10G インターネット回線 / 光回線にまつわる規格や用語について紹介いたします。

ITトレンド最終更新日: 20200220

10G 光回線時代のおさえておきたい規格や用語について

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日本の各エリアで既に開始されている超高速なインターネット回線サービス「光回線10ギガコース」。提供エリアが拡大されていく中、現在の対応エリアのみならず、全国的に10G光回線の導入を検討されている方が多く見受けられます。
そのような折に、ご使用中のパソコンが10G光回線に対応しているかをお調べになる際、様々な用語や規格などを目にされるのではないでしょうか。
本記事では、それらの10G インターネット回線 / 光回線にまつわる規格や用語について取り上げていきます。

10G インターネット回線 / 光回線にまつわる規格や用語

それでは10G インターネット回線 / 光回線に対応する機器(LANカードやネットワークアダプター、スイッチングハブ等)の仕様欄等にも記載されている規格や用語について、ご説明いたします。

10ギガビットイーサネット(10 Gigabit Ethernet/10GbE/IEEE 802.3ae)

10ギガビットイーサネットとは、最高10Gbps(ギガビット毎秒)の速度で通信できるイーサネット(LAN)規格群です。省略して「10G(テンジー)」や「10ギガ」と呼ばれることもあります。10Mbps、100Mbps、1Gbpsに続く通信方式となります。LANだけでなく通信事業者間のバックボーン回線や、インターネット回線などのWAN(広域ネットワーク)としても用いられ、接続には光ファイバーケーブルがよく用いられています。従来規格のように銅線ケーブルを用いる10GBASE-T(IEEE 802.3an)の規格もあり、カテゴリ6Aやカテゴリ7の4対8芯(8線)のケーブルを用いて100mまでの距離を接続することができ、従来規格と共通のRJ-45コネクタ機器と接続することができます。ネットワークスイッチなどは以前の規格と両対応になっていることが多いため、同一ネットワークに1Gbpsなどの機器と混在させて使用することもできます。

10GBASE-T(IEEE 802.3an)

10GBASE-Tとは、10Gbpsの通信が可能な10Gigabit Ethernet(10GbE)の規格の一部で、銅製のケーブルを用いて接続を行うもの。2006年にIEEE 802.3anとして標準化されました。
従来と同じく銅線を用いて接続するもので、ノイズ対策のため銅のより対線(ツイストペアケーブル、UTP/STP)となっているカテゴリー6Aやカテゴリー7のケーブルを使用して、最長100mまでの距離をつなぐことができます。ケーブルと機器との接続には1000BASE-Tなどと同様にRJ-45規格のコネクタが使用されています。
詳しくは「10GBASE-Tの基礎知識」をご覧ください

NEXMAG 10GBASE-Tの基礎知識

光ファイバー/光ケーブル(optical fiber/fiber-optic cable)

光ファイバーとは、光信号を離れた場所に伝送することができる透明な石英ガラスやプラスチックなどを細長い繊維状にしたものを被覆で覆った構造のケーブルで、通信用ケーブルとして使用されています。一方の端から入射した光は境界で屈折や全反射を繰り返し、ケーブルの端から端までほとんど失われることなく通過することができる性質から光ファイバーは、メタル線を利用した通信ケーブルと比較して、極めて高速な通信が可能であり、電磁的なノイズの影響を受けず、長距離を安定的に伝送することができ、また、被覆が薄くケーブルの太さを細くすることができるため多くのケーブルを束ねて高密度化することができます。

光回線/FTTH(Fiber To The Home)

光回線/FTTH(えふてぃーてぃえいち)とは、家庭などに引き込んだ光ファイバーケーブルでレーザー光などの光信号を送受信することでデータの伝送を行う通信回線のことです。インターネットなどに接続するための高速な広域回線網として普及しています。メタル回線に比べ、通信速度が高速で長距離を安定的に伝送できるという特徴があるため、高速インターネット回線として急速に広まりました。引き込んだ光ケーブルは宅内に設置されるONUで光信号から電気信号へと変換されます。

光回線終端装置/ONU(Optical Network Unit)

ONU(おーえぬゆー)とは、光ファイバーを用いた回線において、加入者宅に設置される光回線の終端装置のことを指します。ONUでは、光ファイバーの光信号とメタルケーブルの電気信号の相互変換を行う装置となります。
これに対し、通信事業者の施設側ではOLT(Optical Line Terminal)とよばれる光終端装置が使われ、一般的なFTTHサービスでは、OLTは複数の加入者へ伝送する光信号を一つに合成して送信し、光スプリッターで分岐し、各加入者宅のONUは受信した光信号から自分宛てのものだけを分離して電気信号に変換するという処理を行っています。この仕組みをPON(Passive Optical Network)と呼ばれています。これらの仕組みによる低コスト化と通信技術の高速化により近年では10ギガのサービス提供が増加してきました。

NGN(Next Generation Network)

ネットワークサービスの概念図ネットワークサービスの概念図

NGNとは、日本ではNTT東日本・NTT西日本がフレッツ光ネクストのために構築・運用している新世代のネットワーク基盤を指します。
NTTはフレッツ光ネクストの名称でNGNを基盤とする加入者向けのデータ通信サービスを行なっており、光ファイバー回線によるFTTHサービスで、光IP電話(ひかり電話)、ISPを経由したインターネット接続、テレビ放送波の再送信サービス(フレッツ・テレビ等)などのサービスが提供されています。

バックボーン (backbone)/ コアネットワーク(core network) / 基幹回線網

バックボーンとは、大規模な通信ネットワークにおいて、集線装置間や拠点間、事業者間、国家間などを結ぶ大容量の通信回線網のことを指します。種類や規模は様々となりビルのフロア間や敷地内の建物間を結ぶ構内ネットワーク(LAN)、企業の拠点間を結ぶ広域通信網、携帯電話網で基地局間を結ぶ地上の通信回線網、インターネットサービスプロバイダ(ISP)間を結ぶ通信回線網、大陸間の海底ケーブル網などがあります。末端の利用者間のデータや通話の中継・転送、他のネットワークとの接続・中継が主な役割で、原則としてコンピュータや電話機などの末端の機器とは直接繋がらず、ゲートウェイやルータ、スイッチ、交換機などの集線装置や通信機器の間を結んでいます。末端から大量の通信が集中するため伝送容量や収容能力が高いものが用いられています。
バックボーンから個々の機器・端末あるいは利用者・加入者などを結ぶネットワークは、ネットワークの規模や種類に応じて、「エッジネットワーク」もしくは「ネットワークエッジ」「ワークグループ」などと呼ばれます。

ベストエフォート型(best efforts)/ ギャランティ型(Guaranteed service)

ベストエフォート型とは、ネットワークなどのサービス提供者側は品質について「最大限の努力」(best efforts)はするが、結果に関して保証や損害の補償などは行わないとする、サービス品質や契約条件などの考え方の一つです。品質を保証するための冗長化した設備や人員などを必要としない分、高い性能や充実した内容のサービスを安価に提供することができ、品質の低下や一時的な停止が大きな損害に繋がりにくい一般家庭向けのネットワークサービスなどでよく用いられています。
これに対し、あらかじめ最低限保証する品質などの条件を提示してどんな事態でも必ずこれを遵守できる体制を整え、守れないときは生じた損害を補償するといった規定を定める契約方式を「ギャランティ型」(guaranteed service)といい、企業向けの専用回線などでよく用いられています。

通信速度 / 回線速度

通信速度とは、通信回線などで「一定時間あたりに送受信できるデータ量」を表しており、このデータ量が多いほど通信速度が速い(高い)ということになります。
通信の「快適さ」はこの通信速度による部分も影響しますが、「データの送受信にかかる時間」も考慮する必要があり、一般的にこれをレイテンシ(latency)と呼びます。通信速度の速さ以外にも、ネットワーク網でどの経路を通るかによっても影響を受け、特に大陸間や衛星を介した通信など遠距離になる場合に特に大きくレイテンシが発生することがあります。

輻輳(ふくそう)

輻輳とは、通信回線やネットワークに想定を超える接続要求や伝送要求が行われ、通信ができなくなる状態を指します。輻輳が生じると相手先へ繋がりにくくなるため、エンドユーザーが接続試行を繰り返し行うようになり、さらに繋がりにくくなるという悪循環に陥り、最悪の場合には通信設備やネットワークが広域的に機能停止する「輻輳崩壊」と呼ばれる現象に至ることもあります。
サイバー攻撃のひとつである、DDoS攻撃(分散DoS)などは、この輻輳状態を特定の相手先に故意に発生させる攻撃です。

PPPoE(PPP over Ethernet)

PPPoEとは、標準的な通信プロトコルの一つで、旧来よりインターネット接続する際に用いられていたPPP(Point-to-Point Protocol)を構内ネットワーク・イーサネット(Ethernet-LAN)で使用できるようにしたもので、光ファイバー(FTTH)などの常時接続のインターネット接続サービスを利用する際によく利用されます。
また、PPPoEを利用すると接続開始時に利用者の識別(ユーザ認証)などを行うことができるため、インターネット接続サービスによく利用されています。

IPoE(IP over Ethernet)

IPoEとは、構内ネットワークの標準であるイーサネット(Ethernet)を通じてIPネットワークに接続する方式を定めた仕様をさします。近年では、インターネットなどに接続する際にISPなどPPPを介さず直にイーサネットを接続してIP通信を行う方式を指すようになっており、IPv6により提供されるインターネット接続サービスなどで用いられています。
IPoE接続では光ファイバー回線などを通じて事業者側のイーサネットと直に接続し、IP通信を行います。

IPv4(Internet Protocol version 4)

IPv4とは、インターネットの基礎となる通信規約(プロトコル)であるIP(Internet Protocol、インターネットプロトコル)の仕様の一つです。インターネット普及期に使われていたため広く普及しており現在もインターネット上の通信のほとんどがIPv4で行われています。IPv4ではアドレスを32ビットのデータとして表現するため、最大約42億台の機器がインターネットに直接接続できますが、スマートフォンなどの急激な普及により世界的に未使用アドレスの在庫が逼迫する事態となってしまいました。後継仕様としてアドレスを128ビットとして表現するIPv6が策定されました。

IPv6(Internet Protocol Version 6)

IPv6とは、インターネットの基礎となる通信規約(プロトコル)であるIP(Internet Protocol、インターネットプロトコル)の仕様の一つです。32ビットあるIPv4の後継として128ビットとなるIPv6が策定されました。IPv6では2の128乗もの膨大なアドレスを利用することができます。
基本的な機能はIPv4までと同じですが、セキュリティ機能の強化や転送効率の向上などの改善が行われています。IPv6はIPv4とは互換性がなく別に新しいネットワークを導入するのに等しいため、普及がゆるやかに進む状況となっています。

デュアルスタック(dual stack)

デュアルスタックとは、IPv4とIPv6などの二つの異なる技術基盤やプロトコル(通信規約)階層に対応した装置やソフトウェアのセットをそれぞれ用意し、並行に稼働させることを指します。
現行のインターネットで広く用いられているIPv4と後継のIPv6は互換性がなく、デュアルスタック方式のほうが変換やトンネリングなどを伴う他方式に比べ単純な解決策となり、両対応の機器はIPv4アドレスとIPv6アドレスの両方を持ち、相手方の対応状況に応じて使い分けることか可能となります。

トンネリング(tunneling)/トンネル(tunnel)

トンネリングとは、本来通信を行いたいプロトコルで記述されたパケットを、別のプロトコルのパケットで包んで(カプセル化)送り届けることにより通信を行う方法を指します。ネットワーク上に外部から遮断された見えない通り道を作るように見えることからトンネルリング(トンネル)と呼ばれています。IPv6のサービスを提供するISPでは、IPv6通信網を経由してIPv4のサーバーへ接続するためにこのトンネリングを使用することでIPv4をサポートするといったサービスを提供しているところもあります。

10G インターネット回線 / 光回線で、より快適なネットワーク環境を構築しましょう!

上記でご説明させていただきました10G インターネット回線 / 光回線にまつわる規格や用語を参考に10ギガサービスを提供する各ISP選びや、パソコンなどのハードウェアの必要な機器をお求めいただく際にお役にたてれば幸いです。
10G インターネット回線 / 光回線を利用することで、ご家庭やオフィスなど、複数のユーザーによるインターネット閲覧や動画視聴でも回線速度が落ちることなく利用でき、eスポーツイベントにおけるオンラインゲーム等のネットワーク利用も快適になります。
また、クラウド上でのデータのやりとりや、コンテンツ開発といった大容量のデータを扱う作業でも効率化が図れますので、今回取り上げました規格や用語については、これからのネットワーク社会に欠かせない情報となることでしょう。

ライタープロフィール 職人3号

パソコン工房のヘビーゲーマー&ハイパーマルチクリエイター。ゲームを遊ぶだけでなくゲーム作りの趣味も高じてゲーム&クリエイティブ関連のことは大体それなりOK。

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