「パソコンの頭脳」と言われることの多いCPU(Central Processing Unit)の性能を表す数字として表示されていることの多い「クロック数」や「コア数」「スレッド数」といった数字について、レストランの厨房におけるシェフの動きに例えてご説明します。

チャレンジ&ナレッジ最終更新日: 20221219

CPUのクロック数やコア数とは?シェフに例えてみる

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「パソコンの頭脳」と言われることの多いCPU(Central Processing Unit)の性能を表す数字として表示されていることの多い「クロック数」や「コア数」「スレッド数」といった数字について、レストランの厨房におけるシェフの動きに例えて整理してみました。

クロック数はシェフの動きの速さ

クロック数はクロック周波数とも呼ばれ、CPUが処理を行う際に発する信号を扱う速さで、「Hz(ヘルツ)」という単位で表されます。この数値が高いと、同じ時間内により多くの処理が可能です。

レストランのシェフに例えると、「クロック数が低い=動きがゆっくり」「クロック数が高い=動きが速い」というイメージです。

動きが速いシェフの方が同じ時間により多くの料理を作れる動きが速いシェフの方が同じ時間により多くの料理を作れる

コア数はシェフの人数

コアとは、文字通り処理作業を行うCPUの中核となる部分です。
最近のCPUではマルチコアプロセッサ−と呼ばれる1つのCPUの中に複数のコアが入っているものが主流となっています。

複数のコアが存在すると、パソコン上では複数のプロセッサーとして認識され、複数の処理を並列で行うような場合に有効です。

レストランにおけるシェフはまさにレストランの頭脳ですが、マルチコアということは、レストランの厨房にシェフが複数人いる、と例えられるでしょう。

マルチコア=複数のシェフが厨房にいるマルチコア=複数のシェフが厨房にいる

現在ではクアッドコア(4コア)、ヘキサコア(6コア)、オクタコア(8コア)など多くのコア数を備えたCPUが主流となっています。
多くのシェフがいれば、同時並行でたくさんの料理を作ることができますが、CPUにおいてもコア数が多いと同時並行で行える処理作業の数が増える、ということです。

ただし、コア数が多くても同時に行う処理がない場合は1つのコアだけが動作します。多くのシェフがいても注文が一品であれば1人のシェフで作ってしまうのと同様です。

同時に行う処理がなければコア数が多いことによる効果は発揮されない同時に行う処理がなければコア数が多いことによる効果は発揮されない

スレッド数はシェフ1人あたりのコンロの数

「4コア8スレッド」のように上記のコア数と並んで表記されることの多いスレッド数は、「論理コア数」とも呼ばれ、パソコンから認識されるコアの数を表します。

通常であればコア(物理コア)数=スレッド(論理コア)数となりますが、最近のCPUでは処理効率を高める技術(Intel Hyper-Threading Technology / AMD Simultaneous Multithreading Technology)により、パソコンに実際の物理コア数よりも多いコア数として認識させ、より効率的に処理を行うことができるものが多くなっています。

つまり1つの処理を行っている間、コア内の処理能力に余力があれば、ほかの処理も行えるようにして処理の効率化を図ることが可能です。
レストランに例えるなら1人のシェフに対して2つのコンロが与えられたと想像してください。煮込み料理のように待ち時間のある料理を作っている間にもう1つのコンロで別の料理を作ることができる、ということになります。

2つコンロがあって余力があれば別の料理を作ることができる

ただし、「論理コア」と言われるように実際にはコア数が増えているわけではありませんので、処理状況によっては論理コア数が多いCPUだからといって処理速度が上がらない場合があります。
2つコンロがあってもシェフが忙しければ他のことができないのと同じです。

2つコンロがあっても忙しいと他のことができない2つコンロがあっても忙しいと他のことができない

さらに処理を高速化=シェフの動きと火力アップ

一部のCPUでは、処理状況に合わせて自動的に最大クロック数を引き上げて処理の高速化を図る機能(Intel Turbo Boost Technology/AMD Turbo Core Technology)が搭載されています。
これはお店の状況に合わせてよりコンロの火力をアップさせ、素早く動くシェフ、というところでしょうか。

単純に処理速度を引き上げた場合、発熱や消費する電力の面でCPUに負荷がかかりすぎてしまいますが、上記の技術ではCPUの性能に影響を与えないように発熱や消費電力がコントロールされます。

負荷が少なければ1~2個のコアのみが高クロックで動作しますが、負荷の増加にしたがってすべてのコアがブーストされます。ただし、すべてのコアがブーストされている時は、1~2個のコアのみブーストされている時に比べ各コアのクロック数は控えめです。

最近ではすべてのコアが高速動作可能なCPUがポピュラーになってきています。これをレストランに例えると…ものすごい大繁盛店です!

第12世代Coreプロセッサーから登場したP-core、E-coreの場合

第12世代のintel Coreプロセッサーからは、「P-core」と「E-core」の2種類のコアが搭載されるようになりました。

レストランに例えると、役割分担をすることで、より効率的に料理が提供できるようになったお店です。
P-coreがシェフ、E-coreがその他の作業を一手に引き受けシェフが料理に集中できるようにする調理補助スタッフと考えてください。

P-coreは従来の通りシェフなので、コンロ2つと、作業速度アップの機能を備えています。E-coreはシェフを支える仕事のため、複数のコンロの概念はありません。
具体的にはP-coreは動画処理や計算処理などの演算を受け持ち、E-coreは細々としたバックグラウンドタスクを受け持ちます。

シェフを思い浮かべながら用途にあったCPUを選ぼう

ここまでイラストを交えてご説明してきたことをおさらいすると、
●クロック周波数・・・シェフの動きの速さ
●コア数・・・シェフの人数
●スレッド数・・・シェフの人数×1人あたりのコンロの数
●第12世代intel Coreプロセッサーから登場のE-core・・・調理補助スタッフ
ということになります。

パソコンやパーツを選ぶ際には厨房で働くシェフの動きを思い描きながら、自分の用途(≒同時に作って欲しい料理の種類や希望する調理スピードなど)にあったCPUを検討してみるといいかもしれません。

ライタープロフィール パソコン工房NEXMAG
[ネクスマグ] 編集部

パソコンでできるこんなことやあんなこと、便利な使い方など、様々なパソコン活用方法が「わかる!」「みつかる!」記事を書いています。

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