第7世代 Intel® Core™ プロセッサー・ファミリー(Kaby Lake)を速攻でレビューしてみた

第7世代 Intel® Core™ プロセッサー・ファミリー(Kaby Lake)を試してみた

2017-1-6

こんにちは、職人5号です。今回は第7世代CoreシリーズKaby Lakeの最上位モデルCore i7-7700Kが手元に届きましたので、早速ベンチマークテストでいろいろと試してみました。

Kaby LakeはSkylakeの後継モデルとして新年早々に登場した最新CPUとなります。今までインテルはプロセスルールの更新(性能強化)と同一プロセスルールでの機能強化というTick-Tock戦略を交互に繰り返しながらCPUを進化させてきましたが、今回登場するKaby LakeはTick-TockからTick-Tock-Tock+へと変更された初のCPUであり、Skylakeからの機能強化版CPUとなります。

Kaby Lake の主な特徴

  • DDR4-2400をサポート
  • Skylakeと同じ14nmプロセス
  • マザーボードはSkylakeと相互互換性あり
  • Optaneテクノロジーのサポート
  • Pentiumブランドが2コア/4スレッドに強化

Kaby Lakeの主な特徴として上記が挙げられます。
Kaby LakeとSkylakeのCore i7と比べて見ると、動作クロックの向上、DDR4-2400のサポート、Intel HD Graphicsの更新などの違いがありますが、HaswellからSkylakeへの進化で見られたような大幅な変更は無く、総じて細かな部分で最適化を施したSkylakeの改良版といったCPUとなっています。もしかすると、Kaby Lakeでの一番大きな違いはPentiumブランドが再びHyper-Threadingに対応した事かも知れません。詳しくは実験工房資料室の「Kaby Lakeとは」を参照してください。

  Core i7-
7700K
Core i7-
7700
Core i7-
6700K
Core i7-
6700
Core i7-
6850K
Core i7-
6800K
コードネーム Kaby Lake Skylake Broadwell-E
製造プロセス 14nm
コア/スレッド 4/8 4/8 4/8 4/8 6/12 6/12
動作クロック 4.2GHz 3.6GHz 4.0GHz 3.4GHz 3.6GHz 3.4GHz
TurboBoost 4.5GHz 4.2GHz 4.2GHz 4.0GHz 3.8GHz 3.6GHz
キャッシュ 8MB 8MB 8MB 8MB 15MB 15MB
PCI-Express Gen 3.0
レーン数 16 40 28
メモリ 対応メモリ DDR4-2400 / DDR3L-1600 DDR4-2133 / DDR3L-1600 DDR4-2400
TDP 91W 65W 91W 65W 140W
GPU Intel HD Graphics630 Intel HD Graphics530 ×
64bitコード intel64
SIMD命令 SSE SSE4.1/4.2
AVX AVX2.0
仮想化 VT-x
VT-d
セキュリティ機能 XD ビット
TXT × × ×
AES
vPRO × × ×
対応ソケット LGA1151 LGA2011-v3
対応チップセット Intel 200/100 Series Intel X99 Series

SkylakeとはCPUとチップセットの相互で互換性が保持されているます、そのためマザーボードのBIOSが対応していれば、Intel200シリーズのマザーボードにSkylakeを搭載する、あるいはIntel100シリーズのマザーボードにKaby Lakeを搭載する、といった事が可能となっています。Skylakeからのアップグレード用としてどの程度の違いが有るのかを中心に、Kaby Lakeの性能を見ていきたいと思います。

それでは、早速ベンチマーク比較に移っていきましょう。

ベンチマークテストでの比較

社内で販売準備中のゲーミングパソコン「LEVEL∞ R-Class」「LEVEL ∞R-Class Lev-R027-i7K-GTX1080(仮)」を用いてベンチマーク比較を行いました。比較対象としてCPUをSkylakeのCore i7-6700Kに変更したパターン、および エンスージアスト向けモデルであるBroadwell-Eを搭載したテスト機「LEVEL ∞F-Class Lev-F009-i7K-GTX1080(仮)」の3モデルを用いて各種ベンチマークテストを行ってみました。

※測定環境、測定条件は記事の最後に記述していますのでご参照ください

CPU性能比較

① PCMark 8

まずはPCのパフォーマンスを総合的に判断できる PCMark 8 から見ていきましょう。テストプログラムは Home と Creativeの2パターンとなっています。

※テスト用のビデオカードはGeForce GTX 1080 にて行っています

PCMark 8

Core i7-7700KとCore i7-6700Kを比べると、順当に動作クロックの上昇分だけスコアが増加しています。一方、Core i7-7700KとCore i7-6850Kを比べると、Core i7-7700Kのスコアがコア数の多いCore i7-6850Kを 上回っています。PCMark 8ではコア数よりもクロック数の方が優位になるようです。

② 3DMark

次いで、CPUの演算性能を見ることができる『3DMark Fire Strike』のPhysics Scoreを見てみましょう。 Physics Scoreは、CPUに物理演算をさせてその処理速度を数値化したもので、CGレンダリングや動画のエンコードと同じくCPUのコア数の多さが有利に働くテストです。

② 3DMark

Core i7-7700KとCore i7-6700Kを比べると、PCMark 8と同様に動作クロックの上昇分だけスコアが増加しています。一方、Core i7-7700KとCore i7-6850Kを比べると、PCMark 8とは異なりCore i7-6850Kのスコアが上回っています。純粋に演算能力を比較する場合には、コア数の多さが優位に働くようです。 どちらのベンチマークテストでも、Core i7-7700KがCore i7-6700Kに対して順当に性能を上げている事が確認できました。

メモリ比較

続いてDDR4-2133からDDR4-2400にメモリを交換すると、どれだけのメリットが有るのかを確認するため、Core i7-7700Kの環境でメモリのみを変更して試してみました。純粋にメモリ帯域だけの測定と、PCMark 8および3DMarkでのベンチマーク測定を行いました。

① メモリ帯域の測定

① メモリ帯域の測定

メモリ帯域だけを確認すると、DDR4-2400はDDR4-2133に対しておよそ10%高速化されている事が確認できました。

② PCMark 8 および3DMark

② PCMark 8 ② 3DMark

PCMark 8 ・3DMarkのベンチマークテストでは、共にわずかにDDR4-2400の方が速いといった程度の違いしかなく、メモリ帯域の違いがほとんど影響しない事が確認できました。
一般的なアプリケーションソフトを使用する分には、メモリクロックの違いは余り気にする必要な無いようです。科学演算処理などの様な、もっとメモリ帯域がシビアに影響する使用方法でないと、DDR4-2400へのメリットが感じられないのかも知れません。

内蔵GPU(Intel HD Graphics)比較

Kaby Lake世代のGPUコア(Intel HD Graphics 600シリーズ)には以下のような特徴が有り、性能強化というより、機能強化という側面が強く表れています。

  • HEVC 10bit(HW) Decode/Encodeに対応
  • VP9 10bit(HW) Decodeに対応
  • Premium UHD/4K Contentに対応
  • 5K(5120x2880)出力をサポート
  • HDR(High Dynamic Range)に対応
  • HDMI2.0aをサポート

では、実際のところIntel HD Graphics 600シリーズでは性能強化がなされているのかどうかを確認するため、Core i7-7700KとCore i7-6700Kを用いて、内蔵GPUの性能比較を行ってみました。

① 3D性能比較

まずは3DMarkのSky Diver とFire Strike を用いて3D性能を比較しました。

① 3D性能比較

3D性能を見てみると、僅かながらCore i7-7700KがCore i7-6700Kを上回っていますが、ほぼ同等となっています。3D性能は同等であると見てよさそうです。

② 2D性能比較

次いでPCMark 8で2D性能を比較してみました。

② 2D性能比較

PCMark 8の結果ではHome・CreativeともCore i7-7700KがCore i7-6700Kを3%強上回っていますが、これはGeForce GTX 1080 を搭載した構成でも同じ比率である事を考慮すると、2D性能もほぼ同等と見て良さそうです。
今回試した結果からは、Intel HD Graphics 600シリーズとIntel HD Graphics 500シリーズの性能は同等であると思われます。

まとめ

Kaby LakeとSkylakeは同じ14nmプロセスで製造されている上、チップセット(すなわちマザーボード)の互換性も保たれている事も有って、大幅な仕様変更や性能強化といった変化は無く、各部の改良による動作クロックの向上と機能強化が施されたCPUである事が確認できました。その意味ではSkylakeの進化版といった立ち位置にあるCPUと言えるでしょう。マザーボードのBIOSがKaby Lakeに対応していれば、SkylakeからCPUを載せ替える事も可能なため、マザーボードを交換する事無しにSkylakeからCPUを交換できる事は大きなメリットと言えるかも知れません。
PCMark 8の結果では、動作クロックの高さにより上位グレードであるBroadwell-Eよりも優れた性能を示していました。コア数が動作クロック以上に必要になるような場面を除けば、Kaby Lakeは日常的な利用においては最適なCPUとなるのではないでしょうか。

執筆:パソコン工房 職人5号

表2.テスト環境 LEVEL ∞Rシリーズ LEVEL ∞R-Class Lev-R027-i7K-GTX1080(仮)

CPU Core i7-7700K
(4.2-4.5GHz/4コア・8スレッド)
Core i7-6700K
(4.0-4.2GHz/4コア・8スレッド)
マザーボード ASUS PRIME Z270-A (Z270チップセット / BIOS : 0217)
メインメモリ DDR4-2400 64GB (16GB x4) / DDR4-2400 64GB(16GB x4)
GPU GeForce GTX 1080 FoundersEdition (ビデオメモリ 8GB)
Intel HD Graphics 630 Intel HD Graphics 530
ストレージ PLEXTOR  PX-256M8PeG (256GB M.2 NVMe)
電源 Seasonic SS-1000XP(80PLUS Platinum、1000W)
OS Windows 10 Home 64bit (Build 1607)
ビデオドライバ GeForce Game Ready Driver Ver376.33
Intel Graphics Driver Version 21.20.16.4504

※比較参考モデル LEVEL ∞F-Class Lev-F009-i7K-GTX1080(仮)

CPU Core i7-6850K (3.6-3.8GHz/6コア・12スレッド)
マザーボード ASUS X99-E (X99チップセット / BIOS :1401 )
メインメモリ DDR4-2400 64GB (16GB x4)
GPU GeForce GTX 1080 FoundersEdition (ビデオメモリ 8GB)
ストレージ PLEXTOR  PX-256M8PeG (256GB M.2 NVMe)
電源 Seasonic SS-1000XP(80PLUS Platinum、1000W)
OS Windows 10 Home 64bit (Build 1607)
ビデオドライバ GeForce Game Ready Driver Ver376.33