Adobe Photoshopで2Dだけでなく、3Dプリントデータを快適に作れるPCの仕様を探る【前編】

3Dプリンタでオリジナルグッズを作りたい!その2!

2016-4-25

こんにちは。職人3号です。
前回に続いて今回も3Dプリントネタですが、なんとあのAdobe Photoshopでも3Dプリントデータが作れちゃうということで、Impress PC watchとのコラボ企画【メーカーさん、こんなPC作ってください!】の、「3Dプリンタでオリジナルスマホスタンドを作ろう」が続く事になりました。

Adobe Photoshopは、写真の編集からイラストの作成まで画像にかかわるありとあらゆる作業ができる、もはや説明不要なくらい有名で超便利な画像編集ソフトウェアですが、 なんと「3D編集機能」と「3Dプリンタへの出力機能」が最新版の「Photoshop CC 2015」に搭載されています。公式ページのトレーニングにもしっかりと記載されています。

Adobe Photoshop CCラーニングとサポート:3Dモデルの作成とプリント
https://helpx.adobe.com/jp/photoshop/how-to/prepare-print-3d.html?set=photoshop--whats-new--2014-10

このAdobe Photoshop CC 2015を使って画像編集(以降、便宜上2Dと記載します)に加えて、3D編集まで快適にこなせるパソコンのスペックを探ることが今回の目的となります。

【特別版】3Dプリンタでオリジナルスマホスタンドを作ろう

なぜ3Dプリントなのか、前回検証を行ったFusion360についてなどはこちらの記事をご参照ください。

Adobe Photoshopの公式ページはこちらです。

画像編集において非常に高度な機能を多数搭載する「Photoshop」と、RAW現像向けパソコンの検証を行った際に使用したソフトウェア「Lightroom」とがセットで使えるフォトグラフィープランであれば月額\980です。

Adobe Photoshop CC 2015に必要なハードウェアを調べる

それではさっそく、Adobe Photoshopの最新バージョンであるPhotoshop CC 2015の必要ハードウェアスペックを調べていきます。

公式ページの動作環境

公式の情報をまとめると下記のようになります。

Photoshop CC 2015 の必要システム構成
Windows
・Intel® Core 2 または AMD Athlon® 64 プロセッサー(2 GHz 以上のプロセッサー)
・Microsoft Windows 7 Service Pack 1 日本語版、Windows 8.1 または Windows 10 日本語版
・2 GB 以上の RAM(8 GB 以上を推奨)
・32-bit 版インストール用 2 GB の空き容量のあるハードディスク、64-bit 版インストール用 2.1 GB の空き容量のあるハードディスク。ただし、インストール時追加の空き容量が必要(取り外し可能なフラッシュメモリを利用したストレージデバイス上にはインストール不可)
・1024x768 以上の画像解像度をサポートしているディスプレイ(1280x800 以上を推奨)および 16-bit カラー、512 MB 以上の VRAM(1 GB 以上を推奨)*
・OpenGL 2.0 対応のシステム
* 512 MB未満では、3D 機能は無効になります。

やはり、現行の最新スペックにおいてはほぼ問題になるような指定はありません。
中でも3Dに関わってきそうな注目すべき点は、VRAM(ビデオメモリ)1GB以上を推奨、OpenGL 2.0対応というところです。前回検証をおこなったFusion360の時と同様、ビデオメモリの容量の指定があるため、ビデオメモリを大きく消費するような方法をとっているのかもしれません。今回もグラフィックカードのビデオメモリの消費状況も調べてみることになりそうです。

Fusion360と異なる点は、3Dの描画APIとしてDirectXではなく、OpenGLを使用していそうだ、というところです。OpenGLは高機能なCADや、動画編集ソフトにおいて使用されることが多く、プロ向けのグラフィックカードQuadroがこのOpenGLへの最適化をされているハードウェアとなります。今回はGeForceだけでなくQuadroの動作も確認してみる必要がありそうです。

また、このスペックシートから読み取ることはできませんが、Photoshopはメインメモリを非常に多く消費するソフトウェアとしても有名です。製作物が数十メートルにもなる建物の壁面に貼り付けるようなグラフィックを作成する場合や、多くのレイヤーを使用するような作画をする場合、このメモリを際限なく消費していき、果てはディスクキャッシュまで使い切っていきますので、こうしたメモリやキャッシュまわりも確認項目として検証を行ってみます。

Adobe Photoshop CC 2015に最適なパソコンを考える

今回は、前回に引き続き株式会社カブク 横井氏に加え、株式会社グラスプ アット ジ エアー 南方氏と、岩島氏にAdobe Photoshopを用いた3Dプリントデータ作成についてお話をお伺いしました。

メーカーさん、こんなPC作ってください!【特別版】3Dプリンタでオリジナルスマホスタンドを作ろう


~第4回 「Photoshop」の3D機能を快適に使うためのPC仕様を探る

具体的な使い方として、
① Adobe IllustratorやPhotoshopを用いて作成した2Dデータを3Dデータに変換(押出し)し、あらかじめ用意しておいたスマホケースやスマホスタンドなどのひな形に結合する方法
② 紙などに手書きしたイラストデータをPhotoshopに取込み輪郭を抽出、これを3Dデータに変換し、①と同様、あらかじめ用意したひな形に結合する方法
を紹介していただきました。

早速試してみました!とても簡単です!


こんな平面のデータが・・・

こうなります!


Fusion360などのCADソフトとは違い、Photoshopが凄いのは、Illustratorなどに戻って3Dデータの元となったデータまで戻って編集して、を簡単にできるというところだそうです。普段からIllustratorやPhotoshopを使い慣れている人であれば、この分かりやすさ、操作のしやすさは3Dデータの作成にあたって非常に取りつきやすいメリットとなるようです。CADソフトウェアの使い方を1から覚えるという必要が無いのもメリットとなるとのことでした。

最終的に作成した3Dデータは、Photoshopから直接3Dプリンタに出力することができ、また、Rinkakuなどに投稿し業務用3Dプリンタに製造委託できる形式のデータの出力も行うことができるそうです。

こうした使い方を想定したうえで、必要になるスペックについてお聞きした結果、検証マシンの方向性と、検証項目をまとめると下記のようになりました。
・CPUはCore i5~を搭載、ただしレンダリングや、2D機能についての用途も考慮しCore i7も視野に入れる
・メモリはめいっぱい搭載、8GBにてスワッピングが発生のため、16GB以上、X99環境に16GBメモリモジュールも視野に入れる
・ストレージはいつものとおり、SSDとHDDの比較、さらに今回はキャッシュ用にSSDを別途用意しない場合と比較
・グラフィックカードは、オンボード、GeForce、Quadroを用いた比較、ビデオメモリについても前回(https://www.pc-koubou.jp/blog/3dprinter_f360.php)同様状況を監視

今回はメモリとCPUを中心に最適な構成を探るため、試験機を用意して試してみることにします。メモリの搭載容量を重視しX99環境をベースに用意しました。

Adobe Photoshop CC 2015向け検証パソコン「SENSE∞ Sen-Q009-i7EK-NX-PSCC3D-TEST」が完成!

様々な状況の検証を行うため、臨機応変に検証状況を作成できる「汎用検証マシン」を用意しました。


SENSE∞ Sen-Q009-i7EK-NX-PSCC3D-TEST
項目 構成 ポイント
CPU Core i7-5820K 動作クロックの変更やコア数の変更が可能な「K」を搭載
スペックを変更しi5やi3の環境を仮想的に用意します。
コア数 6コア/12スレッド
動作クロック 3.3-3.6GHz
CPUクーラー 標準クーラー  
メインメモリ DDR4-2133 8GB(4GB×4) クアッドチャンネル クアッドチャンネル最低限の16GBを用意し、メモリの容量を増減させます。
マザーボード インテル X99チップセット メモリを最大8枚搭載可能なマザーボードを選定しました。
ストレージ 256GB SATA SSD 比較用として1TBのHDDを用意します
VGA NVIDIA GeForce GTX 750 Ti 各種グラフィックカードを乗せ換え検証をおこないます
光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ 他、必要最低限の組み合わせを用意しました
ケース ミドルタワー
電源 500W
OS Windows 10 Home 64bit
キーボード 標準付属キーボード
マウス 標準付属マウス
モニタ オプション
セカンドモニタ オプション

また、Fusion 360検証に用いた検証機も併せて用意しました。

SENSE∞ Sen-R017-i7-HFR-F3D-TEST
項目 構成 ポイント
CPU Core i7-6700K 動作クロックの変更やコア数の変更が可能な「K」を搭載
スペックを変更しi5やi3の環境を仮想的に用意します。
コア数 4コア/8スレッド
動作クロック 4.0-4.2GHz
CPUクーラー 標準クーラー  
メインメモリ DDR4-2133 8GB(4GB×2) デュアルチャンネル 一旦、デュアルチャンネル最低限の8GBを用意し、メモリの容量を増減させます。
マザーボード インテル Z170チップセット CPUやメモリの動作クロックの変更が可能な「Z170」とします。
ストレージ 256GB SATA SSD 比較用として1TBのHDDを用意します
VGA Intel HD Graphics 530 各種グラフィックカードを乗せ換え検証をおこないます
光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ 他、必要最低限の組み合わせを用意しました
ケース ミドルタワー
電源 500W
OS Windows 10 Home 64bit
キーボード 標準付属キーボード
マウス 標準付属マウス
モニタ オプション
セカンドモニタ オプション

後編にて各検証項目にあわせ上記の検証構成を適切変更しつつ、最適構成を求めるため、検証を行っていきます。

執筆:パソコン工房 職人3号