Blenderユーザーイベント「Blend × JP」に参加してきました!

Blenderの可能性を感じてきた

2016-8-25

こんにちは。職人3号です。
8/20(土)に行われた、Blender(ブレンダー)の日本ユーザーグループ「BLUG.jp」(ブルグジェーピー)主催によるユーザーイベント『Blend × JP』に参加してきました!
今回のイベントは職人たちの間でも注目度が高く、親方はもちろん、職人1号も参加しました。

Blend × JPイベントページ
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当日展示させていただいた「Blender」検証パソコンは「iiyama LEVEL∞ Lev-G009-i7BK-VN」をベースにカスタマイズしたデモ専用機です。

※展示しましたパソコンの構成は記事末尾に記載しております。

Blenderとは

まずは、『Blender』とは何ぞや、というところですが、Blenderは3D CGを作成するためのソフトウェアのひとつです。オープンソースで開発がすすめられているフリーソフトウェアですが、とても高機能で商用の3D編集ソフトウェアに並ぶといっても過言ではないほどの完成度になってきています。現在でも活発に開発が続けられており、8月20日時点での最新バージョンは2.77、開発版では2.78となっています。3Dのモデリングだけではなく、CGアニメーション作成や動画のトラッキングも可能、さらには独自のゲームエンジンも搭載しBlenderをゲーム実行環境としても使用が可能になっています。またWindows、Linux、Mac OS Xなどの様々なOS環境に対応しています。もちろんUIは日本語にも対応していますので、有志の方が作成しているHow to動画やテキストを見ながらすぐにBlenderを活用することができます。

Blender公式ウェブサイト

Blenderの猛者集う「Blend × JP」

Blenderを手足のように使いこなす猛者たちが集うイベント、もとい、勉強会として『Blend × JP』が開催されました。 『Blend × JP』の会場となったのは、恵比寿ガーデンプレイスタワー内の「株式会社クラウドワークス」さま社内にあるイベントスペースです。イベント当日朝はバケツをひっくり返したような強い雨が降っており、ずぶ濡れになりながらも持ち込む資料が濡れないように必死でした。

準備中の写真ですが、とてもオシャレなイベントスペースでした。


今回のイベントのポスターです。写真のようなものから、イラストのようなものまでありますが、なんとすべてBlenderで描かれたCGだそうです。


ポスターが貼り付けられました。登壇者や主催者の方々の作品だそうです。

イベントは予約制で、ほぼキャンセルなし。当日主催者や登壇者を含め100名以上の方が参加されておりました。
登壇者の方の発表内容については、版権に関わる内容が多数含まれていますので、写真や詳細については割愛させていただきます。非常にレベルの高いお話が多数出ており、アニメ作成のための「構成」の検討に使われたり、輪郭線と陰影の情報を利用しマンガの背景やキャラクターの衣服に活用されたり、映画やプロモーションビデオに使われたりと、実際の「プロ」の現場においてのBlenderの活用事例が様々に紹介され、とても勉強になりました。「Blender」はプロレベルでも使える優秀なソフトウェアであるということを再認識しました。

当日のイベントの様子や登壇者のコメントはこちらにまとめられております。

Blenderミートアップイベント Blend × JP (#blendxjp)まとめページ

また、今回会場にてアンケートを取らせていただきました。データを集計し、併用しているソフトウェアやワークフローを含め今後の検証方法や内容にも反映していこうと思っています。ご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました!

Blenderのレンダリングを検証

今回、イベントの参加にあたって、「Blender」のレンダリングに最適なマシンを検証いたしました。こちらの内容と同じものをイベントのLT発表時に発表させていただきました。

Blenderでは、Cycles Renderという、通常のCPUによるレンダリングだけでなく、CUDAやOpen CLを使用したGPUレンダリングも実行することができます。
まずはいつも通り、Blenderの推奨環境やヘルプドキュメントを参考に仮説をたてました。

Blender Requirements
Blender Reference Manual

・ CPUレンダリングはCPUコア数が多いほうが良い
・ GPUレンダリングはCUDAコア(CU)が多いほうが早い
・ VRAMは多いほうが良い(グラフィックカード専用メモリ)
・ GPUレンダリングは複数枚のほうが早い
・ OSはWindowsよりLinuxのほうがよい

仮説に基づき、検証項目は下記としました。

① CPU、メモリ、ストレージによるレンダリング速度の違い
② グラフィックカードによるレンダリング速度の違い
③ OSによる違い

ただし、③のOSについては、LinuxにおいてのPascalドライバが上手く適用できず、いったん、Windowsのみの検証としました。
検証にあたって使用したデータは、Blender公式で入手できるサンプルデータの「BMW Benchmark」です。

Blender Cycles tests ; BMW Benchmark

※検証環境は記事末尾に記載しております。

Blender 2.77ではGeForce GTX 970が最速

それでは結果をみていきます。

まずはCPUの検証結果は、仮説のとおりコア数やクロック速度の速いほうが高速になりました。
グラフには記載しておりませんが、メモリやストレージの変更による差はみられませんでした。 Quadro K2200は結果が振るわず、同価格帯のGeForceと比べてもかなり遅くなります。CUDAコアの数がほぼ同じGeForce GTX 750 Tiとほぼ同じ結果となりました。

レンダリング最速だったのは、最新の最上位グラフィックカードGeForce GTX 1080だけでなくGTX 980TiやGTX980をも抜き、GeForce GTX 970という結果となりました。また、GPUの枚数を増やせば時間はほぼ半減しました。

ここには掲載できておりませんが、OpenCLはあまり速度が出ませんでした。また、ビデオメモリの容量の違いによる差も見られませんでした。

今後も「Blender」がんばります!

検証の結果の結論としては、最適・最速は「GeForce GTX 970」(真ん中よりちょい上クラスのカードです)となりました。 しかし、2016年8月20日現在こちらのグラフィックカードは、すでに世代交代で新規に販売できるものではありません。無念…。

そして、なぜGeForce GTX 970が最速になったのかという点については原因不明です。コアの世代が異なるGTX 1080が現時点では遅くなるのは最適化や対応が進んでいないということである程度推測はできますが、GTX 970と同アーキテクチャ世代であるGTX 980や、GTX 980 Tiを抜いてGTX 970が最速というのは解せません。
また、今回のBMW Benchmarkにおいては、VRAMの消費量が2GB程度と少なく、3.5GB問題によるGTX 970の速度低下は確認できませんでした。VRAMを大量に消費するより負荷の高いデータがあれば、もしかすると、この結果が覆る可能性もあります。
まだまだ検証すべき点は残されています。とはいえ、ひとまず結果は結果ですのでまとめます。

Blender 2.77においてのレンダリング結果まとめ

レンダリング性能に最も影響するのは、
① CUDAに対応している・・・OpenCLは今後の最適化次第
② グラフィックカードのチップがレンダリングエンジンに最適化されているかどうか
③ CUDA Core数(コアの規模)が多い
④ CPUコア数とクロックが高いほうが速い

レンダリング性能に影響しないもの
① VRAMの容量は必要量があればよい
② メモリ、ストレージも必要量あればよい

そしてイベントの最中に参加者の方から、「Blender 2.78 Testbuild1」に関する情報が入りました。
なんと、Cycles Renderの修正項目に、Pascal(GTX 1080など)への対応と、GeForce GTX 980、980Tiのパフォーマンスの改善という項目があるではありませんか…。

Blender 2.78: Cycles

これは、検証のやり直しの予感がします!

引き続き、検証を行っていきたいと思います。

執筆:パソコン工房 職人3号

検証機構成

モデル iiyama LEVEL∞ Lev-G009-i7BK-VN
Blender Renderer test

※検証機のため実際に製品化する場合と異なります。
iiyama LEVEL∞ Lev-R017-i7-VNR
Blender Renderer test

※検証機のため実際に製品化する場合と異なります。
OS Windows 10 Home 64ビット [DSP版]
CPU インテル® Core i7-6850K プロセッサー
(3.6-4.0GHz/6コア/12スレッド/15MBキャッシュ/TDP140W)
インテル® Core i7-6700K プロセッサー
(4.0-4.2GHz/4コア/8スレッド/8MBキャッシュ/TDP91W)
CPUクーラー COOLER MASTER Hyper 212 EVO[サイドフロー] 標準(リテール)クラスCPUクーラー [トップフロー]
メインメモリ DDR4-2133 4GB×4
(クアッドチャンネル/計16GB)
DDR4-2133 8GB×2
(デュアルチャンネル/計16GB)
SSD 500GB 2.5インチ Serial-ATA SSD
グラフィックカード NVIDIA® GeForce® GTX 1080 8GB GDDR5X
NVIDIA® GeForce® GTX 1060 6GB GDDR5
NVIDIA® GeForce® GTX 970 4GB GDDR5
光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ
チップセット インテル® X99 Express チップセット インテル® Z170 Express チップセット
ケース フルタワーExtended ATXケース ミドルタワーATXケース
電源 700W 80PLUS BRONZE認証 ATX電源

イベント展示機構成

モデル iiyama LEVEL∞ Lev-G009-i7BK-VN
BlendxJP Demo

※検証機のため実際に製品化する場合と異なります。
iiyama LEVEL∞ Lev-G009-i7BK-RN
BlendxJP Demo

※検証機のため実際に製品化する場合と異なります。
iiyama LEVEL∞ Lev-G009-i7BK-TM
BlendxJP Demo

※検証機のため実際に製品化する場合と異なります。
OS Windows 10 Home 64ビット [DSP版]
CPU インテル® Core i7-6850K プロセッサー
(3.6-3.8GHz/6コア/12スレッド/15MBキャッシュ/TDP140W)
CPUクーラー COOLER MASTER Hyper 212 EVO[サイドフロー]
メインメモリ DDR4-2133 4GB×4
(クアッドチャンネル/計16GB)
SSD 500GB 2.5インチ Serial-ATA SSD
グラフィックカード NVIDIA® GeForce® GTX 1080 8GB GDDR5X ×2 NVIDIA® GeForce® GTX 1060 6GB GDDR5 ×2 NVIDIA® GeForce® GTX 970 4GB GDDR5 ×2
光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ
チップセット インテル® X99 Express チップセット
ケース フルタワーExtended ATXケース
電源 700W 80PLUS BRONZE認証 ATX電源