介します。

ソリューション最終更新日: 20190725

IT導入補助金活用のポイント[2019年度版]

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今年もIT導入補助金の申請が始まりました。補助額が昨年(2018年度)50万円でしたが今年は最高450万円と大幅にUPしました。これにより思い切った、業務の効率化や売り上げ向上に関わる施策が可能になるかもしれません。 昨年から改定されたルールもありますのでご紹介していきます。途中で補助金の予算が達すると終了する場合もありますので、詳しくは必ず公式サイトでご確認ください。

IT導入補助金とは

中小企業・小規模事業者が生産性向上のためにITツールを活用して利益増、労働時間の削減・給与アップや労働環境の改善などを実現する目的の補助金です。2019年のIT導入補助金は補助額の上限が50万から最大450万円と大きくなり、補助予定件数は少なくなりました。一事業所あたりの予算が増え昨年と比較すると狭き門になるかもしれません。ただ、逆の見方をすると、今まで高額で導入できなかった生産性向上に役立つITツールの導入がしやすくなったといえるでしょう。

IT導入補助金対象者

中小企業・小規模事業者等(飲食、宿泊、卸・小売、運輸、医療、介護、保育等のサービス業の他、製造業や建設業等も対象)
詳しくは公式ページをご参照ください。

“補助対象について | 中小企業・小規模事業者のみなさま | IT導入補助金”.一般社団法人 サービスデザイン推進協議会.2019.
https://www.it-hojo.jp/applicant/subsidized-works.html

今年から変更になった点としてIT導入補助金を申請するにあたってはセキュリティアクション(SECURITY ACTION)を宣言することが必須要件となりました。

セキュリティアクションとは中小企業・小規模事業者自らが情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度です。

セキュリティアクションには2つの段階があり取り組むレベルに応じて「一つ星」と「二つ星」があります。取り組みに応じてどちらかのマークが発行されホームページや名刺、カタログなどに自由に掲載することが出来ます。

「一つ星」は情報セキュリティ5か条を取り組むことで取得可能となります。情報セキュリティ5か条は下記の5つになります。

1.OSやソフトウェアは常に最新の状態にしよう!
2.ウイルス対策ソフトを導入しよう!
3.パスワードを強化しよう!
4.共有設定を見直そう!
5.脅威や攻撃の手口を知ろう!

すでに出来ている企業も多いと思います。出来てないということであれば、すぐに対策していただいた方がいい内容です。「二つ星」は少しやることは増えますがどちらも自社のセキュリティ意識を向上させる意味でも意義のある事だと思います。

セキュリティアクションの申込みは、WEBサイトから無料で申し込みが出来ますが、ロゴマークを使用できるようになるまでには1〜2週間かかります。IT導入支援事業者による代理申請はできませんので、IT導入補助金の申請をされる中小企業・小規模事業者ご自身で行ってください。
セキュリティアクションの申し込みはこちらから

“SECURITY ACTIONセキュリティ対策自己宣言”.情報処理推進機構.2018.
https://www.ipa.go.jp/security/security-action/it-hojo.html

業種分類やセキュリティアクションの宣言の要件を満たしていても以下のいずれかに1つでも該当する場合は、補助金申請を行うことは出来ません。

(1)次の①~③のいずれかに該当する事業者(いわゆる「みなし大企業」)
①発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業・小規模事業者等
②発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業・小規模事業者等
③大企業の役員又は職員を兼ねている者が、役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者
(2)IT導入補助金2019において「IT導入支援事業者」に登録されている事業者
(3)経済産業省から補助金等指定停止措置または指名停止措置が講じられている事業者
(4)風営法に規定する「風俗営業」、「性風俗関連特殊営業」及び「接客業務受託営業」を営む事業者(旅館業法に規定する許可を受け旅館業を営む事業者を除く)
(5)過去1年において、労働関係法令違反により送検処分を受けている事業者
(6)暴対法に規定する暴力団等の反社会的勢力に関係する事業者
(7)宗教法人
(8)法人格のない任意団体(例)同窓会、PTA、サークル等
(9)その他、本事業の目的・趣旨から適切でないと経済産業省及び事務局が判断する者

IT導入補助金対象ツールとは

IT導入補助金は、生産性向上のためにITツールを活用して利益増、労働時間の削減・給与アップや労働環境の改善を図ると先に述べましたが

生産性向上とは労働生産性のことで伸び率について数値目標を作成する必要があります。

労働生産性の計算式は以下になります。

労働生産性=粗利(売上-売上原価)/従業員数✕年間の勤務時間平均(1人あたり)

※「ITツール登録の手引き」より

・労働生産性を向上させるには粗利を増やすために「売上を増やす」、「売上原価を減らす」二つの方法と、業務効率化で「勤務時間を減らす」方法があります。ITツールを導入して導入前と導入後の労働生産性の伸び率を提示する必要があります。

IT導入補助金の対象ツールは、「ソフトウエア」「オプション」「役務」の3つがあります。

ソフトウエア

IT導入補助金でいうソフトウェアとは、自社でサーバを置いて運用するオンプレミス版、クラウド版のパッケージソフトウェアとし、「業務パッケージ」「効率化パッケージ」「汎用パッケージ」の3種類からなります。
「ソフトウェア」を構成する「業務パッケージ」「効率化パッケージ」「汎用パッケージ」について表にしました。

オプション

IT導入補助金で言う「オプション」とは、ソフトウェアの導入に伴い必要となる製品で、「機能拡張」「データ連携ツール」「セキュリティ」「ホームページ関連費」からなります。

但し、一方通行の情報発信をするホームページ(コーポレートサイト等)は、当該補助金の対象とはなりません。顧客とのインタラクティブ(双方向)のやりとりが可能であり、インターフェイスとしての役割を持つ、「業務プロセス」を補うためのホームページの制作費(とその関連費)がオプションとして補助対象となります。

役務

ソフトウエアの導入に伴って必要となるものに限り補助対象であり「導入コンサルティング」「導入設定・マニュアル作成・導入研修」「保守サポート」からなります。パッケージ単体だけでなく保守、導入支援なども対象になります。
IT導入支援事業者選定の際は、ソフトウエア導入時に、その事業者が提供可能な「役務」の内容も含めてよく検討しましょう。

対象にならないもの

広告費、ハードウェア(PC、タブレット等)は補助の対象となりません。また、スクラッチ開発(既存のパッケージの利用ではなく、独自にシステムを開発すること)、ソフトウェアの大幅なカスタマイズも対象外となります。補助対象となるITツールは、本事業の事務局に登録されていて、かつ市販されているITソフトウェアとなります。

事務局に登録されたIT導入支援事業者・ITツールの検索
https://www.it-hojo.jp/applicant/vendorlist.html

申請手続の流れ

補助金申請を公募期間中に行い、採択後にITツールを購入してください。採択前に購入をしても対象になりません。

A類型、B類型の違い

補助金を申請する際にA類型とB類型のどちらかを選んで申請する必要があります。上限金額や公募期間などが異なります。

目・類型 A種類型 B種類型
採択予定日 6月下旬(予定 7月中旬(予定
補助上限額・下限額 上限額:150万円未満
下限額:40万円
上限額:450万円
下限額:150万円以上
補助対象経費区分 ソフトウェア費、導入関連費
補助率 1/2以内
表示機能 2以上かつ、業務プロセスを1つ以上含むこと 5以上かつ、業務プロセスを3つ以上含むこと
後年の効果報告 3年度 5年度

A類型の申請条件
1つ以上の業務プロセスが選択され、合計2プロセス以上が含まれる必要があります。

A類型の申請条件A類型の申請条件

B類型の申請条件
3つ以上の業務プロセスが選択され、合計5プロセス以上が含まれる必要があります。

A類型の申請条件B類型の申請条件

交付決定後、事業実績報告の手続き

    申請 交付決定 実施期間 報告
一次募集 A類型 5/27-6/12 6/26頃 交付決定〜2019/12/24 交付決定〜2019/12/24
B類型 5/27-6/28 7/16頃 交付決定〜
2019/12/24
交付決定〜
2019/12/24
二次募集
(予定)
7月中旬 9月上旬 交付決定〜
2020/1/31
交付決定〜
2020/1/31

申請が完了し、無事交付決定がされると事業者との契約または、ITツールなどのソフトウエアの購入に進みます。
交付決定されると専用のポータルサイトに事業報告をします。事業報告の内容は以下の通り大きく4つあります。

(1)契約情報
交付決定後の日にちであること。数量、金額をポータルサイトに入力します。
(2)納品情報
契約締結後の納品となるため、(1)の日付以降になります。
(3)支払情報
「支払日」「支払方法」「証憑」「消費税や受領額等の反映」で支払い方法は、銀行振込、クレジットカード払い、現金払いになります。現金払いの場合、領収書には交付決定番号の記載が必要です。証憑を紛失してしまうことのないように十分注意してください。
(4)口座情報確認
補助金の交付を受ける口座情報をポータルサイトに入力します。
通帳の表紙と表紙の裏面の証憑添付が必要です。

以上の項目を報告し事務局に申請するボタンを押して事業実績報告は完了です。

補助金の交付は、事業実績報告を事務局が確認、審査した後に入金という流れです。

ハードウエアの購入時は他の制度を活用

PCタブレットなどのハードウェアはIT導入補助金の対象にはなりませんが、青色申告をする個中小企業及び青色申告の個人事業主に限りますが30万円未満の少額減価償却資産を一括で経費計上することが出来ます。IT導入補助金ではハードウェアの購入は、対象にはなりませんが、税制の控除対象になりますので合わせて利用することも可能です。少額原価償却資産についてはこちら
https://www.pc-koubou.jp/magazine/16186
ただし、税制については変更になることもありますので国税局のWEBサイトをご参照ください。

早めにIT導入補助金の申請をして業務の効率化や売り上げアップに繋げていただきたい

今年のIT導入補助金は、昨年までよりも補助金額の上限もあがり、補助予定件数が少なくなりました。また、昨年よりも全体の予算が1/5まで減っていることから昨年までは2次募集、3次募集とありましたが、今年は追加募集があるかはわかりません。早めに申請してITツールを利用して業務の効率化や売り上げアップに繋げていただきたいと思います。

ライタープロフィール パソコン工房NEXMAG
[ネクスマグ] 編集部

パソコンでできるこんなことやあんなこと、便利な使い方など、様々なパソコン活用方法が「わかる!」「みつかる!」記事を書いています。

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