Adobe Photoshop 2021以降の新機能「ニューラルフィルター」について、例えば人肌や表情の調整など画像レタッチの簡単な処理方法を解説します。

クリエイター最終更新日: 20220114

Photoshopニューラルフィルターでレタッチ

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Adobe Photoshop 2021(以下Photoshop)からの新機能「ニューラルフィルター」は、Adobe Senseiの技術を活用した機械学習を使用して、難しいワークフローを実行する、Photoshop内に新たに生まれたワークスペースです。例えば、人の肌や表情の調整など画像レタッチが簡単に処理できます。

「肌をスムーズに」など、「フィルター」の使い方

フリー素材を用いながら、実際にニューラルフィルターを使ってみましょう。最初に、以下のサンプルを用いました。

“Woman Smiling and Holding Teal Book · Free Stock Photo”.Pexels.2018.
https://www.pexels.com/photo/woman-smiling-and-holding-teal-book-1181424/

メニューバーより「フィルター」→「ニューラルフィルター」を選択します。

「ニューラルフィルター」パレットが表示されると、選択した画像はグレーアウトしています。

※ もし対象画像の顔を認識しない場合は処理ができません。例えば、半分だけの写真やイラスト、傾きすぎている顔などは認識しない可能性が高いです。

また、スライダーをオンにしないと処理はできません。ここでは「肌をスムーズに」を実行。「ニューラルフィルター」パレット内の、緑の縁で囲んだマークは「ダウンロードしないと使えないフィルター」のことです。初めて利用するフィルターは、クラウドからダウンロードする必要があります。クラウドアイコンをクリックすればダウンロード可能で、以後は継続して使えるようになります。

パレット内の画面左上の青い矩形で囲んだアイコンは、上が「おすすめのフィルター」、下が「ベータ版フィルター」です。

処理が完了すれば、画面下部に「OK」が表示されます。出力形式は5つの中から選択可能です。

参考までに、5つの違いを列記します。

現在のレイヤー
選択したレイヤーを直接処理するので、基本的にはお薦めしません。なお、処理したいレイヤーがスマートオブドェクトに設定されている場合は選択できません。

レイヤーを複製
Before/Afterでレイヤーを分けます。

マスクしたレイヤーを複製
Before/Afterでレイヤーを分けますが、Afterレイヤーは変更点のみマスクされます。

新規レイヤー
変更点のみを新規レイヤーに作成します。

スマートフィルター
スマートオブジェクトとして処理されます。

実際の出力後のレイヤーパネルを確認してみましょう(「現在のレイヤー」は開いたファイルのままですので、ここでは省きます)。左から出力形式が「レイヤーを複製」「マスクしたレイヤーを複製」「新規レイヤー」「スマートフィルター」です。

「肌をスムーズに」フィルターは、肌荒れなどを短時間の作業で自然に処理したい時に重宝します。

顔の表情などを調整する「スマートポートレイト」フィルター

他に、検証の中で筆者が驚いたフィルターが「スマートポートレイト」(2022年1月時点ではベータ版)です。年齢、表情、顔の傾き、髪の量、照明の向きについて、パレット内の調整作業だけで加工することができます。

実際に適用してみましょう。以下のサンプルを使っています。

“Woman Wearing Pink Collared Half-sleeved Top · Free Stock Photo”.Pexels.2018.
https://www.pexels.com/photo/woman-wearing-pink-collared-half-sleeved-top-1036623/

表情の「笑顔」を調整します。

「スマートポートレイト」を有効にして、「笑顔」のボックスにチェックを入れてスライダーを動かします。

スライダーは、右に動かすと設定項目を強調し、左に動かすとマイナス処理を行います。今回は見事にきれいな歯並びで笑ってくれました。なお、顔に手や小道具といった別の要素が重なると、処理結果にブレが出てきます。今回の場合、顔にかかる手がそれにあたり、処理後に手がぶれた状態にもなってしまいました。

今度は、元の表情がかための写真で試してみました。サンプル画像は以下よりダウンロードしました。

“Foto De Niña Con Camisa Marrón · Fotos de stock gratuitas”.Pexels.2019.
https://www.pexels.com/es-es/foto/foto-de-nina-con-camisa-marron-2104252/

サンプル画像に対して、「ニューラルフィルター」パレットを開いて、「スマートポートレイト」を有効にします。

今回は、「笑顔」「年齢」「髪の量」を調整してみました。

スライダーの調整作業だけで、真実味のある驚きの結果が得られました。ちなみに筆者が検証を重ねた範囲では、元画像のヘアスタイルは、ストレートヘアに近い方が良好な結果が得られやすかったです。精度が高いフィルターですし、早くベータ版から正式版へのアップデートが待たれます。

「スタイルの適応」で画像加工

レタッチ機能の印象が強いですが、「ニューラルフィルター」は人物用に限ったフィルターではありません。「スタイルの適応」は、50種類以上用意された「スタイル」を対象画像に適用できる機能です。任意の風景写真を用意しました。

「ニューラルフィルター」を開いて「スタイルの適応」を選んで、各種スタイルを選びました。

「スタイル」一覧の下にあるパラメータを用いた処理も可能です。

このように「ニューラルフィルター」は、人物写真のレタッチ作業だけでなく、ちょっとしたイラスト風のイメージを素早く作る時にも重宝します。

ライタープロフィール 海津ヨシノリ

グラフィックデザイナー、イラストレーター、大学非常勤講師(跡見学園女子大学、駿河台大学、二松學舍大学)。毎日blogにてソフトウェア手法に加え、日曜大工ネタや撮影などのTipsをアップロードする。2006年から月例セミナーを開催中。

https://www.kaizu.com/

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