GeForce RTX 2080 Ti / 2080 ベンチマーク、性能比較

気になる製品最終更新日: 20180927

GeForce RTX 2080 Ti / RTX 2080 速攻ベンチマークレビュー

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3Dゲームの革命を起こすとNVIDIAより8月20日に発表された新しいグラフィックスカード、コードネーム「Turing(チューリング)」ことGeForce RTX 20 シリーズのうち、GeForce RTX 2080 TiとGeForce RTX 2080 を搭載したカードが入手できましたので、速報としてカードの画像や特徴、ベンチマークを紹介します。開発に10年以上もかけてきたと言われているGeForce RTXですが、性能はどれほどのものなのか期待が高まります。なお、今回入手できたカードは、MSI「GeForce RTX 2080 Ti VENTUS 11G」、「GeForce RTX 2080 VENTUS 8G」となります。

GeForce RTX 2080 Ti / RTX 2080 の特徴

GeForce RTX 20 シリーズの最大の特徴は、何と言っても「リアルタイムレイトレーシング(Ray Tracing)」の処理を専門に行う「RTコア」を搭載した事でしょう。従来では膨大な計算と時間が必要なレイトレーシングには必要でしたが、ポリゴンと光線の衝突判定処理を専門におこなうRTコアを実装することにより、リアルタイムでレイトレーシング処理が行えるようになり、より現実に近い光と影の描画が可能となりました。

さらにTITAN Vに採用されるVoltaアーキテクチャで追加された「Tensorコア」を実装しており、DLSS(Deep Learning Super Sampling)などの「AI処理」による画質向上の効果をゲームに低負荷で適用することができるようになりました。Deep Leariningを実行する(学習させる)だけでなく、学習させたものを実際に動作させる「推論」を高速に行いリアルタイムにゲームに活用できるようになりました。

これらの効果は、従来までのGeForceシリーズではあまりにも処理が重すぎて実用的なレベルではありませんでした。例えばレイトレーシング処理については、実用レベルにするためにGeForce GTX 1080 Tiが6枚以上も必要だったところをGeForce RTX 2080 Tiではたった1枚で実現しており「RTコア」の凄さの一端を垣間見ることができます。
従来のようにCUDAコアの数を少ない面積でいかに増加させ、性能を上げることができるかといった点で性能向上を図ってきましたが、今回は大きく方針を変え、新たな「専用の処理をおこなうコア」を追加してきた点が「Turingアーキテクチャ」の大きな特徴といえます。

また、従来のSLIコネクタを廃止し、より高速な通信処理が可能となるNVLinkを採用した事も大きなトピックです。従来の描画結果をリンクさせるSLIとは異なり、2つのGPUを1つのGPUとして見せかけ動作させることが可能になり、ビデオメモリも合計した量が使えるようになるなど大きくSLIの挙動が変更になります

SLIに変わって採用されたNVLinkコネクタSLIに変わって採用されたNVLinkコネクタ

その他のGeForce RTX 20 シリーズの特徴としては

■12nmプロセスの採用
■ビデオメモリにGDDR6を採用
■VirtualLink対応USB Type-Cコネクタを出力端子に搭載
■Display Port 1.4aのサポートにより8K出力がケーブル1本で可能

などが有ります。

GeForce RTX 2080 Ti 全景-1GeForce RTX 2080 Ti 全景-1

GeForce RTX 2080 Ti 全景-2GeForce RTX 2080 Ti 全景-2

GeForce RTX 2080 Ti 出力端子。右下にVirtualLink用のUSB Type-Cコネクタ。はみ出したファンカバー部が3ストッロ目を使用。GeForce RTX 2080 Ti 出力端子。右下にVirtualLink用のUSB Type-Cコネクタ。はみ出したファンカバー部が3ストッロ目を使用。

GeForce RTX 2080全景-1GeForce RTX 2080全景-1

GeForce RTX 2080出力端子。右下にVirtualLink用のUSB Type-Cコネクタ。はみ出したファンカバー部が3ストッロ目を使用。GeForce RTX 2080出力端子。右下にVirtualLink用のUSB Type-Cコネクタ。はみ出したファンカバー部が3ストッロ目を使用。

ご覧の通り、カードデザインは全く同じで見分けがつきません。唯一の違いは、補助電源コネクタの所で、GeForce RTX 2080 Ti は〈8Pin + 8Pin〉、GeForce RTX 2080は〈8Pin + 6Pin〉となっています。

補助コネクタの違い。上:GeForce RTX 2080 Ti〈8Pin + 8Pin〉、下:GeForce RTX 2080〈8Pin + 6Pin〉。補助コネクタの違い。上:GeForce RTX 2080 Ti〈8Pin + 8Pin〉、下:GeForce RTX 2080〈8Pin + 6Pin〉。

GeForce RTX 2080 Ti / RTX 2080 各モデルのスペックは下表のとおりとなります。

  GeForce RTX
2080 Ti
GeForce RTX
2080
GeForce GTX
1080 Ti
GeForce GTX
1080
アーキテクチャ Turing Pascal
GPUコア TU102 TU104 GP102 GP104
製造プロセス 12nm 16nm
CUDAコア 4352基 2944基 3584基 2560基
RTコア 68基 46基
Tensorコア 544基 368基
定格クロック 1350MHz 1515MHz 1480MHz 1607MHz
ブーストクロック 1545MHz 1710MHz 1582MHz 1733MHz
RTコア 10G Ray/s 8G Ray/s
メモリタイプ GDDR6 GDDR5X
メモリ容量 11GB 8GB 11GB 8GB
メモリ転送レート 14Gbps 11Gbps 10Gbps
メモリバス幅 352bit 256bit 352bit 256bit
メモリバス帯域幅 616GB/s 448GB/s 484GB/s 320GB/s
NVLink ○(2リンク) ○(1リンク)
G-SYNC
TDP 250W 215W 250W 180W
補助電源 8pin + 8pin 8pin + 6pin 8pin + 6pin 8pin
推奨電源 650W 600W 500W

他シリーズとのスペック比較一覧表

スペック情報から「従来通り」の性能を計算すると、GeForce GTX 1080 Tiは11.3TFLOPS、GeForce RTX 2080 Tiは13.4TFLOPSとなり、性能は約1. 2倍となる予測を立てることができます。同様にGeForce GTX 1080は8.8TFLOPS、GeForce RTX 2080は10.0TFLOPSとなり、性能は1.1倍となる予測となります。

それでは実際の性能はどれほどになるのか、ベンチマークを見ていきたいと思います。

GeForce RTX 2080 Ti / RTX 2080 ベンチマークテスト

比較対象として、直接の後継となるGeForce GTX 1080 Ti と GeForce GTX 1080 を用意しました。ハイエンド向けのビデオカードであるため、テスト解像度はフルHD(1920x1080)オーバーである、WQHD(2560x1440)と4K(3840x2160) の2つの解像度のいずれかにて行っています。

3D Mark「Fire Strike」

まずは、Direct X11 の代表的ベンチマークとして、3D Mark 「Fire Strike」 のGraphics Score を見てみましょう。テスト解像度は、WQHD のFire Strike Extremeと4KのFire Strike Ultraとなります。

3D Mark「Fire Strike」にてGeForce RTX 20 シリーズのベンチマーク結果3D Mark「Fire Strike」にてGeForce RTX 20 シリーズのベンチマーク結果

GeForce RTX 2080 Tiが頭一つ抜け出し、GeForce GTX 1080 Ti、GeForce RTX 2080と続き、一段下がってGeForce GTX 1080 と続きます。同じレンジ同士で比較すると、GeForce RTX 2080 TiはGeForce GTX 1080 Tiを15%程度、GeForce RTX 2080はGeForce GTX 1080を20%以上上回っており、順当に性能向上しているようです。

3D Mark「Time Spy」

次いで、Direct X12の代表的ベンチマークとして、3D Mark 「Time Spy」 のGraphics Score を見てみましょう。テスト解像度は、WQHDのTime Spyと4KのTime Spy Extremeとなります。

3D Mark「Time Spy」にてGeForce RTX 20 シリーズのベンチマーク結果3D Mark「Time Spy」にてGeForce RTX 20 シリーズのベンチマーク結果

Fire Strike とは傾向が異なり、GeForce RTX 2080がGeForce GTX 1080 Tiを10%ほど上回っています。同じレンジ同士で比較すると、GeForce RTX 2080 TiはGeForce GTX 1080 Tiを40%程度、GeForce RTX 2080はGeForce GTX 1080を45%以上上回っており、Fire Strike よりも向上率が大きくなっています。

FINAL FANTASY XV

続いて、FINAL FANTASY XVです。テスト環境設定は標準品質・フルスクリーンと高品質・フルスクリーン、テスト解像度は4Kとなります。

FINAL FANTASY XVにてGeForce RTX 20 シリーズのベンチマーク結果FINAL FANTASY XVにてGeForce RTX 20 シリーズのベンチマーク結果

全体的にはFireStrikeに似た傾向となっていますが、GeForce RTX 2080とGeForce GTX 1080 Tiの差が縮まり均衡しています。スコア差を見比べると、ビデオメモリの帯域幅が影響している様にも見受けられます。

ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター

最後に、ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーターです。テスト環境設定は最高品質・DirectX11・フルスクリーン、テスト解像度はWQHDと4Kとなります。

ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーターにてGeForce RTX 20 シリーズのベンチマーク結果ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーターにてGeForce RTX 20 シリーズのベンチマーク結果

FINAL FANTASY XVに似た傾向となっていて、GeForce RTX 2080とGeForce GTX 1080 Tiが縮まり均衡しています。

面白いのは、同じレンジ同士の比較では解像度が上がると差が開くのに対し、GeForce RTX 2080とGeForce GTX 1080 Tiでは逆転が起こっています。この辺りはFINAL FANTASY XVと同様、ビデオメモリの帯域幅が影響しているのかも知れません。

GeForce RTX 2080 Ti / RTX 2080 を試してみた結果

全体的に、GeForce RTX 2080 Ti は頭一つ抜け出す性能で、GeForce RTX 2080とGeForce GTX 1080 Ti はほぼ均衡、一段下がってGeForce GTX 1080 と言える性能で、順当に性能向上が行われている様です。ほぼ予測の通りの結果でしたが、特にGeforce GTX 1080に対するGeForce RTX 2080の伸び率は高く、CUDAコア、動作クロック以上の性能向上が見られます。

また、検証に用いたドライバーの最適化の状況も関係するかと思いますが、DirectX 12環境ではGeForce RTX 20シリーズが優位、それ以前のDirectX 11など環境ではGeForce GTX 10シリーズが優位、という傾向が有る様に見えます。この辺りはドライバーの最適化が進む事で、今回とは違った結果になるのかも知れません。

 現状、リアルタイムレイトレーシングや、DLSSが使用できるタイトルが無いため、従来通りのベンチマークによる性能比較となりましたが、今後、リアルタイムレイトレーシングやDLSSなどの新機軸を採用するタイトルがリリースされてくると、GeForce RTX 20シリーズは快適で美麗なゲーミング体験には必須となるグラフィックスカードとなることは間違いないでしょう。

CPU Core i7-8700K (3.7-4.7GHz/6コア・12スレッド/キャッシュ12MB/TDP95W)
マザーボード MSI Z370-S01 (Z370チップセット)
メインメモリ DDR4-2666 16GB (8GB x2)
ビデオカード GeForce RTX 2080 Ti VENTUS 11G (ビデオメモリ 11GB)
GeForce RTX 2080 VENTUS 8G (ビデオメモリ 8GB)
GeForce GTX 1080 Ti Founders Edition (ビデオメモリ 11GB)
GeForce GTX 1080 Founders Edition (ビデオメモリ 8GB)
ストレージ WesternDigital  WDS500G2X0C (WD Black NVMe 500GB)
電源 Seasonic SSR-850FX (80PLUS Gold、850W)
OS Windows 10 Home 64bit (バージョン:1803)

検証環境

ライタープロフィール 職人5号

Windows2000登場前からほぼ一貫してPC製造部門に従事。PC組立はもちろん、OSイメージの作成や製造時のトラブルシュートを行う。 その経験を生かしてOSの基本情報や資料室を担当する事が多い。

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