AMD Radeon VIIの特徴やほかのグラフィックスカードとのスペックの比較を行ってみました。ベンチマークの記事も展開予定ですので乞うご期待ください。

PCゲーム最終更新日: 20190215

Radeon VII ベンチマーク速攻レビュー

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世界で初めて7nmプロセスルールで製造されたAMD製ハイエンドゲーミング向けGPU「AMD Radeon VII」。「VEGA20」や「VEGA 7nm」とも呼ばれていた通り、 前世代のハイエンドモデルであるRadeon RX VEGA 64の後継モデルにあたり、第2世代VEGAアーキテクチャを採用した製品となります。

CPUではRyzenが高い人気を誇りますがAMDの新たなるハイエンドGPU「AMD Radeon VII」が、どのような性能を示すのか、ベンチマークテストで確認していきたいと思います。

AMD Radeon VIIの特徴

AMD Radeon VIIは、基本的な設計はRadeon RX VEGA 64から変わっていませんが、7nmプロセスを採用した事でGPUコアのダイサイズがおおよそ3分の2に縮小し、
その空いたスペースにHBM2メモリを搭載する事でメモリ容量を8GBから16GBに倍増させました。また、Radeon RX VEGA 64比で約2倍の温度センサーを搭載し、より緻密な温度管理を可能としています。

AMD Radeon VIIグラフィックスカード全景AMD Radeon VIIグラフィックスカード全景

AMD Radeon VIIの特徴としては、
・7nmプロセスの採用
・ビデオメモリにHBM2を採用
・コンシューマー向けで初めてメモリ帯域が1TB/sの大台を突破
などが有ります。

AMD Radeon VIIグラフィックスカードにはBIOS切り替え用DIPスイッチが無いAMD Radeon VIIグラフィックスカードにはBIOS切り替え用DIPスイッチが無い

AMD Radeon VIIには、Radeon RX VEGA 64では見られたBIOS切り替え用のDIPスイッチが有りません。

AMD Radeon VIIグラフィックスカードの光る「R」の立方体AMD Radeon VIIグラフィックスカードの光る「R」の立方体

電源コネクタ付近にある「R」の立方体は、通電すると光ります。

AMD Radeon VIIグラフィックスカードの出力端子AMD Radeon VIIグラフィックスカードの出力端子

AMD Radeon VIIの出力端子はDisplayPort×3とHDMI×1です。

AMD Radeon VIIのスペックは下表のとおりとなります。

Radeon VII Radeon RX
VEGA 64
GeForce RTX
2080 Ti
GeForce RTX
2080
GeForce RTX
2070
アーキテクチャ VEGA Turing
GPUコア VEGA20 VEGA10 TU102 TU104 TU106
製造プロセス 7nm 14nm 12nm
ストリーミングプロセッサ数 3840基 4096基 4352基 2944基 2304基
定格クロック 1400MHz 1274MHz 1350MHz 1515MHz 1410MHz
ブーストクロック 1750MHz 1546MHz 1545MHz 1710MHz 1620MHz
メモリタイプ HBM2 GDDR6
メモリ容量 16GB 8GB 11GB 8GB 8GB
メモリ転送レート 2.0Gbps 1.89Gbps 14Gbps
メモリバス幅 4096bit 2048bit 352bit 256bit 256bit
メモリバス帯域幅 1.0TB/s 484GB/s 616GB/s 448GB/s 448GB/s
TDP 300W 295W 250W 215W 185W
補助電源 8pin + 8pin 8pin + 8pin 8pin + 8pin 8pin + 6pin 8Pin
推奨電源 750W 650W 550W

AMD Radeon VIIとGeForce RTXとのスペック比較表

メモリ帯域幅が大きくなり、また、メモリ容量も増加していることから、特に4Kなどの高解像度の場面においてパフォーマンスの低下が少なくなると予想できます。
それでは実際の性能はどれほどになるのか、ベンチマークで確認していきたいと思います。

ベンチマークテスト

比較対象として、Radeon RX VEGA 64とGeForce RTX 2080・GeForce RTX 2070を用意しました。また、テスト解像度はフルHD(1920x1080)、WQHD(2560x1440)、4K(3840x2160) の解像度のいずれかにて行っています。

3D Mark「Fire Strike」

まずは、Direct X11 の代表的ベンチマークとして、3D Mark 「Fire Strike」 のGraphics Score を見てみましょう。

AMD Radeon VIIの3D Mark「Fire Strike」ベンチ比較AMD Radeon VIIの3D Mark「Fire Strike」ベンチ比較

Radeon RX VEGA 64比で30%もの性能向上が確認でき、全ての解像度でAMD Radeon VIIがGeForce RTX 2080と互角の勝負を繰り広げています。
AMDが発表会でGeForce RTX 2080 相当の性能と主張したのも納得の性能を示しています。また、予想の通り、フルHD時にGeForce RTX 2080とのスコア差が1%であるのに対し、4K時で8%に差が開いています。

3D Mark「Time Spy」

次いで、Direct X12の代表的ベンチマークとして、3D Mark 「Time Spy」 のGraphics Score を見てみましょう。テスト解像度は、WQHDのTime Spyと4KのTime Spy Extremeとなります。

AMD Radeon VIIの3D Mark「Time Spy」ベンチ比較AMD Radeon VIIの3D Mark「Time Spy」ベンチ比較

Fire Strike とはやや様相が異なり、GeForce RTX 2080 とGeForce RTX 2070の間の性能となっています。NVIDIAがTuringコアでDirectX 12への対応強化を行ってきた事も有り、AMD Radeon VIIにはやや不利な結果となってしまっています。
とはいえ、解像度別で見るとWQHD時に比べると4Kではその差が縮まっており、AMD Radeon VIIの持つ1.0TB/sの広帯域が効果を発揮している様に見受けられます。また、Radeon RX VEGA 64比では、Fire Strike と同じく30%の性能向上が確認できます。

FINAL FANTASY XV

続いて、FINAL FANTASY XVベンチマークテストです。テスト環境設定は高品質・フルスクリーンで、テスト解像度はフルHDと4Kになります。

AMD Radeon VIIの「FINAL FANTASY XV」ベンチ比較AMD Radeon VIIの「FINAL FANTASY XV」ベンチ比較

FINAL FANTASY XVはNVIDIA GAMEWORKS対応のためGeForceに最適化されており、AMD Radeon VIIには不利なベンチマークとなっています。結果は、GeForce RTX 2080どころかGeForce RTX 2070 にも及ばないスコアとなっています。
Radeon RX VEGA 64比でも20%程度の向上にとどまっており、同じDirectX 12テストである3D Mark Time Spy と似た傾向となっています。とはいえ、フルHDでもとても快適に動作する7000以上のスコアを出しており、ゲームを遊ぶには十分なパフォーマンスを発揮しています。

ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター

最後に、ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーターベンチマークテストです。テスト環境設定は最高品質・DirectX11・フルスクリーン、テスト解像度はフルHD、WQHDと4Kとなります。

AMD Radeon VIIの「ファイナルファンタジーXIV」ベンチ比較AMD Radeon VIIの「ファイナルファンタジーXIV」ベンチ比較

ファイナルファンタジーXIV もFINAL FANTASY XVと同じくNVIDIA GAMEWORKS対応ですが、フルHDではGeForce RTX 2070 と同程度ながら、解像度が上がるにつれてGeForce RTX 2080 との差が縮まっていっており、
4Kでもスコアは7000以上を出しており、とても快適に動作するラインを越えています。Radeon RX VEGA 64比でもフルHDでは15%程度の向上となっていますが、4Kでは40%もの向上を示しています。

高解像度で真価を発揮するAMD Radeon VII

AMD Radeon VIIは対Radeon RX VEGA 64比で30%前後の性能向上をしており、着実なる進化を遂げている事が確認できます。対GeForce RTX 2080でも、3D Mark Fire Strikeで上回るなど、力強さも見られました。
性能の向上により、フルHDの解像度ではどのゲームにおいても十分なパフォーマンスを発揮するでしょう。

AMD Radeon VIIの持つ1.0TB/sという広帯域と16GBの大容量ビデオメモリの特徴を活かすためには、4Kなどの超高解像度や、最新タイトルの非常に高解像度なテクスチャを多量に使用したタイトルなどでこそ真価を発揮するグラフィックスカードだと言えそうです。
さらに現状において販売されている4K液晶モニタもFreeSyncに対応するコストパフォーマンスの高いモデルがラインナップされており、4Kモニタと合わせてRadeon VIIを使うという選択肢はゲーマーとしての視点からも十分にありだと思います。
リアルタイムレイトレーシングによるRTXコアや、DLSSなどのTensorコアを生かせるタイトルがほぼ無い現状においては、GeForce RTX 2080や2070に対してもAMD Radeon VIIは十分なアドバンテージを持っており、
最新のAAA級タイトルを快適に遊ぶ上でも、ハイエンドグラフィックスカードの有力な選択肢の一つとして十分にお勧めできる製品です。

CPU Core i9-9900K (3.6-5.0GHz/8コア・16スレッド/キャッシュ16MB/TDP95W)
マザーボード MSI Z390-S01 (Z390チップセット)
メインメモリ DDR4-2666 16GB (8GB x2)
ビデオカード Radeon VII リファレンスカード (ビデオメモリ16GB)
Radeon RX VEGA 64リファレンスカード (ビデオメモリ 8GB)
GeForce RTX 2080 VENTUS 8G (ビデオメモリ 8GB)
GeForce RTX 2070 AERO 8G (ビデオメモリ 8GB)
ストレージ WesternDigital WDS500G2X0C (WD Black NVMe 500GB)
電源 Seasonic SSR-850FX (80PLUS Gold、850W)
OS Windows 10 Home 64bit (バージョン:1809)
ビデオドライバ Radeon Software Adrenalin Edition Graphics Driver 19.2.1※Radeon VII用
Radeon Software Adrenalin Edition Graphics Driver 19.2.1
GeForce Game Ready Driver 418.81

検証構成

ライタープロフィール 職人5号

Windows2000登場前からほぼ一貫してPC製造部門に従事。PC組立はもちろん、OSイメージの作成や製造時のトラブルシュートを行う。 その経験を生かしてOSの基本情報や資料室を担当する事が多い。

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