AMDの Threadripper 2950X ベンチマーク、性能比較

気になる製品最終更新日: 20180831

Threadripper 2950X 速攻ベンチマーク

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ゲーミング向けモデル「Ryzen Threadripper 2950X」が登場しました。コンシューマー向けCPUとして最大16コア/32スレッドというスペックを引っ提げて衝撃的な登場をしたRyzen Threadripperも、1年の時を経て第2世代へと進化しました。コア数/スレッド数を大幅に強化したクリエイター向けモデル「Ryzen Threadripper 2990WX」に続き、今回はこのゲーミング向け第2世代Ryzen Threadripper 2950Xについて探っていきます。
eスポーツを実際にプレイしながら実況配信する方にもおすすめのCPUです。

ゲーミング向け第2世代Ryzen Threadripper 2950X

第2世代Ryzen Threadripper では末尾に「WX」が付くクリエイター向けと、「X」が付くゲーミング向けの2種類に区分されるようになりました。今回発売されるRyzen Threadripper 2950Xはゲーミング向けとしては、第1世代のRyzen Threadripper 1950Xと比較してアーキテクチャのブラッシュアップと、動作クロックをアップさせる事で高速化を図っており、Ryzen Threadripper 1950Xの直系とも言えるモデルとなっています。

特徴としては、
・12nm「Zen+」アーキテクチャを採用
・最大4.4GHzの高クロック動作を実現
・ソケットTR4に引き続き対応し、チップセットはX399チップセットを使用(※ただしBIOSの対応が必要)
などが挙げられます。

AMD Threadripper 2950X パッケージAMD Threadripper 2950X パッケージ

《左:Ryzen Threadripper 2950X / 右:Ryzen Threadripper 1950X 》上部の「AMD Ryzen Threadripper ~」の刻印が若干異なっています《左:Ryzen Threadripper 2950X / 右:Ryzen Threadripper 1950X 》上部の「AMD Ryzen Threadripper ~」の刻印が若干異なっています

《左:Ryzen Threadripper 2950X / 右:Ryzen Threadripper 1950X 》中央のコンデンサの配置まで全く同じです《左:Ryzen Threadripper 2950X / 右:Ryzen Threadripper 1950X 》中央のコンデンサの配置まで全く同じです

Ryzen Threadripper 2950Xは、第1世代Ryzen Threadripperと同様にTDPが180Wとなっており、基本的にはCPUクーラーやマザーボードはRyzen Threadripper 1950X、1920X、1900Xなどで使用していた物をそのまま流用する事が出来ます。
今回動作テストに用いたマザーボード「MSI X399 GAMING PRO CARBON AC」では、事前に第2世代Ryzen Threadripper対応BIOSに更新しておかないと、起動しませんでした。事前に対応BIOSへの更新が必要となりますので、注意して下さい。

Ryzenシリーズ スペック比較一覧表

  Ryzen Treadripper
2990WX
Ryzen Treadripper
2950X
Ryzen Treadripper
1950X
Ryzen Treadripper
1920X
RYZEN 7
2700X
RYZEN 7
2700
製造プロセス 12nm 14nm 12nm
コア/スレッド 32/64 16/32 16/32 12/24 8/16 8/16
動作クロック 3.0GHz 3.5GHz 3.4GHz 3.5GHz 3.7GHz 3.2GHz
Boostクロック 4.2GHz 4.4GHz 4.0GHz 4.0GHz 4.3GHz 4.1GHz
L2キャッシュ 16MB 8MB 8MB 6MB 4MB 4MB
L3キャッシュ 64MB 32MB 32MB 32MB 16MB 16MB
メモリ 対応メモリ DDR4-2933 DDR4-2667 DDR4-2933
チャネル数 4 2
TDP 250W 180W 180W 180W 105W 65W
64bitコード AMD64
対応ソケット Socket TR4 Socket AM4
対応チップセット AMD X399 AMD 300/400 シリーズ

Ryzenシリーズでのスペック比較一覧表

荒っぽく大雑把な言い方をすれば、Ryzen 7 2700を4個くっつけた物がRyzen Threadripper 2990WX、Ryzen 7 2700Xを2個くっつけた物がRyzen Threadripper 2950Xといった感じです。

それでは、ゲーミング向け最上位モデルであるRyzen Threadripper 2950Xの実力ベンチマークテストを通して見て行きましょう。

Threadripper 2950X ベンチマークテスト

PassMark PerformanceTest

まずはCPUの全体的な性能を数値化するPassMarkの『CPU Benchmarks』を用いて、CPUの総合的な演算性能を見てみましょう。

PassMark PerformanceTestにてThreadripper 2950Xのベンチマーク結果PassMark PerformanceTestにてThreadripper 2950Xのベンチマーク結果

3D Mark

次は、ゲーミング向けを謳うRyzen Threadripper 2950Xのゲーム用途での性能を確認していきましょう。
 Direct X11世代の「3D Mark Fire Strike」のPhysics Scoreと、Direct X12世代の「3D Mark Time Spy」のCPU Scoreで、CPUの演算性能を見ていきます。Physics ScoreおよびCPU Scoreは、CPUに物理演算をさせてその処理速度を数値化したもので、CGレンダリングや動画のエンコードと同じくCPUのコア・スレッド数の多さが有利に働くテストです。
まずは、Direct X11世代の「3D Mark Fire Strike」から。

3D Mark Fire StrikeにてThreadripper 2950Xのベンチマーク結果3D Mark Fire StrikeにてThreadripper 2950Xのベンチマーク結果

「3D Mark Fire Strike」のPhysics Scoreは解像度による違いがほとんど無いため、代表としてFull HD(1920x1080)時のみを掲載しています。PassMarkのCPU Markと似た傾向が確認できます。Ryzen Threadripper 1950X比でおおよそ3%スコアアップし、Core i9-7980XEにも3%差と肉薄しています。

続いてDirect X12世代の「3D Mark Time Spy」を見てみましょう。 

3D Mark Time SpyにてThreadripper 2950Xのベンチマーク結果3D Mark Time SpyにてThreadripper 2950Xのベンチマーク結果

3D Mark Time SpyにてThreadripper 2950Xのベンチマーク結果3D Mark Time SpyにてThreadripper 2950Xのベンチマーク結果

「3D Mark Time Spy」では解像度によって異なる結果となりました。標準解像度(2560x1440)のTime Spyでは、Core i9-7920XがRyzen Threadripper 2950Xを10%ほど上回っていますが、4K解像度(3840x2160)のTime Spy ExtremeではRyzen Threadripper 2950XがCore i9-7920Xを6%ほど上回っています。Time Spy ExtremeではRyzen Threadripper 2990WXとCore i9-7980XEが頭一つ抜け出す結果となるなど、コア数/スレッド数の多さがTime Spyよりも大きく影響するのではないかと思われます。

PC Mark 10

今度は、PCのパフォーマンスを総合的に判断できるPC Mark 10を見ていきましょう。

PC Mark 10にてThreadripper 2950Xのベンチマーク結果PC Mark 10にてThreadripper 2950Xのベンチマーク結果

PC Mark 10 / GamingにてThreadripper 2950Xのベンチマーク結果PC Mark 10 / GamingにてThreadripper 2950Xのベンチマーク結果

PassMarkと同様、Ryzen Threadripper 1950X比でおおよそ5%スコアアップしており、順当に高速化している事が確認できます。総合スコアであるPC Mark 10 ExtendedではCore i9-7920Xに3%ほど後塵を拝していますが、ベンチマーク構成要素の1つである「Gaming」に着目するとCore i9-7920Xを上回っており、ゲーミング向けモデルの面目躍如といった所でしょうか。

TMPEGEnc Mastering Works 6

動画編集ソフトのTMPEGEnc Mastering Works 6を用いて、QuickTimeファイル(3840x2160/2分50秒)をh.265に変換するのに要した時間(単位:秒)を測定しました。グラフの短い方がより高速に処理を行っている事になります。

TMPEGEnc Mastering Works 6にてThreadripper 2950Xのベンチマーク結果TMPEGEnc Mastering Works 6にてThreadripper 2950Xのベンチマーク結果

SSEやAVXといったSIMD系処理ではintel CPUに分が有りますが、Core i9-7920Xとの差は3%(16秒)にとどまっており、Ryzen Threadripper 2950Xも健闘していると言えるのではないでしょうか。Core i9-7920XがRyzen Threadripper 2950Xよりも高価である事を考慮すれば、コストパフォーマンスと言う観点ではRyzen Threadripper 2950Xの方が優位に有ると言えそうです。

Threadripper 2950Xはコストパフォーマンスに優れたCPU

Ryzen Threadripper 2950Xは、Ryzen Threadripper 1950X比で3-5%ほどスコアアップしており、順当に高速化されている事が確認できました。ベンチマークによっては、Core i9-7980XEにも肉薄するほどのスコアをたたき出すなど、素性の良さが表われています。価格の近いCore i9-7920Xとの比較ではベンチマークテストによって強弱が有りますが、コストパフォーマンスと言う点ではRyzen Threadripper 2950Xに分が有りそうです。
Ryzen Threadripper 2950Xは、ゲーミングモデルの名の通り3DMarkでは優れた性能を発揮してくれるなど全体的に高速で、コストパフォーマンスに優れたCPUとなっています。CPUのみで10万円を超えるため、手軽に手を出せる物ではありませんが、価格に見合っただけのパフォーマンスで期待に応えてくれる優れたCPUと言えそうです。

ライタープロフィール 職人5号

Windows2000登場前からほぼ一貫してPC製造部門に従事。PC組立はもちろん、OSイメージの作成や製造時のトラブルシュートを行う。 その経験を生かしてOSの基本情報や資料室を担当する事が多い。

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