Googleは無料利用が可能な、Webサイトの運営を最適化する各種ツールを提供しています。ここでは、ビジネスを推進するためのツールを7つ取り上げ、利用場面や活用方法などを紹介します。筆者は、Webアナリストとして活動し、各種著作を複数手がけるHAPPY ANALYTICSの小川卓さんです。

ITトレンド最終更新日: 20210429

Webサイト改善に導入すべきGoogleの無料ツール7選

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Googleは無料利用が可能な、Webサイトの運営を最適化する各種ツールを提供しています。ここでは、ビジネスを推進するためのツールを7つ取り上げ、利用場面や活用方法などを紹介します。筆者は、Webアナリストとして活動し、各種著作を複数手がけるHAPPY ANALYTICSの小川卓さんです。

無料で利用できるGoogleツール7選

Webサイトでの集客や問い合わせ、売り上げを伸ばすのに欠かせないのが、ユーザー理解です。どのようなユーザーが、みなさんのWebサイトに訪れているのか? Webサイト内でどのような動きを行っているのか? ただし、これらの理解だけではWebサイトは改善しません。改善のために、Webサイトにコンテンツを追加したり、レイアウトやデザインを変更することも重要になります。

改善に向けた行動を勘や想像で行っても、精度が低くなってしまいます。今回紹介するGoogleのさまざまなツールやデータを活用して、Webサイトを高い精度で改善できるようにしましょう。

ここで取り上げる7つのツールと利用シーンが以下になります。

ツール名 利用シーン
Google トレンド 世の中の検索ニーズやトレンドを把握するための無料サービス。
流行り廃りや季節変動をチェックできます。
Google サーベイ ユーザーの声を集めるアンケートサービス。
オプション(有料)でアンケート回答者を集めるサービスもあり。
Google アナリティクス Webサイトを分析するためのアクセス解析ツール
Webサイトの集客や状況把握に優れたツールです。
Google オプティマイズ Webサイト上でABテストなどの改善施策を行うためのツールです。
オンライン上でのデザイン変更やテストの実行が可能です。
Google サーチコンソール 自社サイトのキーワードごとの流入や検索順位を把握するためのツール。
Googleの検索エンジンから見たエラーなども確認できます。
Google マイビジネス 検索結果に表示される、自社あるいは自店舗の情報を登録・管理・投稿するためのサービスです。
Google データポータル さまざまなデータを集約し、一括で確認するためのツール。
オンライン上で表やグラフなどの作成も可能です。

それでは各ツールについて、利用場面とともに活用方法を紹介します。

1 検索トレンドを調査できる「Google トレンド」

“Google トレンド”.Google.
https://trends.google.co.jp/trends/

「Google トレンド」は、Googleでの検索の移り変わりを見ることができるツールです。最大4つまでキーワード入力が可能で、どの時期に検索回数が多かったかを確認できます。例えば、以下はGoogle トレンドで「冬服」と「夏服」をチェックしています。

「人気度の動向」の折れ線グラフをご覧ください。3月中旬から「夏服」の検索回数が増加しています。洋服を取り扱うWebサイト運営者なら、3月中には夏服の特集ページを用意するなど、ユーザーの需要を取り逃がさないことが大切になります。

また、画面下部にあるような都道府県ごとの比較も可能です。データは2004年から蓄積されているので、かなり広範囲の期間でチェックできるツールです。

2 アンケートフォーム作成&分析ツール「Google サーベイ」

“Google サーベイ”.Google.
https://marketingplatform.google.com/intl/ja/about/surveys/

「Google サーベイ」は、オンラインでアンケートフォームを作成するためのツールです。こちらを利用すると、簡単にさまざまな種類のアンケートを作成可能です。Webサイトへの来訪ユーザーやメールなどを使ってユーザー調査を行うのにも便利でしょう。以下がツール利用中のサンプル画面です。

似たようなツールに「Google フォーム」(入力フォームを作成できる)があります。2点の大きな違いは、1つはGoogle サーベイには分析機能が充実していること。複数項目同士の掛け合わせや詳細を画面上で確認できます。以下は、性別や年齢レンジごとのアンケート結果の確認例です。

もう1つの違いは、(有料にはなりますが)アンケート回答者を、Google サーベイを通じて集めることが可能です。例えば、回答者を1,000名集めるのは自前だと大変ですが、Googleが持つアプリやツール利用者に回答してもらうことで、簡単に回答者を集めることができるのです。

上の画像の通り、筆者は約1,000名に対してアンケートを行い、数日で回答が集まりました。なお、料金に関しては質問数や対象者をどれほど絞るかで変わります。例えば、ターゲットを一切絞らず1問だけ500名に回答してもらうと5,600円。年齢を絞って10問を100名に回答してもらうと16,700円。値段は多少変動しますので、実施する際はサポートページを参照しましょう(アンケート作成確認画面でも金額が出てきます)。オンラインですべて完結できるのが便利です。

“料金の概要 – Surveys ヘルプ”.Surveys ヘルプ.
https://support.google.com/surveys/answer/2447244?hl=ja

3 Webサイト内の行動分析に「Google アナリティクス」

“Google アナリティクス”.Google.
https://analytics.google.com/analytics/web/

Webサイト内のユーザー行動を分析するために、すでに多数の企業で利用されているのが「Google アナリティクス」です。下が分析画面の一例です。

「どのようなユーザー(デバイス・新規 or リピート・地域など)が」「どこから来て(検索エンジン・ソーシャルなど)」「どのようなWebサイト内行動をして(閲覧ページ・ファイルダンロードなど)」「どれくらい成果にたどりついたか(購入・お問い合わせなど)」を確認できます。非常に多機能でありながら、無料で利用できます。

※Google アナリティクスの必要性や詳細については、NEXMAGの別コンテンツで筆者が詳しく紹介しています。
“Google Analyticsを通じて、知っておきたいWebマーケティングの知識 | パソコン工房 NEXMAG”.パソコン工房 NEXMAG.2021.
https://www.pc-koubou.jp/magazine/50328

2020年10月には大きくバージョンアップした「Google Analytics 4」も登場し、Googleが力を入れているツールであることもわかるでしょう。

※Google Analytics 4の基本事項3点をまとめたコンテンツも、以下で筆者が解説しています。
“新登場「Google Analytics 4」のレポート構成と目標設定方法 | パソコン工房 NEXMAG”.パソコン工房 NEXMAG.2021.
https://www.pc-koubou.jp/magazine/47543

4 Webサイト来訪者にテストを行う「Google オプティマイズ」

“Google オプティマイズ”.Google.
http://optimize.google.com/

「Google オプティマイズ」は、Webサイトでの改善施策の実行を手助けしてくれるツールです。下がツール利用中の画面です。

例えば、あるページでバナーを出そうと思った時、3つの案が出たとします。実施前にどの案がもっとも効果を出すかはわかりません。

Google オプティマイズは、複数のデザインやレイアウトを、Webサイト来訪者に対してテストが可能です。例えば、来訪者の50%にはA案、25%にはB案、25%にはC案を表示するという機能を備えています。配信比率は自由に変更でき、特定の条件の来訪者(例:モバイルのみ、特定のエリアのみ)だけに対してのテストも実行可能です。

テスト機能だけではなく、どのバナーが「一番クリックされたか」「成果につながったか」という数値による検証も可能です。案を勘や好みで選ぶのではなく、実際のWebサイト来訪者動向で判断できるのです。

他にも大きな特徴として、Webブラウザ上でデザインやレイアウトを変更できるので、わざわざ複数ページを作ってアップロードする手間が省けます。下が編集中の画面です。

例えば、画像の差し替えや文言の変更といった改修はすぐに反映できて、テストを開始できます。Webサイト上で行える施策の数や得られる気づきを飛躍的に増やせるため、積極的に活用してみてください。

なお、Google オプティマイズはGoogle アナリティクスも利用していることが前提のツールです。Google アナリティクスとあわせて導入を行いましょう。

5 流入キーワードや検索順位をチェック「Google サーチコンソール」

“Google サーチコンソール”.Google.
http://search.google.com/search-console/

Googleの検索エンジンの動向をチェックできるツールが、「Google サーチコンソール」です。

Webサイトへの流入を増やす上で欠かせないのが、検索エンジンの存在です。多くのWebサイトは検索エンジンからの流入を重要視しているのではないでしょうか? Google サーチコンソールは、下に挙げたような、Googleの検索エンジンがみなさんのWebサイトをどう評価しているかをチェックできます。

例えば、

“どういったキーワードで自社サイトが検索され、平均何位に表示されているのか?”

“狙いたいキーワードでの流入は存在しているのか”

“業種名で検索した時、自社サイトは何位に表示されるのか?”

“順位の急激な変動は起きていないか?”

etc.

また、検索結果に関するデータだけではなく、Googleから見た時に「モバイルユーザーにとってわかりづらいページ」「エラーが出ているページ」などのさまざまな情報も提供してくれます。

上の画面をご覧ください。モバイルデバイスで見た時、どういった観点で使いにくいかなどを案内してくれるので、ページ修正の参考にするといいでしょう。

6 自店舗情報を検索結果に表示し最適化「Google マイビジネス」

“Google マイビジネス”.Google.
https://www.google.co.jp/intl/ja/business/

Googleで会社名や店舗名で検索を行った際に、検索結果の右側(PCの場合)に会社名・住所・地図・営業時間などが表示されます。このエリアに自社の適切な情報を登録したり、お知らせを追加・管理したりするためのツールが「Google マイビジネス」です。

下は、筆者の会社「HAPPY ANALYTICS」をGoogleで検索した際の画面です。

検索結果で表示されるこのエリアは利用頻度が高く、適切な情報やお知らせを登録しておくことは、検索ユーザーにより適切な情報を届ける上で欠かせません。このツールを活用することで、Google マップで検索した時にも登録情報が表示されるようになります(下の画像は、筆者環境で用意したサンプルです)。

例えば、上の画面のように最新のお知らせやキャンペーンを表示し、そこからWebサイトに誘導することも可能です。表示回数やクリック回数などを見る分析機能もしっかり備わっています。

会社や店舗を持ちながら、まだ登録していないユーザーは、すぐに登録しましょう。Webサイトへの流入や自社の認知度が上がります。

7 各種データを一カ所にまとめてレポート化「Google データポータル」

“Google データポータル”.Google.
https://marketingplatform.google.com/intl/ja/about/data-studio/

「Google データポータル」は、自社のデータを一カ所にまとめて自動更新されるレポート(ダッシュボード)を作成するためのツールです。

これを導入すると、さまざまなツールにログインして1個ずつチェックする手間を減らせます。自動更新されるため、手動でのレポート作成時間を大きく減らせるメリットもあります。連携できるツールは多岐に渡り、ここで挙げてきたツール群の中では「Google トレンド」「Google アナリティクス」「Google サーチコンソール」「Google マイビジネス」などが対応しています。

他にも、「YouTube」「各種ソーシャルメディア」「Google スプレッドシート」をはじめとして海外サービス系もあわせると、100以上のツールがGoogle データポータルとの連携に対応します。

レポート作成画面は、PowerPointとExcelを合体させたような編集画面です。Webブラウザ上で自由にレイアウト可能でグラフも追加でき、各種項目のデザインも変更できます。

共有機能も備わっているので、URLを発行して簡単に他のメンバーにチェックしてもらったり、メールの自動配信機能を利用して定期的に送付することもできます。

ツールを活用してWebサイトの改善精度を高めよう

ここまで紹介してきたGoogleが提供する7つのツールは、それぞれ単体で利用しても価値はありますが、組み合わせて活用すると相乗効果が期待できます。

例えば、「Google トレンド」と「Google サーチコンソール」を併用することで、世の中と自社の検索トレンドを一緒に把握できます。「Google アナリティクス」と「Google オプティマイズ」を併用すれば、Webサイトの課題を見つけた上でテストを行うことが可能です。

どのツールも無料利用可能です。各種ツールを導入すれば、Webサイトの改善精度を高められることは間違いありません。

ライタープロフィール 小川卓

Webアナリストとしてリクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパンなどで勤務後、独立。複数社の社外取締役、大学院の客員教授などを通じてWeb解析の啓発・浸透に従事。株式会社HAPPY ANALYTICS代表取締役。主な著書に『ウェブ分析論』『ウェブ分析レポーティング講座』『マンガでわかるウェブ分析』『Webサイト分析・改善の教科書』『あなたのアクセスはいつも誰かに見られている』『「やりたいこと」からパッと引ける Google アナリティクス 分析・改善のすべてがわかる本』など。

https://www.takuogawa.com/

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