音に合わせたプロジェクションマッピングの映像を作ってみましょう。プロジェクションマッピングは巨大な建物や大掛かりな機材がなくても実現することができます。

クリエイター最終更新日: 20190718

ミニプロジェクションマッピングに挑戦・サウンド編

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最近様々な観光地やアミューズメント施設でのイベントで見かけることが多く、メディアなどでも取り上げられる機会が増えている「プロジェクションマッピング」ですが、巨大な建物や大掛かりな機材がなくても実現することができます。
今回は「ミニプロジェクションマッピングに挑戦・テクスチャー編」で作成したフォーマットを使って、音に合わせたプロジェクションマッピングの映像を作ってみましょう。

プロジェクションマッピングと音

プロジェクションマッピングの醍醐味と言えば、大きな建物などに映し出された映像が動いて、あたかも建物が崩れたりひび割れたり、あるいは全く違う表情になったりするところだと思います。「ミニプロジェクションマッピングに挑戦・テクスチャー編」などではビジュアルで魅せる部分、つまり映像に注力したレクチャーでした。だけどもう一つプロジェクションマッピングには重要な要素があります、それは音楽や効果音、そう「音」ですね。

例えば音楽に合わせて映像がめまぐるしく変わって行く様は、迫力が違います。プロジェクションマッピングの映像を無音で見るのと音付きで見るのでは、全くイメージが違ってくるくらい音楽や効果音はプロジェクションマッピングの演出にとって重要です。

映像や画像、音楽など素材を準備しよう

編集するにあたって、まず、映像や画像、それに音楽や効果音などを準備しましょう。と、言っても、なかなかすぐに集める訳には行かないと思いますので、今回は筆者の手元にある映像素材や音楽素材から、今回のご説明に使用するものをまとめておきました。

ミニプロジェクションマッピングに挑戦・テクスチャー編」で作成したAfter Effectsのデータに用意した素材を読み込んで、音と映像の関係を意識したプロジェクションマッピングの映像を作ってみます。もちろんオリジナルの音楽や映像素材、画像素材をお持ちの方は、それらを使っても構いません。

映像の重なりや時間制御などのちょっとした小技を織り交ぜながら、音楽のタイミングに合わせて変化する映像を組み立ててみましょう!

音と合わせて映像を作ってみよう

制作に入る前に、今回筆者がまとめておいた素材のフォルダを以下のリンクからダウンロードして、解凍後の「素材」フォルダをAfter Effectsファイルのあるフォルダに入れてしておきましょう。

“素材ファイル ダウンロードURL”
http://stylograph.com/proj_mapping_material.zip
※筆者の都合等によりデータは削除される場合があります

ダウンロードしたフォルダをAfter Effectsファイルのあるフォルダに入れる
ダウンロードしたフォルダをAfter Effectsファイルのあるフォルダに入れる

音声データを読み込む

まず「ミニプロジェクションマッピングに挑戦・テクスチャー編」で作成したAfter Effectsファイルを開きましょう。

テクスチャー編で制作したAfter Effectsファイルを開く
テクスチャー編で制作したAfter Effectsファイルを開く

ファイルが開いたら、今回の映像を制作するための準備として、新たにコンポジションを追加します。まずメニューのコンポジションから「新規コンポジション」を選択して、コンポジション設定を開きます。

After Effectsファイルを開いたら、メニューのコンポジションから「新規コンポジション」を選択
After Effectsファイルを開いたら、メニューのコンポジションから「新規コンポジション」を選択

設定ダイアログが表示されたら、コンポジション名を「テクスチャー両方」(名前は任意でも構いません)として、幅を2160pix、高さを1080pixに、デュレーションは15秒にセットして「OK」を押します。

コンポジション名「テクスチャー両方」、幅2160pix、高さ1080pix、デュレーション15秒にセット
コンポジション名「テクスチャー両方」、幅2160pix、高さ1080pix、デュレーション15秒にセット

コンポジションを作成すると、プロジェクトとタイムラインのタブにそれぞれ新たに「テクスチャー両方」というコンポジションが追加されます。

プロジェクトとタイムラインにそれぞれ「テクスチャー両方」というコンポジションが追加される
プロジェクトとタイムラインにそれぞれ「テクスチャー両方」というコンポジションが追加される

次に、このレクチャー用に用意した映像素材や音楽素材のサンプルデータを読み込みましょう。ファイルの「読み込み」の「ファイル」から先ほどダウンロードした「素材」フォルダを指定します。素材フォルダを見つけたら、そのフォルダを選択した状態で、読み込みますが、読み込みの際は「読み込み」ボタンではなく「フォルダーを読み込み」ボタンを押します。

ファイルの「読み込み」「ファイル」から素材を読み込む
ファイルの「読み込み」「ファイル」から素材を読み込む

「素材」フォルダーを見つけたら「フォルダーを読み込む」ボタンを押す
「素材」フォルダーを見つけたら「フォルダーを読み込む」ボタンを押す

読み込むと、プロジェクトに「素材」フォルダーが読み込まれます。プロジェクトにフォルダー名がそのまま階層となって読み込まれ、フォルダー内のデータがそのまま入っているのがわかります。
フォルダーにひとまとめになっているデータなどをいっきに読み込みたい場合などは「フォルダーを読み込み」を使うと便利です。また素材などによってフォルダー名で分けておくなどすると、編集作業の効率化に繋がりますので、うまく使いわけるといいでしょう。

「素材」フォルダーがそのまま読み込まれる
「素材」フォルダーがそのまま読み込まれる

音声ファイルを編集してみましょう、まず、読み込んだフォルダ内にある音声データ「音楽.wav」(ファイル拡張子が.wav)をビューアにドラッグして配置します。配置するとタイムラインに音声のレイヤーが追加されます。 もちろん音声データですので、ビューアには何も表示されませんが、タイムラインにはちゃんと音声データが表示されます。
タイムラインに「音楽.wav」のレイヤーが表示されたら、プレビューしてみましょう。問題なければ音声が再生されます。
もし音声が再生されない場合は、After Effectsの「環境設定」の「オーディオハードウエア」から適切な音声出力先が指定されているか確認してください。

「音楽.wav」ファイルをドラッグしてビューアへ配置する
「音楽.wav」ファイルをドラッグしてビューアへ配置する

プレビューで音声が再生されるかチェックする
プレビューで音声が再生されるかチェックする

音声データを操作する。

音声データの中を操作してみます、まずタイムラインに読み込まれた「音声.wav」の▲をクリックしてメニューを展開します。すると「オーディオ」という項目が展開されますが、さらに▲をクリックして展開すると「ウェーブフォーム」というメニューが展開します。

「ウェーブフォーム」が展開すると、タイムラインに音声の波形が表示されると思います。音の強弱などをビジュアルとしてみることができますので、音の変わり目などはこの波形を見るとわかりやすいと思います。

「音声.wav」レイヤーの▲を展開して、ウェーブフォームを表示する
「音声.wav」レイヤーの▲を展開して、ウェーブフォームを表示する

「ウェーブフォーム」を表示したら、次に音声の最後をフェードアウトしてみます。まず、タイムライン上のインジケーターを14秒00に進めます。
次に「音声.wav」レイヤーの「オーディオレベル」にあるストップウォッチのマークをクリックしてキーをアクティブにします(同時にキーが打たれます)
この時点で、14秒00に「0dB」(デシベル)のキーが打たれました。

(1)14秒00にインジケーターを移動し(2)「音声.wav」のオーディオレベルのキーをアクティブにする
(1)14秒00にインジケーターを移動し(2)「音声.wav」のオーディオレベルのキーをアクティブにする

次にインジケーターを14秒29に移動し、オーディオレベルの入力値に「-48」と入力し、音声をフェードアウトします。数値を入力すると自動的に「-48dB」のキーが打たれます。

ジケーターを14秒29に移動し、「音声.wav」のオーディオレベルの入力値に-48と入力する
ジケーターを14秒29に移動し、「音声.wav」のオーディオレベルの入力値に-48と入力する

音楽に合わせて映像を編集する。

音声ファイルを読み込みましたので、この音声(音楽)に合わせて映像を編集してみたいと思います。まず音に合わせるポイントとしては、先ほど音声ファイルのウェーブフォームを開いて波形を表示したと思いますが、この波形を見ると音声の強弱や密度がなんとなくわかります。例えば今回準備した「音声.wav」の音楽を聞くと、8秒14フレームあたりで大きな変化があると思いますが、波形をみると、ちょうどそのあたりに打楽器の特徴的な山がありますね。音楽などに映像を合わせる場合、この波形の変化などを参考にすると良いでしょう。(音によっては波形ではわかりにくいこともあります)

波形を見ると、8秒14フレームあたりに特徴的な変化がある
波形を見ると、8秒14フレームあたりに特徴的な変化がある

では、音声に合わせて映像を編集する準備をしましょう。まず、準備した「素材」データのなかから「破壊右.mp4」というファイルをドラッグしてビューアに移動します。今回準備した素材用の映像データは、あらかじめ1080pix×1080pixのサイズで作ってあり、かつ左右別々に分けてあります。
現在表示されているコンポジションのビューアは2160pix×1080pixと左右両方のサイズとなっていますので、「破壊右.mp4」のファイルをビューアに移動する際は、右端に合わせる形で配置します。

「破壊右.mp4」ファイルをビューアの右側に配置する
「破壊右.mp4」ファイルをビューアの右側に配置する

次に「破壊左.mp4」というファイルをドラッグしてビューアに移動します。今度はビューアの左側に合わせて配置します。配置が完了すると、画面が白で覆われた形になると思います。

「破壊左.mp4」ファイルをビューアの左側に配置する
「破壊左.mp4」ファイルをビューアの左側に配置する

配置が完了したら、タイムラインのレイヤーに「破壊右.mp4」と「破壊左.mp4」の2つのレイヤーが追加されていることを確認します。
インジケーターを左右に動かすと、この2つの映像の動きが確認できます。白い壁が小さなブロックに破壊される6秒の映像となります。

「破壊右.mp4」「破壊左.mp4」がレイヤーに追加される。インジケーターを左右に動かすと映像の動きが確認できる。
「破壊右.mp4」「破壊左.mp4」がレイヤーに追加される。
インジケーターを左右に動かすと映像の動きが確認できる。

「破壊右.mp4」と「破壊左.mp4」の映像を音のタイミングに合わせてみます。
まず、「破壊右.mp4」と「破壊左.mp4」の2つのレイヤーを同時に選択します。2つ以上のレイヤーを同時に選択する場合はキーボードのshiftボタンを押したままクリックすることで選択できます。選択したらタイムライン上にある2つのレイヤーをドラッグして、頭を8秒14フレームに移動して合わせます。合わせたらプレビューしてみましょう、音の変わり目に合わせて小さなブロックが破壊されて飛び散ると思います。

「破壊右.mp4」「破壊左.mp4」のレイヤーを同時に選択し、ドラッグして8秒14フレームに移動する。
「破壊右.mp4」「破壊左.mp4」のレイヤーを同時に選択し、ドラッグして8秒14フレームに移動する。

プレビューをしてみると、音の変化と同時にブロックが破壊されると思いますが、背景の黒から唐突に白い壁が現れるので、ここで白い壁がフェードインしてくるように加工してなじませてみます。

ここで一つの技として、レイヤーの時間を制御してみようと思います。映像は基本時間によって制御されていますが、レイヤーが持つ時間の流れを変化させて再試時間を長くしたり短くしたりすることができます。今回は「タイムリマップ」という制御を試してみましょう。

タイムリマップは、レイヤーの持っている時間の伸縮を自由に設定することができます。例えば今回の映像素材「破壊右.mp4」と「破壊左.mp4」は6秒という時間を持っていますが、タイムリマップを使うことで、必要な部分だけを伸縮することができます。

まずshiftボタンを押したまま「破壊右.mp4」と「破壊左.mp4」をクリックして2つとも同時に選択しておきます(今回は左右のレイヤー同時に同じ効果をつけたいので2つ同時に選択しています)
選択できたら、メニューの「レイヤー」から「時間」にある「タイムリマップ使用可能」を選択します。

「破壊右.mp4」と「破壊左.mp4」を同時に選択して「タイムリマップ使用可能」を選択する
「破壊右.mp4」と「破壊左.mp4」を同時に選択して「タイムリマップ使用可能」を選択する

「タイムリマップ使用可能」を選択すると、新たにタイムリマップ専用のメニューがタイムラインに追加されます。また、それぞれのレイヤーの映像の始点と終点にタイムリマップのキーが打たれます。

タイムリマップのメニューが追加され、映像の視点と終点にキーが打たれる
タイムリマップのメニューが追加され、映像の視点と終点にキーが打たれる

次にタイムリマップでフレームを調整します。
まず、その前に、フレーム単位で細かく微調整したい場合、今の状態では編集しづらいですので「時間スケール」でレイヤーの時間をズームしましょう。時間スケールの左右にある水色のハンドルをクリックして左右にドラッグすることで時間のスケールを変えることができます、時間スケールの幅を狭くして、フレーム単位で操作できるまで拡大します。

「時間スケール」の左右にある水色のハンドルを操作し、時間スケールの幅を変えて時間スケールを拡大する
「時間スケール」の左右にある水色のハンドルを操作し、時間スケールの幅を変えて時間スケールを拡大する

拡大すると、フレーム単位で編集するのが容易になる
拡大すると、フレーム単位で編集するのが容易になる

拡大できたら、インジケーターを1フレーム戻します、つまり8秒13フレームに移動します。
1フレーム移動したら、次にタイムリマップに新たなキーを打ちます。キーを打つと8秒13フレームに新たなキーが作成されます。

インジケーターを8秒13フレームに移動する
インジケーターを8秒13フレームに移動する

タイムリマップに新たなキーを打つ。8秒13フレームにキーが作成される
タイムリマップに新たなキーを打つ。8秒13フレームにキーが作成される

キーが作成されたら、まず、キーをドラッグして7秒14フレームに移動します。つまり1秒前に移動ですね。次に映像そのものを伸ばします。映像の始点をドラッグして7秒14フレームまで伸ばしてみましょう。伸ばすと映像の最初のフレームの白い画面が7秒14フレームまで伸びます。
つまり、8秒14フレームの白色の画面の1フレームが、7秒14フレームまで伸ばされたことになります、1フレームが30フレーム(1秒)になったと思えばいいでしょう。

作成されたキーを7秒14フレームまでドラッグして移動
作成されたキーを7秒14フレームまでドラッグして移動

次に映像の始点をドラッグして7秒14フレームまで伸ばす(8秒14フレームの1フレームが30フレームに伸びる)
次に映像の始点をドラッグして7秒14フレームまで伸ばす(8秒14フレームの1フレームが30フレームに伸びる)

これで映像素材にはもともとなかった1秒が前に追加されました。それぞれ追加した1秒をそれぞれのレイヤーのトランスフォームのメニューを展開し「不透明度」を制御して、白色に1秒間かけてフェードインするようにキーを打ってみましょう。

それぞれのレイヤーのトランスフォームのメニューを展開し「不透明度」を設定、1秒間かけてフェードインする
それぞれのレイヤーのトランスフォームのメニューを展開し「不透明度」を設定、1秒間かけてフェードインする

不透明度0%から1秒かけて100%にキーをセットする
不透明度0%から1秒かけて100%にキーをセットする

プレビューで再生してみると、1秒でフェードインし、音に合わせてブロックが飛び散りますね。そして、そのまま最後まで再生してみてください、すると今度は後ろが足りないことがわかります。
時間スケールで縮小して全体を表示してみると、映像の後ろが少し足りていないのが確認できます。
タイムリマップを有効にしていますので、映像の終点のタイムリマップのキーを14秒29フレーム、つまり一番後ろの最終点に移動し、映像を伸ばします。こうすることで最後まで映像で埋まります。

映像の後ろが足りていないので、タイムリマップの終点キーを最終点まで伸ばす
映像の後ろが足りていないので、タイムリマップの終点キーを最終点まで伸ばす

最終点まで伸ばすことで、最後まで映像で埋めることができる
最終点まで伸ばすことで、最後まで映像で埋めることができる

ここまでできたら、「破壊右.mp4」と「破壊左.mp4」の▲をクリックしてメニューを閉じ、一旦保存しておきましょう。

別の素材をのせてみる。

別の映像素材を新たに追加してみましょう。プロジェクトの素材フォルダから「数字.mp4」ファイルをビューアに配置します。配置するとタイムラインに新たな」「数字.mp4」のレイヤーが追加されます。

「数字.mp4」を新たに追加する
「数字.mp4」を新たに追加する

この素材は数字の9から0までをカウントする映像です、できるだけビューアの中心に置きましょう(マッピングの際に投影する箱の真ん中に表示される感じになります)中心がわかりにくい時はビューアに「タイトル/アクションセーフ」などを表示しておくと良いでしょう。

ビューアの中心などがわかりにくい場合は「タイトル/アクションセーフ」などのガイドを表示すると良い
ビューアの中心などがわかりにくい場合は「タイトル/アクションセーフ」などのガイドを表示すると良い

プレビューで再生してみましょう、すると数字が徐々に減っていくと思います。ただ、このままでは少し問題があります。先に配置した「破壊右.mp4」と「破壊左.mp4」の上に完全にかぶさってしまっていますね。

「破壊右.mp4」と「破壊左.mp4」の上に「数字.mp4」の映像がかぶさっている
「破壊右.mp4」と「破壊左.mp4」の上に「数字.mp4」の映像がかぶさっている

こういう場合「上のレイヤーの映像の黒い部分を透過しておきたい」なんてことが結構発生します。素材を作る段階で透過したものをあらかじめ作っておくというのも一つの手ですが、単に黒い部分だけ透過したいなどの場合は、描画モードを切り替えることで透過させることが可能です。
タイムラインにある、「モード」という項目をクリックして、描画モードを切り替えてみましょう。
基本は「通常」というモードが選ばれています。

描画モードを切り替えることで、透過、乗算、加算、などの効果をかけることができる
描画モードを切り替えることで、透過、乗算、加算、などの効果をかけることができる

「モード」という項目をクリックして今回は「スクリーン」というモードを選択します。そのほか描画モードには色々なものがありますので、効果に合わせて試してみると良いでしょう。透過以外にも、乗算や加算などで、下のレイヤー画像との描画方法が変わってきます。上手く使えば描画モードだけでもそれなりの演出をすることができると思います。

描画モードを「スクリーン」に設定する
描画モードを「スクリーン」に設定する

「数字.mp4」の黒い部分が透過する
「数字.mp4」の黒い部分が透過する

透過できたら「数字.mp4」の映像のタイミングを調整しましょう。9から0までの数字が減っていく映像になっているので、ちょうど音楽かかわるタイミングで0になるように調整してみてください。「数字.mp4」の映像の終点がだいたい音楽の変わり目になる8秒14フレームあたりにくるように移動しておくと、それっぽくなるかと思います。タイミングは何度もプレビューしながら微調整するといいと思います。

「数字.mp4」の終点を、音楽の変わり目にあわせて移動し、0秒で切り替わるように演出する
「数字.mp4」の終点を、音楽の変わり目にあわせて移動し、0秒で切り替わるように演出する

さらに別の映像素材を配置してみましょう。プロジェクトから次は「ストライプ.mp4」というファイルをビューアに配置します。この映像はストライブが右から左に斜めに流れていくというものになります。

「ストライプ.mp4」を新たに追加する
「ストライプ.mp4」を新たに追加する

この映像ですが、タイムラインのインジケーターを左右に進めたり戻したりするとわかると思いますが、ストライプが発生するまでに白い余白があることに気がつきます。素材映像を作る場合など、少し前後に余裕を持たせて作ったりする場合がありますが、その余裕が後に他のレイヤーに影響して面倒なことになる場合がありますので、必要ない部分を切り捨てるのも一つの方法です。

インジケーターを左右に進めたり戻したりすると、ストライプの映像の動きがわかる
インジケーターを左右に進めたり戻したりすると、ストライプの映像の動きがわかる

「ストライプ.mp4」の前後の余白部分を分割してカットしてみます。まず、インジケーターを左右に動かして、ストライプが発生する寸前のフレームを探します。発生寸前の位置がわかったら、その場でメニューの「編集」から「レイヤーを分割」を選択します。すると「ストライプ.mp4」のレイヤーが分割され、インジケーターを境に、前半と後半の2つのレイヤーになります。

インジケーターを左右に動かして「ストライプ.mp4」のストライプが発生する寸前のフレームを探す(画像では便宜上、少しストライプが見えているが、本来はこの1フレーム前で切るのが適切)
インジケーターを左右に動かして「ストライプ.mp4」のストライプが発生する寸前のフレームを探す
(画像では便宜上、少しストライプが見えているが、本来はこの1フレーム前で切るのが適切)

ストライプ発生の寸前のフレーム位置で、メニューの「編集」から「レイヤーを分割」を選択
ストライプ発生の寸前のフレーム位置で、メニューの「編集」から「レイヤーを分割」を選択

「ストライプ.mp4」のレイヤーが前後で分割される
「ストライプ.mp4」のレイヤーが前後で分割される

今回の場合、前半のレイヤーは必要ありませんので、前半のレイヤーを選択し、キーボードの「delete」ボタンで削除します。

「ストライプ.mp4」の後の余白部分も同じ要領でカットしておきましょう。

分割された前の部分のレイヤーを選択し、キーボードの「delete」ボタンで削除する
分割された前の部分のレイヤーを選択し、キーボードの「delete」ボタンで削除する

余計な余白をカットした「ストライプ.mp4」レイヤーの映像は、始点からすぐにストライプが発生する映像になっていると思います。
このレイヤーを移動し、映像の始点がちょうど音楽の変わり目の部分、つまり8秒14フレームに合わせましょう。プレビューすると、音楽が変わって、ブロックが破壊されたと同時にストライプの映像が流れると思います。

余白をカットした「ストライプ.mp4」のレイヤーの映像の始点を8秒14フレームに移動する
余白をカットした「ストライプ.mp4」のレイヤーの映像の始点を8秒14フレームに移動する

プレビューすると音楽が変わったタイミングでストライプの映像が流れる
プレビューすると音楽が変わったタイミングでストライプの映像が流れる

「数字.mp4」の時とおなじく、「ストライプ.mp4」の映像も透過していませんので、描画モードを変更します。今回は先ほどと違って白い部分を透過させて、黒い部分を残したいので、描画モード「比較(暗)」を選択します。

描画モードを「比較(暗)」を選択する。ストライプの白い部分が透過し黒い部分が残る
描画モードを「比較(暗)」を選択する。ストライプの白い部分が透過し黒い部分が残る

「ストライプ.mp4」の画像サイズが1080pix×1080pixなので画面の右側だけにストライプが表示されていますので、これを複製して左側にも追加しましょう。
タイムラインの「ストライプ.mp4」のレイヤーを選択した状態で、メニューの「編集」から「複製」を選択します。すると「ストライプ.mp4」がもう1つ複製されます。

「ストライプ.mp4」を選択し、メニュー「編集」から「複製」を選択し、「ストライプ.mp4」を複製する
「ストライプ.mp4」を選択し、メニュー「編集」から「複製」を選択し、「ストライプ.mp4」を複製する

「ストライプ.mp4」が複製できたら、ビューア上にある「ストライプ.mp4」をドラッグして画面左側へ移動します。この時、キーボードのshiftボタンを押したまま左へもっていくと水平を保ったまま移動することができます。左端にぴったり合うように配置しましょう。

ビューアの複製した「ストライプ.mp4」を選択し、shiftボタンを押したまま左へドラッグして左端に移動
ビューアの複製した「ストライプ.mp4」を選択し、shiftボタンを押したまま左へドラッグして左端に移動

左端ぴったりに配置する (ストライプが画面全体を覆ったようになる)
左端ぴったりに配置する (ストライプが画面全体を覆ったようになる)

インジケーターを左右に動かすと、ストライプの動きがわかると思いますが、ここで少し小技を使ってみます。
タイムライン上の複製した「ストライプ.mp4」のレイヤーを少し後ろに移動して、ストライプの発生のタイミングを遅らせます。画面右側のストライプが中央に到達するタイミングで、画面左側のストライプが発生するように移動すると、右から左へストライブが移動していくように見えるはずです。

(*注・素材の精度がそんなに良くないので、ぴったりは合いません)

画面右側の複製した「ストライプ.mp4」のレイヤーを少し遅らせると、ストライプが繋がった演出ができる
画面右側の複製した「ストライプ.mp4」のレイヤーを少し遅らせると、ストライプが繋がった演出ができる

このように同じ素材を複数使ったり切り貼りすることで演出できることも多いので、その他の素材やオリジナルの素材を使って色々と試してみると面白い映像が作れると思います。

最後にもう1つだけ映像素材を追加してみましょう。
プロジェクトから「空撮右.mp4」という映像ファイルをビューアの右側に配置します。続いて「空撮左.mp4」もビューアの左側に配置します。

「空撮右.mp4」をビューア右側に追加する
「空撮右.mp4」をビューア右側に追加する

続いて「空撮左.mp4」をビューア左側に追加する
続いて「空撮左.mp4」をビューア左側に追加する

ビューアに空撮の映像を追加したら、いままで制作した映像の上に重なった状態になっていると思います。タイムライン上のレイヤーは、上部にあるレイヤーが手前に表示されるというようになっていますので、一番上部にある「空撮右.mp4」「空撮左.mp4」が一番手前に表示されていることになります。ここでは「空撮右.mp4」「空撮左.mp4」の2つのレイヤーを両方選択し、レイヤー下部に移動します(「破壊右.mp4」と「音楽.wav」の間)。
このように上下関係を変えることで映像の重なり方が変わります。 

「空撮右.mp4」と「空撮左.mp4」のレイヤーを下部へ移動する(「破壊右.mp4」と「音楽. wav」の間)
「空撮右.mp4」と「空撮左.mp4」のレイヤーを下部へ移動する(「破壊右.mp4」と「音楽. wav」の間)

レイヤーを下部に移動すると、上下関係が変わって、今まで制作した映像素材が表示される
レイヤーを下部に移動すると、上下関係が変わって、今まで制作した映像素材が表示される

プレビューをして映像をチェックし問題なければ、これで映像は完成です。最後に追加したようにビデオカメラなどで撮影した映像なども素材として使えますので、様々な映像素材で魅力的なプロジェクションマッピング映像をぜひ作ってください。 

完成

最後の仕上げとしてマッピング用に「テクスチャー右」「テクスチャー左」のそれぞれのコンポジションに完成した映像を配置しましょう。

まず、タイムラインのタブから「テクスチャー左」のコンポジションを選択します。次に、プロジェクトから「コンポジション両方」をビューアに配置します。配置の際、テクスチャー両方のコンポジションをビューアの左側に揃えて配置します。配置すると、左側半分の映像が表示された状態になります。

タイムラインの「テクスチャー左」のタブを選択して、テクスチャー左のコンポジションに移動する
タイムラインの「テクスチャー左」のタブを選択して、テクスチャー左のコンポジションに移動する

ブロジェクトの「テクスチャー両方」をビューアに左揃えで配置する
ブロジェクトの「テクスチャー両方」をビューアに左揃えで配置する

配置すると、左側半分の映像が表示された状態になる
配置すると、左側半分の映像が表示された状態になる

次に必要のないレイヤーを不可視に設定します。今回は以前に制作したフォーマットを使っていますので、前回のレクチャーで使用した「文字イラスト/テクスチャー.ai」と「レンガ/テクスチャー.psd」のレイヤーは必要ありません。なので「目」のマークをクリックして不可視の状態にしておきます。

「文字イラスト/テクスチャー.ai」と「レンガ/テクスチャー.psd」のレイヤーを不可視にする
「文字イラスト/テクスチャー.ai」と「レンガ/テクスチャー.psd」のレイヤーを不可視にする

続いて、タイムラインにあるタブ「テクスチャー右」のコンポジションを選択し、同じようにプロジェクトから「テクスチャー両方」を配置します。今回はビューアの右側に揃えて配置します。配置すると右側半分の映像が表示された状態になります。ここまでできたら、さきほどと同じように「文字イラスト/テクスチャー.ai」と「レンガ/テクスチャー.psd」のレイヤーを不可視にします。

タイムラインの「テクスチャー右」のタブを選択して、テクスチャー右のコンポジションに移動する
タイムラインの「テクスチャー右」のタブを選択して、テクスチャー右のコンポジションに移動する

ブロジェクトの「テクスチャー両方」をビューアに右揃えで配置する
ブロジェクトの「テクスチャー両方」をビューアに右揃えで配置する

「文字イラスト/テクスチャー.ai」と「レンガ/テクスチャー.psd」のレイヤーを不可視にする
「文字イラスト/テクスチャー.ai」と「レンガ/テクスチャー.psd」のレイヤーを不可視にする

最後にタイムラインにあるタブ「プロジェクションマッピング_マスター」のコンポジションを選択します。ビューアには投影状態の映像が表示されていると思います。

「プロジェクションマッピング_マスター」のタブを選択する
「プロジェクションマッピング_マスター」のタブを選択する

タイムラインのレイヤーには「テクスチャー左」と「テクスチャー右」がありますが、両方に音楽が入っている状態となっています。どちらかの音楽だけでいいので、テクスチャー左のスピーカーマークをクリックし、音声を切って無音に設定します。

テクスチャー左のスピーカーマークをクリックし、音声を切って無音に設定する
テクスチャー左のスピーカーマークをクリックし、音声を切って無音に設定する

ここまで完成したらプレビューして映像をチェックしましょう、問題なければ、このままレンダリングして完成です。
メニュー「コンポジション」から「レンダーキューに追加」でレンダリング設定を行います。出力モジュールの形式をクイックタイム(QuickTime)に、形式オプションのビデオコーデックを「H.264」に設定。

メニューのコンポジションから「レンダーキューに追加」を選択
メニューのコンポジションから「レンダーキューに追加」を選択

①レンダーキューの「出力モジュール」のロスレス圧縮をクリック、出力モジュールを設定 ②「形式」をクイックタイム(QuickTime)にセット ③「形式オプション」をクリックしてクイックタイムオプションのダイアログを開く

①レンダーキューの「出力モジュール」のロスレス圧縮をクリック、出力モジュールを設定
②「形式」をクイックタイム(QuickTime)にセット
③「形式オプション」をクリックしてクイックタイムオプションのダイアログを開く

ビデオコーデックを「H.264」に設定
ビデオコーデックを「H.264」に設定

次に出力先(保存先)と保存ファイル名をレンダーキューの「出力先」で設定します。
保存する先(フォルダー等)を指定し、ファイル名を任意の名前にします。今回は「プロジェクションマッピング_完成」としました。設定が全て終了したら、右側にある「レンダリング」ボタンをおしてレンダリングを行います。

レンダーキューの出力先を設定する
レンダーキューの出力先を設定する

保存する先と、ファイル名を設定する
保存する先と、ファイル名を設定する

レンダーキューの右側にある「レンダリング」ボタンをおしてレンダリングを開始する
レンダーキューの右側にある「レンダリング」ボタンをおしてレンダリングを開始する

レンダリングが完了したら、完成したムービーファイルを再生してみます。保存されたムービーファイルを右クリック「プログラムから開く」で「映画&テレビ」を選択し、ムービファイルを再生します。

保存されたムービーファイルをフルスクリーンで再生する
保存されたムービーファイルをフルスクリーンで再生する

「映画&テレビ」の再生設定で「リピート」にチェックを入れ、そのあとフルスクリーンにします。フルスクリーンで再生したら、投影されている箱を確認してみましょう。
音に合わせて映像が動いていると思います。今回のレクチャーでは使用しなかった素材もありますので、様々な素材を組み合わせて色々と試してください!

まとめ

今回は音声に合わせてプロジェクションマッピングに動きや表情をつける方法を説明しました。プロジェクションマッピングは音楽や効果音があってこその表現だと思います!とくにエンターテイメントとしての要素が強い表現方法ですので、派手さや音とのタイミングなどを駆使して、観ていて飽きない工夫と、物と映像と音がぴったり合う爽快感を是非作り出してください!

ライタープロフィール 名古屋造形大学メディアデザインコース
准教授 外山貴彦

大学ではメディアデザインやメディアアートなどを中心としたゼミを開講し、在校生や卒業生とスイッチというグループでインタラクティブコンテンツの研究や制作を行なっています。最近はプロジェクションマッピングなどエンターテイメントコンテンツなども制作しています。

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