Shade 3Dのレンダリング速度をCPU別に検証

Shade 3Dのレンダリング速度をCPU別に検証

2014-7-4
2014-7-8 追記

パソコン工房ECサイトへのご来店、誠にありがとうございます。 一号です。

最近3Dプリンター関連のニュースでよくShade 3Dの情報を見かけていたのでふと「今のShade 3Dの必要とするハードスペックはどの位なんだろう?」と思い、サイトでチェックしたところ、ある部分に気が付きました。

“Shade 3Dの動作環境紹介でのGPUへの要求スペックがかなり低い“

Intelのオンボードでも2000シリーズ以上であればOKのようです。
どうした事でしょう? 気になったので、“Shade 3Dの中の人”に問合せて聞いてみたところ、
「さすがに古い世代のオンボード等は厳しいけれど、昨今の最新PCの場合はハードウェアの性能の向上に伴い、オンボードでも十分に描画するようになった」との事です。

「それでは快適な制作環境を作る為に必要なハード性能はどこですか?」と質問したところ、兎にも角にもレンダリングに必要とされるCPUの性能だそうです。
ワークフロー上、他のツールやアプリも使用する場合はこの限りではありませんが、Shade 3Dによる制作環境においては、CPUスペック以外には膨大なメモリー容量も高速なSSDも必要なしという事になります。

そうするとCPUの違いによりどの位の差が出るのかを確認すれば良いのですが、比較するモノサシがありません。

Shade 3Dベンチマーク

そこで“Shade 3Dの中の人”にもご協力頂き、尺度を測る為のベンチマーク用ファイルを2つ準備しました。
この2つのファイルにレンダリング処理をかけてその完了時間を計測して比較します。

○Shade 3Dのバージョン
Shade 3D Professional Ver.14.1.0.282 64bit

○ベンチマーク用ファイル
1:空と堤防とShade 3Dとパソコン工房(2000*2000ピクセル)

ベンチマークコンセプト:「フィジカルスカイ」を使用したシーン。IBLを併用。

「フィジカルスカイ」は、日時と場所を指定することで太陽の位置を自動計算し日照をシミュレートできるShade 3Dの機能です。
本テストデータでは、背景の情報を光源として使用するIBLを併用しており、またシーンを作り込んでいるので計算負荷が高めです。

2:たわしとShade 3Dとパソコン工房(640*480ピクセル)

ベンチマークコンセプト:「リプリケータ」を使用したシーン。

「リプリケータ」は3D形状をランダムに複製、配置するShade 3Dの機能です。
本テストデータでは、「リプリケータ」によって手作業では膨大な作業になるタワシの繊維の大量複製とランダム配置に成功していますが、 大量に複製しているのでレンダリング計算負荷は非常に大きくなっています。


○計測CPU
では早速計測を行ってゆきます。
比較したCPUはこちらです。(OSはWin8.1 64Bit)
CPU 通常時 TB時 物理Core HT Cache Socket 合計C/T
Core i3-4340 3.6GHz - 2 2 4MB 1 C2/T4
Core i5-4670 3.4GHz 3.8GHz 4 0 6MB 1 C4/T4
Core i7-4770 3.4GHz 3.9GHz 4 4 8MB 1 C4/T8
Xeon E5-2620v2 2.1GHz 2.6GHz 6 6 15MB 2 C12/T24
Xeon E5-2640v2 2.0GHz 2.5GHz 8 16 20MB 2 C16/T32
Xeon E5-2660v2 2.2GHz 3.0GHz
10 20 25MB 2 C20/T40
Core iシリーズとXeon各3モデルです。
word2vecベンチマーク環境の使いまわしの為、Haswell-Refreshではありません。
CPUの違いによる結果考察という事でご了承ください。

その代わりといっては何ですが、前回のベンチマークで親方の反対を押し切って開封&検証したにも関わらず全然効果を発揮しなかったXeon環境一式に対して、ここで更に上位CPUのXeon E5-2660v2も追加で調達してチェックします。
あのままで終わるわけには行きません!
Xeon E5-2660v2では2 Socket駆動だと 物理コア20 + 論理コア20 で合計40スレッドに達します。
これで良い数値にならなければ私はどうなるんだ? と思いながらCPUのパッケージをバリバリと開封しました。

○計測結果
レンダリング実行速度は以下の通りとなりました。
CPU 空と堤防
たわし
Core i3-4340 4分05秒 12分46秒
Core i5-4670 2分31秒 8分39秒
Core i7-4770 1分56秒 6分05秒
Xeon E5-2620v2 1分17秒 3分45秒
Xeon E5-2640v2 1分05秒 3分03秒
Xeon E5-2660v2 0分57秒 2分13秒
やった~~ Xeonで非常に良好な結果が出ました!!!
“たわし”のようにヘビーな素材の処理では特にその差がよく出ています。
今回は物理コアのみではなく、論理コアも余すところなく使用しているのをリソースメーターでも確認できました。

○その他のハード環境
念のため、Corei7ベースで以下の環境による速度差を計測しましたが、今回の素材においては全く変化はありませんでした。

・メモリー
容量:4GB~16GB
転送:シングル or デュアルチャネル

・グラフィックス
Intel オンボード or Radeon7850

・ストレージ
SSD or HDD(7200rpm)

※今回はハード特性の比較なので詳細は割愛しますが、各デバイスドライバーのバージョンの違いで10秒単位で速度が変わるのを確認しました。 同一構成で同じ速度にならない場合がありますのでベンチマーク数値は目安としてお考えください。

結果について

“Shade 3Dの中の人”からの情報と検証結果の通り、CPUパワーを重視した構成という事で大丈夫でした。
プログラムによっては仮想コア(Hyper-Threading)が有効に活用されないものも存在しますが、Shade 3Dでは論理コアの有効度は非常に高いです。

予算のご都合もあると思いますが、レンダリングの処理時間からの快適性を考えますとここはCorei7にして頂きたいところです。

Xeon搭載のワークステーション場合はレンダリングは爆速ですが、単発のクロック数はCoreiシリーズより低いので、レンダリング処理以外の色々な場面で“モッサリ”するかもしれません。

ご紹介はしたものの今回の結果に対してメリットが明確に想定できる“プロ/上級者向け”と考えてください。

・弊社PCでのおすすめモデル


※Xeonは少々お待ちください。
特にXeon E5-2697v2(C12/T24)以上は未検証ゾーンなので、Shade 3Dでご検討の場合は是非、事前にご相談頂くか、今後の検証結果をお待ちください。

○ベンチファイルのプレゼント と アンケート

ご自身の環境でも試してみたいというお客様の為に、OneDriveの公開フォルダに使用したファイルを置きました。
以下のリンクよりダウンロードしてお試しください。

http://1drv.ms/TBsWz0
ファイル名
PhysicalSky-bentimarkCOMP.shd (空と堤防とShade 3Dとパソコン工房)
Replicator_bentimarkCOMP.shd (たわしとShade 3Dとパソコン工房)
※ご注意:以下ご了承ください。
本ファイルにつきまして、再配布につきましては問題ございませんが、当社に許可なく内容を変更して再配布する事はお断りいたします。 又、本ファイルの使用により発生したいかなる損害に対しても、当社および本ファイルの製作者が一切の責任を負うものではありません。
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又、OneDriveにアンケート機能があったのでアンケートも作りました。
必須ではありませんが、今後の実験の参考とさせて頂きますので、ぜひご回答ください!
それにしてもOneDrive便利ですね。
登録も簡単でした。 是非、使ってみてください。

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2014/7/8追記
Shade 3Dのニュースでも弊社の実験について取り上げて頂きました。
より具体的に使い方とハードウェアスペックの関係の紹介がされていますので是非ともご覧下さい。

「Shade 3Dとハードウェアのスペックについて」
 (http://shade3d.jp/news/detail/pckobo-benti.html

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2014/9/2追記
「Haswell-E」世代となるCore i7プロセッサーとX99 Expressチップセットがついに登場しましたので、 早速検証してみました。

「Shade 3Dのレンダリング速度をHaswell-EとX99チップセット構成で検証」
 (https://www.pc-koubou.jp/blog/Shade3d_x99.php

執筆:パソコン工房 職人1号