「PCI Express M.2」新インターフェイスの実力は?

「PCI Express M.2」新インターフェイスとは?

2014-5-11

新チップセット「Intel Z97/H97」にて正式サポートされた「PCI Express M.2」(以下M.2)は、いったいどのような規格なのでしょうか?いうなれば、無線LANモジュールなどでよく用いられている「miniPCI Express」の次世代規格となり、NGFF(Next Generation Form Factor)と呼ばれていたこともある規格です。
サポートするインターフェイスは多岐に渡り、PCI-ExpressだけでなくSATAやUSB2.0/3.0、DisplayPortなどが策定されています。対応するインターフェイスが多い反面、カードの種類・設計が細かく分かれているのが特徴です。

基板の幅:12/16/22/30 mm
基板の長さ:16/26/30/38/42/60/80/110 mm

M.2スロット一例

01

インターフェイスの違いを容易に判別するため、M.2では「Key ID」と呼ばれる識別子の割り当てを行っています。

主な識別子

Key ID インターフェース
A PCIe x2 / USB / I2C / DP x4
B PCIe x2 / SATA / USB / PCM / UIM / SSIC / UART
E PCIe x2 / USB / I2C / SDIO / UART / PCM
M PCIe x4 / SATA

スロット側とカード側双方でこのKey IDが一致していないと使用することは出来ません。
スロット側/カード側双方に対応するインターフェイス(Key ID)とカード長が明示されていますので対応したものを選定する必要があります。

マザーボードに搭載されたM.2スロット

Intel Z97/H97チップセット搭載マザーボードに実装されるM.2スロットは、主な用途としてSSDを接続するインターフェイスとしての利用が1番多くなると予想されます。
現在主流であるSATA3が持つ、理論上の転送速度となる上限6Gbps(600MB/s)にSSDの性能が追いついてきており、これ以上性能の高い製品を出してもそのパフォーマンスが頭打ちになってしまう可能性があります。
M.2スロットの場合、SATAモードでは転送速度の上限は変わりませんが、PCI-Expressモードであれば×4モードまで対応します。そのため理論上は最大40Gbps(4,000MB/s)まで接続デバイスのデータ転送速度を許容出来るようになり、当面は頭打ちの心配もなくなります。
ただしPCI-Express接続の場合、仕組み的にはRAIDカードやATAカードを介して接続する事と同じとなるため、デバイスによっては「ブートに対応しない」などの制約が生じる場合もありますので、商品選定の際には注意が必要といえます。
(そのため、カード側はBoot ROMが実装されたり、PCI-Expressモードの他SATAモードにも対応するよう設計されることが多くなりそうです)

M.2のパフォーマンスをチェック

それでは、新しいインターフェイス「M.2」の実力を実際に見てみたいと思います。

テスト環境

MB:ASUS製Z97マザーボード(Z97-A)
メモリ:DDR3-1866 8GB×4(Total32GB)
OS:Windows7 Professional SP1 64bit
SSD:A-DATA ASP900S7-128GM-B
M.2 SSD:Plextor PX-AG512M6e

Windows起動時間

  Plextor PX-AG512M6e A-DATA ASP900S7-128GM-B
スペック リード770MB/s・ライト625MB/s リード550MB/s・ライト520MB/s
1 23.4 25.2
2 23.4 25.4
3 23.9 26.3
4 23.8 26.2
5 23.6 25.2
平均 23.6 25.7

(電源ボタン押下後Windowsデスクトップ表示までの時間を計測)
※各5回計測し、平均を取っています
※CPU/マザーボード/SSDはメーカーより提供いただいたサンプル品を用いています


理論スペックほどのスピードアップとはなりませんが、10%近い起動スピードアップとなりました。M.2 SSDについてはブートアップのためのBootBiosの表示もあるため(およそ3秒程度)、純粋にOSの起動時間だけ見ると10%以上の速度向上効果は得られていると言えます。リードスピードが早くなることで、OSの起動だけでなく、Officeの起動やシートの展開、オンラインゲームの起動やゲーム内のキャラクター移動、MAPの切替スピードなども向上することが期待出来ます。

Crystal Disk Mark

A-DATA ASP900S7-128GM-B(Default設定)

A-DATA ASP900S7-128GM-B(Default設定)

A-DATA ASP900S7-128GM-B(0Fill設定)

A-DATA ASP900S7-128GM-B(0Fill設定)

(実使用環境に近いDefault設定ではスコア伸びていませんが、搭載されているSSDコントローラーの性質によるもの)


Plextor PX-AG512M6e(Default設定))

Plextor PX-AG512M6e(Default設定)


カタログスペック通りの性能差といえるのではないでしょうか。
PX-AG512M6eについてはReadスピードがS-ATA3の理論上限である600MB/s(6Gb/s)を上回る700MB/s(7Gb/s)超えとなり、M.2スロットの本領発揮と言えるのではないでしょうか。

「M.2」は【買い!】

SATA 6Gb/sを超えるポテンシャルを持つ「M.2」スロット、マザーボードリリースのタイミングでは対応製品があまり多くないのが残念なところなのですが、今後様々なメーカーより製品がリリースされることでM.2スロットの持つポテンシャルが更に活きてくるのではないでしょうか。
高速なデータ転送を実現した最新インターフェイス「M.2」搭載のZ97/H97チップセットマザーボードで快速を手に入れましょう

執筆:パソコン実験工房 職人2号