MAXWELL世代待望のGeForce GTX 960を速攻レビュー

Maxwell世代待望のGeForce GTX 960を速攻レビュー

2015-1-22

こんにちは、職人3号です。
開発コードネーム「GM206」で知られる最新のグラフィックカード「GeForce GTX 960」が2015年1月22日に解禁となりました。 お手頃な価格で大人気の「GeForce GTX 760」の後継たりえる存在になれるのか?「GeForce GTX 960」はゲームを快適にプレイするために最適なグラフィックカードとなるのか? 例によって最速でレビューを行いたいと思います。

GeForce GTX 960をスペックから探る

「GeForce GTX 960」は、圧倒的なパフォーマンスを誇る「GeForce GTX 970」や「GeForce GTX 980」と同じ最新世代の「Maxwell」アーキテクチャを採用しており、 上位機種のもつ機能はそのままに、より低価格になって扱いやすいグラフィックカードとなっています。性能は当然ながら、前世代の機種となる「GeForce GTX 760」より速いと予想されますし、 何と言っても、Maxwell世代の最大の特徴である、低消費電力も期待することができます。

「GeForce GTX 960」は「Maxwell」世代のもつ最新テクノロジーである「Dynamic Super Resolution」や「Multi-Frame Sampling Anti-Aliasing」、「Voxel Global Illumination」(VXGI) をサポートしています。オンボードで搭載されるハードウェアエンコーダーもH.265がサポートされ、Shadow Playによる録画も4Kまでの解像度に対応しています。 もちろん、「Direct X12」のサポートや「HDMI2.0」出力のサポートといった機能を持ち、今後発売されるゲームやモニタにも十分に対応する事ができます。


※写真はNVIDIAによるリファレンスデザインのものとなります。実際には各社オリジナルファンが搭載され、映像出力端子も異なる場合があります。

ここで簡単にスペック比較をしてみます。一番左が今回発売の「GeForce GTX 960」です。

表1:GeForce GTX 960比較スペック一覧
GPU GTX960 GTX760 R9 285 GTX970 GTX980
開発コードネーム GM206-300 GM204-400 Tonga GM204-200 GM204-400
製造プロセス 28nm
DirectXサポート 12 11.2 12
シェーダープロセッサー数 1024基 1152基 1792基 1664基 2048基
ベースクロック 1127MHz 980MHz 未公開 1050MHz 1127MHz
ブーストクロック 1178MHz 1033MHz 918MHz 1177MHz 1216MHz
メモリタイプ GDDR5
メモリI/F 128bit 256bit
メモリクロック 7010MHz相当 5000MHz相当 5500MHz相当 7010MHz相当
メモリバス帯域幅 112GB/s 192GB/s 176GB/s 224GB/s
メモリ容量 2GB 4GB
TDP 120W 170W 190W 150W 165W
接続I/F PCIe 3.0
PCIe外部電源 6ピン×1 6ピン×2
マルチモニターサポート 最大4画面 最大6画面 最大4画面
マルチGPUサポート 2Way-SLI 2Way-CF 3Way-SLI 4Way-SLI
最低必要電源 400W 600W 500W

見どころはやはり、予想した通りの消費電力の低さにあります。TDPが120Wとなっており、「GeForce GTX 760」と比較してもTDPが50Wの低減、 ライバル AMD社のほぼ同性能とみられるグラフィックカード「Radeon R9 285」と比較しても60Wも差がついています。

補助電源ピンが6ピン端子1つに抑えられているので、グラフィックカードの拡張もよりハードルが低くなり、容易に行うことができます。 もっとも、これはあくまでNVIDIAのリファンレンスデザイン「GeForce GTX 960」での仕様ですので、 ASUSやmsi、GIGABYTE、ZOTAC、GALAX、ELSAなど各カードベンダーから発売されているモデルには当然、オーバークロックされている、 ないしはオーバークロックに対応するモデルも多くあり、電源確保のため、補助電源ピンも8ピン端子1つあるいは、6ピン端子2つ、 といったモデルもありますので「GeForce GTX 960」搭載のグラフィックカードを選ぶ際にはこうした点も注意すべきポイントとなります。

右の写真のような端子が電源についているかを確認してみてください。左が8ピン、右が6ピンです。
メモリインターフェースは、他モデルが256bitなのに対し、128bitと半分の帯域になっていますが、Maxwell世代のコアは、テクスチャ圧縮技術を持っていますので、
心配するほど大きなネックにはならず、従来通りの画面の大きさの「フルHD」環境でゲームをすることに対しては十分すぎるほどのパフォーマンスを発揮するでしょう。

スペックから考えられることをまとめると「GeForce GTX 960」は、今もっとも広く使われているモニタの解像度「フルHD」でゲームをプレイする事に最適化されている、ということが分かります。
実際にどうなのか、お待ちかねのベンチマークの測定に行きたいと思います。

※測定環境、測定条件は記事の最後の方に記述していますので気になる方はそちらを参照ください。

GeForce GTX 960をベンチマークであれこれ調べてみる

比較対象は、もちろん「GeForce GTX 760」です。ライバル機として「Radeon R9 285」としました。
まずは、3D Mark 「Fire Strike」テストのGraphics scoreです。

【GTX 960 Single】3D Mark 「Fire Strike」テストGraphics score


「GeForce GTX 960」は、「GeForce GTX 760」に比べて14%ものスコアアップを果たし、ライバル機である「Radeon R9 285」に肉薄する勢いの結果となりました。これだけのスコアを取得していれば、最新のゲームタイトルは十分なパフォーマンスを持って遊ぶことができます。 つい先日発売されたばかりの「メタルギアソリッドV グラウンド・ゼロズ」PC版も、60FPSをしっかりとキープしていました。「GeForce GTX 960」搭載パソコンが、メタルギアソリッドV推奨パソコンの認定を受けていますので、その性能も折り紙つきです。
お次は「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」です。

【GTX 960 Single】ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編


スコアは、『とても快適』の指標である7000以上の9654となりました。ここでも「GeForce GTX 760」から比較して高スコアを出し、 「Radeon R9 285」に迫るスコアとなりました。ベンチマーク中の平均フレームレートは81fpsですので実際にゲームを最高品質のフルHD解像度で十分に快適に遊ぶことができます。

GeForce GTX 960を速攻で「SLI」を組んでみる

「GeForce GTX 960」は、グラフィックカード2枚を連動動作させ、よりグラフィック処理を高速化させる「SLI」に対応しているので、当然のように測ってみます。
「GeForce GTX 960 SLI」に対し「GeForce GTX 760 SLI」との性能比較を行います。また、上位機種となる「GeForce GTX 970」や「GeForce GTX 980」それぞれシングルカード(1枚)との比較もしてみました。上位機種にどこまで差をつけることができるのかに注目です。

3D Mark 「Fire Strike」テストのGraphics scoreからいきます。

【GTX 960 SLI】3D Mark 「Fire Strike」テストGraphics score


パフォーマンスは上位機種である「GeForce GTX 980」を余裕で上回るスコアを見せました。高負荷になるこのベンチマークでは2枚を搭載することによる性能向上の効率が非常に高く、 スコア数値も1枚の時に比べ2倍程に伸びています。価格も、ものによっては1枚の「GeForce GTX 980」より2枚の「GeForce GTX 960」の方が安価となるため、 コストパフォーマンスの優位性も出てくる点が驚異的です。BATTLEFIELD4などのDirect X11系のゲームタイトルでは、 SLIの恩恵を最大限に受けることができ「GeForce GTX 960」でSLIを構築することのメリットも十分にあるでしょう。

続いて「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」

【GTX 960 SLI】ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編


こちらは、グラフィックカードに対する負荷が軽すぎるためか、残念ながら1枚での動作をする「GeForce GTX 980」の後塵を拝しております。
とはいえ、そのスコアの差はわずかで、誤差範囲ともいえます。ですが、FF14などのDirect X9タイトルにおいては、
SLIの恩恵はDirect X11のタイトルに比べ負荷の軽さゆえに最大限性能を発揮することが難しくなる傾向が見られます。

FF14に関してはDirect X11への対応を2015年内に控えていますので、今後の展開に期待したいとおもいます。

GeForce GTX 960はエコなのか

最後に「GeForce GTX 960」の消費電力を見てみます。
今回は3D Mark「Fire Strike」実行時のシステム全体の消費電力の最大値を記録しました。
※測定環境、測定条件は記事の最後の方に記述していますので気になる方はそちらを参照ください。

「GeForce GTX 960」の消費電力


グラフは数値が小さいほど消費電力が低いことになります。
結果はご覧のとおりで、頭一つとびぬけて消費電力の低いのが「GeForce GTX 960」となります。また、SLIを組んだ状態でも、
わずかながらに「GeForce GTX 980」より高いですが、ほぼ同様の結果となっている点が驚きです。

「GeForce GTX 960」の最適な電源は500Wを推奨されていますが、システム全体での消費電力が最大でも186Wですので、 400Wの電源であっても動作してしまうことになります。電源の最大出力容量の半分程度で使用するのが最も効率が良くなるので、 この結果を参考に必要な電源容量を計算してみるとよいと思います。

1ワットあたりの3D Markスコアを算出し「GeForce GTX 760」を100%としたときの「ワットパフォーマンス」をグラフにするとこちら。

ワットパフォーマンス


Maxwellアーキテクチャの優秀さが光ります。1ワットあたりのパフォーマンスが優れるということは、 言い換えると1ワット消費する間に処理されるグラフィックの量が増えることになります。 例えば60fpsで動作する同じゲーム画面を描画するのに必要になる消費電力がそれだけ下がるという事です。 「GeForce GTX 960」は、「GeForce GTX 760」に比べて1.5倍も電気を節約できるということですね。

ベンチマークスコア一覧です。

ベンチマークスコア一覧

  3D Mark ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編 最大消費電力(W)
Fire Strike Fire Strike Extreme 最高品質
Score Graphics Score Graphics 1080P 最大
GeForce GTX 760 5750 6246 2834 2875 9532 255
GeForce GTX 960 6556 7371 3343 3446 9654 186
AMD Raeon R9 285 6901 7733 3417 3519 10321 254
GeForce GTX 970 9545 11033 4806 5005 14514 247
GeForce GTX 980 11300 13399 5736 6017 16330 275
GeForce GTX 760 2Way SLI 9657 12052 5063 5482 15959 417
GeForce GTX 960 2Way SLI 10798 14481 5908 6635 16061 300

GeForce GTX 960は「高パフォーマンス!」「低消費電力!」で「超静音!」

以上の結果から「GeForce GTX 960」は、ゲームをプレイするなら鉄板のグラフィックカードであった 「GeForce GTX 760」と比較してベンチマークスコアの向上からも分かるように性能が向上しつつも、消費電力の低減を果たしているので、 「GeForce GTX 760」からですら、換装をする価値が十分にあるグラフィックカードとなりました。

やはり消費電力が低いのが大きなポイントとなり「GeForce GTX 660」や「GeForce GTX 560」が搭載されているPCからの換装はもちろんの事、 「GeForce GTX 650」や「GeForce GTX 550」といったエントリークラスのグラフィックカードを搭載したPCからですら、 電源容量を特に気にすることなく移行することができます。これはものすごく大きなポイントとなります。

また、「GeForce GTX 960」を1枚搭載で試してみたけどパフォーマンスが物足りない!と思っても、もう1枚追加すれば最上位機種の「GeForce GTX 980」を上回る性能を 「GeForce GTX 980」より安価に入手することができます。※マザーボードのSLI対応および電源容量の大きさをクリアする必要がありますが!

さらに、「GeForce GTX 960」は初回より各メーカーからはオリジナルファンでの登場となり、低消費電力の上に、低発熱となるため、 低負荷時においては冷却ファンの動作を停止させる「セミファンレス」モデルが数多く発売されます。つまり、静音性が高いということですね。

「GeForce GTX 960」は「高パフォーマンス!」「低消費電力!」で「超静音!」3拍子そろった上に、「お手頃価格!」と、非の打ちどころのないグラフィックカードです!

迷ったら「GeForce GTX 960」を買っておけば間違いはない!次代の鉄板グラフィックカード足りえる最高の一枚です!

執筆:パソコン実験工房 職人3号

テスト環境

グラフィックドライバは事前に動作テスト用に配布されたドライバであり、リリース後に配布されるドライバと異なる場合があります。

※表示されているのは基本構成です。