働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)の概要から、対象となる経費や事業者、申請までの流れなどを紹介します。

ソリューション最終更新日: 20200402

働き方改革推進支援助成金「新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース」について

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「働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)」は、厚生労働省が新型コロナウイルス感染症の対策として、在宅またはサテライトオフィスで就業するテレワークに取り組む中小企業・小規模事業主に対して、その実施に要した費用の一部を助成するものです。
ここでは、「働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)」の概要から、対象となる経費や事業者、申請までの流れなどを紹介します。

働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)の概要

助成の対象事業

「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」は従来、仕事と生活の調和、つまりワーク・ライフ・バランスを考慮して、時間外労働の制限や労働時間、年次有給休暇などに関する規定の改善を推進するため、在宅またはサテライトオフィスで就業するテレワークに取り組む中小企業・小規模事業主に対し、その費用の一部を助成するものです。

しかし、新型コロナウイルス感染症の流行によって、感染拡大の防止にも有効な手段とされるテレワークが注目を集めており、企業の間でもその体制を早期に整える動きが加速しています。

そこで今回、厚生労働省は新型コロナウイルス感染症対策を目的として、テレワークに取り組む事業主を支援する特例コースを、令和2年3月9日から時限的に創設しました。

支給額

支給対象となる取り組みの実施に要した費用のうち、対象経費に該当するものに対して助成金が支給されます。

対象経費は以下のとおりです。

謝金
旅費
借損料
会議費
雑役務費
印刷製本費
備品費
機械装置等購入費
委託費

助成金は、1企業当たり100万円を上限とし、助成対象の要件を満たす経費の2分の1が支給されます。

補助率 1企業当たりの上限額
対象経費の合計額の2分の1 100万円

助成対象となる事業の実施期間

今回の助成対象となる取り組みは以下の5つです。

1.テレワーク用通信機器の導入
2.就業規則・労働協定等の作成・変更
3.労働管理担当者に対する研修
4.労働者に対する研修、周知・啓発
5.外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング

これらの取り組みで、令和2年2月17日~5月31日の間に実施された事業が対象となります。

また要件に合致すれば、2月17日以降で交付決定までの間に行われたものも、助成の対象と認められます。

支給手続きの流れ

支給までには、まず事業実施計画書を作成して交付申請を行い、その計画に沿って取り組みを実施。

事業実施期間が終了後、支給申請を行うと、厚生労働省から助成金が支給されます。

交付申請・支給申請は、ともにテレワーク相談センターが窓口となっています。

1.事業実施計画書など交付申請書類の作成

2.働き方改革推進支援助成金交付申請書、事業実施計画書など必要書類を提出
【令和2年5月29日(金)必着(郵送・テレワーク相談センターへ持参・メール)】
※メールの場合、申請書原本は郵送の上、他の書類をメールで送付
 ↓
[ 厚生労働省よる審査・交付決定通知書の送付 ]
 ↓
3.助成対象事業の実施
【令和2年5月31日(日)まで実施】
 ↓
4.事業実施結果報告書など支給申請書類の作成
 ↓
5.働き方改革推進支援助成金支給申請書、事業実施結果報告書など必要書類を提出
【令和2年7月15日(水)必着(郵送・テレワーク相談センターへ持参・メール)】
※メールの場合、申請書原本は郵送の上、他の書類をメールで送付
 ↓
[ 厚生労働省よる審査・支給決定通知書の送付 ]
 ↓
[ 助成金の振込 ]

働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)の対象事業者

働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)の支給対象となる事業者は、下記のいずれにも該当することが必要です。

新型コロナウイルス感染症対策として、テレワークを新規導入する中小企業事業主

新型コロナウイルス感染症対策として、テレワークを新規で導入して事業実施期間中に助成対象の取り組みを行い、その結果としてテレワークを実際に実施した労働者が1人以上いることが必要です。

この場合、試行的に導入をしている事業主も対象となります。

ただし、令和元年度・2年度に同一の措置内容に対して、国や地方公共団体から他の補助金(間接補助金を含む)の交付を受けている場合は、この助成金を受けることができないので注意してください。

措置内容が異なる場合は受給が認められることがありますので、他の助成金の受給も検討している場合は、交付申請前に窓口であるテレワーク相談センターに相談することをおすすめします。

労働者災害補償保険の適用中小企業事業主

対象となる企業規模は、資本金の額または出資の総額、常時雇用する労働者の数によって定められています。

業種によってその範囲が異なりますので、以下の表を参照してください。

業種 資本または出資額 常時雇用する労働者
小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

助成対象となる事業の具体例

助成対象の事業は、大きく分けて5つあります。

事業内容に応じて、助成対象経費に支給単価等の上限が定められているものもあるので、注意が必要です。

テレワーク用通信機器の導入・運用

労働者がテレワークを実施するために、自宅で使用する機器や社内で必要な機器などの導入・運営を行う事業です。

ただし、パソコン、タブレット、スマートフォンは購入費用の対象外となるので、注意してください。

以下は、具体的な導入機器の例です。

1.シンクライアント端末装置
2.VPN装置
3.シンクライアントサーバ
4.ネットワーク監視装置
5.テレワーク用ソフトウェア

就業規則・労使協定等の作成・変更

テレワークを導入するために、就業規則や労使協定などを見直し、新たに作成や変更を行う事業です。

その際、就業規則やその他規程の作成・変更にかかる経費は合計10万円、労使協定の作成・変更にかかる費用は合計1万円が上限となっています。届出費用は、就業規則、その他の規程、労使協定ともに1万円までです。

労務管理担当者に対する研修

給与や福利厚生、規則規程の改定などを担う労務担当者などに、テレワークの意義や必要性について理解を深めてもらうため、外部講師を招いて研修を実施したり、外部の専門家が開催するセミナーに参加してもらう事業です。

外部講師とは、社会保険労務士や中小企業診断士、経営コンサルタントなどの労務管理や経営面の専門家や、医師、保健師、労働衛生コンサルタントなど、健康面の専門家が該当します。

研修を実施した場合、事業にかかる経費は合計10万円までとされており、実施日時や場所、実施者、被実施者、実施内容を記した書類が必要となります。

労働者に対する研修、周知・啓発

働く側にテレワークについて十分な理解や知識をもってもらうため、外部講師を招いた研修を行ったり、テレワークに関する周知や啓発を行う事業です。

こちらも講師謝金などにかかる経費は、合計10万円までとされています。

また、事業を実施する上で必要な資格の取得や、テレワーク導入に関係のない研修にかかる費用は、助成対象にはなりません。

外部専門家によるコンサルティング

テレワークの導入に向けて、現状の業務体制などを把握、問題点や原因の分析、対策の検討・実施などを社会保険労務士や中小企業診断士、経営コンサルタントなど外部の専門家に依頼する事業です。

コンサルティング事業にかかる経費は、合計30万円が上限とされています。
コンサルティングを実施する際は、実施日時、場所、実施者、被実施者、実施内容が分かる書類のほか、問題解決に必要な改善措置の実施内容が明らかとなっている書類の保管が必要となります。

助成の対象となる経費

支給対象となる取り組みを実施した際、助成の対象経費を紹介します。

謝金
労務管理担当者や社内で働く労働者、実際にテレワークを行う人などに対し、研修などを行う外部の専門家に支払う謝金が対象となります。

旅費
研修などを行った際に講師として外部の専門家を招いた場合にかかる旅費、また外部の研修に参加した労働者の移動にかかった旅費が対象となります。

借損料
機器や設備類、ソフトウェア等のレンタル・リース等で必要となった費用、サテライトオフィスを使用した際の利用料、ICTを利用したサービスの利用料・リース料・レンタル料などの諸経費が対象となります。

会議費
テレワーク導入・実施に向けて行われた会議の会場借料や通信運搬費などの費用が対象となります。

雑役務費
労務管理担当者や労働者が参加した研修などの受講料、導入した機器・設備類・ソフトウェアなどの保守費用、セキュリティにかかる保険料などが対象となります。

印刷製本費
研修時に配布する資料や、テレワーク導入時に必要なマニュアルなどの作成にかかる費用が対象となります。

備品費
テレワーク導入に使用した図書やICカードなどの購入費用、ソフトウェアなどの購入・改良時にかかる設定費用や労働者に対する研修費用が対象となります。

機械装置等購入費用
機器や設備類の購入・改良などの際にかかる設定や研修などの費用、また設置や撤去などに必要な費用が対象となります。

委託費
調査会社やコンサルタント会社、システム開発会社などに業務を委託した際の費用が対象となります。

申込方法

今回創設された「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」は、テレワーク相談センターが事務処理を委託されています。

そのため、助成金に関する申請手続きや問い合わせは、テレワーク相談センターが窓口となっています。

テレワーク相談センター
住所/東京都千代田区神田駿河台1-8-11 東京YWCA会館3階
TEL/0120-91-6479
https://www.tw-sodan.jp

申請書類は、テレワーク相談センターへ直接持参するか、郵送、メールでの提出が可能です。

メールを利用する場合は、申請書原本を事前に郵送の上、その他の必要書類をメールで送付してください。

申請様式は下記ページの「申請様式」の欄からデータをダウンロードできます。

“働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)”.厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/syokubaisikitelework.html

交付申請書の提出期限/申請提出書類

交付申請書の受付は5月29日(金)が締め切り(必着)です。

ただし、締め切り日以前に予算額に達した場合は、受付を締め切る場合があります。

申請に必要な書類は、下記のとおりです。

1.交付申請書(様式第1号)
2.事業実施計画(様式第1号別添)
3.登記事項証明書(3 か月以内に取得したもの)
4.労働者災害補償保険法の事業主であることを確認するための書類
5.中小企業事業主であることを確認するための書類
6.事業を実施した日及びその内容が客観的に分かる資料
7.実施した事業に要した費用の支出に関する資料
8.見積書等

必要書類の詳細や書き方については、申請マニュアルが用意されているので、こちらを参照してください。

“働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)申請マニュアル”. 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000617772.pdf

支給申請書の提出期限/申請提出書類

支給申請は、令和2年2月17日~5月31日の実施期間に改善事業が完了後、令和2年7月15日(水)までに(必着)必要書類を提出します。

申請に必要な書類は、下記のとおりです。

1.支給申請書(様式第10号)
2.国や地方公共団体からの他の補助金を受けている場合、他の補助金の助成内容がわかる資料
3.事業実施結果報告書(様式第11号)
4.労働時間等設定改善委員会の設置等労使の話し合いの機会について、客観的に話し合いが行われたことがわかる資料
  (参加者名簿(役職入)、議事次第、議事録(労使の署名入り)など)
5.労働時間等に関する個々の苦情、意見及び要望を受け付けるための担当者の選任について、いつどのように周知したのかが客観的に分かる資料
  (メール、社内報、周知文書などの写しなど)
6.労働者に対する事業実施計画の周知について、いつどのように周知したのかが客観的に分かる資料
  (周知文書などの写しなど)
7.費用を支出したことが確認できる書類
  (領収書など)
8.事業を実施したことが客観的に分かる資料
  (コンサルティング報告書、改訂後の就業規則、納品書、契約書、研修資料など)

9.様式第 11 号別紙に記載された労働者がテレワークを行ったと申請する日の業務時間に、就業していたことが証明できる資料
  (出勤簿、年休簿、賃金台帳、タイムカードなど)

こちらも必要書類の詳細や書き方については、申請マニュアルを参照してください。

“働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)申請マニュアル”. 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000617772.pdf

働き方改革推進支援助成金を活用してテレワーク環境の整備を

今回、新型コロナウィルス感染症対策の1つとして注目されているテレワークですが、もともとは柔軟な働き方を取り入れることで長時間労働を是正し、業務効率化につなげるものです。

テレワークの導入は働き方改革などの観点からも中長期的に意義ある取り組みになりますので、こうした助成金を活用しながら、より働きやすい職場環境を整えてみてはいかがでしょうか。

※この記事は2020年3月23日時点の情報をもとに作成されております。
制度活用の際は、必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。

ライタープロフィール パソコン工房NEXMAG
[ネクスマグ] 編集部

パソコンでできるこんなことやあんなこと、便利な使い方など、様々なパソコン活用方法が「わかる!」「みつかる!」記事を書いています。

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