デスクトップ用の第10世代インテルCoreプロセッサーは、2020年5月20日に第1弾として4モデルが発売されたのに続き、2020年5月27日に残りのモデルがまとめて発売されました。今回は第1弾のK型番モデルに続き、無印型番であるCore i9-10900、Core i7-10700、Core i5-10600、Core i3-10300について、各種ベンチマークで試してみました。

気になる製品最終更新日: 20200527

Core i9-10900・Core i7-10700・Core i5-10600・Core i3-10300ベンチマークレビュー

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デスクトップ用の第10世代インテルCoreプロセッサーは、2020年5月20日に第1弾として4モデルが発売されたのに続き、2020年5月27日に残りのモデルがまとめて発売されました。
今回は第1弾のCore i9-10900K、Core i7-10700K、Core i5-10600Kに続き、無印型番であるCore i9-10900、Core i7-10700、Core i5-10600、Core i3-10300について、各種ベンチマークで試してみました。

第10世代 インテル Core プロセッサー CPUスペックの紹介

スペック表を見ると、Core i3-10300はHyperThreadingに対応するだけでなく、メモリクロックの向上やメモリ容量の増加など、メモリ関連でもCore i3-9300と比べてパワーアップされている事が確認できます。ローエンドでありながらスレッド数に勝るCore i3-10300が、ミドルレンジのCore i5-9600にどこまで近づけるのか。同じくミドルレンジでありながらスレッド数に勝るCore i5-10600が、ハイエンドのCore i7-9700にどこまで近づけるのか。ベンチマークを通して確認したいと思います。

Core i9
-10900
Core i7
-10700
Core i5
-10600
Core i3
-10300
Core i9
-9900
Core i7
-9700
Core i5
-9600
Core i3
-9300
コードネーム Comet Lake Coffee Lake-R
製造プロセス 14nm
コア/スレッド 10/20 8/16 6/12 4/8 8/16 8/8 6/6 4/4
動作クロック 2.8GHz 2.9GHz 3.3GHz 3.7GHz 3.1GHz 3.0GHz 3.1GHz 3.7GHz
TurboBoost 5.0GHz 4.7GHz 4.8GHz 4.4GHz 5.0GHz 4.7GHz 4.6GHz 4.3GHz
TurboBoostMax3.0 5.1GHz 4.8GHz
Themal Velocity
Boost
5.2GHz
キャッシュ 20MB 16MB 12MB 8MB 16MB 12MB 9MB 8MB
PCI-Express Gen 3.0
レーン数 16
メモリ 対応
メモリ
DDR4-2933 DDR4-2666 DDR4
-2400
最大
容量
128GB 64GB
TDP 65W 62W
GPU Intel UHD Graphics630
64bitコード intel64
SIMD命令 SSE SSE4.1/4.2
AVX AVX2.0
仮想化 VT-x
VT-d
セキュリティ機能 XD ビット
TXT × ×
AES
vPro × ×
対応ソケット LGA1200 LGA1151
対応チップセット インテル 400 シリーズ インテル 300 シリーズ

第10世代 インテル Core プロセッサー / 第9世代 インテル Core プロセッサー スペック比較表

今回ベンチマークするCPUはいずれも、型番末尾に何もつかないTDP 65Wクラスのいわゆる「標準」となるCPUです。
基本的には「K」のつくオーバークロックに対応するCPUとの機能差やコア数などの差はありませんが、TDPを抑えるために動作クロックがやや低く設定されているのが特徴です。

なお、Core i9-10900K、Core i7-10700K、Core i5-10600Kの結果や第10世代インテルCoreプロセッサーについては、こちらのページをご覧ください。

パソコン工房NEXMAG Core i9-10900K・Core i7-10700K・Core i5-10600K 速攻ベンチマークレビュー

第10世代 インテル Core プロセッサー ベンチマークテスト

それでは、第10世代インテル Coreプロセッサーでベンチマークテストを実行していきましょう。ベンチマークで使用したのは、Core i9-10900、Core i7-10700、Core i5-10600、Core i5-10400、Core i3-10300の5種類です。比較対象としては、第9世代インテルCoreプロセッサーのCore i9-9900、Core i7-9700、Core i5-9600、Core i3-9300を用意しました。
また、ベンチマークを行うにあたり、CPUの純粋な性能比較のため、メモリは全てDDR4-2666で統一して測定を行っております。Core i9-10900やCore i7-1070のようにDDR4-2933に対応したCPUでは、より高速なメモリを搭載することでベンチマーク結果のさらなる向上が見込めます。
なお、検証時の構成については記事最後尾に記載しております。

Passmark PerformanceTest

まずはCPUの全体的な性能を数値化するPassmarkの『CPU Benchmarks』を用いて、CPUの総合的な演算性能を見てみましょう。

第10世代インテルCoreプロセッサー Passmark PerformanceTest スコア比較グラフ第10世代インテルCoreプロセッサー Passmark PerformanceTest スコア比較グラフ

見事にコア数・スレッド数に合わせて階段状に並びました。Core i9-10900が頭一つ抜け出し、Core i7-10700とCore i9-9900がその後を追うといった結果となっています。Core i7-9700に対し、Core i5-10600は惜しくも追いつけず、同様にCore i5-9600に対し、Core i3-10300が追い付けずといった結果になっており、これはスレッド数よりも実コアの数が結果に響いたようです。とはいえ、Core i3どうし、Core i5どうしで比較すると着実に性能はグレードアップしていることが見て取れます。

3D Mark CPU test

次いで、3D Mark「Fire Strike / Physics Score」と「Time Spy / CPU Score」を用いて、CPUの演算性能を見ていきます。「Fire Strike / Physics Score」「Time Spy / CPU Score」共に、CPUに物理演算をさせてその処理速度を数値化したもので、CGレンダリングや動画のエンコードと同じくCPUのコア・スレッド数の多さが有利に働くテストです。

第10世代インテルCoreプロセッサー 3D Mark Fire Strike スコア比較グラフ第10世代インテルCoreプロセッサー 3D Mark Fire Strike スコア比較グラフ

Core i9-10900が頭一つ抜け出し、Core i7-10700とCore i9-9900がその後を追うという部分はPassmarkと同じ結果となっています。全コア動作時のベース動作クロック数の差からCore i9-9900がCore i7-10700を少しだけ離しています。
また、Core i5-10600がCore i7-9700を上回り、Core i5-10400がCore i7-9700に、Core i3-10300がCore i5-9600に肉薄しており、全コア動作時のベース動作クロック数の高さに加え、Hyper Threadingの効果が十分に発揮される結果となりました。

第10世代インテルCoreプロセッサー 3D Mark Time Spy スコア比較グラフ第10世代インテルCoreプロセッサー 3D Mark Time Spy スコア比較グラフ

Time Spyにおいては、Passmark に近い傾向となっています。Core i9-10900が頭一つ抜け出し、Core i7-10700とCore i9-9900がその後を追うというのは変わらず、Core i7-9700以下の並び順からTime Spyでは実コア数の方が優位に働いた結果の順でスコアが並びました。

TMPGEnc Mastering Works 6

続いて、動画編集ソフトのTMPGEnc Mastering Works 6を用いて、QuickTimeファイル(3840x2160/2分50秒)をh.265に変換するのに要した時間(単位:秒)を測定しました。グラフの短い方がより高速に処理を行っている事になります。

第10世代インテルCoreプロセッサー TMPGEnc スコア比較グラフ第10世代インテルCoreプロセッサー TMPGEnc スコア比較グラフ

全体的な順位感としては、Passmarkや3D Mark のTime Spyに似た形となっていて、コア数・スレッド数の多い順となっています。Core i5-10600とCore i7-9700で逆転が生じていますが、これはCore i5-10600が全コア動作時のベース動作クロック数で上回っていることから生じた現象ではないかと思われます。クロック数の異なるCore i5-10400とCore i7-9700ではCore i7-9700が勝っていることからも、動作クロック数の影響と見てよさそうです。

PCMark 10

最後に、PCのパフォーマンスを総合的に判断できるPCMark 10を見ていきましょう。

第10世代インテルCoreプロセッサー PCMark 10 Extended スコア比較グラフ第10世代インテルCoreプロセッサー PCMark 10 Extended スコア比較グラフ

一般的なPCの日常的作業の性能を表した「PCMark 10」でも、Passmark同様にほぼコア数や動作クロック数順となっています。「PCMark 10」はマルチコアへの負荷が低く、シングルスレッドの性能差も出やすいため、Core i5-10600とCore i7-9700で逆転が生じていますが、これはCore i5-10600がターボブーストでの動作クロック数で上回っていることから生じた現象ではないかと思われます。また、Core i9-10900とCore i3-10300の差もおおよそ15%と今までで一番小さくなっており、一般的なPCの日常的作業であればCore i3-10300でも十分な性能を有していると言えそうです。

HyperThreading対応で1ランク上の性能を誇る第10世代インテル Coreプロセッサー

ベンチマーク結果から第10世代インテルCoreプロセッサーは、Core i9からCore i3までHyperThreadingに対応したことで、Core i7-10700はCore i9-9900に追いついき、Core i5-10600はCore i7-9700に肩を並べ、Core i3-10300もベンチマークテストによってCore i5-9600に接近するなど、1ランク下のクラスのCPUで、前世代までの1ランク上の性能を手に出来るようになりました。
少しさかのぼってみれば、Core i3-10300のスペックは3世代前のハイエンドモデルであるCore i7-7700K(4コア/8スレッド・最大4.5GHz)に、Core i5-10600は2世代前のハイエンドモデルCore i7-8700K(6コア/12スレッド・最大4.7GHz)に匹敵するものとなっています。以前に測定していたPassmarkのCPUMarkスコアと比較してみても、Core i7-7700K(12818)でCore i3-10300(12153)とはおおよそ5%の差、Core i7-8700K(16294)でCore i5-10600(16600)とはほぼ互角と、数年前のハイエンドクラスと同等の性能をミドルレンジやローエンドクラスとして手に出来るというのは、第10世代インテルCoreプロセッサーの大きな特徴です。
第8世代や第7世代からも十分にパフォーマンス向上が望めるCPUとして第10世代インテルCoreプロセッサーは今、インテル環境を選択するのであれば間違いなく有力な選択肢となるでしょう。

第10世代Core 第9世代Core
CPU Core i9-10900
Core i7-10700
Core i5-10600
Core i5-10400
Core i3-10300
Core i9-9900
Core i7-9700
Core i5-9600
Core i3-9300
マザーボード MSI
Z490-S01
ASUS
PRIME Z390-A
メインメモリ DDR4-2666 16GB (8GB x2)
ビデオカード ZOTAC GeForce RTX 2080 SUPER (ビデオメモリ 8GB)
ストレージ WesternDigital  WDS500G2X0C (WD Black NVMe 500GB)
電源 Seasonic SSR-850FX (80PLUS Gold、850W)
OS Windows 10 Home 64bit (バージョン:1909)
ビデオドライバ GeForce Game Ready Driver 442.74

第10世代CPUと第9世代CPUベンチマーク検証環境

※ベンチマークの値はお使いのハードウェア、ソフトウェアの環境により変動し、同様の構成下でも当ページ掲載の数値と大きく異なる場合があります。予めご了承ください。

ライタープロフィール 職人5号

Windows2000登場前からほぼ一貫してPC製造部門に従事。PC組立はもちろん、OSイメージの作成や製造時のトラブルシュートを行う。 その経験を生かしてOSの基本情報や資料室を担当する事が多い。

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