DAWソフト「Cubase 8」が動く環境を探る。ドラム音源「BFD3」にも挑戦 Impress連動企画(前編)

2015-3-27

おはようございます。職人3号です。
Impressとのコラボ企画【メーカーさん、こんなPC作ってください!】の第4弾となる今回の気になるお題はなんと「DAWソフトCubase8とドラム音源BFD3が動く環境を探る」です。
「Steinberg Cubase 8」(スタインバークキューベイス8)といえば、とても有名なDAWソフトですが、今回はこのDAWソフトに加えて音源データの「fxpansion BFD3」(エフエックスパンション ビーエフディ3)も合わせて動作に必要なパソコンスペックについて探っていきます。

DAWって何?

DAWは「Digital Audio Workstation」の略称です。パソコンを使って音楽制作を行うことを指します。
最近では、ニコニコ動画などでたくさんアップされているボーカロイドなどの楽曲の大多数はこのDAWソフトを用いて作成されています。
近頃のこうした音楽制作現場の事情や、編集ソフトの変遷、必要なスペックなどについては藤本健氏に詳しくお話を聞くことができました。

【DAWソフト「Cubase 8」が動く環境を探る。ドラム音源「BFD3」にも挑戦:前編】

とても勉強になりました!
現在のDAWソフトもパソコンも進化し、より高音質になった音源データもありこれからDAWを始めようという方にはもちろん、過去にDTMをしていた方も再びパソコンで音楽制作をおすすめできるような状況になったのではと感じることができました。特に今ではボーカロイドが絶大な人気を誇っており、ニコニコ動画といった作品を多くの人の目につく所に公開できる場所が整っている今だからこそ、こうした作品や音楽の製作に興味を持った人にパソコンを使った音楽制作は是非やって欲しい、そんな思いに少しでも協力できるよう、最適なパソコンを考えていきたいと思います。

DAWソフト「Cubase 8」、ドラム音源「BFD3」のハードウェア要件確認

まずは今回使用される「Cubase8」と「BFD3」についてメーカーサイトで紹介されるハードウェアの必要スペックについて確認してみます。

Steinberg Cubase 8
Stainberg公式サイト
Cubase 8ページ
コンピューター環境について

fxpansion BFD3
Fxpansion公式サイト
BFD3ページ
BFD3 FAQページ

共通のポイントは以下のようになります。

  • マルチコアCPU対応可能
  • 64bit OS対応で大容量メモリ搭載は有効
  • ストレージは高速なものでなければならなず、データ用を別途準備すると尚可

以下の点は注意が必要そうです。

ストレージ容量
BFD3はストレージの必要容量について「18GB, 27GB or 55GB disk space required」とあります。 他のプラグインの事も考えますと、SSDの場合は容量について気を付ける必要があります。

使用CPU
Cubaseのほうは特にCPUについて色々と注目するべき解説がありました。
ASIO-Guard について
Hyper-Threading について
4コアを超えるシステムと Cubase、Nuendo について

ASIO-Guardテクノロジーの搭載により、マルチプロセッサーの恩恵を多大に得る事が出来るようになったのですが、引き続きでプロセッサー数はあまり多すぎずHyper-Threadingは無効にしたほうが良いという場面もあるようです。

これらの点を踏まえて、今回の企画の中で実際の使用シーンの話も聞きながらスペックを選定して行きたいと思います。

「Cubase 8」と「BFD3」に最適なパソコンを考える

必要となるハードウェアのポイントについて【前編】記事で意見交換してきました。

①CPU
今回はCPUが最も重要な要素であると考えられます。
Hyper-Threadingを有効にできないのであれば、Corei7ではなくCorei5のほうがコストパフォーマンスは良いです。
CPU同期の問題による音飛び対策でHyper-Threadingを切る場面とASIO-Guardの恩恵を得る場面、実際の運用においてはどちらが多いのかと聞いたところ、ASIO-Guardの恩恵のほうが多いとの事です。
従いましてCorei7ベースで普段使いはHyper-Threadingを有効にし、必要に応じて無効にするという運用がお勧めとなりそうです。

②ストレージ
次にストレージが大きな要素を占めると考えられます。こちらは「Cubase 8」よりも音源データとなる「BFD3」のパフォーマンスへの影響が大きく、その理由として「BFD3」の音源データは55GBもあり、こうした大容量のデータを即座に呼び出し再生できる性能をストレージで確保できるのはSSDとなります。OS用とは別に高速な“データ用”SSDを搭載することで、「Cubase 8」で音楽を再生した際のパフォーマンスの影響を最小限に抑えることができます。また、SSDはメモリを使用するストレージですので動作部品がなく静音性を高める際にも大きく貢献する理想のパーツです。
「Cubase 8」のモニタリングツールではストレージの負荷状況もモニタリングできますので、この機能を用いて通常のHDDと比較してSSDの効果のほどを見ていきます。

③メモリ
メモリは音源データの一部をメモリへ展開し、そこから読み込みを行うため、この音源データを使用する量が多ければ多いほど多くのメモリを消費する形になります。呼び出される音源データの高音質化によりデータ量が増えつつあり、最低でも8GB以上でプラグインの使用数によっては16GB以上が良いとの事です。
プラグイン起動、トラック数増加毎の消費量等を確認してみます。

④グラフィック
グラフィックについては、OpenGL2.0以上に対応するグラフィックカードを要求されていますが、動画を扱う場合に必要なものとなるようです。最近のCPU内蔵グラフィックIntel HD Graphicsであればこの点は十分にクリアしておりますので、特に増設が必要ないと考えられます。グラフィックカードを搭載することでファンが増えその分騒音が増えることにもなりますのでかえってそちらのほうが問題になる可能性があります。また、モニタの項目でも記述しますが、「Cubase 8」はマルチモニタにすることでより効率的な編集画面を編成することができます。使用できる端子はマザーボード次第となりますがCPU内蔵グラフィックでも3画面までの出力に対応しますのでこの点もグラフィックカードを増設しなくても問題はありません。
“基本的には”グラフィックカードは不要であると考えます。
とはいえ、様々な使用方法ができるのがパソコンであるかと思いますので必要な方向けにオプション項目を用意できればと思います。

⑤静音
オーディオインターフェイスを経由してマイクを使用して音源を録音する場合、パソコン本体のファンの騒音は大きなノイズとなりかねません。
できうる限り、静かな構成を目指し静音CPUクーラーや、静音ファンを搭載、OSと作業領域にはSSDを採用するなど静音を重視した構成とします。

⑥「Cubase 8」+「BFD3」PCの形状
ドラム音源データ「BFD3」のようなサンプラーを活用し、多数のインストゥルメントトラックを使用するような用途の場合はストレージの拡張性や、作業効率向上のためマルチモニタ環境なども必要になりますのでデスクトップパソコンにします。

⑦モニタ
マルチモニタ環境はDAWソフトで編集するにあたって非常に有効であると考えられます。「Cubase 8」にはデュアルディスプレイやトリプルディスプレイ用のウィンドウ配置プリセットが用意されており、モニタを増設することでより最適な配置を簡単に実行することができます。
好みによりカスタマイズができますのでより最適な配置を極めることができます。いずれにせよモニタが広いことで打ち込み画面、VST画面など広く配置できますので作業性の効率は格段にあがります。

画像その1 / DAWソフト「Cubase 8」
2画面配置の例


また、最近手ごろな価格となってきている4Kモニタであれば、さらに広い作業スペースを確保することができるはずです。サードパーティプラグインも含めると全ての確認はできませんが、基本操作でボタンが小さくて押し難くないか、文字が小さくて見えなくないか等を確認してご紹介いたします。

画像その2 / DAWソフト「Cubase 8」
4Kモニタ配置の例

以上、
これらの考察を元に構成を確定させ、パソコン実験工房としての【後編】では実際に動作確認を行って最適な環境を求めていきます。

また今回の企画で意見交換をする中で、スタジオに持ち込んでの録音のように作業場所を移動したり、ライトな使い方で場所を取らない事を目的とする人用のCubase用ノートパソコンも考えましょうという事になりました!
こちらについても上記と並行で検証を実施します。

執筆:パソコン工房 職人3号




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