【速報】AMDのハイエンドCPU「Ryzen™ 7」を試してみた

【速報】AMDのハイエンドCPU「Ryzen 7」を試してみた

2017-3-3

こんにちは、職人5号です。今回はAMDから久しぶりにハイエンド向け新型CPU「Ryzen」シリーズがリリースされましたので、早速ベンチマークテストを試してみました。

AMDといえば、古くはPentium3とGHz競争を繰り広げた初代「Athlon」や、Pentium Dに先んじて発売されたDualコアプロセッサ「Athlon64 X2」など、ライバルとの激しい闘いを繰り広げてきましたが、近年ではTDP 220W+水冷クーラー必須という極限条件で5GHz動作を実現した「FX9590」以降はハイエンド向けCPUのリリースは無く、ハイエンド向けCPUが長らく不在となっていました。しかしながら数年前より開発が始まった「Zen」アーキテクチャがようやく日の目を見る段になり、待ちに待ったハイエンド向けCPU「Ryzen」シリーズとして発表されました。
今回は「Ryzen 7」シリーズを入手できましたので、早速試してみました。なお、今回は速報という事で、Ryzen 7の3種類のみでの比較となっています。

※比較参考値として、以前に測定していたCore i7-7700Kを掲載しています。

Ryzen 7 の特徴

Ryzen 7 の主な特徴としては

  • 14nm プロセス
  • DDR4-2400 対応
  • サイマルテイニアスマルチスレッディング(Simultaneous Multithreading)を実装
  • 8コア/16スレッドのCPUとして最安
  • マルチスレッド性能に最適化
  • APUではないので、内蔵GPUは非搭載

などが挙げられます。

サイマルテイニアスマルチスレッディングとは、intelのHyperThreadingと同じようにスレッドを並列実行する機能で、これにより実コア数の倍のスレッド数をこなす事が可能となり、まさにintelのハイエンドCPUとがっぷり四つの勝負が出来るようになりました。

  RYZEN 7
1800X
RYZEN 7
1700X
RYZEN 7
1700
コードネーム Summit Ridge
製造プロセス 14nm
コア/スレッド 8/16 8/16 8/16
動作クロック 3.6GHz 3.4GHz 3.0GHz
Boostクロック 4.0GHz 3.8GHz 3.7GHz
キャッシュ 16MB 16MB 16MB
PCI-Express Gen 3.0
レーン数 24
メモリ 対応メモリ DDR4-2667
TDP 95W 95W 65W
GPU ×
64bitコード AMD64
対応ソケット Socket AM4
対応チップセット AMD 300シリーズ

下の画像は左より、Ryzen 7・Wraith Spire Cooler・Wraith Max Coolerとなります。CPUの中央に「RYZEN」と大きく刻印されている事からも、AMDの自信がうかがえます。Wraith Spire CoolerやWraith Max CoolerはRyzen 7と組み合わさるCPUクーラーで、Wraith Spire Coolerは95Wまで、Wraith Max Coolerは140Wまでとなっています。なお、Wraith Spire Coolerはネジ固定式となっている点が今までとは異なっています。(Wraith Max Cooler は今まで通りにフック固定式)

KabylakeRyzen 7

Ryzen 7

Wraith Spire Cooler

Wraith Spire Cooler

Wraith Max Cooler

Wraith Max Cooler

ベンチマークテストでの比較

社内で販売準備中のゲーミングパソコンLEVEL∞R-Class‘LEVEL-R03X-R7-GTX1080(仮)’を用いてベンチマーク比較を行いました。また、比較参考用として、以前に測定していたCore i7-7700Kを掲載しています。

※測定環境、測定条件は記事の最後に記述していますのでご参照ください

まずは『3D Mark Fire Strike』のPhysics Scoreを見てみましょう。Physics Scoreは、CPUに物理演算をさせてその処理速度を数値化したもので、CGレンダリングや動画のエンコードと同じくCPUのコア数の多さが有利に働くテストです。

3D Mark

順当にモデルナンバーが高いほど、スコアが高くなっています。コア数/スレッド数が同じため、動作クロックが素直に反映されたものと言えます。またCore i7-7700Kとの比較でも、15%-30%ほど高くなっており、Ryzen 7 の演算能力の高さが確認できます。

続いてはAMDより提供された資料よりCINEBENCH R15でのCPUの演算性能を見てみましょう。CINEBENCH R15で実行するレンダリング処理はマルチスレッド化が進んでおり、マルチスレッド性能に優れたCPUほど高いスコアとなります。また、オプション設定を行う事で、CPUのシングルコア当たりの性能を見る事が出来ますので、シングルコア性能に優れたCPU・マルチスレッド性能に優れたCPUを見分けられ、シングル性能重視なのかマルチスレッド性能重視なのかといったCPUの特徴を見る事が出来ます。

CINEBENCH R15 CINEBENCH R15 02

マルチスレッド性能を測るCPUスコアでは Ryzen 7 が一段違う性能を見せており、マルチスレッド性能に最適化されている事がうかがえます。またシングルスレッド性能を測るSingle Coreスコアでも、Ryzen 7 1800XがCore i7-6900Kと同等のスコアを記録しており、シングルコア性能でも底上げされている事がうかがえます。

まとめ

今回は速報という事で直接のライバル比較は行っていませんが、それでもRyzen 7 1700 が同価格帯のCore i7-7700Kを上回る性能を示しているなど、Ryzen 7 の実性能の高さとコストパフォーマンスの高さを確認する事が出来ました。マルチスレッド性能の高さもあり、4KやVRでゲームやコンテンツを楽しむ、または4KやVRのコンテンツを作成するといったハイパワーユーザーにお奨めのCPUだと言えそうです。

次回は直接のライバルたるBroadwell-Eとの比較を行い、より詳しく検証していきたいと思います。

追記

Ryzen 7 1800Xと1700Xに対応するWraith Max Coolerですが、こちらはファンの周りがLEDで光るようになっています。 このWraith Max Coolerは、現状BTOパソコンでしか入手できませんので、AMDファンならぜひ入手しておきたいですね!ファンだけに。 BTOモデルの標準クーラーとなっていますので、サイドパネルを透明なアクリル板に変更することをおすすめいたします。アクリルサイドパネルオプションはLEVEL∞ R-ClassとF-Classだけ! マザーボードの光り方に合わせて、色も変わります。写真を撮影したので参考にどうぞ。
※Ryzen 7 1700に付属するWraith Spire Coolerも、デザインが異なるだけで光り方は同じですよ。

LEDファン

執筆:パソコン工房 職人5号

表2.テスト環境  LEVEL∞R-Class LEVEL-R03X-R7-GTX1080(仮)

CPU Ryzen 7 1800X (3.6-4.0GHz/8コア・16スレッド/キャッシュ16MB/TDP95W)
Ryzen 7 1700X (3.4-3.8GHz/8コア・16スレッド/キャッシュ16MB/TDP95W)
Ryzen 7 1700 (3.0-3.7GHz/8コア・16スレッド/キャッシュ16MB/TDP65W)
マザーボード ASUS X370-PRO (X370チップセット / BIOS :0233 )
メインメモリ DDR4-2400 16GB (4GB x4)
GPU GeForce GTX 1080 FoundersEdition (ビデオメモリ 8GB)
ストレージ Kingstone SSDNow UV400 (960GB SATA3)
電源 Seasonic SS-1000XP(80PLUS Platinum、1000W)
OS Windows 10 Home 64bit (バージョン 1607)
ビデオドライバ GeForce Game Ready Driver Ver378.66

※比較参考モデル LEVEL∞R-Class Lev-R027-i7K-GTX1080(仮)

CPU Core i7-7700K (4.2-4.5GHz/4コア・8スレッド)
マザーボード ASUS PRIME Z270-A (Z270チップセット / BIOS : 0217)
メインメモリ DDR4-2400 64GB (16GB x4)
GPU GeForce GTX 1080 FoundersEdition (ビデオメモリ 8GB)
ストレージ PLEXTOR  PX-256M8PeG (256GB M.2 NVMe)
電源 Seasonic SS-1000XP(80PLUS Platinum、1000W)
OS Windows 10 Home 64bit (Build 1607)
ビデオドライバ GeForce Game Ready Driver Ver376.33